MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの品質と一貫性の調査、数値化を行っており、無駄のない最適なボール選びに役立てもらいたい。
今日取り上げるのはコストコ『Kirkland Signature Performance+(カークランド シグネチャー パフォーマンスプラス)』だ。
ラボで使用する機器の概要はここに掲載した。また、テストプロセスや、「不良」ボールの定義方法、独自の「True Price」測定方法については、MyGolfSpy Ball Labのページにて確認できる。
2019年のゴルフボールテストで収集したデータによると、「Kirkland Performance+(カークランド パフォーマンスプラス)」の特性は低打ち出し、高スピンだった。また、338つのディンプル、金型注入ウレタンカバーを備えた3ピース構造が主な特徴。
「Performance +(パフォーマンスプラス)」は、中国の「Qingdao SM Parker社」によって製造されている。以前は「Fantom」という名で稼動していたこの工場では、「Cut Golf」やスネル「MTB Red」などの製造も請け負っている。
コストコは「Performance+(パフォーマンスプラス)」2ダースパックを24.99ドルで販売しており、これはほぼ間違いなく、今日の市場で最も安価なウレタンボールに値する。
「KIRKLAND PERFORMANCE+」 -コンプレッション
Ball Labでの計測の結果、「Kirkland Performance +(カークランド パフォーマンスプラス)」の平均コンプレッションは90であり、実質的にタイトリスト「 ProV1」と同じだ。
いわゆる“硬い打感“の部類に入るが、カバーがかなり厚いため、同様のコンプレッションの他のウレタンボールよりも硬く感じる可能性がある。
フルスイングの打ち出し角とスピン特性(それぞれ低と高)は、ミズノの「RB Tour」や「RB Tour X」、Volvic「S4」に最も類似しており、フィッティングの観点からも「Performance +(パフォーマンスプラス)」はニッチな製品だと言える。
「KIRKLAND PERFORMANCE+」 -重量と直径サイズ
・「Performance+(パフォーマンスプラス)」サンプルボールは100%円形の基準を満たしていた。
・USGAの重量制限(1,620オンス)を超えたサンプルボールはひとつもない。
平均直径サイズが1.685インチ近くあるため、「Performance +(パフォーマンスプラス)」はウレタンボールとしては大きめだ。
他の条件が同じであれば、小さめのボールは飛距離が出やすいため(特にヘッドスピードが速ければ)、平均的にサイズが大きいというだけで少し不利になるはずだ。
「KIRKLAND PERFORMANCE+」 -インスペクション(検査)
中心性と同心性
「KIRKLAND Performance+(カークランド パフォーマンスプラス)」は、3ピースのラージコアボールだ。
このようなタイプの設計は、コアの中心性の問題を簡単に特定することはできない。問題のほとんどは、マントル層とカバー層の不均一さとして現れる。
その結果、サンプルボールの22%が欠陥品であった。
大部分はマントル層に明らかなばらつきが見られ、場合によっては、ボールの片側の厚さがもう一方の2倍近くあることもあった。また、レイヤー侵食と呼べるような問題も確認された。
これは、下にある層が完全に冷却される前に次のレイヤーを施してしまい、外側から内側のレイヤーへの侵食を招くことをいう。
最後に、その他54%に小さな欠陥(通常はそれほど深刻ではないレイヤーの同心性の問題)が観察された。
コアの混合
コアの色は全体的に一貫していたが、混合不足と思われるボールを1個確認した。
カバー
重大なカバーの欠陥は見つからなかったが、鋭いエッジのような隆起したディンプルのあるボールが数個確認された。これは、ボールが金型からきれいに出なかったことが原因である可能性が高い。
総合的な考察
これまでテストした他のツアーボールとは異なり、「Performance +(パフォーマンスプラス)」の注入ウレタンカバーは厚く、特に柔らかくはない。通常、これはグリーン周りでのスピン量が減る設計だ。
一貫性
このセクションでは、「Kirkland Performance+(カークランド パフォーマンスプラス)」の『一貫性』について詳しく説明する。これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。
重量
・「Kirkland Performance +(カークランド パフォーマンスプラス)」の重量の一貫性は不十分レベルだった。実際、これまでにテストしたボールの中で最悪の結果だ。
・欠陥品としたボールは、その重量が3つの標準偏差を超えていた。
・テストしたボールのいずれもUSGAの重量制限を超えていなかったことは、唯一の朗報だ。
直径の一貫性
・直径サイズの一貫性は、他のボールと比較して平均以下。
・前述のように、「Performance +(パフォーマンスプラス)」は、ウレタンボールの中ではサイズが大きめ。
コンプレッションの一貫性
・「重量」と「直径」の一貫性の問題と比較すると、意外なことに、「Performance +(パフォーマンスプラス)」のコンプレッションの一貫性は平均レベルより上だった。
・各ボールで測定した3箇所の一貫性は、他のボール同様に平均範囲内にあった。
TRUE PRICE-ボールの真の価格-
「True Price」は、ゴルフボールの品質を独自に数値化した指標だだ。これは、優良ボール1ダース(12個)を得るのに必要な金額を表す。
「True Price」は常に小売価格以上になる。「True Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。
「KIRKLAND PERFORMANCE+」のまとめ
詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義方法、「True Price(真の価格)」の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照ください。
「Kirkland Performance +(カークランド パフォーマンスプラス)」のコンプレッションが総じて一貫している点は注目すべきだと思うが、直径と重量の一貫性に関してはばらつきが大きく懸念が残る。ウレタンカテゴリーの基準に沿わない構造(特に厚いカバー)についても同様に不安材料だ。
サンプルボールのうち25%が欠陥品という事実を考えると、これほど多くの不一致と品質の問題を示すゴルフボールの価値が、実際どれほどなのかと疑問に思うのは当然だ。
コストコ「Kirkland Performance +(カークランド パフォーマンスプラス)」の「True Price(真の価格)」は、1ダースあたり16.65ドル。
激安品に聞こえるかもしれないが、True Priceは小売価格より33%も高く、MyGolfSPyがこれまで測定したボール中で最も低品質だったことは否めない。
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