今回はコブラの「LTDx」だが、メタルウッドの新シリーズを発表するときは、どのブランドもその青写真はほぼ変わらない。
言い換えると、各メーカーは、一般的にストーリー性があるか、パフォーマンスという点で意義のあるテクノロジーであれば、それらをフェアウェイウッドとハイブリッドにも適用するということだ。
また、フェアウェイウッドとハイブリッドの売れ行きは、ドライバーの売れ行き（あるいはその反対）に大きく依存するということも周知の通り。そのため、フェアウェイウッドとハイブリッドは個別に注目されるべきだが、シリーズの流れも同様に大切というわけだ。
コブラ「LTDx」フェアウェイウッド
コブラの「LTDx」ドライバーは、オリジナルの「LTD」ドライバーのリブート版として期待がかかっている。そして、オリジナルの「LTD」フェアウェイウッドが発表されたのは2015年であることは分かっているが、後継モデルにつきものの課題もある。
それはさておき、コブラ「LTDx」フェアウェイウッドとハイブリッドのパフォーマンス目標は、ドライバーのそれと同じではない。とはいえ、コブラは今回のモデルが、「ジョーズ2」よりも「ゴッドファーザー2」になると考えているようだ。
コブラの消費者データを引用すると、ゴルファーは必ずしもフェアウェイウッド（あるいはハイブリッド）に「飛距離」を求めていない。それよりも「正確性」や「一貫性」を求めているようだ。これは、合法的に認められた飛距離アップをゴルファーに約束するという、繰り返し聞かされる常套句とは対照的だ。
どうでも良いか。これがドライバーの話だったら完璧に理解できる。ドライバーは、セッティングの中で初速に制限がない唯一のクラブなのだから。
しかしドライバーとパターを除くと、残るのは12本のクラブとなり、それぞれには特定の役割がある。あるいは、これら12本のクラブをそれぞれ均等に並べられたフェンスの支柱と考えてみて欲しい。1本を動かしたらどうなるだろうか？程度の差はあれ、数本のクラブを同じように動かすことになるだろう。
さらに良い質問を思いついた。みなさんはフェアウェイウッドに何を求め、あるいは何を必要としているのだろうか？そんなことを熟考しなくなって随分時間が経ってしまっているのだろうが、本当は考えるべきだ。
コブラ「LTDx」のテクノロジー概要
「LTDx」ドライバーから受け継いでいる２つの主要テクノロジーが『PWR-CORE』と『H.O.T. Face』だ。
フェアウェイウッドとハイブリッドにおける『PWR-CORE』の目的は、「LTDx」ドライバーと同じ。つまり、ウエイトをヘッド前方の低い位置に配置し、ボール初速を向上させスピン量を抑えることにある。
主な違いは、『PWR-CORE』のフェアウェイウッド版は、ドライバーが多層構造であるのに対して単層構造であること。また、コブラは、個々のモデルに応じて動かせる余剰重量を獲得するために、「カーボンクラウン構造」を採用している。これについはまた後ほど。
『H.O.T. Face（高度に最適化されたトポロジー）』は、精密に調整された初速の一貫性を保つイテクノロジー。コブラの以前のフェーステクノロジーである「E9」は、ゴルファーの典型的な（ローヒールからハイトゥにかけた）楕円形のインパクトパターンに基づき開発された「バリアブルフェース」だった。
『H.O.T. Face』では、フェース全体を15の“パッド”（「E9」では3つ）に分割し、それぞれの場所毎に個別の厚さを持たせる設計を採用。これにより、フェースの大部分で「CT値」を最大化することができるという。それぞれのパッドは、位置、サイズ、厚みというボール初速に影響する全ての要素を微調整することができる。
つまり、コブラは“ホームラン競争”のようなものに勝つことに躍起になっていないということ。インパクト位置に関係なく、安定して速い設計にすることが目的なのだ。
コブラ「LTDx LS」
フェアウェイウッドとハイブリッドのネーミングはドライバーに倣っている。みなさんはこれが通常だと思っているかも知れないが、毎回そういうわけでもない。
とはいえ、「LTDx LS」フェアウェイウッドは、スピン量が最も少なくボール初速は最高に速い。体積は162ccと最大でフェース高も31mmと最も高い。重量特性をとると、誰にでも合うクラブではない。
実際、コブラはゴルファーの±10%を対象者としている。さらに、「LTDx LS」はソールに2つの「ウェイトポート」がある。1つはヒール、もう1つはトゥ側に。この2つのウエイト（12gと3g）は、弾道とショットを微調整する目的で交換可能だ。
この3番ウッドは、前作のコブラ「LTD」“ビッグツアーモデル”のシルエットを踏襲している。ハイロフトの「LTDx LS」の5番、7番はよりコンパクトなツアーデザインで、抜けをよくするため「バフラーレール」が搭載されている。そして、（私の造語である）「リッキーレール」といえば、コブラが他モデルの5番、7番でも採用しているものだ。
コブラ「LTDx」と「LTDx MAX」
もう1つのモデルが、「LTDx MAX」フェアウェイウッドだ。ドローバイアスを重視したモデルで、アドレスでは、最も多いターゲット層に向けたニュートラルウエイトの「LTDx」と見た目がほぼ同じに見える。しかし、両モデルを裏返してみると、話はまた別だ。
「LTDx」は8gの単体ウエイトを後方の低い部分に配置し、「MOI（寛容性）」を向上させているのが特徴だ。反対に「LTDx MAX」では、3gのウエイトがヒール部分に装着されている。このヒールウエイトにより、インパクトでフェースをスクエアに戻しスライスを軽減（あるいはよりドローの弾道になる）することが可能となる。
またコブラは、女性に特化した「LTDx MAX」フェアウェイウッドもリリース。ロフト角は異なるが、形状、素材、テクノロジーはメンズの「LTDx MAX」と同じになっている。
最後に「LTDx」フェアウェイウッドは、コブラの「MyFly8」を搭載しており、ロフト角を1.5度立たせたり寝かせることができる。
コブラ「LTDx」ハイブリッド
ヘッド形状は1種類、ロフト角は5つ、注目のテクノロジーは3つある。
まずは、ほぼ網羅しているのでテクノロジーの話から行こう。『PWR-CORE』と『H.O.T. Face』はコピペ状態だ。ハイブリッドは、形状や大きさが違うので、完全なデザインとスペックは変更されているが前提は同じ。『PWR-CORE』はウエイトを前方にシフトさせ、『H.O.T. Face』はフェース全体のボール初速を最適化させるメリットがある。
フェアウェイウッドの『475ステンレススチールフェースインサート』に対して、「LTDx」ハイブリッドは、鍛造の『Lカップフェース』を採用している。これは、コブラの主力ハイブリッドとしては初の試みだ。このクラブを温存するのか、あるいは頻繁に使うのか。それはあなた次第だ。
『Lカップ』には明らかなメリットが2つある。1つは、シングルピースになっているためフェース下部がより反応しやすく、コブラによると17％以上もたわむ。より"たわむ”ということは、より"初速”が出るということだ。また、コブラの開発陣は、リーディングエッジの半径を15度まで増やすように変更。
サンドウェッジのバウンスと同じように考えれば分かるが、バウンス角を増やしたことで、リーディングエッジが地面に突っ込まないようにし、芝から抜けなくならないようにしている。
「LTDx」ワンレングス
コブラでは、「LTDx」ワンレングスのハイブリッドに加え、女性に特化した「LTDx」もリリースした。ワンレングスは、コブラのワンレングスアイアンとスペックは同じ。また、フェアウェイウッド同様、女性専用モデルは、コブラのブラック／エルダーベリーの配色とロフト角が変わっていることが特徴となっている。
また、先に進む前に、もう一つ面白いことを伝えておきたい。コブラのワンレングスハイブリッドは、シャフトがスタンダードのハイブリッドよりも圧倒的に売れている。この根拠はないが、私の直感は次の通りだ。
大抵のゴルファーにとって、ロングアイアンの代わりにハイブリッドやロフト角がついたフェアウェイウッドを使う方が理にかなっている。
通常より長さが短いハイブリッドは、従来の長さのハイブリッドを購入する前に試す必要があるほど斬新だ。ワンレングスは6番や7番と長さが同じなので、飛距離をあまり犠牲にすることなく、より安定したコンタクトが可能になる。そして、ハイブリッドなので、ゴルファーは見た目をあまり気にしていない。ということだ。
スペック・価格・発売時期
コブラ「LTDx」フェアウェイウッドの純正シャフトは、軽量の「UST Helium Nanocore（高弾道、高スピン）」、「HZRDUS Smoke iM10（中弾道、中スピン）」、そして三菱「Tensei AVI RAW White（低弾道、低スピン）」が装着可能だ。
メンズモデルのカラーリングは、ゴールドフュージョン（マットサテン・ブラックのクラウンとブラック）とピーコートブルー／ホワイト（赤のアクセントにクラウンがグロス）。女性モデルは、クラウンがグロスブラックのエルダーベリーだ。
「LTDx LS」のロフト角は、3番が14.5度、5番は17.5度がラインナップ。「LTDx」は3番が15度、5番は18.5度、7番は22.5度で、「LTDx MAX」は3番が15.5度、5番は18.5度、7番は22.5度。女性モデルは、3番が18.5度、5番は22.5度、7番は25.5度となっている。
コブラ「LTDx」フェアウェイウッドの価格は299ドルだ。
コブラ「LTDx」ハイブリッドの純正シャフトは「KBS PGI（50、60、70、80）」のカーボンシャフト。
メンズモデルのカラーリングは、ゴールドフュージョン（マットサテン・ブラックのクラウンとブラック）で女性モデルは、クラウンがグロスブラックのエルダーベリーだ。
「LTDx」ハイブリッドのロフト角は、2番が17度、3番は19度、4番が21度、5番が24度、そして6番が28度となっている。
「LTDx」ワンレングスのハイブリッドのロフト角は、3番が19度、4番が21度、5番が24度というラインナップ。女性モデルは、4番が21度、5番が24度、6番は28度、そして7番が31度となっている。
コブラ「LTDx」ハイブリッドの価格は249ドルだ。
現在発売中。
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