・テーラーメイドが新作の「スパイダーGT」マレットパター3モデルを追加
・新モデルはセンターシャフトと「トラス」を含めた新ホーゼルが特徴
・TaylorMadeGolf.comのみで購入可能で価格は349.99ドル
※この記事はアメリカの「MYGOLFSPY」によるものであり、日本で発売されるモデル数、また発売日等に関しては来年の発表となる。そのため、発売日や記事の内容が一部異なることをご了承願いたい。
テーラーメイドの“ステルス的”「スパイダーGT」リリース
先日、テーラーメイドが人気の「スパイダーGT」パターシリーズに新作3モデルを追加したことはご存知だろうか?おそらく“知らなかった”と答える人が大半だろう。実際、今回の新作スパイダー3モデルは、ほとんどの人がその存在にすら気づかない程度にしか告知されていない。
テーラーメイドがこのモデルをいつものように大々的に宣伝しなかったのは、同社サイトでネット販売しているだけだからなのかも知れない。また2モデルは“日本モデル”となっているので、アメリカ市場は対象外となっている可能性もある。とはいえラッキーなのは、アメリカでならまだネットで買えるってことだ。
つまるところ、今回のなんとも言えない告知活動の理由などどうでも良い。大切なのは、今日みなさんに今回の「スパイダーGT」パターを紹介できるってことだ。ぶっちゃけ、新モデルは「スパイダーGT」を興味深いものにしてくれている。
1つは、人によってはすぐに飛びつきたくなるようなネックが搭載されており、残りの2つは、ほぼ忘れ去られた2020年のテーラーメイドのパターテクノロジーを復刻させた「スパイダー」となっている。
テーラーメイドの2020年「スパイダーGT」の簡単なまとめ
テーラーメイドの2022年「スパイダーGT」パターのポイントをおさらいしておこう。「スパイダーGT」のデザインは、前作の「スパイダー」とは大きく違っていた。これまでの「スパイダー」のマレットは全体的に角張った形状が特徴で、「スパイダーGT」は「ウイング構造」が特徴になっていた。
「スパイダーGT」は陽極酸化アルミニウムのクラウンにより、アドレスで「スパイダー」のような印象を与えているが、ソール側を見ると、全質量が端に押し出された翼のようなデザインになっていることが分かる。ウイングと追加ウエイトにより、「スパイダーGT」の総重量の82%が周辺配置されていたのだ。
2022年「スパイダーGT」パターは、角度のあるメタルバーがウレタンポリマーと一体化した同社独自の複合素材『PURE ROLL 2(ピュアロール2)』も特徴だ。
シングルベンドかショートスラントのホーゼルが装着されており、カラーは4色展開。カラーとホーゼル(ネック形状)の選択肢は「MySpider GTデザイン」で増えたが、多くの人が“ない”と感じていたホーゼルオプションも1つある。
テーラーメイド「スパイダーGT」センターシャフト
テーラーメイドは、この「スパイダーGT」を隠していたとも言えるし、みなさんの要望を聞いたとも言える。とにかく、新作のトップバッターは「スパイダーGT」センターシャフトだ。シャフトがボールのすぐ後ろにくるフェースバランスのパターがお望みなら、これこそおすすめパターと言える。
「スパイダーGT」センターシャフトは、短いサイトラインからアルミニウムクラウンまで、全てのデザイン要素が他の「スパイダーGT」と同じ。違いはセンターシャフトになっていることで、これはゴルファーによっては非常に大きなことだ。
センターシャフトに興味がある人もいると思うので、ネットでしか手に入らないのは残念だが、最近はセンターシャフトの他モデルもショップに並んでいる。そういったモデルをショップで試してみれば、このタイプのホーゼルがあなたに適しているか判断することもできるだろう。
このセンターシャフトモデルの発売に大喜びしている人がいることも分かっているし、それを蔑ろにするつもりはないが、新デザインはイケてるものの伝える価値があるかと言えば微妙。ぶっちゃけ、これが「スパイダーGT」唯一の新作だったら、テーラーメイドのPRの少なさも理解できるってもの。
センターシャフトが加わったのは素晴らしいが、多くのパター好きにとってはどうでも良いことだからだ。
ただし、「スパイダーGT」には他にも新モデルが2つあることも忘れないで欲しい。これらは、過去の遺物のように見える2020年のパターテクノロジーを復活させることで、市場をアッと言わせている。
「トラス」復活
「トラススパイダー」の幕開けにようこそ!センターシャフトモデルの発売も悪くないが、「スパイダーGT」に「トラスデザイン」が採用されたことの方が注目を集めるはず。「トラスデザイン」がスパイダーパターに搭載されたのはこれが初めてなのだ。
多くのゴルファーの記憶から“2020年”が完全に忘れられているが、テーラーメイドの「トラスホーゼル」デザインのことは思い出せるだろう。
「トラスデザイン」とはどんなものだったのか?物事を単純にし過ぎているかもしれないが、「トラスホーゼル」とは安定性を向上させるために開発されたもので、ヘッドとシャフトが繋がる部分にさらに接合面積を増やしたものとなっている。
フェースとシャフトの間に三角形を作ることで、普段は支えられないフェースのトゥ部分を「トラスホーゼル」で支えることが可能。この機能により、安定性が増した。
テーラーメイドは、「トラスホーゼル」搭載のパターをブレードとマレットでリリースしているが、これまでスパイダーのヘッドに「トラスホーゼル」を採用したことはなかったのだ。
テーラーメイド「スパイダーGT TM1」
「スパイダーGT TM1」は、2つある「トラスホーゼル」デザインの小さい方を採用している。この小ぶりなホーゼルは、パターのヒール側に配置。こうすることで「トゥハング(トゥが傾くこと)」を実現していることからアークを描くストロークによりマッチする。このタイプは、ストロークという点でよりスラントネックのような働きをするはずだ。
ただし、「トラスホーゼル」のポイントは安定性を向上させることにある。「スパイダーGT TM1」はスラントネックの「スパイダーGT」のようなフィーリングでストロークできるはずだが、「トラスホーゼル」により、特にオフセンターヒット時のパッティングの安定性が改善するだろう。
テーラーメイド「スパイダーGT TM2」
「トラスホーゼル」が非常にワイドになっているのが「スパイダーGT TM2」だ。「トラスホーゼル」が、パターの真ん中をまたぐように繋がっているが、これにより2つのことが実現している。
まず、シャフトがパターの真ん中にシフト。「スパイダーGT TM2」なら、ストレートなストロークにマッチするという点で「スパイダーGT」のセンターシャフトと非常に良く似た感覚が得られる。またアドレスでも似たように見えるのだ。
「トラス」のパフォーマンス
改めてになるが、「トラスホーゼル」の復活には驚いた。2020年の『Most Wanted』マレットとブレードのテスト結果を見ると、「トラスホーゼル」は画期的なパターテクノロジーとは言い難い。テーラーメイドの「TM1 トラス」マレットは、ランキングで44モデル中の16位という結果だった。
5フィート(約1.5m)と10フィート(約3m)からはソリッドなパフォーマンスを見せたが、20フィート(約6m)からは苦戦した。ロングパットに必要な強いストロークにおいて、安定性をアップさせることが一番のメリットになると期待したのだが。
そして「TB1トラス」ブレードは34モデル中の7位だったが、「TB2トラス」ブレードは26位。「トラス」デザインを否定するつもりはないが、そのメリットはヘッドデザインによって変わる。
「TB1トラス」のホーゼルはヘッドのヒール側にあり、「TB2トラス」のそれはセンター付近にあった。おそらく「スパイダーGT」では、ヘッド形状と「トラスホーゼル」の最適な調和が見られることだろう。
「トラス」の見た目
初代のトラスパターで驚いたことの一つが、テーラーメイドがアドレスでほぼ見えないようにホーゼルをデザインしたこと。初代トラスパターは、ビハインド・ザ・ボールで構えた時(ホーゼルが見えなくなる)を除くと、どの角度から見てもかなり異形に見えた。
※ビハインド・ザ・ボールとは、インパクトで頭がボールよりも後ろ、もしくは右側に来ることを言う。
これは、「トラスホーゼル」を採用した2つの「スパイダーGT」パターについて私が懸念していること。全体的にブラックにしていることで、ホーゼルが溶け込んでいるような感じだが、見えなくなるわけじゃない。アドレスでは見えてしまうのだ。これが気になる人もいるだろう。
「TM2」はアドレスでよりバランス良く見えるだろうが、ホーゼルが端まであるデザインにして欲しかった。そうすれば、2020年の「トラス」パターでそうだったように、ホーゼルが気にならなかったはずだ。
「スパイダーGT」は3モデルに拡大
全体的に「スパイダーGT」のモデルが多くなったことはテーラーメイドにとって良いことだと思う。センターシャフトの「スパイダーGT」は確実にターゲットゴルファーに刺さるだろう。他の「スパイダーGT」が249.99ドルに値下げされているので、確かに349.99ドルという価格はやや苦々しく感じるかも知れない。
しかし、センターシャフト好きにとっては、ようやく待ちに待ったデザインのパターが手に入るわけだから、価格が上乗せされていてもそれほど抵抗はないはず。残念なのは、センターシャフトは「MySpider GT」のオプションにはまだ追加されていないということだ。
「スパイダーGT TM1」と「スパイダーGT TM2」のアドレスでの見た目に対する意見は割れるだろうが、私は今回のテーラーメイドが発表したこれらのパターはお気に入りだ。おそらくこれは、実験的デザインの小規模発売をネット限定で展開するという新施策の始まりなのだろう。
テーラーメイドは、そうすることで通常通りのマーケティング計画(またコスト)に関係なく、パターの新アイデアをゴルファーにお披露目することができる。どちらかのモデルにも349.99ドルを投じることはないかも知れないし、あるいは買いたくてたまらなくなるかも知れない。
とにかく、テーラーメイドがこのような変わった「スパイダーGT」デザインを生み出したことは素晴らしいことだし、今後は他の異形デザインでも取り組んでもらいたいと思う。
テーラーメイドパターの全オプションをTaylorMadeGolf.comから。
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