2024 年『アイアンテスト』の全てが完了した。「初・中級者向け(超スコア改善型)」アイアン、「初・中級者向け(スコア改善型)」アイアン、「上級者向け(競技志向者)飛び系」アイアン、「上級者向け(競技志向者)」アイアンの4つのカテゴリーから、「飛距離」トップの4モデルをまとめた。アイアンを購入する際、とにかく「飛距離」が欲しいならこの4モデルははずせない。

では、2024 年の「飛距離」トップに輝いた4つのモデルを紹介する。

我々の「飛距離」テストでは、「キャリーの飛距離」、「合計ヤード」のこの2つの具体的指標を分析し「飛距離キング」を決定している。


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「初・中級者向け(超スコア改善型)」アイアン部門

「初・中級者向け(超スコア改善型)」アイアンは、中・高ハンディキャップのゴルファーやヘッドスピードが遅めのゴルファー、そしてゴルフを始めたばかりの初心者が対象。ボールの上がりやすさとショットの安定感も併せ持つよう設計されている。

また、「飛距離」に悩む層もこのターゲットの一つ。しかしながら、「初・中級者向け(超スコア改善型)」アイアンでは、一番飛ぶアイアンと最も飛ばないアイアンには明確な違いがある。

そして、このカテゴリーの中で次世代の飛びを実現したモデルが、PING「G730」だ。PING「G730」の7番アイアンの「飛距離」は136.33ヤード。そして最も飛ばないモデルの「飛距離」は128.49ヤード、その差7.84ヤードだった。この差をどうとらえる?


「飛距離」トップ:PING「G730」アイアン


ポイント

PING「G730」は、「初・中級者向け(超スコア改善型)」アイアンカテゴリーで次世代の飛びを実現し、「飛距離」トップの座を獲得した。PING「G730」アイアンはストロングロフト(ロフトが立っている)となっていながら、高弾道になるよう設計されている。多くのアマチュアにとってボールを上げることは本当に難しいためだ。ピンは当然その点も考慮している。通常7番アイアンは30〜31度のロフト角が基本だが、PING「G730」アイアンの7番アイアンのロフト角は、26.5度と「パワースペック」設計になっている。いわゆる“飛び系”アイアンの素性だ。「飛距離」は大きなアドバンテージだが代償も伴う。PING「G730」は「正確性」と「寛容性」には欠ける。スコアアップに繋がる一番大切な要素は「正確性」だ。

余談だが、PING「G730」アイアンの「打感」は秀逸だ。インパクトはパワフルで、どこに当たったのかが分かるほどフィードバックがある。ちゃんと当たったら満足する打感が得られる。さらに、テスターからの人気は「打感」だけでなく、「見た目」と「購入の可能性」で最高評価を得ている。

最後に、この「超スコア改善型」のカテゴリーでPING「G730」アイアンは「正確性」と「寛容性」は平均以下に位置しているが、このタイプのアイアンはゴルファーの“ゴルフ上達に役立つため”にあるということは伝えておこう。


おすすめ層

✅「飛距離」がどうしても欲しい人: PING「G730」は、「初・中級者向け(超スコア改善型)アイアンテスト」における最長飛距離アイアンとして、興奮をもたらしてくれることは間違いない。「飛距離」で7.84 ヤードの差は大きい。故にこのモデルを無視することはできないだろう。


不向きな人

❌「正確性」と「寛容性」を望む人:PING「G730」は、かなり飛びはするものの「正確性」と「寛容性」では平均を下回っている。新しいクラブを購入する際には、「正確性」を最優先にすべきだし、皆さんもセッティングのどの番手であっても、グリーンに乗せるかグリーン周りに寄せたいはず。我々は「寛容性」で、ショットごとのアイアンのパフォーマンスを評価し、具体的には、「ボール初速」、「キャリーの飛距離」、「スピン量」、そして「バラツキ」の4指標を分析している。PING「G730」は、テストした他モデルに対してこれらのパフォーマンス特性で苦戦しているようだ。


テスターの主観的フィードバック

・「反発が強く『飛距離』が素晴らしい。『打音』は他とかなり違うので慣れる必要がありそうだ」

・「“カチッ”として音がするが、ボールの飛び出しは爆発的だし『打感』も素晴らしい。自分の中では間違いなく候補リストのNo.1だ」

・「当たりがスゴい。反発もヤバい。『打音』は好きになれない。高くて笛のようだ」


専門家の見立て

PING「G730」アイアンは、クラブの性能を頼りにするゴルファーをターゲットにしているが、他のモデルに比べ、PING「G730」の「飛距離」に疑問の余地はない。この事実だけでもゴルファーを魅了する。とはいえ、飛ぶと「正確性」に懸念が生じる。だからこそ、専門家のフィッティングを受けることが最も重要となる。特に初速アップやそれなりの高さを出すことに苦労しているなら、この手のアイアンで適当な打ち出し条件にする必要があるだろう。


「初・中級者向け(スコア改善型)」アイアン部門

「スコア改善型モデル」アイアンはある種の“毛並み”が違う。「初級者向け」や「上級者向け」とは違い、ほとんど全てのゴルファーにアピールする中で、各モデルの性能差が見て取れるのもこのカテゴリーならでは。ほとんどの「初・中級者向け」アイアンがウリにしているのは「飛距離」。


「飛距離」トップ:ウィルソン「Dynapower(ダイナパワー)」


ポイント

2023年に引き続き、ウィルソン「Dynapower(ダイナパワー)」が飛距離部門で1位を獲得した。「Dynapower」の飛距離性能は疑う余地もなく、誰もがこの飛びには魅了されるだろう。「Dynapower」は、独自のダイナパワーA.I.技術を使用し、『パワーホール3.0テクノロジー』と組み合わせた最適なフェース肉厚を採用している。この設計の目標は、アイアンのフェース全体で最大のボール初速を実現することであり、特にセンターからトゥの領域に重点を置いて、最適な「飛距離」と「寛容性」を提供すること。しかしながら、圧倒的な飛びを実現していても、弱点はある。「正確性」だ。現に、「Dynapower」はテストした17モデルの中で「正確性」で最下位。いくらティーショットで気持ちよく飛ばせたとしても、次のショットに繋がらなければスコアにならないのがゴルフってゲーム。故に、「Dynapower」の購入を検討しているならば、さらなる「正確性」と番手間ギャップを実現することが課題だ。フィッティングで相談してみてよ。


おすすめ層

✅ とにかく飛距離が欲しい人:ウィルソン「Dynapower」の「飛距離」は飛び抜けている。テスターたちの大半が、このモデルを最も飛ぶ「初・中級者向け」アイアンとした。7番アイアンでは、一番飛ばないモデルよりも約10ヤード以上飛ぶという度肝を抜かれる結果に。“ぶっ飛びアイアン”が欲しいならこれ以上の選択肢はない。


不向きな人

❌ 「一貫性」を求める人:ウィルソン「Dynapower」は「初・中級者向け」アイアンで一番飛ぶが、代償も伴う。「正確性」と「一貫性」は長所となっておらず、我々としてはフィッティングを受けることをお勧めしたい。そうすることで、番手間ギャップが向上し、より「正確性」を増すことができるだろう。


テスターの主観的フィードバック

・「とんでもなく飛ぶ。見た目はイマイチだけどね」

・「インパクトがソリッドで反発が高い。これまで試したアイアンでベスト3に入る」

・「飛ぶけどばらける。見た目もぜんぜん好きじゃない」


専門家の見立て

忘れられないショットといえば、一番飛んだショットだろう。ウィルソン「Dynapower」は最も飛ぶ「初・中級者向け」アイアンだ。しかし、飛ぶからといって必ずしも良い選択肢とは限らない。いくらティーショットで気持ちよく飛ばせたとしても、次のショットに繋がらなければ意味がない。どんなアイアンセットでも「正確性」、「飛距離コントロール」、そして「信頼性」が優先されるべきだ。ウィルソン「Dynapower」アイアンを買うなら犠牲を払うことを恐れてはならない。


「上級者向け(競技志向者)飛び系」アイアン部門

「上級者向け飛び系」アイアンは、ゴルフ業界において独特なカテゴリー。各メーカーは、見た目の美しさを考えた上で上級者に向けて「飛距離」と「寛容性」を合わせたアイアンにしようとしているが、実際は、ハンディキャップが少ない中程度のゴルファー向けになっている。


「飛距離」トップ:コブラ「KING Forged Tec X」


ポイント

コブラ「KING Forged Tec X」は、高品質な「上級者向け飛び系」アイアンとしての評価を確固たるものにしており「正確性」と「飛距離」に優れている。「上級者向け飛び系」では良くあることだが、「KING Forged Tec X」もタングステンを搭載しており、可能な限りの低重心化を実現させ、意外なほど簡単にボールを上げられるようになっている。さらにストロングロフト化により、ロフト角は7番アイアンで27度。「中空ボディ構造」で、コブラの極薄で柔軟性がある『パワーシェル』フェースを搭載しており、飛距離の落ちたボールストライカーを若返らせるバイ〇グラ(=「初速」)を提供する。


おすすめ層

✅真の「上級者向け飛び系」アイアンが欲しい人:どんなゴルファーでも飛ばしたい…、というわけで、コブラ「KING Forged Tec X」が「上級者向け飛び系」アイアンテストの「飛距離」においてベストアイアンとなった。この座を獲得するために強豪を撃破。我々は5番アイアン、7番アイアン、PWのパフォーマンスを分析しているが、このモデルはセットを通じて明らかに「飛距離」で優れている。


✅信頼できる「正確性」を求める人:「KING Forged Tec X」は驚異的な「飛距離」をもたらすだけでなく、非常に正確で我々のテストにおける「ストロークス・ゲインド」ではプラスの性能を実現している。「正確性」のポテンシャルを発揮することで、「上級者向け飛び系」カテゴリーでスバ抜けたメリットになっている。


不向きな人

❌「寛容性」が欲しい人:我々が定める「寛容性」とは、安定したショットの結果を生み出すことに対する「一貫性」の度合いとしており、この2つは密接に関係している。ショットごとに、どのくらい正確に同じような場所にボールを打つことができるのか?また「ボール初速」、「飛距離」、「スピン量」、「バラツキの範囲」の差は小さいのか?など我々はこうしたものを分析しているが、残念ながらコブラ「KING Forged Tec X」はこれが欠点となっている。競合モデルに比べ「寛容性(一貫性)」に欠けているのだ。


テスターの主観的フィードバック

・「ルックスがクールで、無茶苦茶イケてる」

・「パフォーマンスは素晴らしいが、『打音』が嫌い」

・「アドレスでの見た目が好き。構えやすくて座りも良い。芯を外すと打感が悪い」

・「間違いなく、反発が最高のモデルの一つ」


専門家の見立て

一般的に「飛距離」でベストなアイアンが、「正確性」でも優れたパフォーマンスを発揮することはまずない。しかしコブラ「KING Forged Tec X」は、この法則に反して「正確性」で2位。これにより「総合ランク」でも2位。反発性能が高くよく飛ぶので、番手間ギャップにはお気をつけあれ。フィッターならきっとそう言うはず。


「上級者向け(競技志向者)」アイアン部門

ボールをしっかり捉えて打ち、コントロールができるゴルファーなら、より優れた「上級者向け」アイアンに興味を持つはず。だが、「上級者向けアイアンテスト」はベストとワーストの区別がつきにくいカテゴリーとなっている。


「飛距離」トップ:キャロウェイ「APEX PRO(エイペックス プロ)」


ポイント

過去のテストからもキャロウェイ「APEX PRO」は、同社アイアンシリーズの中で優れた成績を残しているアイアンの一つだ。2024年も「上級者向け」アイアン部門の「飛距離」において突出しており、それに変わりはない。

そしてこの飛びを実現しているのが、鍛造製法の『455スチールフェース』だ。「打ち出し角」、「初速」、そして「スピン量」における番手別の完璧な設定は、6番アイアンを起点に変化させるというのが同社の考え。その上でこのアイアンには、「打音」と「打感」をコントロールするため、キャロウェイ独自の『ウレタン・マイクロスフィア』が採用されている。「APEX PRO」はマジで飛ぶが、残念ながら飛ぶと基本的には「正確性」が損なわれる。これはキャロウェイ「APEX PRO」でも避けがたい宿命。


おすすめ層

✅とにかく飛距離が欲しい人:キャロウェイ「APEX PRO」は飛ぶ。我々のトップ3分析によると、全テスターの60%においてこのモデルの5番アイアンが最長飛距離となった。これは次点のクラブよりも15%も良い数値だ。繰り返しになるが、「上級者向け」アイアンは飛ばせるゴルフクラブとしての呼び声はない。しかし、このキャロウェイ「APEX PRO」は、「上級者向け」アイアンと考えることを疑問に思う人もいるだろう。


不向きな人

❌正確性重視の人:「飛距離」は、キャロウェイ「APEX PRO」で明らかに突出している部分だ。しかし、飛びすぎるアイアンでは一般的だが「正確性」に乏しい。「上級者向け」アイアンにおいて最も大切なのは「正確性」だ。グリーンに乗せたり、次のショットが打てる場所に打つことが目的なら、キャロウェイ「APEX PRO」はそのどちらも実現できない可能性がある。


テスターの主観的フィードバック

・「打音は微妙だが、弾道と数値は安定している。ソリッドなアイアンだ」

・「この上級者向けアイアンでのベストヒット。これまでテストしたアイアンよりミスヒットに強いように感じた」

・「この分野を考えるとオフセットが微妙。しかしパフォーマンスは良く『APEX CB』よりも良い」


専門家の見立て

キャロウェイ「APEX PRO」が、「上級者向け」アイアンとして卓越した「飛距離」を実現することは間違いないだろう。これが「上級者向け飛び系」アイアンと被ると思われてもおかしくはない。実際に各カテゴリーのテストを行ってみると、微妙にカテゴリーを跨ぐクラブが存在する。このキャロウェイ「APEX PRO」は間違いなく、スキルのないゴルファーでも使いやすいモデル。ハンディキャップが3から8くらいなら、キャロウェイ「APEX PRO」をチェックしフィッティングを受けるべきだろう。


まとめ

以上が各カテゴリーの「飛距離」トップとなったモデルだ。

「飛距離」を重視するあまり「正確性」を軽視するのはよろしくないが、どんなゴルファーでも飛びが一番魅力なのは古今東西不変だ。飛べば気持ちいいじゃん?

とは言えスコアってものもゴルフというゲームの目的でもある。故に、この「飛距離」トップのみならず、各カテゴリー別に、あなたに合ったモデルを是非とも見つけて欲しい。

スコアアップを目指すために、何をどこまで妥協するか?やはり「飛距離」を重視するのか?平均的にバランスの取れたモデルを選択するのか?結局のところ、それはあなた次第だ。好みのパートナーが人それぞれ違うようにね。


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