安定感があり快適なシューズ、快適で安定感があるシューズ。どちらにしてもこれらはゴルフシューズにとっては永遠のテーマだ。

スパイクレスでも、満足できるレベルでこれを両立させることは、きっと不可能に近いだろう。

今回のニューS-THREEシューズが興味深い理由がこの点。ECCOが不可能を可能にしたと確信しているからだ。いずれにしても最低限のバランスは取れているのだろう。

ECCO(エコー)は、11種類ものスパイクレス(ECCOではハイブリッドと呼ぶ)モデルをラインナップしている。

ECCOのシューズは人気があり、MyGolfSpyの直近2回のスパイクレスシューズ・バイヤーズガイドでも万人受けしていた。Biom Hybrid 3は快適性、スタイル、天候条件の各項目で高得点を獲得。一方、安定性とトラクションではやや苦戦していた。

つまり、ECCOの課題は快適性、防風・防水、洗練されたデザインをキープしつつ安定性とトラクションを向上させることにある。簡単なように聞こえるが、今回のS-THREEではこれらを達成できているのだろうか?

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三者三様のミッドソール

一つのモデルで快適性と安定性を両立させるのは、言うほど簡単なことではない。メーカーによっては、他社より優れている場合もあるが、いずれにしても両立は困難で、「あちらを立てればこちらが立たず」となる。

スパイクレスを好むゴルファーにとっては、どのくらいの快適性と安定性なら十分に納得できるのかということが大切になるのだ。

今回のS-THREEには、Zonal Fluidformテクノロジーと呼ばれる特別なミッドソールが採用されている。

これはECCOが新開発した素材で、簡単に言うと、シングルピース成形で作られた硬さが異なる3つの部位があるミッドソールとなっている。

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まずはヒール。ECCOでは、この部位の硬さを中程度としており、歩きやすさとスイング時のクッション性・反発性が得られるという。

次は中央部、あるいはアーチ/ミッドエリアと呼ばれる部分だ。横方向の安定感を高めるため、ここがミッドソールの中で最も硬い部分となっている。そして最後が、つま先部。歩行時に最大の快適性を実現するため一番ソフトで柔軟性がある。

ECCOは大抵、(中には理解に苦しむモデルもあるが)イケてるシューズを作ることで定評があり、もちろんS-THREEも、基本的にその中に含まれる。

今回のS-THREEのミッドソールを成型する上でマルチセクション・インジェクション・プロセスを採用。各部位が分かるようなカラーリングが施されており、それぞれのシューズで独特な色あいが醸し出されている。

クラブメーカーは、こう言った手法を「目に見えるテクノロジー」と称するが、個人的には「異彩」と言いたい。見たままを言えば“良い”と思う。


 

アッパーとアウトソール

ECCOは、MyGolfSpyの防水性と通気性を合わせてたエレメンツカテゴリーで高評価を得ているが、S-THREEは他のECCOシューズと同様にGORE-TEXをふんだんに使用しているため防水100%。

アッパーには、自社工場で開発されたソフトなカーフナパレザーが採用されている。また、ネオプレンが二層になっているカラー部もS-THREEの特徴。

カラーとミッドソールのヒール部分の色をマッチさせることで、シューズの明るさが増している。一方、レディースモデルは対照的なカラーリングが特徴だ。

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足下を明るくおしゃれにしたい方にはおススメだ。そうでないなら、他をあたってくれ。

そしてアウトソールには、ECCOで標準となっているECCO Dynamic Traction System(E-DTS)を採用。

先月、米国ECCOのゼネラルマネージャーを務めるイェスパー・ツエン氏は、MyGolfSpyに対してE-DTSはECCO史上最も長く採用されているアウトソールであると話していたが(確かにSpyder-Gripよりは長続きしている)、同社のオリジナルのストリートシューズや今年のリブート版にも用いられているものだ。

一方、グリップ力を確保する機能として、E-DTSは100を超えるトラクションバーと800ものトラクションアングルが特徴となっている。

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またS-THREEは、他のECCOのゴルフシューズと同様、アッパー、ミッドソール、アウトソールを一体にするためにFLUIDFORMテクノロジーを採用しているが、ECCO曰く、このテクノロジーにはシューズの耐久性を向上させる接着剤やステッチは使用していないという。

ECCOのTri-Fi-Gripアウトソールが搭載されたBIOM 3は、MyGolfSpyのテストにおいてトラクションと安定性ともに結果がよろしくなかった。

S-THREEのより剛性が高いミッドソールの中央部とECCOの旧式のトラクションシステムの組み合わせがはたして良い結果をもたらすかどうかは、まだ謎に包まれている。

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価格、オプション、発売時期

ECCOのS-THREEは、同社のウェブサイトと販売店で発売中。メンズは、ホワイト(カラー部とヒール部はブラック)、マグネット(カラー部とヒール部はグリーン系)、コンクリート(カラー部とヒール部はイエロー)の3モデル。

レディースもホワイト(カラー部とヒール部はブラック)、グラベル(カラー部はグレー、ヒール部はティール色)、マグネット(カラー部はグレー、ヒール部はレッド)の3モデル展開となっている。

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価格はメンズが200ドルでレディースが190ドル。Boa好きには残念なお知らせ。ラインナップは紐式モデルのみだ。