クリーブランド「ランチャー XL」アイアン – 主な注目点
・クリーブランド「ランチャー XL」アイアンは発売から2年経つ「UHX」(初・中級者向けアイアン)の後継モデル
・特徴はAIデザインの『メインフレーム・フェース』と最適化された「重心・MOI(慣性モーメント)」
・価格はスチールシャフトモデルが799.99ドル、カーボンシャフトモデルは899.99ドル。発売は9月17日
クリーブランドの新しい「ランチャー XL」アイアンは、同社の独特な2021~22年の新製品第4弾で最終作だ。クリーブランドでは、一度に全モデルを発表するのではなく、5週間でドライバー、フェアウェイウッド、アイアンセットを個別に発表したことになる。
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しかし、クリーブランドのこの“狂気”にはある方程式がある。「ランチャー XL Halo」フェアウェイウッドは、先月、(“従兄弟”モデルのスリクソン「ZX」が優勝した)『Most Wantedテスト』で総合4位となり、「ランチャー XL Halo」ハイブリッドアイアンは、同社定番モデルとして高いパフォーマンスを発揮。
そして「ランチャー XL」ドライバーは、シーズン後半に評価を上げている、私にとっては、だけど。
では「ランチャー XL」アイアン」はどうだろう?もしかすると、驚きのアイアンになるかも知れない。
クリーブランド「ランチャー XL」アイアン
新しい「ランチャー XL」アイアンは、同社のラインナップにおいて発売から2年経つ「UHX」初・中級者向けアイアンに代わるモデルだ。「UHX」は昨年の『Most Wantedテスト』で安定したパフォーマンスを見せ、全体で8位となり、ミドルアイアンでは「ストロークス・ゲインド」で2位に食い込んだ。
「ランチャー XL」アイアンを試打してみると、すぐに気づくことが2つある。
一つは、このアイアンが、クリーブランドがこれまで発売してきたアイアンの中で最も「寛容性」に優れたトラディショナルな形状のモデルであること。そして、最も驚くべきは、これまであなたが経験した中で最も「打感」が良い“鍛造ではない”アイアンの可能性があるということだ。
「そうなるために、魔法のような新テクノロジーを投入したわけではない」とMyGolfSpyに話してくれたのはクリーブランドのR&D部門のジェフ・ブランスキー氏。「しかし、我々が非常に重視した点もある」。
具体的に言うと、今回クリーブランドは、昔ながらの「人間の知恵」と「AI」を活用し、「MOI」と「打感」の両方を最適化しているのだ。
AIと「メインフレーム」
「AI(人工知能)」は、急速にメーカーの製品開発上の中心的ツールとなってきている。クリーブランド&スリクソンにおける主力テクノロジーは、COR値とボール初速を最大化する、クラブフェースの背部にミーリングされた凹凸のある『メインフレーム』だ。
これはフェースの可変肉厚を独自に進化させたもの。クリーブランドのスーパーコンピューターなら、24時間以内に開発チームが一生かかっても考えつかないデザインオプションを反復検証することが可能で、結果として、クリーブランド曰く、初・中級ゴルファーにとって最適化されたフェースが完成したという。
「我々には『ローンチ・スクアッド』というアマチュアのテストグループがいる」とブランスキー氏。「我々は最初に弾道測定器を導入してから、彼らのデータを収集している。例えばハンディキャップ10のゴルファーが8番アイアンを打ったときに、フェースのどこに当たっているかなど、可能な限りのデータを集めている。こうしたデータがあれば、それに合わせてクラブが設計できるというわけだ」。
また今回、クリーブランドでは「ランチャー XL Halo」ハイブリッドアイアンの開発プロセス同様、「重心位置」と「MOI」を最適化するために「AI」を活用している。数百万回のプログラミングの反復検証を行い、「ランチャー XL」のMOIは前作よりも15%向上。
それ以上にすごいのは、そのMOI数値は実際のところ、「寛容性」が飛び抜けている初・中級者向けの「ランチャー XL Halo」ハイブリッドアイアンよりも、わずかながらも高くなっているのだ。
そしてブランスキー氏は次のように語っている。「ヘッドの土台となる構造が肝だ。ブレードの長さも大切(「XL」のブレード長は数mm長い)だし、ホーゼル(ネック)の長さはさらに大切。ヒール・トゥのMOIはすごく大きくなっており、ウェイトパッドがそれを可能としている」。
「打感」も合格点
鍛造アイアンに勝る「打感」はないというのは本当なのかも知れないが、クリーブランの新商品「ランチャー XL」アイアンはその考えを覆すかも知れない。
そう、新作はすごく柔らかい。
「フェースを薄くしたり、熱したりすると、ソリッドな『打感』をキープすることが難しくなる」とブランスキー氏。「この課題を解決するには、技術的なノウハウが必要だ。剛性を高め、振動をコントロールし、メダリオンやバッジを使用することにもなる。このカテゴリーのアイアンではよくあることだ」。
クリーブランドの「ランチャー XL」アイアンは、前作「UHX」同様に実際のところ『プログレッシブデザイン』を採用。4番から7番は中空ボディで、8番からGW(ギャップウェッジ)あるいはクリーブランドで言うところの「D」ウェッジDW(デュアル・ウェッジ)まではキャビティバックだ。
「UHX」アイアンのクリーンな「見た目」がお気に入りなら、ちょっと期待はずれかも知れない。クリーブランドでは、「ランチャー XL」アイアンをあえて少しだけ「初・中級者向け」の見た目にしている。
「そこは修正しなければならなかったことだ」と認めるブランスキー氏。「『UHX』アイアンは全てがメタリックで単色だった。それだけにショップからは、ユーザーが『UHX』を『初・中級者向け』というより『上級者向け飛び系アイアン』と考えているという声があった。だから我々は、『ランチャー XL』が非常に“易しいアイアン”であることを伝えるために、できる限りの努力をしている」。
それについては、練習場でのテストがそれを証明しているようだ。「ランチャー XL」は本当にボールを上げることが簡単。そして上述の通り、「打音」と「打感」はこのカテゴリーとしては飛び抜けて良い。
我々は5番、7番、PW(ピッチングウエッジ)の試打セットをテストしたが、5番と7番は中空ボディにも関わらずともに「ソリッドな打感」が得られた。3つの番手ともにソリッドな打感でインパクト時の音も心地よいものだった。
ロフト角もソールに刻印
確かにランチャー「XL」は初・中級者向けでストロングロフトだ。だから結果として、ものすごく飛ぶ。
そして、「UHX」アイアンやその前の「CBX」アイアンのように、「ランチャー XL」アイアンのソールには番手と「ロフト角」が刻印されている。そのため、即座に29度の7番、あるいは44度のPWを手にしているのかが分かる。
ブランスキー氏はこう話す。「(番手とロフトの刻印は)フルセットを組んだ際、適切なウェッジを見つけることと大いに関係があるということが分かった。初・中級者の多くは、どんなセッティングにして良いのかちゃんと理解していないので、クラブにロフトが刻印されているとウェッジ選びが簡単になる」。
またクリーブランドでは、このアイアンを初・中級者向けウェッジ「CBX」との流れが良くなるようにデザインしている。
「セッティングの流れを考えれば、形状はウェッジと似たようなものになる」とブランスキー氏。「間違いなく、それもデザイン上のゴールだった」。
アクティブマス&プログレッシブグルーブ
「ランチャー XL」アイアンは、「ランチャー XL」メタルウッドや「Halo XL」ハイブリッドアイアン同様、カウンターウェイトを想起させる『アクションマスCB』が特徴となっている。
「『XXIO』シリーズに採用したものを、今度は『XL』シリーズにも搭載した」とブランスキー氏。「クラブをキャスト(ダウンスイングの際にクラブの角度が保たれなくなる現象)するゴルファーにとっては、この『アクションマスCB』カウンターウェイトにより、トップ・オブ・ザ・スイングでより良い位置に入るのを助け、さらに効率よくクラブを振ることが可能になる」。
バット部分にカーボンを余分に巻いたシャフトは「カウンターウェイト」に分類されるが、クリーブランドではバット部に8gのウェイトを搭載しており、「魔法の粉にあらず」、同社の常に“情報満載でエンタメ性のある”製品マニュアルにはそう表現されている。「刀の柄を想像してみれば分かるはず。スイングがより自由自在になる」としている。
そして全ての「ランチャー XL」シリーズのように、このクリーブランド「ランチャー XL」アイアンも、「アキュラシー・ビルド(正確性を重視したカスタム仕様)」もオプションで選択可能となっており、全番手が標準モデルより0.5インチ短いものが選べる。
「カウンターウェイトではないが、初・中級者にとってはフィッティングにおいて非常に重要な要素だ。シャフトやロフト、ライ角のフィッティングを行うことは大切。しかし、初・中級者にとってはより『正確性』を求めるなら、クラブを少し短くした方が良い」とブランスキー氏は教えてくれた。
そして、「ランチャー XL」には、クリーブランドが『プログレッシブグルーブ』と呼ぶ新機能が搭載されている。この新機能は、スリクソンが昨年冬の「ZX」シリーズで採用されたもので、基本的には溝のパターンをロフト別にしている。
中空ボディの4番から7番アイアンは「飛距離重視」で「低スピン」を実現するためワイドでフラットな溝が特徴。
一方、8番アイアンからDウェッジ(DW(デュアル・ウェッジの「D」はクリーブランドでは「GW」ギャップウェッジを指す)までは、薄くて深い溝とレーザーミーリングにより、アプローチショットでの「スピン」と「操作性」を高めているのだ。
適材適所
ある意味、「スリクソン」と「クリーブランド」のコンビは理にかなっている。スリクソンは、「ZX4」アイアンで「初・中級者部門」にもやや参入しつつも上級者向けのラインナップを揃え、クリーブランドは惜しげもなく“お得な価格”の初・中級者向けアイアンを打ち出している。
残念なことは、「ハイブリッドアイアン部門」以外では、クリーブランドが依然として市場の顔になっているということだ。
「『UHX』アイアンを発売した時、本社に販売店のトップを招いたが、そのうちの一人が、『UHX』は全米No.1のアイアンになる、と言っていた」とブランスキー氏。「まぁ、そうはならなかったけど」。
これは、「ビッグファイブ」が力を結集して現状を維持しているからに他ならない。テーラーメイド、キャロウェイ、ピン、タイトリスト、コブラは自分たちが「ビッグファイブ」であることを訴求するために膨大なコストをかけている。
そのため、他メーカーがここに入り込む余地などほぼない。そうなると、目標や目的を方向転換せざるを得なくなる。
「ビッグ5は軌道に乗ってきているし、これから二年は需要に応えるのに苦労すると思う」とブランスキー氏は付け加える。「多くの店舗がビッグ5のクラブを取り扱っているが、我々は現状に満足しているわけではない」。
「以前はホームページがなく、事実を伝える場所もなかった。ツアーで何かを見かけたら、それがゴルファーにとってベストだと思うしか方法はなかった。しかし、より多くの知識や知見が世に出るようになり、バイヤーも精通してきている。我々にとっても喜ばしいことだ」。
クリーブランド「ランチャー XL」のスペック、価格、発売時期
クリーブランド「ランチャー XL」アイアンは、標準が7本セットでメンズ/レディースモデルがラインナップしている。クリーブランドを通じてカスタムオーダーも可能で、それには48度のギャップウェッジも用意されており、メンズモデルに限ると、4番アイアンからデュアル・ウェッジまで左右のモデルがある。
レディースモデルは右用のみ。左打ち用はカスタム対応のみとなっているが、サンドウェッジの左打ち用はない。
なお「UHX」シリーズでは、3番、4番、5番のユーティリティアイアンとして別売していたが、これは今回の「ランチャー XL」アイアンには当てはまらない。
そして純正シャフト(メンズ)は、スチールシャフトだと万能なトゥルーテンパー「Elevate (エレベート)95(R/103g、S/104g)」を装着。カーボンは「Project X Catalyst(プロジェクトX カタリスト)(A/57g、R/62g、S/67g)」となっている。
レディースモデルは47gの「Project X Cypher(プロジェクトX サイファー)」シャフトを採用。
メンズモデルの純正グリップはゴルフプライドの「Tour Velvet 360(ツアーベルベット360)」で、レディースモデルはウィンの軽量(35g)「Dri-Tac Ladies(ドライタックレディース)」が装着されている。
クリーブランド「ランチャー XL」アイアン(7本セット)の価格はスチールシャフトが799.99ドルでカーボンは899.99ドル。ネットでの販売予定はなく、店頭には9月17日から並ぶ予定だ。
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