・キャロウェイが、「EPIC SPEED」「EPIC MAX」「EPIC MAX LS」の新作「EPIC」ドライバー3モデルをリリース。
・「EPIC SPEED」「EPIC MAX」は前作を継承、「EPIC MAX LS」は完全最新モデル。
・定価は529.99ドルで発売は2月18日。
商品リリースにおいて、キャロウェイが我々の注目を「一番目に」浴びたいのは毎度のこと。
そして「EPIC SPEED」「EPIC MAX」「EPIC MAX LS」は、キャロウェイの「AIフェース」と「JAILBREAK(ジェイルブレイク)」テクノロジーを同時にデザインするためにAIが活用された「一番目の」成果物のようだ。
ご存知かも知れないが、キャロウェイは、ここ数年の製品に対して設計目標を加速させるために、同社の価値あるスーパーコンピューター、AI、機械学習を活用してきた。
そして、多くのメーカーも何らかの形でスーパーコンピューターを使っているが、キャロウェイでは、同社ほどAIを限界まで活用したり、最終的に市場に投入されるものに対してAIを広く活用しているメーカーはないと考えている。
キャロウェイ「EPIC」ドライバー 「AIスピードフレーム」
今回、AIが創り上げた最大の特徴が、「AIスピードフレーム」だ。
「スピードフレーム」は「AIスピードフェース」と「JAILBREAKテクノロジー」両方のテクノロジーが元になっており、クラウンとソールの繋がりをさらに強固にし、それぞれが繋がる「ポイント」を増やすことで水平方向と垂直方向の「剛性」をさらに高めるという。
絶対値で数値化することは難しいが、新デザインはクラウンのたわみを20%抑制しているので妥当な範囲に収まっていると言えるだろう。
基本的に「AIスピードフレーム」は、たわみで失うエネルギーを少なくしボールに伝えるエネルギーを増やす内部の接触ポイントを強固にするためにある。
短く言うと、「スピードアップ」ということ。スピードアップはいつでも欠かせないというわけだ。
緑色じゃない
余談だが、キャロウェイのSNSで「AIスピードフレーム」を見たことがあるだろう。
キャロウェイの契約プロが手にしている緑色の物体がこのテクノロジーを表しているが、実際の「AIスピードフレーム」は製造過程でヘッド内部に固定される。
製造上の工夫は確かにあるが、製品として使われる「AIスピードフレーム」はチタンでできており、実際は緑色ではないのだ。
キャロウェイ「EPIC」ドライバー – 3モデル
キャロウェイや他メーカーでは普通になっているように、今回のシリーズは3モデルある。
可変ウェイトの違いは置いておいて、3モデルのうち2つは昨年の「マーベリック」シリーズと大きく変わらない。
3モデル目の「EPIC MAX LS」は、キャロウェイが開発してきたここ数世代のモデルとはかなり異なる。キャロウェイからこのモデルが出るのは意外なことなので、なおさら気になる存在と言えそうだ。
では、ここから3モデルを細かく見ていこう。
キャロウェイ「EPIC SPEED」ドライバー
手っ取り早く言うと、キャロウェイ「EPIC SPEED」ドライバーは、2021年のラインナップの中で「一番スピードが出る」モデルだ。
スピードアップするにはいくつかの方法が考えられるわけだが、それぞれには十分な根拠がある。
キャロウェイ「EPIC SPEED」 - サイクロン形状
第一は、「EPIC SPEED」が昨年の「マーベリック」で採用された「サイクロン形状」を継承しており、3モデルの中では一番、空力上進化したドライバーであり、それ故、「一番スイングスピードが速くなる」ということだ。
サイクロン形状を復習すると、「スピードバック(コブラ)」や「イナーシャジェネレーター(テーラーメイド)」とは反対の見た目をしている。
クラウン部分は高くフラット目で、ソールからクラウン後部のエッジまでの流れは、従来のドライバーに比べより“急な”感じになっているのだ。
キャロウェイによれば、こうすることでダウンスイング中の抵抗が軽減し、「EPIC FALSH」に比べて0.36~0.67m/sほど向上するとのこと。
スピードが出せるプレーヤーはよりその数値は大きくなり、逆もまた然りだ。もちろん、実際の数字が異なることはご理解いただきたい。
二つ目は「ボールスピード」。ヘッドがより浅重心だとピーク時のボールスピードはより速くなるが、「EPIC SPEED」は新モデル3つの中では最も「浅重心」になっていることから、他モデルよりも「スピードが出る」はずだ。
打ち出しとスピンについては、「EPIC FLASH」は「マーベリック」に似ている。
キャロウェイによれば、中スピンとのことだが、ゴルファーによっては、ニュー「EPIC」3モデルの中では、一番低スピンのドライバーと言えるだろう。
キャロウェイ「EPIC SPEED」の寛容性
「EPIC SPEED」は、以前の基準だと易しいとは言えないと思うが、「マーベリック」がそうであったように、キャロウェイでは、「AIフェースデザイン」とさらなる浅重心による安定したスピン性能により「EPIC SPEED」に「寛容性」を持たせている。
これにはメリットもある。重心が「後ろ」にあれば「ボールスピードはより安定」し、逆に「前」に重心があれば「スピンが安定」する。どちらの方が飛距離をキープするのにより効果的なのかは、ゴルファーによるのだ。
「EPIC SPEED」は、少々変わった形状をしており、ややドローバイアスで2021年の「EPIC」シリーズの中で最も浅重心だが、ゴルファーの過半数にベストフィットすることは間違いないだろう。
キャロウェイ「EPIC SPEED」のロフト角は9度、10.5度、12度がラインナップしている。
キャロウェイ「EPIC MAX」ドライバー
今回の新モデルの中で、「EPIC MAX」は説明するのが一番簡単だと思う。他の2モデルに比べると「MOIは最も高く」、最もありきたりな言葉だが「寛容性」もある。
テーラーメイドやタイトリストと同様、キャロウェイのデザイン哲学は「可能な限りのMOI最大化を求める」ことではない。
キャロウェイでは、ボールスピードを高めることと引き換えに、価値がなくなりメリットが減少するポイントがあると考えているのだ。
分かりやすく言うと、「EPIC MAX」は市場で最大のMOIを実現しているわけではないが、十分に寛容性があるということ。キャロウェイのR&Dバイスプレジデントのアラン・ホックネル氏も「今の立ち位置に満足している」と話している。
現在の彼らのクラブのMOIは前後が5,000台半ばで合計MOIは9,000を超える。ピンのクラブではないが、従来の寛容性で言うと真ん中より上の部類に入ると言って良いだろう。
繰り返しになるが、こうした話の多くはブランドレベルでのデザイン哲学に根付いたもので、明確に正しいとか間違いということはなく、メーカーの立ち位置次第だ。そう考えると、キャロウェイは描いた通りの立ち位置にいると言えるだろう。
キャロウェイ「EPIC MAX」 - 可変ウェイト
「EPIC MAX」はキャロウェイの「スライド式ウェイトトラック」が特徴だ。これにより十分直感的で分かりやすい「弾道調整機能」が拡充されたと言えるだろう。17gのウェイトは約16ヤードの弾道修正が可能だという。
また、これは“ドローバイアス専門”のクラブで見られるほどの修正レベルではないが、この機能によって今回の「EPIC MAX」が「スライサーでそれを直したいゴルファー」にとっては十分使いこなせる選択肢となるはず。
いずれニュートラルなモデルとしても使える。そんなところだろう。
キャロウェイ「EPIC MAX」のロフト角は9度、10.5度、12度がラインナップしている。
キャロウェイ「EPIC MAX LS」ドライバー
ここからはキャロウェイの商品としては意外とも思える「EPIC MAX LS」について。確かにびっくりするようなギアだと思う。
「LS」は、間違いなくロースピンを表すが、「EPIC MAX LS」を「SUB ZERO」の2021年バージョンとは思わないで欲しい。
実際違う。
「LS」とは相対的な表現だ。「EPIC MAX LS」は、「EPIC MAX」に比べれば低スピンだが、「マーベリック SUB ZERO」よりは明らかにスピンが多くなっている。
実際、昨年の「SUB ZERO」と同等の打ち出しとスピン特性を実現するキャロウェイの新モデルを求めるのであれば、「EPIC SPEED」が最適であり、ロフトを1度落としたものを選ぶと良いだろう。
繰り返すが「LS」は「SUB ZERO」にあらずということだ。
キャロウェイ「EPIC MAX LS」 - 新世代低スピン
「SUB ZERO」と競合する似たような設計は、ホックネル氏がメーカー間で「打ち出し角とスピンの五輪」と表現するものが元になって誕生した。
スタートは間違いなくテーラーメイドの「SLDR」「ロフトアップ」、そして「17度/1,700rpm」で、これが恒例の“低スピン競争“に発展。時がたち、ほぼ全メーカーが打ち出しでトップスピンをかけるアイデアに手を出すことになった。
ちょっと大袈裟だが、多くのメーカーが、元MLB投手ティム・ウェイクフィールドのナックルボールよりも少しだけスピンがかかるものをラインナップしたと言っても良いと思う。
低スピン追求はツアーだと事情が違う
「低スピン」の追求は、PGAツアーでは異なる。2008年以降、平均スピン量は2,600rpmで、2,500 rpmを下回ったことはない。
ツアーにおいて「低スピン」は必須ではなく、「EPIC MAX LS」はその現実を分かっているだけでなく、次世代ツアープロのニーズを満たすようにデザインされている。
「弾道測定器」が登場し「飛距離を最適化する方法」がさらに理解されるようになったことで、ティーチングも進化してきた。良くなっていると言う人もいるだろう。
揺るぎない真実というわけではないが、ボールを上げスイング軌道も一定(よりニュートラルになる)なゴルファーが多い中、ボールを曲げようとしているエリートゴルファーは少数だ。
だから答えは簡単。
キャロウェイ「EPIC MAX LS」は、こうした若手ツアープロや上級者、そして「何かしらの尺度」でゴルフクラブを同一視したくないゴルファーのニーズにマッチするようにデザインされている。
つまりどういうことか?
「EPIC MAX LS」では可能な限り「ニュートラル」にデザインされているということ。フェースはオープンでもクローズでもない。つまりドローバイアスだったりフェードバイアスでもなく、重心はフェースの真ん中に近くなるように設定されている。
繰り返すが「ニュートラル」だ。
事実上、「EPIC MAX LS」は好きなように振ってもらえるように設計されており、「ミスヒットに強い」とか「弱い」とかそういったことはなく、「何かを強調している」わけでも「スピンをなくす」ということもない。
キャロウェイのテクノロジーの全てを投入したけど、その他は“ありのまま”ということ。
後はゴルファーに任せようというわけだ。
少しのフェードでも少しのドローでも、「EPIC MAX LS」はあなたの邪魔をすることなく、思い通りに振ればその弾道を実現してくれるのだ。
他と比べれば低スピン。デザインはニュートラルになっているというわけだ。
キャロウェイ「EPIC MAX LS」 - 寛容性
「EPIC MAX LS」は「SUB ZERO」よりも遥かに「MAX」なので、従来の寛容性を表す数値(MOI)は想像以上に高い。
キャロウェイによれば合計MOIは8,400で、私の予想だとウェイト設定により前後のMOIは4,000台後半から5,000台前半になると考えられる。
他の競合と比較するなら、ピンの「G425 LST」が一番近いだろう。
キャロウェイ「EPIC MAX LS」 - 可変ウェイト
ニュートラルではあるが、(若干のドローやフェードの)弾道調整はクラブ後方にある13gのスライド式ウェイトで可能だ。
ゴルファーによっては「EPIC MAX LS」は新作「EPIC」ドライバー3モデルの中で「最も低スピン」タイプ。他の人にとっては、「EPIC SPEED」がそうだろう。
それは結局、「重心位置」の違いであって、クラブをどのようにスイングし、どのようにインパクトするかによるということだ。
キャロウェイ「EPIC MAX LS」のロフト角は9度、10.5度がラインナップしている。
キャロウェイ「EPIC」ドライバー – 純正シャフト
キャロウェイ「EPIC」ドライバーシリーズの純正シャフトは以下の通り。
・「EPIC SPEED」:Project X Cypher(40g)、HZRDUS Smoke IM10(50g、60g)
・「EPIC MAX」:Project X Cypher(40g)、HZRDUS Smoke IM10(50g、60g)
・「EPIC MAX LS」:三菱MMT(60g、70g)
キャロウェイ「EPIC」ドライバーの定価は529.99ドル。2月18日が発売日となっている。
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