主な注目点:
・クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズに新モデル追加
・ワイドブレード2種にミッドマレット4種が加わった
・直進性を高める前方重心設計
「興味深いテクノロジーを搭載した手頃な価格のパター」を探しているなら、クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズがオススメだ。適当な褒め言葉のように聞こえるかもしれないが、決してそうではない。
お札4枚でパターが買えてしまうこのご時世。テクノロジーは最小限でもセクシーで収集したくなるヘッドカバーがついてきたりする。しかし現代はまた、「MIMタングステン」と「可変ミルドフェース」を用いた「鍛造アルミニウムパター」が「199.99ドル」で買える時代でもある。
もちろんそこにはテクノロジーがあり、「重心がどこにあるべきか」ということについての興味深い理論が漏れなくついてくる。
クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズは2019年9月に7モデルでスタートした。その1年半後、6種の新モデルという形で布陣を強化することになった。厳密に言うと、5種のニューモデルにネック形状違いの1種だが。
いずれのモデルも古びた「MOI(慣性モーメント)設計」は採用されていない。
クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズ:重心位置>慣性モーメント
2019年にクリーブランドの「フロントライン搭載テクノロジー」については詳述したが、改めて深堀りしてみよう。
簡単に言うと、「パターのMOI」についての思い込みは全て捨てるべきだということだ。
一般的に、高MOIのパターは大きく、MOIが高ければ高いほど重心位置は深くなければならないとされる。パターのようにゆっくりと動くクラブであっても、後方重心だと、オフセンターヒット時にパターフェースが横方向に動いてしまう可能性に繋がる。
押し出したり引っかけたりしてラインを外してしまうには、僅かな力で十分だということ。
クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズは、その名の通り重心をパターの「フェース側に向かって前方に移動」させている。実際にはMOIは下がるが、クリーブランドによるとストロークがより安定し、ボールが(狙った)ライン上を進む確率は高くなるという。
「フロントラインの理論は、一部のゴルファーには理解しづらいものだ」と、クリーブランドのプロダクトマネージャー、ケイシー・シュルツ氏。「方向性やギア効果などのような些細な点を深く掘り下げるのではなく、ウエイトを前方に移動させることの方がオフセンターでヒットしたボールをより真っ直ぐ転がせるという事実を強調しているのだ。」
だからといって、クリーブランドが「パターのMOI」を無意味だと考えているわけではない。
「ただMOIを最大化しても、パターの寛容性を最大化する理想的な方法にはなり得ないというのが我々の認識だ」とシュルツ氏。「もちろん重心位置の及ぼす影響も大きい」。
では一体何が新しいのか?
前述の通り、クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズに6つの新しい仲間が増えた。クリーブランドのクラシックな「2.0」の丸型ミニマレットのヘッド形状とフローネックのファンなら、祝杯をあげる準備を。今回それが復活を遂げ、さらに「ダブルワイド8.0ブレード」にスラントネックとシングルベンドの両タイプが追加。
またクリーブランド「ハンティントンビーチソフト」シリーズの定番である「10.5ミニマレット」もスラントネックとシングルベンドの両方で「フロントライン」の仲間に加わった。
人気の高い「ELEVADO(エルバド)」ヘッドの第3弾として、今回はクランクネックのモデルも加わった。
「フロントラインの最初のリリースでは、フロントラインのテクノロジーを、最も重心をシフト(移動)させられる形状、つまり大型マレットに搭載することに重点を置いていた」とシュルツ氏。「テクノロジーを紹介するという意味では良策だったが、その反面、あまり多くの選択肢を提示できなかった」。
新たに追加されたミッドマレットやオーバーサイズのブレードは、より幅広いストロークタイプに対応できるよう、より多くのネック形状、ウエイト、トゥハング(トゥの傾き度合)の選択肢をゴルファーに提供することになる。
※「トゥハング」についてはこちら:パターフィッティング 101例えば、「フローネックの2.0」はトゥハングが強く、ヘッド重量は350グラム、きつめの弧を描くストロークを想定して設計されている。「スラントネックの8.0」は10g重く、トゥハングは中程度、緩やかに弧を描くストローク向けに設計されている。「シングルベンドの8.0」は370gで、真っ直ぐストロークしたい人のためフェースバランスになっている。
「現在のラインナップの中で最も人気の高いヘッド形状はELEVADO(エルバド)なので」とシュルツ氏。「それが、緩やかに弧を描くストローク用として、細めのグリップを装着したクランクネックバージョンを追加した理由だ」。
フェーステクノロジー、アライメントテクノロジー
「ハンティントンビーチソフト」シリーズと比較すると、「フロントライン」パターシリーズはテクノロジー満載だ。フェース外周に配された47gの「メタルインジェクション・モールドタングステン」に加え、「フロントライン」各モデルは、クリーブランド「スピード・オプティマイズ・フェース・テクノロジー(SOFT)」を備え、モデル毎に最適なミーリングを施したフェースを採用している。
「可変フェースミリング」は、つまりスピードコントロールだ。フェース全面においてボール初速を均一化するための可変ミリングパターンは、「EVNROLL(イーブンロール)」に始まり、現在では普遍的なものになりつつある。
つまり、ボールを少々オフセンター、例えば数ミリずれた場所で打ったときに、ボールとフェースの接触面積が大きくなる。つまり、(可変フェースミリングは)アイアンやドライバーと同様に、オフセンターヒット時のボール初速のロスを最小限に抑えるために施される。これはパターにおいては、ボールをカップインさせる可能性が高くなることを意味する。
「フロントライン」のパターは1本を除いてすべてクリーブランド独自の「2135アライメント」を採用している。「2135」はゴルフボールの中心軸の高さがちょうど「21.35mm」であることに由来しており、「フロントライン」パターのトップラインはズバリ地面から「21.35mm」の高さにある。
クリーブランドによると、この高さであれば、目がボールの真上になくても、サイトライン(アドレスした時、ターゲットに対してフェースがスクェアになるように引かれたライン)を正しく正確に見ることができるらしい。
ラインナップの中でただひとつ真のブレードパター、「フロントライン4.0」は、他よりもフェース高(フェース厚)がはるかに高い。「フロントライン」の中で「2135アライメント」が採用されていない唯一のモデルだ。
価格価値マトリックス
最近のデータを見ると、クリーブランドのパターのシェアは約4.5%、クリーブランドによると過去最高のシェアに達したらしい。もちろん、オデッセイがスコッティ・キャメロンの約2倍のシェアで業界をリードしており、ピンとテーラーメイドがすぐ後に続いている。クリーブランドはウィルソンのすぐ前、ツアーエッジのすぐ後ろに位置している。
もちろん3メーカー(クリーブランド・ウィルソン・ツアーエッジ)ともオデッセイとその仲間たちとは価格/価値マトリックスの対極に位置している。
「ゴルファーは、当社のパターが市場で最も価値のあるものだと認識し始めている」とシュルツ氏。「我々は、より手頃な価格のパターを求めるあらゆるスキルレベルの人々から、実に肯定的な反応を得ている」。
クリーブランドを引っ張るのは「ハンティントンビーチソフト」シリーズで、価格は129ドルから159ドル。クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズには、より多くのテクノロジーが搭載されているが、多くの競合がいる199ドルの価格帯だ。とはいえ、「フロントライン」はクリーブランドにおけるパター販売の約25%を占めている。
クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズ:オプション、選択肢
さてこれは言っておかねばならない。「フロントライン」の新モデルの中で、少なくとも今のところ、左利き用のモデルは存在しない。実際には、「4.0ブレード」とシングルベンドの「ELEVADO」以外は、全ラインナップが右利き用のみとなっている。
新しい「フロントライン」の「2.0フローネック」「8.0スラントネック」「10.5スラントネック」「ELEVADOクランクネック」には、「フロントライン」オリジナルのラムキン社製「SINKFit(シンクフィット)スキニーピストルグリップ」が標準装備されている。標準サイズの65gのグリップで、緩やかな弧を描くストロークからきつい弧を描くストロークまで対応できるよう設計されている。
「8.0シングルベンド」と「10.5シングルベンド」には、ストレートなストローク用に設計された122gのラムキン社製「SINKFitオーバーサイズピストルグリップ」が採用されている。
全ラインナップには33、34、35インチの長さが用意され、標準ロフト角は3度、ライ角は70度となっている。特定のグリップ、ロフト角、ライ角はクリーブランドのカスタムオーダー部門で注文可能。
クリーブランドの「フロントライン」パターシリーズの小売価格は199.99ドル。新モデルはすでに店頭に並んでいる。
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