もしあなたのゴルフが、全盛の時より陰りが見えていても、XXIOなら飛距離を取り戻すことができる。
年配ゴルファーなら誰でも身体が言うことをきかない時が来ることを知っている。メーカーだってそうだ。そして、彼らは先を読むことができる。
ナショナル・ゴルフ・ファンデーションによると、いわゆるアベレージゴルファーとは、46歳の右利きで年収は1100万円を越え、年間ラウンド数が18回の人を差すようだ。
しかし、重要なデータは全ゴルファーの1/3以上が50歳を越えているということ。この層のゴルファーがラウンド数の60%以上を占め、用品にも一番お金をかけているということだ。
その上、65歳以上のゴルファーは420万人以上を数え、団塊の世代も次に控えている。
これでも、軽量でスイングしやすいクラブは単なる一過性のものだと思えるだろうか?
何しろタイトリストでさえ、ゴルフ業界が平均的なスイングスピードのゴルファーとしている人向けの軽量ドライバーをラインナップしているのだ。
確かにニッチではあるが、巨大で、最近までXXIOが独占していた市場でもある。
「XXIOブランドは、平均的なスイングスピードのゴルファーにパフォーマンスを提供している」と話すのはXXIO(そしてクリーブランド-スリクソン)のR&Dバイスプレジデントを務めるジェフ・ブランスキー氏。
「一番フォーカスしているブランドであり、ツアープレーヤーからのトップダウン方式で、クラブ製造をしている他社との重要な差別化要因ともなっている」。
XXIOの新作モデルであるXXIO 11(20年に渡る主力商品の最新作)と新登場したXXIO X-eks-は、最もアベレージゴルファー向けに設計されたクラブだ。
上級者向けのXXIO?
XXIOは2000年のデビュー以来、メーカーが年配者とほとんどの女性を指す平均的なスイングスピードのゴルファーだけに注力してきた。ところが今回のXXIO X-eks-は、ターゲットゴルファーがやや異なるようだ。
「まだスイングスピードがあるシングルハンディのゴルファーを例にしてみよう」とブランスキー氏。
「まだ十分プレーできるだろうし70台を出せるだろうが、飛距離が落ち、ヘッドスピードも落ちているはず。そんな人にはX-eks-が合うだろう」。
XXIOによれば、このゴルファーにはスタンダードのXXIOは合わず、まだ年配向けのクラブを使うほどでもないという。
実際のところ、新XXIO 11と特にXXIOプライムは、こうしたゴルファーには軽すぎてシャフトも柔らかすぎる。
「XXIO X-eks-は、XXIOを敬遠してきたかも知れないゴルファーに向けているが、そうしたゴルファーが使ってきたクラブとは極端に違うかも知れない」とブランスキー氏。「それでも、競合クラブよりも性能は優っている」。
XXIOでは、X-eks-を熟練ゴルファー向けの軽量クラブとし、他の全XXIOクラブ同様、限られた選択肢の中で、グリップからクラブの先まで一体となって結果が出るように設計されている。
ブランスキー氏は「その人向けに設計されていない他のクラブならばフィッティングする必要がある。この20年間、XXIOは平均的なスイングスピードのゴルファーに向けて設計されてきたが、こうした要素はこれまでなかった。XXIO X-eks-はクラブ全体が一体となり結果を出す」と話す。
言い換えると、XXIOはターゲット市場において以前注力していた層に、そのままでフィットするクラブを設計しているのだ。
Xファイル
XXIO X-eks-とXXIO 11は共にこれまでのDNAをかなり継承しており、Xの大部分は軽量のXXIO 11にも当てはまる。
XXIO X-eks-と2年前のXXIO Xを混同しないようにして欲しい。2年前のXXIO XはXXIOの10世代目のことで、これは今回のXXIO 11が後継となっている。
確かに新作のXXIO X-eks-は軽量だが、ブランスキー氏によれば軽量化には正しい方法とそうではない方法があるようだ。
同氏は「軽量化は、単にヘッドとシャフトを軽くすれば良いというものではない。エネルギーをボールに伝える推進力と質量が必要だ」と語る。
ヘッドスピードが落ちてきている上級者にとっては、軽量シャフトが間違いなく役立つだろう。
X-eks-には47gのミヤザキシャフトが装着されているが、シャフトのバット部が13gほど重くなるカウンターウェイトのWeight Plusグリップが採用されている。
カウンターウェイトは新しいことではないが、ブランスキー氏によると既に極めて高いバランスポイントにカウンターウェイトを採用すると、クラブがさらに軽く感じられるという。
こうすることで、キャリア晩年にあるゴルファーにとっては非常に効率の良いスイングが可能になる。
「バックスイングにおいては、Weight Plusグリップにすることでクラブを良い位置に収めることができる」とブランスキー氏。
「クラブを振ることでタメが生まれ、プレーヤーの手も全体的に安定したポジションに収まる。また、トップ・オブ・スイングが安定するので、手の位置も身体の近くに収まるようになる」。
同氏によれば、これによりダウンスイングもより効率的になり、コックも解けにくくなり、さらにインパクトがより安定した位置に収まるようになるという。
これで変なスイングを直すことはできないが、とは言え、X-eks-は飛距離を取り戻したいゴルファーにはフィットするクラブとなっている。
「ゴルフに革新を起こすクラブではないが、フェアウェイを外さないタイプのテクノロジーが詰まっている」と同氏。
「ところが、バランスポイントはクラブとは全く違う。タイトリストやツアープレーヤー向けに設計された競合クラブに比べると、大きな違いがあるだろう」。
Weight PlusグリップはX-eks-シリーズを通じて採用されているが、最大のメリットはドライバーで感じられるだろう。
大きなクラブとスイングの方が、カウンターウェイトの効果がボールスピードに移行する時間も長くなるからだ。
アイアンでも、グリップを重くすればスイングは簡単になるが、それだけに過ぎない。
カーボン、カップフェース、そしてキャノンソールを搭載
X-eks-ドライバーのテクノロジーについては、まず高強度重量比がチタンより8%強く、一般的に使用されている6-4チタンよりも1%軽量なTi51AFによるバリアブル・シックネスカップフェースをまず伝えておきたい。
そしてカーボンファイバークラウンはドライバーでの話だが、X-eks-にはソールにもカーボンファイバーが多く使われている。
もちろん軽量化が目的ではあるが、ブランスキー氏によれば、そこにはそれ以上の実用的な理由があるという。
「これまでのXXIOドライバーは、よりパワフルに聞こえるように、あえて打音を大きくしていた」とブランスキー氏。
「しかし、XXIO X-eks-はテーラーメイドやキャロウェイのドライバーからの移行組であり、彼らはコンポジットな音に慣れている。XXIOはソフトな打音で、そうした層によりマッチする音に調整したかった」と語る。
X-eks-ドライバーの重量は、299gでミヤザキのAX-1シャフト(R、S)を装着していることが特徴だ。
ミヤザキはスリクソン-クリーブランド-XXIOの傘下のシャフトで、硬度と剛性を区別するためのインターナショナル・フレックス・コード(IFC)を採用している。
シャフトをバット、ミッドバット、ミッドチップ、チップの4箇所に分割し、各部の相対的な硬さを4つの連続した数値で表示。数値は0~9(9が一番硬い)で表す。
47gのAX-1シャフトのIFCは4333。それと比べて、クリーブランドのランチャー・ターボ・ドライバーに装着されているやや重めで硬いミヤザキ C.Kua 50(S)のIFCは5554という具合だ。
X-eks-では、フェアウェイウッドとハイブリッドにもAX-1シャフトが装着されており、ドライバー同様のカップフェースが採用されている。ともに、大袈裟な名前のキャノンソールを搭載していることも特徴だ。
キャノンソールは、ソールを極限まで薄くしたわますことを可能にする一方で、スピンをコントロールするために、前重心になるようにデザインされたフェース周辺のソール部分にあるウェイトパッドをさす。
「ソール部分で前重心にしようとすると、それに相反して柔軟性がなくなる」とブランスキー氏。
「ソール前部にすごく柔軟性を持たせ、薄くしたかった一方で、スピンをコントロールするために重量を前方向に動かす必要もあった。薄肉化により、さらなるたわみとボールスピードを得ることができるが、スピンを減らすためにその部分に重量も必要だ。重量全てを低く深い位置に配すことはない」と語る。
どちらかと言えば、鍛造
鍛造とそうでないものの線引きが難しくなっている。
XXIO X-eks-アイアンは、S25C(1025の日本版)スチールをヘッドのフレームに採用したどちらかと言うと鍛造製法で、HT1770Mフェースと音とフィーリングを抑えるリアバッジを含めた3ピース構造。スリクソンのZ585アイアンの易しい版と言ったところだろう。
フェースプレートの裏側には、フェース周辺に設けた溝のミルド・スピードグルーブがありさらなるたわみを実現。ストロングロフト設定で、7番で29度と飛距離系アイアンの部類に入るだろう。
またXXIO X-eks-には、スリクソン-クリーブランド特有のVソールを採用し芝からの抜けを改善している。
他のXXIOでは単に不要だったことからVソールは取り入れられていなかったが、今回のX-eks-にはターゲットゴルファーのニーズから搭載されている。
「上級者やスイングスピードの速いプレーヤーは、入射角が鋭角な傾向にある」とブランスキー氏。
「スイングスピードが遅いプレーヤーは、アイアンを払うように打ちディボットもほぼ取らないことから、ワイドソールの方が、そうしたプレーヤーが望む寛容性が得られるのだ」。
そしてウッド同様にXXIO X-eks-のアイアンにはフィッティングのオプションはない。
標準シャフトは、XXIO専用の中調子の日本シャフト N.S. Pro 920GHが採用されており、スイングウェイトはD1(S)かD0(R)となっている。
一方、カーボンシャフトはミヤザキAX-1が標準でスイングウェイトはD0かC9だ。
軽くて振りやすいXXIO 11
XXIO 11は、XXIOのフラッグシップモデルでシリーズ11作目となっている。軽量で振りやすく、ヘッドスピード約40.2m/s以下のプレーヤー向けに設計された。
ウッドは、バリアブル・シックネスカップフェース、Weight Plusグリップ、キャノンソールを含めX-eks-と同じテクノロジーを搭載。
またドライバーには、薄さ0.5ミリ以下のソールをサポートする独自のインターナルリブ構造のスターフレームを採用している。
ブランスキー氏によると「軽量化は数グラムに過ぎない。しかし、クラブ後方の強度を増すとボールスピードにとって利点があり、セーブした重量を幅広く配分することでMOIがアップする」という。
アイアンに関して言うと、今年の初級者向けアイアンにおけるトレンドはフェース下部の柔軟性を最大化することであり、フェースをトランポリンよりも跳躍台のようにすることにある。
「フェースそのものは非常に柔らかく、フェース中央部では反発係数ギリギリまでの数値を出すこともできる」とブランスキー氏。
「課題は、打点がフェース下部になっても飛ばすことにある。フェース下部をよりたまわせるにはどうしたら良いのだろうか?」。
そこでXXIO 11では、ダブルアンダーカットキャビティを採用。フェース下部をたわますためにフェース背部のボディ部分に2つの溝を配置した。
今回のXXIO 11は前作のXXIO同様に、ホットフォージド・チタンフェース、タングステン・ソールウェイト、フォージドフレームなどにより4ピース構造になっていることが特徴だ。
XXIOセールスの約40%は女性ゴルファーであり、XXIOが単にメンズと同じヘッドにLフレックスのシャフトを装着しているわけでないことは評価できる。
例えばXXIOのレディースドライバーはメンズモデルよりも15g(メンズが285gでレディースが265g)軽い。ヘッドが9g、シャフトは4g、グリップは2g軽いという感じだ。
「女性ゴルファーの大多数は、ドライバーのスイングスピードが43.4m/s以下だ」とブランスキー氏。「だから、もちろんXXIO 11は女性にも向いている」。
スペック、発売時期、価格
XXIO X-eks-のスペックは上級者により向いている。
ドライバーのロフトは8.5度、9.5度、10.5度で調整機能なし。
フェアウェイウッドのロフトは、15度、18度、20度となっている。ハイブリッドは18度、20度、23度、26度の4ロフト。
アイアンは、21度の4番~43度のPW、49度のAW、56度のSWまで選択できる。
レフティには申し訳ないが、XXIO X-eks-は右利きのみのラインアップとなっている。
XXIO X-eks-のアイアンは、単品で税別カーボン24000円、スチール19000円。
ハイブリッドのカーボンは38000円、フェアウェイウッドのカーボンは53000円、そしてドライバーは80000円だ。
XXIO 11のスペックは、よりスイングスピードが遅いプレーヤー向けとなっており、ロフトは9.5度、10.5度、11.5度で左右のモデルがラインナップ。
フェアウェイウッドは16.5度の4番ウッドと23度の9番を含めて5モデルあり、ハイブリッドは4モデルが用意されている。
XXIO 11アイアンは、22度の5番~42度のPW、AW、SWまで選択可能だ。
XXIO 11のレディースモデルは右利きのみで、ドライバーはロフト10.5度~13.5度まで4種。フェアウェイウッドは5種、ハイブリッドは4種あり、カラーはレッドとブルーから選べる。
アイアンは24度の5番~44度のPWまでラインナップ。AW、SWも購入可能となっている。
価格はメンズ、レディースともにアイアンが1本、カーボンは24000円、スチールは19000円、ハイブリッドは1本38000円、フェアウェイウッドは1本53000円、ドライバーは1本80000円だ。
両モデルともに1月21日から発売予定となっている。
非常に重要で難しい問題
XXIOは、PXGの次に価格に対する読者の怒りを買うことがあるが、そうした不平や不満を受けても気にかけてはいないようだ。
「我々の価格を理由にPXGと比べられるが、それは酷い比較だと思う」とブランスキー氏。
「PXGはツアーブランドであり、XXIOを使うゴルファーに向けたクラブはデザインしていない。シャフトだってXXIOの方が軽量でバランスポイントも市場にあるクラブより高くなっている。そうしたシャフトで使われているカスタムカーボンファイバーはこの業界にはないものだし、チタン合金のフェースも他のクラブでは使われていないのだ」と断言している。
以前も言ったと思うが、高価格ブランドの存在により低価格帯のクラブが選択肢でなくなるということはない。
ゼロサムゲームではないのだ。しかしながら、価格を考えると我々が実施しているMost Wantedのテストにおいては、より良いパフォーマンスを期待してしまうものだ。
前作のXXIOは全体的にボチボチの評価だったが、低価格のコブラ F-Maxの方が全体的にパフォーマンスでは好結果となった。
しかしこれは、我々で用意したスイングスピードが遅いテスターがXXIOのターゲットとして合っていなかった可能性もある。新しいX-eks-のラインナップがどんな結果になるのかは興味深いところだ。
とは言え、軽くて易しくスイングできるクラブをラインナップするメーカーの数を考えると、このターゲット層は魅力的なはず。XXIOは高級ラインだけではなく低価格帯まで多くの競合と争うことになるだろう。
「確かに、競合は多いが、他社がXXIOのように、スイングスピードの遅いゴルファーに対してそこまでコミットするとは考えていない」とブランスキー氏。
「平均的なスイングスピードのプレーヤーに向けた製品を作ることが自分たちの最優先事項と語るような米国の主要ブランドはないと思う」と話す。
XXIOを見つけることができるのは、主にカントリークラブだろう。
先日、パームスプリングスに行った時には大量のXXIOを見かけたが、そこではお金持ちの年配ゴルファーが飛距離を取り戻すためだけでなくスイングしやすいクラブを求めてXXIOをチェックしていた。
XXIOではまずこうしたクラブで、ゴルファーに自身のドライバーを打ってもらい、その次にXXIOを試打してもらうというデモを行う。
ブランスキー氏によれば、この方法でかなりのクラブを販売するそうだ。
ブランスキー氏は「(XXIOは)皆さんが発音できない名前で、米国でトップのシェアがある製品よりも高額だ。テレビのCMも(これまでは)少ないし、ツアーでの存在感もないが、それでもよく売れている」と語る。
「このことがパフォーマンスの何を語っているのだろうか?」
お金があっても頭が足りないし、それではゴルフは良くならないと嫌味を言う人もいるだろう。
XXIO的にはターゲット層において、持続可能な特定分野を見つけたと言える。
X-eks-シリーズが、XXIOが望むように人気となり、時が過ぎ去ることを食い止めたい50代の上級者にアピールできるのか興味深い。
Leave a Comment