主要ドライバーのニューモデル発表時は、一緒に発表されるフェアウェイウッドとハイブリッドにその最新テクノロジーと素材が一定の割合で搭載されるものだが、それらが目立つことはないと考える方が妥当だ。

これはコブラのSPEEDZONEシリーズでも同様で、話題はドライバーに集まるが、SPEEDZONEのフェアウェイウッドとハイブリッドにおいては、間違いなく単なるセットを構成するためにデザインを揃えただけの追加商品などではない。

ドライバーの流れをくむものだが、今回は幅広い層にメリットがあるだろう。

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今回のフェアウェイウッドとハイブリッドには、SPEEDZONEドライバーと同じ機能が搭載されている。とは言え、どのテクノロジー(素材または構造)を含めるかを左右するのは、シンプルに費用対効果の分析次第。

フェアウェイウッドとハイブリッドの大きさはドライバーの約3分の1程度で、フェースも投影面積も小さくなっており、重量配分の自由度が少ないのだ。

性能の変化は積み上げて行くものであり、それぞれの新テクノロジーのわずかなメリットがゴルフを変えるというわけでもない。

メーカーは、1年半から2年で市場がより良い商品を期待することを十分理解した上で、それぞれの設計をどこまで進めるかを考える必要があるだろう。

微妙なバランスであることは間違いないが、コブラでは、その時々で全力投球しているようだ。


 

ベン図?

(距離、正確性、寛容性の)3つの円から成るベン図を思い描いて欲しい。

それぞれが重なり合う部分の中身は、クラブデザインにおいて根本的に外すことができない異なる特性(素材、構造)だ。

例えば、(寛容性のおおよその目安となる)MOI(慣性モーメント)は、一般的にウェイトを重心から離し、クラブヘッドの低/後部に移動させることでアップする。

このウェイトは、どこからか持ってこなければならず、一般的には軽量素材(チタンの代わりにカーボン、スチールの代わりにチタンという具合に考えてみて欲しい)を採用することで達成される。

ボールスピードアップは、必ずしもフェース中央のCT値を最大化させるのではなく、フェース全体のCT値が高くなるフェースとデザインを採用した方がベターだ。

また正確性は漠然としているが、クラブフェースのバルジ(フェースの水平方向の湾曲)とロール(垂直方向の湾曲)を改良することが、一般的には開発段階の目標となる。

メーカー各社が既に取り組んでいることにキャッチーなネーミングをつけたものがツイストフェースだが、確かにクラブフェースの丸みと正確性の関係について考えるきっかけになった。

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飛距離

F9 SPEEDBACKからSZフェアウェイウッドで大きく変わった点は、前モデル比で10.6g軽量化され薄くなった(前側のレールと溝がそれぞれ73%、76%薄くなっている)新中空スプリットレール・バフラーソールだろう。

中空レールにより、ヘッドスピードが約49m/sだと(ヒールtoトゥの)スイートスポットが70%も拡大。

これはツアープロだと、ボールスピードで約0.5m/s、キャリーで1.8ヤードのアップにつながる。

大きな数字ではないが、些細な進歩でも価値がある現代においては、これ以上を望むことは難しいだろう。ちなみに一般アマチュアだと、人それぞれだ。

なお、アップグレードされたSPEEDZONEハイブリッドも、フェアウェイウッドと同様の中空スプリットレール・テクノロジーが搭載されている。

となった重量の各グラムは、開発者のクラブに対する意向に沿い重心位置を動かす上でそれぞれ有益だ。

重心をより前方に配置すれば、低弾道/低スピンで操作性が向上し、低/深重心になれば、弾道が高くなり寛容性がアップする。

今回の特徴は、約11gの余剰重量を確保し低重心化を実現したこと。これにより、F9のフェアウェイウッドよりも重心がより低く、後ろに移動している。

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 インフィニティフェース?

しばらくの間、インフィニティフェースは、SZドライバーのものとなっている。

ヘッドが小さいフェアウェイウッドだと、特にホーゼルからフェースにかけてインフィニティフェースを搭載するのは困難だからだ。

しかし、物事は日々進化しているわけで、未来のフェアウェイウッド(そして多分ハイブリッド)にはインフィニティフェースのような機能が搭載されると考えても良いだろう。

現在のところそれは実現していないため、SZハイブリッドが薄型455ステンレススチールフェースと菱形のE9フェースパッドの2ピース構造を採用している一方、SZフェアウェイウッドではF9のCNCミルドフェースが継承されている。

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コブラによれば、SZフェアウェイウッドに採用されたミーリング方法は、従来のフェースグラインドに比べ5倍の精度を誇るという。

ミーリングの方がコストはかかるが、そのお陰でコブラはフェースの厚み、つまりはフェース全体でのCT値の公差に対して信頼を得ているのだ。

それ以上に、コブラは大手メーカーで唯一ミルドフェースに注力しており、それが差別化となっている。

わずかなスペック誤差と先端素材というセールスポイントは、高価格帯の日本ブランド(EPON、PRGR、ロイヤルコレクション)の代名詞だ。それに比べ、コブラのフェアウェイウッドの定価は今でも300ドルを軽く切っている。


 

正確性

スプリットレールの(オリジナルバフラーを未だに手放せずにいる人たちの感慨を呼び起こす以外の)主要機能は、インパクトでヘッドを安定させることであり、これによりソールが地面を引っかかるのではなく、滑りやすくなる。

この機能はフェアウェイウッドとハイブリッド共通であり、はっきりはしないがフェアウェイウッドの方がやや分厚くなっているようで、コブラによればバフラーレールによりボールスピードが約1.03m/sアップ。距離にして約8ヤード伸びるという。

スピードアップと多様性の広がりは、これまでも常にバフラーレールのセールスポイントとなっており、結果が出ているためか、ゴルフ用品の世界では息の長いテクノロジーの一つでもある。

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フェアウェイウッドは3モデル

SPEEDZONEフェアウェイウッドは3モデルがラインナップしている。

コブラが明言しているわけではないが、一つはリッキー・ファウラー向けで、一つはブライソン・デシャンボーとレキシー・トンプソン向け、最後の一つは一般ゴルファー向けと言えるだろう。

資料に記載されているわけではないが、それぞれのデザインの違いを考える上では良い考え方だと思う。


 

SPEEDZONE フェアウェイ

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SPEEDZONEフェアウェイウッドは、皆さんのご想像通りスタンダードモデル。

ミッドサイズ(167cc)のシャローヘッドで、シリーズの中で最も弾道が高くスピン量も多い。平均的な作りで幅広いゴルファーにマッチするため、ロフトの種類も多く左右のモデルがラインナップしている。

またSPEEDZONEフェアウェイは、女性用もありロフトは3種類(18.5度、22.5度、25.5度)で、カラーはグロスブラックとローズゴールドを採用した。

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SPEEDZONE ツアーフェアウェイ

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SPEEDZONEツアーはヘッドが非常にコンパクトなフェアウェイウッドで、現在のスーパーハイブリッドと呼ばれるクラブの先駆けに感じる方もいるかも知れない。

マスターズでファウラーが使うために製作されたF6バフラーの後継モデルで、特徴は投影面積が小さく、より重心が前方にありスタンダードモデルよりも低い弾道が打てて、操作性も良い。

毎度のことだが、操作性はMOIの犠牲の上に成り立つが、ターゲットゴルファー的に寛容性はそれほど必要としないだろう。

ファウラーが、5番ウッドとF9 SPEEDBACKの4番アイアンをコースコンディションとセットアップにより使い分けるのか気になるところだ。


 

SPEEDZONE ビッグツアーフェアウェイ

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コブラのLTDの3番ウッド(14.5度)の流れをくんでいるのがSPEEDZONEビッグツアーフェアウェイ(13.5度のみ)だ。

LTDは想定以上のパフォーマンスを誇るクラブで、今でも3番ウッドの怪物と言えるし、デシャンボーとトンプソンが新作を使うことに販売メリットがないなら、ずば抜けたクラブとして手を付けない方が良かったのかも知れない。

当然、弾道とスピンの特性に対する微調整は期待しても、全面改良は誰も望んでいなかった。

単に余計なことはしないということが設計目標という、よくある一例で、その代表がレールだ。

スタンダードモデルとツアーモデルにとっては代表的なテクノロジーとなっている改良されたバフラーレールだが、ビッグツアーにおいては、他のシリーズとデザインを合わせるだけのコスメに過ぎず、性能が変わるわけではない。

従来の3番ウッドより飛距離が出てそれなりに真っ直ぐ飛ぶように設計されているが、打ち込むようなスイングに対応しソフトにボールを着地させることを目的にしていないのだ。

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スペック/価格/発売時期

スタンダードのSPEEDZONEフェアウェイウッド(定価279ドル)は、3番(14.5度)、5番(18.5度)、7番(22.5度)が左右両方でラインナップ。コンパクトヘッドのツアーモデル(右利きのみ)は3番(14度)、4番(17.5度)のみで、ビッグツアーは左右両方があるが、ロフトは13.5度のみだ。

全モデルとも、5つのロフトと3つのドローセッティングができるMyFlyアダプターを搭載している。

SPEEDZONEハイブリッド(定価229ドル)は、2(17度)、3(19度)、4(21度)、5(24度)の4ロフト展開で、17度のみ左右両モデルがある。

ワンレングスハイブリッドもあり、スペックは3番(19度)、4番(21度)、5番(24度)。3番のみ左用がラインナップしている。またSPEEDZONEハイブリッドはレディースモデルも4H(21度)、5H(24度)、6H(28度)、7H(31度)で展開している。

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シャフトとカラーリング

SPEEDZONEはフェアウェイウッド 、ハイブリッドともにブラックとイエローにレッドのアクセントがメインカラーで、マットブラック、ホワイト、レッドのアクセントもオプションとしてある。

ストックのSPEEDZONEファアウェイウッド用のシャフトは、それぞれ弾道とスピンの特性が異なり以下の通り。

USTヘリウム(高弾道/中スピン)

三菱レイヨン TENSEI AV BLUE(中弾道/中スピン)

HZDRUS Smoke Yellow(低弾道/低スピン)

ハイブリッドは両モデルともUST Recoil ESX 480が標準装着されている。

またコブラのカスタム部門を通じて追加料金なしで20種類以上のシャフト選択が可能だ。

ここ数年もそうだが、コブラでは追加料金なしで(Arccos装着の)コブラコネクトセンサーも付けられる。

フェアウェイウッド、ハイブリッドを含めたSPEEDZONE全モデルは、2020年1月17日から発売開始。詳細は、cobragolf.comまで。