ゴルフボールの「コンプレッション」を一目で確認できるようなツールはないか?
これは、 MyGolfSpy『Ball Lab』でよく受ける質問だ。
その為、その質問に答えるべく、これまでに測定したすべてのボールを対象に「コンプレッションチャート」を作成した。さらに「レイヤー(層)数」、「ディンプル数」、「カバー素材」も併せて載せる出血大サービス。
また、チャートの下には、ボールのコンプレッション(硬度)に関するFAQを掲載した。この目的は、「コンプレッション(硬度)」に関する“誤った情報”がいかに巷に広がっているかを明らかにすると同時に、コンプレッションに関する疑問に答えていくことだ。
さらに質問がある場合は、コメントに残していただきたい。
ゴルフボール コンプレッション(硬度)チャート
コンプレッション(硬度)比較表
ボール | コンプレッ ション(硬度) | レイヤー(層) | ディンプル数 | カバー素材 |
---|---|---|---|---|
2019 TITLEIST PRO V1X LEFT DASH | 102 | 4 | 338 | ウレタン |
2021 WILSON STAFF MODEL R | 101 | 4 | 362 | ウレタン |
2020 WILSON STAFF MODEL | 99 | 4 | 362 | ウレタン |
2021 CALLAWAY CHROME SOFT X LS | 99 | 4 | 332 | ウレタン |
2021 MAXFLI TOUR X | 98 | 4 | 318 | ウレタン |
2020 CUT BLUE DC | 97 | 4 | 360 | ウレタン |
2019 TITLEIST PRO V1X | 97 | 4 | 328 | ウレタン |
2019 MIZUNO RB TOUR X | 97 | 4 | 360 | ウレタン |
2019 SNELL MTB-X | 97 | 3 | 360 | ウレタン |
2020 RZN HS-TOUR | 96 | 4 | 344 | ウレタン |
2019 SRIXON Z-STAR XV | 96 | 4 | 338 | ウレタン |
2021 TITLEIST PRO V1X | 96 | 4 | 348 | ウレタン |
2020 BRIDGESTONE TOUR B X | 96 | 3 | 330 | ウレタン |
2020 CALLAWAY CHROME SOFT X | 96 | 4 | 332 | ウレタン |
2021 SRIXON Z-STAR XV | 95 | 4 | 338 | ウレタン |
2015 PINNACLE PRACTICE | 95 | 2 | 332 | アイオノマー |
2022 SRIXON Z-STAR DIAMOND | 95 | 3 | 338 | ウレタン |
2022 CALLAWAY CHROME SOFT X | 95 | 4 | 332 | ウレタン |
2019 TAYLORMADE TP5 | 93 | 5 | 332 | ウレタン |
2020 VICE PRO PLUS | 93 | 4 | 336 | ウレタン |
2021 TAYLORMADE TP5X | 93 | 5 | 332 | ウレタン |
2019 MAXFLI TOUR | 92 | 3 | 318 | ウレタン |
2019 MAXFLI TOUR X | 92 | 4 | 318 | ウレタン |
2021 KIRKLAND PERFORMANCE + V2 | 91 | 3 | 338 | ウレタン |
2019 MIZUNO RB TOUR | 90 | 4 | 360 | ウレタン |
2019 TITLEIST PRO V1 | 90 | 3 | 352 | ウレタン |
2019 SNELL MTB BLACK | 88 | 3 | 360 | ウレタン |
2021 TAYLORMADE TP5 | 88 | 5 | 322 | ウレタン |
2019 SRIXON Z-STAR | 88 | 3 | 338 | ウレタン |
2016 VICE PRO | 88 | 3 | 318 | ウレタン |
2021 TITLEIST PRO V1 | 86 | 3 | 388 | ウレタン |
2020 VICE PRO | 86 | 3 | 318 | ウレタン |
2022 WILSON TRIAD | 86 | 3 | 362 | ウレタン |
2018 KIRKLAND PERFORMANCE+ | 86 | 3 | 338 | ウレタン |
2020 BRIDGESTONE TOUR B XS | 84 | 3 | 330 | ウレタン |
2022 BRIDGESTONE TOUR B XS | 84 | 3 | 330 | ウレタン |
2021 MAXFLI TOUR | 84 | 3 | 318 | ウレタン |
2020 ONCORE VERO X1 | 80 | 4 | 318 | ウレタン |
2020 TITLEIST VELOCITY | 80 | 2 | 328 | ウレタン |
2021 SUGAR G1 | 79 | 3 | 350 | ウレタン |
2017 ONCORE ELIXR | 78 | 3 | 318 | ウレタン |
2020 TITLEIST AVX | 78 | 3 | 352 | ウレタン |
2020 TITLEIST TOUR SPEED | 78 | 3 | 346 | ウレタン |
2022 TITLEIST AVX | 77 | 3 | 348 | ウレタン |
2020 CALLAWAY CHROME SOFT | 76 | 4 | 332 | ウレタン |
2020 TOP FLITE GAMER | 74 | 3 | 332 | アイオノマー |
2022 TAYLORMADE TOUR RESPONSE | 73 | 3 | 322 | ウレタン |
2020 BRIDGESTONE TOUR B RX | 73 | 3 | 338 | ウレタン |
2020 TAYLORMADE TOUR RESPONSE | 72 | 3 | 322 | ウレタン |
2020 VOCE PRO SOFT | 71 | 3 | 318 | ウレタン |
2018 NOODLE LONG & SOFT | 70 | 2 | 342 | アイオノマー |
2020 SRIXON Q-STAR TOUR | 69 | 3 | 338 | ウレタン |
2019 BRIDGESTONE E12 SOFT | 69 | 3 | 326 | アイオノマー |
2020 BRIDGESTONE TOUR B RXS | 68 | 3 | 338 | ウレタン |
2020 TITLEIST TOUR SOFT | 68 | 2 | 342 | アイオノマー |
2020 TAYLORMADE SOFT RESPONSE | 67 | 3 | 322 | アイオノマー |
2020 TITLEIST TRUFEEL | 61 | 2 | 376 | アイオノマー |
2021 BRIDGESTONE E12 CONTAC | 59 | 3 | 326 | アイオノマー |
2020 SRIXON SOFT FEEL | 56 | 2 | 338 | アイオノマー |
2019 BRIDGESTONE E6 | 52 | 2 | 330 | アイオノマー |
2020 WILSON DUO SOFT+ | 42 | 2 | 302 | アイオノマー |
2019 CALLAWAY SUPERSOFT | 38 | 2 | 332 | アイオノマー |
ゴルフボール コンプレッションFAQ
ゴルフボールのコンプレッションとは?
ゴルフボールの「コンプレッション」とは、ボールに負荷をかけた時にどれだけ変形するかを示す尺度をいう。コンプレッションが高いほど、ボールは硬くなる。
業界標準の測定器は1つではなく、同じタイプの機械でも測定値が微妙に異なることがあるため、あるメーカーでコンプレッション90が別のメーカーでは85になることや、当社の測定値とメーカーの測定値で異なることは珍しくない。ゴルフ業界あるあるだ。
そこで常に同じ測定器を使用することで、すべてのメーカー、モデルで一貫させることができる。そして、それが我々My Golf Spyの使命でもある。
また、私たちが公開するコンプレッション値は通常「ボール全体」のコンプレッションだが、メーカーはマーケティング目的でコアコンプレッション値を使用することがある。
コンプレッションは打感にどのように影響するか?
通常、タイトリスト「Pro V1x」、ブリヂストン「Tour B X」、キャロウェイ「Chrome Soft X」などの「高コンプレッションボール」は打感が硬く感じる。キャロウェイ「Supersoft」、ウィルソン「Duo」、スリクソン「Soft Feel」などの「低コンプレッションボール」は、柔らかい打感であることが多い。
しかし、「打感」が相対的な要素であることには注意していただきたい。ブリヂストン「Tour B XS」やスリクソン「Z-Star」のような、“ツアー基準でソフト”と言われるボールは、中ヘッドスピードのゴルファー向けと謳われるウレタンボール(「Chrome Soft」や「TOUR B RXS」、タイトリスト「AVX」)よりも常に“硬い”。
これらのツアーボールは、「Pinnacle Soft」、ウィルソン「DUO」、キャロウェイ「Supersoft」などの2ピースのアイオノマー製品と比べるとはるかに硬い。
一般的に、同じコンプレッションの場合、「ウレタンカバー」は「アイオノマーカバー」よりも柔らかく感じる。例として、私たちの測定ではタイトリスト「Velocity(ベロシティ)」は「AVX」よりもわずか2ポイント硬いだけだった。
しかし、ほとんどのゴルファーが「AVX」を超“ソフト”なボールだと感じていると推測される。
「打感」に関する注意事項として、メーカーが公表する「打感表示」は疑ってかかった方が良い。
90以上のコンプレッションボールを「ソフトな打感」として宣伝することが珍しくないからだ。「Chrome Soft X」と「Chrome Soft X LS」の名前には「ソフト」が含まれているが、この2モデルは「硬い」部類に入る。
ゴルフボールのコンプレッションはボール初速にどのように影響するか?
最初のロボットテストで分かったように、「ソフトボール」の「初速」は遅い。つまり、低コンプレッションボールはドライバーのボール初速が遅くなる傾向がある。ヘッドスピードが速いゴルファーにとって、初速の低下は大幅な飛距離ロスにつながりかねない。
低~中ヘッドスピードの人の場合、柔らかいボールを使った際のボール初速はやはり遅くなるが、(高ヘッドスピードのゴルファーと比べて)飛距離ロスは少ない。ヘッドスピードが35m/s以下のゴルファーは心配ご無用。あなたにはロスするほどの飛距離は無い。
一方、クラブが変わるとどうだろうか?ミドルからショートアイアンでは、ゴルフボールの「外層(マントル)」が初速の“スピード方程式”にとって重要な役割を果たす。大抵「低コンプレッション」のボールは、アイアンで飛距離でる傾向を示す。
コンプレッションはフルショットのスピンにどのように影響するか?
「コンプレッション」と「スピン」の間に絶対的な相関関係はないが、低コンプレッションボールの場合、その性質により、出せるスピン量が制限される。
大前提として理解すべきことは、スピン量を生むメカニズムは、「硬いレイヤー(層)」の上に「柔らかいレイヤー(層)」を積み重ねた結果であるということ。
「低コンプレッション」と「ソフトな打感」を目標とする場合、高コンプレッションのボールよりも「レイヤー(層)」を“柔らかく”する必要がある。
“ソフトの上にソフトを重ねる”ということは、低コンプレッション(つまり「ソフト」)ボールが硬いボールよりも低スピンになることを意味する。“低スピン特性の硬いボール”を作ることは可能だが、原則として、「最も柔らかいボールが最も低スピン」になる。
それに良し悪しはないが、両刃の剣になる場合がある。ドライバーのスピン量が少ないと、曲がらずまっすぐ飛びやすくなる一方、アイアンでのスピン量が少なくなり、グリーンをとらえるのが難しくなる。
ゴルフボールのコンプレッション(硬度)は弾道にどのように影響するか?
ボールの「弾道」は、ほぼ完全に「ディンプルパターン」で決まり、理論的には、(硬い、柔らかいなど)どんなボールにもどんな種類のディンプルパターンを設定することは可能だ。
その点で、コンプレッションはボールの弾道には影響を与えない。
とはいえ、例外はあるが、(タイトリスト「AVX」は低コンプレッションボールの中では比較的“低弾道”のボールだ)、ほとんどの低コンプレッションボールは「高弾道のディンプルパターン」とペアになっている。高い弾道とより緩やか落下角度でスピン不足を相殺するためだ。
ソフト/低コンプレッションボールはグリーン周りのショットでのスピン量が多くなるか?
答えは“No”だ。市場で最も柔らかいボールは、「硬めのアイオノマーカバー」と「柔らかいコア」の組合せを採用している。すでに述べたように、スピン量は「硬い層の上に柔らかい層」を被せた結果だ。
逆の組み合わせでは、グリーン周りでの大量のスピンは生まれない。別の話を聞いたことがあるかもしれないが、実際には、「Super Soft」や「Soft Feel」、「DUO」などのボールは、「Pro V1」、「Tour B XS」、「Z Star」よりもグリーン周りでのスピン量が少ない。
ウレタンカバーは「最も柔らかい層」だが、下にあるマントル層はかなり硬いので、グリーン周りでのスピンを重要視する場合、「ウレタンカバー」と「マルチレイヤー」のコンビネーションは譲れない。
しかし、すべてのウレタンカバーが同じように柔らかいわけではなく、同様に、すべてのマントル層が同じように硬いわけではないことは覚えておこう。
しかし一般的には、カバーとマントルの「硬さの差」が最も大きいボールが、グリーン周りで最も高いスピン性能を誇る(要するにスピンがかかる)ボールということになる。
特定のヘッドスピードに合うコンプレッション(硬度)はあるか?
ヘッドスピードにマッチしたコンプレッションが存在するという考えは、ボールフィッティングの世界で最も広まっている神話である割に、その実ほとんど根拠がない。
低ヘッドスピード(26.8m/s)のスイングで、ボールのコアを圧縮するとする。ここでの避けたいリスクは、「ヘッドスピードの低い人が、硬いボールのコアを十分に圧縮できないこと」ではなく、「高ヘッドスピードのゴルファーが柔らかいボールのコアを圧縮しすぎること」なのだ。
それでも、絶対は存在しない。高ヘッドスピードのゴルファーは低コンプレッションボールを避けるべきだが、ヘッドスピードが速く、かつ高スピンが持ち球のプレーヤーは、より「低スピン特性」のボールを選ぶことによって初速のロスを相殺することができる。
それが、ボールフィッティングで「弾道」と「スピン」に焦点を当てるべき理由だ。
タイトリストが「ProV1x」を他の誰よりも「アマチュアゴルファー向け」におススメしていることを知ると、皆さんは驚くかもしれない。
実際には、多くのゴルファー、特に「低から中ヘッドスピード」のゴルファーは、このボールの持つ「高弾道」「高スピン」特性のメリットを最も受けられるのである。
同様に、「Chrome Soft」はキャロウェイのウレタンラインナップの中で最も人気のあるボールだが、アベレージゴルファーの多くが「Chrome Soft X」の高スピン特性の恩恵を受けるのではないかとも想像する。
さらなる質問?
さらに質問がある場合は、ページ下のコメント蘭に残していただきたい。後の「#Ask MyGolfSpy」で、できるだけ答えていくつもりだ。
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