・キャロウェイは、「MD5」の後継となる「JAWS Raw(ジョーズ ロウ)」ウェッジを発表した
・「ノーメッキのフェースデザイン」採用によりスピン性能が向上
・ロフトとバウンスの組み合わせは17通り
・小売価格は179.99ドル
「MD6」の登場を心待ちにしていた皆さん、お待たせいたしました、と言ってもいいかな。キャロウェイの「JAWS Raw(ジョーズ ロウ)」は同社の新たなフラッグシップモデル、いや主力製品と呼ぶべきか・・・。呼び名はともかく、ウェッジのシリーズだ。
「Mack Daddy(マックダディ)」のこれまでの経緯からして、「JAWS Raw」は「MD5」の後継となる。
相関関係は因果関係とイコールではないことは事実だが、「Mack Daddy(マックダディ)」の名前は、同社が関係を解消したフィル・ミケルソンにまで遡ることを言っておく必要がある。
この2つの名前に関連性があるにせよないにせよ、キャロウェイにとって「JAWS Raw」は、白紙の状態からの新たな始まりということになる。
それはさておき、詳細を見ていこう。
キャロウェイ「JAWS RAW(ジョーズ ロウ)」のフェース
おそらく「MD5」から変更点で最も注目すべきは、「ノーメッキフェース」の採用だ。
テーラーメイドの「MG」ウェッジシリーズに精通している人には説明不要だろうが、その他の人のために説明しておくと、ノーメッキフェースは、ボールが当たるエリアを除いてウェッジのヘッドが完全に“仕上げられている”ことを意味する。言い換えると、フェース部分は“錆びて”いく。
「錆」によってスピン量が増える、と誤解する人もいるだろう。しかしそんなことはない。「ノーメッキ」が、溝が削られた後に仕上げが施されることを考えてみて欲しい。
一部のメーカーはそれを前提に溝の仕様を決めているが、仕上げ材によって溝の仕様が変わることはある。つまり、メッキ加工されたウェッジが必ずしも設計通りに機能するとは限らないのだ。
「JAWS Raw」ウェッジで、キャロウェイは「フルフェース溝」を採用しないことを選択した。とは言うものの、溝のないトゥ部分は控えめにメッキ仕上げがされており、ギラつきを大幅に減らす効果が得られるはずだ。両方のいいとこ取りといったところだろう。
キャロウェイ「JAWS RAW」– ゴルフ界で最もアグレッシブな溝
キャロウェイが「MD5」を発表したとき、彼らは“スピンマシン”という呼称を用いてゴルフ界で最もアグレッシブな溝だとアピールし、売り込んだ。これは、「MD5」そして現在の「JAWS Raw」が多くのスピン量を生み出すということを高らかに宣言するものだ。
ちなみに:「JAWS Raw」の溝のエッジ角は「MD5」と同じ37度。この数字にとらわれる必要はない。重要なのは、キャロウェイにとってこれが攻めの姿勢でありUSGA適合基準との絶妙なバランスをとるスペックだということ。
溝の中の溝〜マイクロフィーチャー
溝の間にある種の溝を備えていないメーカーを見つけるほうが難しい昨今、溝と溝との間のデザイン(別名、主溝の間のテクスチャ)はすっかりお馴染みのものだろう。
「MD5」では、キャロウェイの『マイクロフィーチャー』は主溝と平行に扇形をなしていたが、「JAWS Raw」ウェッジでは、溝の間の溝が斜めになっている。
ウェットな状況下でも、フルショットとピッチショットのいずれにおいても「MD5」よりスピン率が30%増となった理由は、「ノーメッキフェース」と新しい「マイクロフィーチャーデザイン」の組み合わせが絶妙なのだろう。
ほとんどのウェッジメーカーは、ウェットな状況での性能に重きを置きはじめている。結局のところ、それは我々全員にとっての朗報だ。
キャロウェイ「JAWS RAW」ウェッジ〜ウエイトバランスデザイン
重量バランスがとれたデザインのアイデアは、キャロウェイがノーメッキフェースのウェッジの「飛び」と「スピン特性」を改善する目的で行った多くの機能強化を物語るものだ。
まず、キャロウェイはサンドウェッジとロブウェッジにおいてホーゼルを長くした。これは、ウェッジデザイン界隈ではかなり一般的な方法だが、高スピン低弾道を促進すべく重心を高くすることが目的だ。
ただし、ホーゼルへの追加重量を考慮せずに設計すると、重心がヒール寄りになってしまう。そこで、重心位置をフェースの中央部に戻すために、キャロウェイは、サンドウェッジのポート1つと、ロブウェッジのポート2つにタングステンを追加した。その結果、基本的に「MD5」と同じヒールトウの重心位置が得られる。
タングステンウエイトは、フェースを開いて打つ際の典型的なヒッティングエリアのすぐ後ろに追加の重量を配置する役割も果たしている。思いがけず手にしたおまけのようなものだ。
ウエイトバランスデザインにおける最後のピースは、「JAWS Raw」ウェッジのハイトウ部分にあるウエイトパッドだ。
ちょっとしか見えないため見過ごしがちだが、ウェッジのトゥ側の高い部分に少し余分な重量(ロブウェッジではより多くの重量)が追加されている。繰り返しになるが、目標は重心を上げて、より低くてスピン量が多いボールの飛びを促すことにある。
より洗練された形状
ゴルフに関する好みは時間とともに変化し、従ってクラブの形も進化する。つまり、今日のプレーヤーの好みは過去のものとは異なるため(その過去がわずか3年前だとしても)、キャロウェイは現在のゴルファーのお眼鏡にかなうように「JAWS Raw」ウェッジの形状を進化させた。
大袈裟なものではない。比較的微妙な変化だが、目の肥えた人なら、よりストレートになったリーディングエッジと微妙に洗練されたホーゼルからフェースへつながりに気づくことだろう。
写真はキャロウェイ「JAWS Raw」ウェッジのZグラインド
キャロウェイ「JAWS RAW」ウェッジ – 新作Zグラインド
ラインナップの中で“ヒーローグラインド”と呼ばれる新しい「Zグラインド」は、抜けの良い「Cグラインド」と考えていいだろう。
「Cグラインド」はその多用途性により、ツアーでも市場でも人気の選択肢となったが、スティープに入れるプレーヤーにとっては刺さりすぎる傾向があった。「Zグラインド」では、「Cグラインド」の使い勝手の良さを再現、あるいは強化しつつ、「寛容性」も追求した。
誤解のないように言っておくと、これは典型的な「MOI(慣性モーメント)」という文脈での「寛容性」ではない。「ソールグラインドにおける寛容性」についての考察だ。クラブが芝生に触れる際のミスの許容範囲が広いと考えてもらいたい。
「Zグラインド」は33度のリーディングエッジに面取りを施している(これもテストには出ない)。 使い倒されたリーディングエッジに見立てて、キャロウェイはこれを「スキッドプレート」と呼んでいる。
ミッドソールには8度のバウンス、トレーリングエッジにはマイナスのバウンスを採用。これらローバウンス設計により、ほぼすべてのポジションにおいてリーディングエッジを地面の近くに保ち、大きく幅広のソールが抜けをよくしている。
バウンスとグラインドオプション
キャロウェイ「JAWS Raw」グラインドラインナップ全容:
・「Zグラインド」は、キャロウェイが「ショットメーカー向けローバウンスウェッジ」と呼ぶもので、ロブウェッジのロフトで選択可(58度と60度のみ)
・「Sグラインド」は、多種ロフトから選べる多用性の高いミッドバウンスモデル。多くのゴルファーにとって使い勝手が良いはずだ
・「Xグラインド」はサンドウェッジとロブウェッジ用ハイバウンスモデル。いわゆる反Zグラインド派、ローバウンスウェッジを苦手とするゴルファーに適している。Zグラインド同様、Xグラインドはロブウェッジロフトでのみ選択可
・「Wグラインド」は「Sグラインド」に代わるハイバウンスモデル。「JAWS Raw」ラインナップの中で最も幅広のソールを採用している。入射角がスティープなゴルファーや、ライが軟らかめのコンディションでプレーするゴルファー向き
まとめると、キャロウェイ「JAWS Raw」ラインナップには、4種のグラインドと、計17通りのロフトとバウンスの組み合わせがある。市場で最も強力なラインナップとまでは言わないが、他のほとんどの製品よりも優れている。「C」を「Z」に代えたのは性能上の理由による。
キャロウェイは、市場での混乱を避けるためにローバウンスモデルの「W」をなくし、「MD5 Raw」にあったバウンス角8度の「Tグラインド」も(少なくとも今のところ)姿を消した。
2種類の仕上げ
キャロウェイ「JAWS Raw」ウェッジは、クローム仕上げとノーメッキの「Raw Black Plasma(ロウブラックプラズマ)」仕上げから選択できる。
後者は、時間の経過とともに摩耗する「QPQ(クエンチ、ポリッシュ、クエンチ)」仕上げ。とは言うものの、大局的に見れば、「PVD」よりもはるかに「耐久性」があることが証明されるはずだ。
カスタムオプション
Callaway Customsを通じて、「JAWS Raw」ウェッジをカスタマイズできる。ペイントフィルオプション(13色から選択)と15種の絵文字、16種のメダリオンカラー、8種のスタンプパターンを選択できる9つのカスタマイズゾーンが用意されている。キャロウェイ「JAWS RAW」ウェッジ – 純正シャフト、純正グリップおよび価格
キャロウェイ「JAWS Raw」ウェッジの純正スチールシャフトは、トゥルーテンパー「Dynamic Gold Spinner(115グラム)」。カーボンシャフトは「Project X Catalyst(プロジェクトX カタリスト)」(80グラム)。女性用は「UST Recoil F1 (USTリコイルF1)」が純正となる。
純正グリップは、ラムキン「UTx Charcoal(UTxチャコール)」(男性用)とラムキン「Women’s Comfort(ウィメンズコンフォート)」。
キャロウェイ「JAWS Raw」ウェッジの小売価格は、スチール179.99ドル、カーボン189.99ドル。7月8日より先行予約開始、7月22日より発売開始。
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