フォーティーンは昨年「カスタムウェッジプログラム」を投入したことによりブランド価値を回復したように見えたが、マーケット全体で見ると、RM-22ウェッジシリーズはマーケットで主力商品にはなれなかった。

「Wedge Wizard」と呼ばれたスペシャリスト、ジェイコブ・サンボーンがフォーティーンを離れたため、その代わりにカスタムプログラムを提供しつつ、フォーティーンは新世代のウェッジを発売し、前進しようとしている。

FH Forged V1は、フォーティーンの代表作かつRM-22の後継モデルとして発売される。RM-22から引き継いだのは、ブレードの上部に重量を持たせる「リバース・マッスル・テーパー・テクノロジー」だ。これにより重心位置を上げ、MOI(慣性モーメント・やさしさ)を増す。より「やさしい」ウェッジを造るために、必ずしも奇抜な技術(クリーブランドCBXのような)は必要ない。

とはいえ、フォーティーンはヘッドの周辺部分にわずかに重量を多く配分したマッスルバック構造を駆使して「やさしい」ウェッジを造ろうとしている。

FOURTEEN FH V1 WEDGES

FH Forged V1はリバース・マッスル・テーパー・テクノロジーの基本を受け継いでいるが、設計は改良され、さらに進化している。フォーティーンは、この技術を「W逆テーパーブレード」と呼んでいるが、これは3つの「テーパー」で構成される。

1つ目は、ブレード上部に向かって重量を持たせていること(「リバース・マッスル」の特徴)。2つ目は、ヒールからトゥに向かって厚みを持たせていること。3つ目は、ヒールに向かって細くなっているホーゼルである。

重量を再配分したのには、2つの基本的な目的がある。まず、重心位置を高くし、弾道やスピン量のコントロール性を高めること。また、重量をヘッドの周辺に移動させることで、MOI(慣性モーメント)を高め、インパクト時に安定的なやさしさをもたらすことだ。

FOURTEEN FH V1 WEDGES

シャフトにも「ストーリー」がある。フォーティーンは日本シャフトと共同で、最適な打ち出しとスピン量を実現する独自のFH Forged V1用ウェッジシャフトを設計した(N.S Pro TS114 W)。現在シャフト市場にあるウェッジ専門シャフト同様、2種類のシャフトが用意されている。コントロールショット用と、フルスイング用だ。

41~50度のウェッジは主にフルショットで使われ、52~60度はあらゆる距離や場所からのショットで使われるため、「オールマイティーさ」が求められるというのがフォーティーンの考え方だ。

シャフトの特徴は、日本シャフトオリジナルのModus 115ウェッジシャフト(112g)に似ていて、手元が柔らかく、先端が硬い設計だ。手元が柔らかく感じながらも、安定したコントロール性の高い弾道を生み出す。約20g軽い NS Pro 950GH HTもオプションとして用意されている。

FH Forged V1のもう一つの斬新なテクノロジーといえば、「鏡面ミーリングフェース」だ。グルーブ(溝)が一本一本精密に削られ、それによりスピンを最大限まで引き出す。フォーティーンによると、その工程は非常に手間がかかる作業であり、従来のミーリングの約2倍の時間がかかるという。

FOURTEEN FH V1 WEDGES

グラインド

フォーティーンはセットウェッジを選ばないゴルファーが多いことを受け、これまでの9番アイアン(41度)、ピッチングウェッジ(44/47度)、ギャップウェッジ(50度)に代えて、FH V1のロフト角のオプションを増やした。

これらは、「バンパー・ソール・グラインド」が特徴で、わずかにリーディングエッジリリーフ(リーディングエッジに接するソール部分のグラインド)が加わり、フルスイングに最適なウェッジとなっている。

FOURTEEN FH V1 WEDGES

52~56度のウェッジには、全体的に平らだが、それでもトゥに向かって少しテーパーがかかった「レギュラーソール」が採用されている。もう想像はつくと思うが、58度や60度のロフト角はスコアメイクを得意とし、Tグラインド(ツインソール)は必要不可欠なヒール、トゥ、トレーリングエッジ部分のグラインドを施し、グリーンまで100ヤード以内のあらゆるショットでその性能を発揮する。

 

テスト結果から見るFH V1

個人の技術は様々だ。だから自分に合うものを選ぶべきだ。FH V1は、フォーティーンのウェッジをすでに持っているか、数少ない「新しいもの好き」以外の注目を集めにくい、といった点ではRM-22とよく似ている。

とはいえ、V1は特にスピン性能や打感において多くの特徴がある。上級者にとって、打ち出しとスピン量をコントロールする能力はきわめて重要であり、スピン量をどれだけ生み出すかよりもおそらく重要だ。

スピンを予測(コントロール)できるかどうか、またスピンの安定性、これらが肝になる。コース上でも、計測器によるテスト(Foresight GC2 HMT装置によりデータを記録)でも、V1のスピン量は大手メーカーのプレミアムウェッジに匹敵する一貫した安定性があり、評価に値する。これは、フェアウェイや、やや長めのラフからのフルショットや、ハーフ/チップショットでも結果は変わらなかった。

打感は金属素材の種類やグレードによって評価されるべきではない。また、そのクラブがキャスト(鋳造)かフォージド(鍛造)かも、同様だ。

素材に限らず、設計やシャフト、スイングウェート、総重量などの複数の要素で決まるものだ。これら要素を考慮すると、FH V1ウェッジは、ほどよいバランスの柔らかさと安定感がある。ウェッジが得意なゴルファーほど、ショットごとに打感を感じたいだろう。FH V1はその期待に応えてくれる。

コントロールショット用シャフトのTS 114Wは、ピッチショットやハーフショットでその性能を発揮するが、フルショットには向いていなかった。ご存じのように、TS 114Wはフルショット用に設計されていない。スイングテンポが速いゴルファーや、ハードヒッターは手元が硬いシャフトを選択すべきだろう。

FOURTEEN FH V1 WEDGES

ルックス的には、V1はRM-22よりわずかに大きく、アドレス時により丸く見える。ピン(Glide Forged)とクリーブランド(RTX-4)は、最近ツアーをターゲットとしたよりコンパクトなウェッジを発売した。フォーティーンウェッジの前モデル(RM-22)は、その性能を高く評価され、様々なプロツアーで選手に支持されてきた経緯があるため、多少形状を変えたところで問題はないだろう。

昔から日本のゴルフクラブでは一般的にバックフランジにはブランド名やモデル名、ロゴなどが記されているが、フォーティーンはエポンやミウラ、ピン、クリーブランドと同じように、シンプルなデザインを目指すのではないだろうか。

客観的に見ても、ロフト角に合わせたグラインド設計は理にかなっている。

問題は、アメリカのゴルファーが、グラインドオプションに多くの選択肢を求めるようになってきていることだ。すべてのゴルファーがグラインドオプションを使いこなせるわけではないが、オプションが少ないと、スイングタイプやプレーの状況に合ったグラインドを求める最近の傾向に後れを取る可能性もある。

フォーティーンから提供されるグラインドは、大部分のゴルファーに合うと思うが、V1の「プレミアム」な価格設定はおそらくフィットしないだろう。

FOURTEEN FH V1 WEDGES

価格と販売予定

北米でのFH V1ウェッジの発売は、8月末を予定。価格は250ドル。仕上げはマットブラックとニッケルクロムの2種類。先ほども述べたが、日本シャフトから2種類のシャフトオプションが提供される。レフティー向けは47、50、52、56、58度に限定される。

フォーティーンは世界最大のゴルフマーケット、アメリカでの成功を目指す。最近ビジネスにおける重要な決定をしたということは、より明確なプランが現在進行中なのだろう。

 

果たして、FH V1は成功への起爆剤となるだろうか?

それとも、ピンやクリーブランドのようなトップメーカーに後れをとってしまうのか?

あなたは、フォーティーンをどう見るだろうか?