MyGolfSpyをやっている中で、コブラのウェッジが不人気だったことはなかったはず。全てが変わったのは2012年に再販されたトラスティ・ラスティからだった。
そして8年経った今、『KING MIM』と『KING MIM BLACK』を送り出しているコブラは、アイアンとウェッジにおいてイノベーションの最前線にいると言える。
確かに他社製品と比べると、コブラのラインナップは強力とは言えない。コブラ程度の規模だと、それなりの立ち位置を決める必要もあるだろう。
コブラは、市場を牽引したり他社よりも豊富なラインナップを提案することを目指しているわけではないが、常にイノベーションの最先端を走っており、時には次世代のテクノロジーを模索していることだってある。
そして、それは「MIM」ウェッジにも当てはまる。
MIMの復習
“MIM”という言葉をご存知ないなら、まずこの“MIM”が「メタル・インジェクション・モールディング(金属射出成形)」の略であることをお伝えしておきたい。
“MIM”は、金属粉末(今回のケースだと304ステンレス)をポリマー結合剤と混合させペースト状に加熱し、それを射出成形機に注入して目的の形にする製法だ。
MIM製法では、一度、金属粉末が固まると、ヘッドはポリマー結合剤を除去するために加熱炉に入れられる。そしてヘッドは1,340度まで加熱され、全てが固まると補助的にミーリングが行われるという具合だ。
コブラによると、MIM製法により粒子が均一化されるので素材の中に隙間がなくなり、最終的に鍛造よりもフィーリングが良くなるという。
そして最終工程としてロボットによる研磨が行われる。
以前にもお伝えしたように、用品業界ではグラインドの遠回しな表現方法として研磨を用いることが好むが、コブラでは、適切にプログラミングされたロボットが繊細な作業をすることで、より一貫性のあるグラインドが可能となり、重量と厚さのバラツキを軽減させることができるのだ。
ゴルフクラブは、決まった性能通りに機能する均一なパーツを誰もが製造できるという点でゴルフボールに似ているが、トップメーカーとその他大勢との差は、品質と一貫性(正確にスペックを再現する能力)の差ということになる。
結局のところ、MIM製法はより一貫性ある製品を製造することなのだ。
コブラ 『KING MIM BLACK』ウェッジ
コブラの『KING MIM BLACK』ウェッジは、通常の追加モデルのリリースと同様、ブラックであることを除けば(昨年発売の)現行の「MIM」ウェッジと同じだ。そこそこ耐久性のあるQPQ仕上げは別として、唯一の注目すべき変更点は、「MIM」のラインナップがハイバウンスとローバウンスモデルにまで拡張されたということだろう。
前作の「MIM」ウェッジはヴァーサタイルグラインド(ミッドバウンス)モデルのみだった。
3つのグラインド
今回のコブラ 『KING MIM BLACK』ウェッジには3つのグラインドがラインナップしている。
ヴァーサタイルグラインド(50度、52度、54度、56度、58度、60度)
コブラウェッジのミッドバウンスモデルであるこのシリーズは名前の通り様々なコンディションに対応するためにデザインされている。
コブラ名物のノッチデザインにより、リーディングエッジを地面に近づけたまま、ヒールとトゥ部分が削られていることでグリーン周りでのフェースの操作が容易になっている。
ワイドローグラインド(56度、58度、60度)
こちらも名前の通り、ソールが幅広でローバウンスのモデルとなっておりWedgeworksのKグラインドに近い。このモデルは、シャローに振るタイプや乾いた状況に理想的で、ソフトなバンカーや適度なラフで効果を発揮する。
クラシックグラインド(52度、56度、60度)
コブラのハイバウンスオプションであるクラシックグラインドは、スタンダードなソール形状でトレーディングエッジが削られている。コブラの中では、打ち込むタイプのスイングに合うウェッジと言えるだろう。
また、コブラの『KING MIM BLACK』ウェッジは、「MIM」として初めてワンレングスもラインナップ。ワンレングスアイアンを使うプレーヤーに非常にマッチしたウェッジであることは言うまでもない。
ただしワンレングス自体がニッチであるが故、モデルはヴァーサタイルグラインドの56度と60度のみ。レフティの気持ちも分かるというものだ。
アーコスも標準装備
コブラは現在もアーコスと提携しており、今回の「MIM」ウェッジにはアーコスのセンサーが装着されたラムキンの「クロスライン・コネクトグリップ」が採用されている。
価格と発売日
コブラの『KING MIM BLACK』ウェッジは6月12日に発売。
定価は149ドルで、標準シャフトとしてKBS Hi-Rev 2.0(125g)ブラックが装着されている。
右利き用は各ロフトとグラインドがラインナップ。
ワンレングス同様に、左利き用はヴァーサタイルグラインドの56度と60度のみの展開となっている。
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