コブラ「LTDx」アイアン – 主要ポイント
・新『PWR-COR』ウエイトシステム
・シャフトの長さは通常版とワンレングスが選択可能
・スチールシャフトの価格は899ドル、カーボンシャフトは1,099ドル
・発売日は2月11日(アメリカ)
新しいコブラの「LTDx」アイアンがどんなものか知りたいって?それは簡単…
飛距離だ。
混じりっけなく、間違いなく、あからさまに、正真正銘、飛距離だ。
コブラが目的に応じたアイアンを創るとなれば、間違いは犯さない。流れがよくセクシーで従来ロフトの鍛造ブレードがお望みなら、コブラにはブレードの中のブレードがある。革新的な製造方法が良いなら、コブラはそれにも対応可能だ。
イノベーションは、コブラの誇りだ。その革新性がどうゴルフを変えるのかは議論の余地があるが、同社には敬意を表すべきだろう。コブラは何もしないというわけではなく、ビッグ5の中では弟分ではあるが、やる時はとことんやるメーカーなのだ。
そこで登場したのが、コブラの新しい初・中級者向け(スコア改善型モデル)アイアンの「LTDx」。生涯忘れられないショットが打ちたい?コブラがそれを叶えてくれる。
ガッツリとね。
コブラ「LTDx」アイアン:ロケットランチャー?
新しいコブラ「LTDx」アイアンには、お伝えしたいテクノロジーがたくさんあり、そのうちのいくつかは非常にイケてるし、とっても革新的だ。しかし、その前に伝えておきたいことが一つある。
それは、コブラ「LTDx」は「ストロングロフト」だということ。実際、非常にストロングだ。
昨年の「RADSPEED」のロフト以上、もっとストロングになっている。
例えば、7番アイアンで26.5度という立ちっぷりなのだ。
「今は、競争が激しいと考えている」とコブラR&D部門バイスプレジデントのトム・オスサフスキー氏。「飛距離もその他のことでもね。飛ばせなければ、勝つことはできない。
驚くべきことに、新「LTDx」の7番アイアンは、この世にある初・中級者向け7番アイアンの中で一番のストロングロフトではない。トップには近いが、一番のストロングロフトアイアンではないのだ。テーラーメイドかキャロウェイの方がストロングロフトだと思っているなら、それも違う。
ピンか?ツアーエッジか?ウィルソンスタッフか?はたまたBombtech(ボムテックゴルフ)か?
答えはタイトリスト。「T400」の7番アイアンのロフト角は26度だ。
これは予想外だったはずだ。
“パワー”がついたテクノロジー
ここまではストロングロフト派をたくさん怒らせてきたので、革新的なコブラのテクノロジーについて話をして行こうと思う。一つは新しいもので、他は6年ほど経つもの。そして、ともに“パワー”がついている。
『PWR-COR』や『PWRSHELL』という具合に。
『PWR-COR』は全く新しいもので、重心をさらに低くそしてインパクトゾーンの真後ろに配置させるコブラ流の技術だ。
コブラは、初・中級者向けアイアン部門において、主要ブランドの中で最も低重心のクラブをラインナップしていることを誇っており、「LTDx」は内部重量の大部分がどこにも“繋がっていない”ことを特徴としている。
昨年の「RADSPEED」アイアンでは、重量は低く、しかもクラブのかなり後方に配置されており、この重量のほとんどは、クラブのフレームの後部に配置されていた。
今回、『PWR-COR』を搭載したことで、この重量の多くを、『フローティング・スチールバー』という形でやや前方にシフトさせている。では、これを浮かせているものは何なのか?
柔らかくて軽量のポリマー(上記画像のピンクのもの)がそれだ。コアとなるバーは、ボディ、フェース、そしてソールから完全に分離されている。これにより重心はクラブヘッドのより低く、より真ん中に設定される。多くの重量がヒッティングゾーンの真後ろに配置されることで、弾きを更に改善しているのだ。
そして、デザインを一新した『PWRSHELL』フェースと組み合わさることで、この弾きと柔軟性が融合している。
大きくて薄い「Lサイズ」
『PWRSHELL』テクノロジーは、少なくとも2016年の「KING F7」アイアンまで遡る。『PWRSHELL』は、簡単に言うと『Lカップフェース』のこと。『PWR-COR』により、かなりの重量がフレームから完全にシフトするので、コブラは『Lカップフェース』の底部を大きくし、ソールの大部分を占めるようにしている。
そのため、ソールはより薄く、全体的により柔軟性が高くなっている。これを薄いフェースと組み合わせることで、よりフェースがたわむようになる。そして、これは初・中級者向けアイアンにとっては“究極の理想”だ。
「このたわみを実現させるシステムにより、より初速が出て、打ち出し角が高くなり、スピン量は低くなる」とオスサフスキー氏。「超低重心をキープしつつも寛容性もややアップしている。インパクトをソフトにし、初速アップできるたわみも多少獲得した」。
今回、『PWRSHELL』フェース全体を薄くしたことで「薄肉エリア」が23%も拡大している。コブラのロボットテストによれば、フェース周りの様々なインパクト箇所でボール初速と飛距離が向上したとのこと。こうした向上は、ストロングロフトにした結果、センターヒット時に特に大きくなるようだ。
しかし、インパクト箇所がヒール側にシフトした時でも数値は向上。7番アイアンでヘッドスピードが38m/sなら、コブラによるとヒール付近で打った時の飛距離は「RADSPEED」に比べ、最大で6.5ヤードほど伸びたという。
もちろん、こうした数値はコブラが提供してくれたもの。かつてレーガン元大統領が言ったように、信頼はしても検証した方が良いだろう。
コブラ「LTDx」アイアンの調整能力
『PWR-COR』と『PWRSHELL』に注目が集まるが、「LTDx」にはそれ以外にもチェックしておきたいアップデートがある。
一つ目は、直近2つのアイアンでは採用されていたカーボンファイバーのトップラインインサートをやめたこと。オスサフスキー氏によれば、この独特な見た目のインサートに対する意見は半々だったようだが、変更した本当の理由は、市場の意見とは関係がないという。
その理由は、柔軟性にある。
コブラの直近2つの初・中級者向けアイアンについてオスサフスキー氏は「多くのフィッターが、コブラを『調整できない』リストに入れている」と言う。「このリストに入ってしまうと、フィッターはこうした商品の販売に対して乗り気ではなくなってしまうのだ」。
カーボンファイバーのトップラインにより、フィッターは「RADSPEED」やその前のモデルである「SPEEDZONE」のロフト角とライ角の調整を、アイアンヘッドを壊さず行うことができなかった。
「コブラは、シム(精度調整をするための薄い詰め物、スペーサーと類義)を開発し世界中のフィッターに届ける必要があった。そうすれば、彼らがトップラインを崩すことなく『RADSPEED』を曲げられるようになるからね」とオスサフスキー氏。「もうその必要はなくなった」。
「LTDx」アイアンの柔軟性をさらに高めるために、コブラはのボディを「17-4ステンレススチール」からより柔軟性のある「431ステンレススチール」に変更。その結果、「LTDx」はライ角を±4度まで調整できるようになった。またロフト角も、もう少しストロングにしたいという人にために、上下に1度変えることも可能だ。
「LTDX」ワンレングス
コブラがワンレングスアイアンにこだわり続けるのには、それなりの理由がある。
それは売れるからだ。
コブラによると、ワンレングスは2017年の導入以降、6万5000セットが販売され、ワンレングスの販売本数は150万本に及ぶという。さらに、コブラの独自調査では、同社のアイアン購入者の中でワンレングス購入者の満足度が何年も一番高く、返品制度がある小売業者によれば、ワンレングスは最も返品が少ないクラブの一つなのだという。
またコブラとアーコスの提携メリットの一つとして、ショットデータへのアクセスというものがある。コブラは、30万以上に及ぶ、番手毎の長さが変わる「RADPSEED」と「RADSPREEDワンレングス」のショットを比較し、いくつかの興味深いものを発見した。
データによればワンレングスアイアンと通常モデルとの同番手同士での飛距離差は2ヤード以内で、ほとんどの番手で1ヤード以内に収まっていたようだ。
そして、ワンレングスは“初心者・初級者に最適”というのが従来の考え方だったが、オスサフスキー氏によれば、“初心者・初級者にしか向かない”という考え方は誤解だと言う。
「私はブライソン・デシャンボーを除けば、他の人と同じくらい長く使っている」とハンディキャップが5のオスサフスキー氏。「ショートゲームで苦戦している人なら、誰でも使えると思う。シングルハンデでないなら、より安定したプレーができるようになると思うので、良いプレーができるはずだ」。
しかし今回のロフトとなると…
ゴルフは、ブラッシー(2番ウッド)やクリーク(5番ウッド)、そしてハスケルボール(糸巻きの原型)以降、飛距離が売りだ。これは時代のせいなのかも知れないが、私としてはどうしても、ある単純な理由のせいでストロングロフトに乗り気になれない。
どうでも良いけど。
例えば、ハンディキャップ20の人が26度の7番アイアンで155ヤード飛ばすとしよう。そして、ハンディキャップ5の上級者が35度の鍛造の7番アイアンで同じ155ヤードを打つとする。ハンディキャップが20の人は20なりの理由がたくさんあるが、ゴルフを少し簡単に、そしてもう少し楽しむようにできるクラブを使ってはいけないという理由はない、だよね?
もちろん、エゴも大切だ。でもあなたがシングルハンデなら、ハンディキャップ20の人のエゴを気にする必要などないだろう?もし、そういう人が新しいクラブで少しでも遠くに飛ばせるのなら、もっとそういった人はゴルフを楽しめるかも知れないからだ。
確かにマーケティングはマーケティング。しかし、ゴルファーは飛距離を求め、ヤング・トム・モリスが父親をオーバードライブした時からそれは変わらない。そして、カーステン・ソルハイムが低深重心アイアンを創ってから、アイアンにも飛距離の要素を注入することが現実になった。そして当時も今も、究極の問題は使い物になるのかということだ。
「私たちはフィッターのチームとよく議論しており、『7番アイアンにおけるハンディキャップ15の人の適正な弾道はどんなものか?』と話し合っている」とオスサフスキー氏。「私たちは、グリーンに乗せるという点でそれを理解している。問題はプレーヤーも同じように考えているのだろうか?あるいは、彼らは単に飛距離を買いたいだけなのだろうか?ということ」。
「グリーンへの落下角度は40度から45度が良い。もっとボールを止めたいなら、さらにロフト角を増やせば良いのだ。問題は、みんながそうしたいのか私たちにも分からないということ。みんな、単にもっと飛ばせるやつが欲しいって言うだけだろうからね」。
コブラ「LTDx」アイアンのスペック・価格・発売時期
新しいコブラ「LTDx」アイアンは、通常シャフトとワンレングスともにラインナップしている。
「LTDx」の通常シャフトセットは、ポリッシュクロームでゴールドフュージョンのアクセントがある。スタンダードの7本スチールシャフトの5番からギャップウェッジまでのセットは、右利き用と左利き用があり、4番からPWは右利き用のみ。
カーボンコンボのセットはハイブリッドの5番と6番アイアンからピッチングウエッジまでで右利き用と左利き用がある。
純正スチールシャフトは「KBS Tour 90(SとR)」で純正カーボンシャフトは「KBS PGI」。KBSによると、「PGI」はキム・ブラリーがデザインしたシャフトで、「KBS Tour」と同じ弾道、方向性、そしてコントロール性があり、やや軽量化されているという。
こちらのシャフトは、55gのレディースフレックス、65gのライトフレックス、75gのRフレックス、85gのSフレックスの4モデル展開となっている。
純正グリップはラムキンの「Crossline(クロスライン)」だ。
「LTDx」ワンレングスアイアンは、クローム仕上げでメダリオンにブルーとレッドのアクセントがあることが特徴だ。スタンダードのスチールシャフセットは5番からギャップウェッジまでで右利き用と左利き用がラインナップ。シャフトのウェイトは番手ごとに設定されている。
4番から6番アイアンまでは軽量で高弾道の「KBS Tour 80」、7番から9番まではやや重めの「Tour 90」を装着。ウェッジは、低弾道とさらなる正確性を実現する重めの「KBS Tour 120」となっている。
ワンレングスのカーボンシャフトは「KBS PGI」でライト、R、そしてSフレックスがラインナップ。純正グリップはラムキンの「Crossline」だ。
コブラではまた、「LTDx」のレディースセットもあり、カラーリングはクローム/エルダーベリー。シャフトは通常の長さのみで「KBS PGI 55」カーボンシャフトが純正となる。純正グリップはアンダーサイズのラムキンの「Crossline」だ。
価格はスチールシャフトが899ドルでカーボンシャフトは1,099ドル。「LTDx」シリーズは店舗とオンラインで2月11日から発売(アメリカ)。予約販売は現在受付中だ。
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