2023年を代表するPING「G430 MAX」とテーラーメイド「ステルス 2」ドライバーを比較。
この2つのモデルのどちらが優れているのかは、30モデルの性能テストを実施した『2023年ドライバーテスト』において既に結果が出ているので、まずはその結果をご覧いただこう。
このテスト結果は、315回の個別セッションにおいて35名のテスターから得たデータによるものだ。我々の徹底したテストは、毎年1,700万人の読者にリーチできる程皆さんも我々のリサーチと結果に信頼を置いてくれている。
というのは、単なる自慢話ではなく、我々が中途半端な性能テストを実施しているわけではないということを伝えたい。消費者が売れているドライバーだからという理由で手を出してしまうのもわかるが、こんなにも性能の違いがあるのに“本当にそれでいいの?”だろうか。
是非、流行りやメーカーの謳い文句に惑わされることなく、このようなデータ(中身)も含めて検討してもらいたい。
ではまず、この上記の黒い画像内にある「飛距離」を除いた数値は、スコア100点満点中の評価得点となる。
これを見るに、「ユーティリティ部門」と同じくPING「G430 MAX」の方が「総合」・「正確性」・「寛容性」・「ボール初速」の4項目で、テーラーメイド「ステルス2」よりも上回るっていることがわかる。
この結果を『2023年ドライバーランキング』の30モデルで見てみると、PING「G430 MAX」は総合8位、テーラーメイド「ステルス2」は12位となっている。
そして、その他各項目の順位がこちら。
PING「G430 MAX」VS テーラーメイド「ステルス2」ドライバー
モデル名 | 総合スコア | 飛距離 (ヤード) | 正確性 (%) | 寛容性スコア | ボール初速 (m/s) | フェアウェイ キープ率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
PING「G430 MAX」 | 90.7/8位 | 249.3/16位 | 93.1/3位 | 91.3/5位 | 63.56/19位 | 71.7/4位 |
テーラーメイド 「ステルス2」 | 88.1/12位 | 255.0/6位 | 84.8/16位 | 80.2/17位 | 64.13/1位 | 67.0/16位 |
先日公開した「ユーティリティ」と今回の「ドライバー」では、役割ももちろん違うが、ここから見えてくる簡単なことがある。
では、まずこの2モデルの特徴を見てみよう。まずはPINGから。
PING「G430 MAX」ドライバー
特徴
パフォーマンスに関して、PINGは「G430」シリーズが“G史上最大の性能向上をもたらす”と述べている。「G430 MAX」は“スピン量”と“一貫性”を組み合わせた『スピンシステンシー・テクノロジー』を搭載した初のPINGドライバーだ。この「G430」シリーズの設計の意図は、インパクト位置によるスピン量のばらつきを抑えることにある。スピン量が安定すれば飛距離も安定する。そしてこの『スピンシステンシー』は「正確性」と「寛容性」の両方に作用する。また、「G430 MAX」の『可変式ウエイト』はもともとニュートラルな設計で、3ポジションのウエイト (ドロー、ニュートラル、フェード) を備えている。26gのタングステンウエイトは、ポジションを移動するたび約8ヤードの弾道調整をもたらしてくれる。ブレない直進性と安定感抜群の信頼度の高いモデル。
高評価
「G430 MAX」は「正確性」と「寛容性」を備え、そしてミスヒット時の飛距離ロスを防いだ「一貫性」の高いモデル。非常に安定性に優れたこのモデルは、ユーザーが予測可能な範囲に着弾するドライバーショットを可能にしてくれる。また、「見た目」、「打音」、「打感」、「購入可能性」の4つの主観的な要素においてもテスターから高評価を受けている。
低評価
「G430 MAX」は、『超極薄の反発フェース』や空気抵抗を軽減する『タービュレーター』なども搭載しているが、やはりPING=「最高の飛距離性能」とはならず、それなりに安定した飛距離を提供するが、「最高の飛距離性能」を求めるゴルファーには選ばれないだろう。
PING「G430 MAX」のおすすめ層
PING「G430 MAX」は、「正確性」と「寛容性」を重視しているため幅広いゴルファーに適している。
続いて、
テーラーメイド「ステルス2」ドライバー
特徴
初代「ステルス」のデザインはフェースセンターでのインパクトを重視していたが、「ステルス2」におけるテーラーメイドの目的は、オフセンターヒット時での「初速アップ」と「寛容性」の向上を実現しつつも、センターヒットの初速もキープすることにある。ポイントは改良した「60層カーボンツイストフェース」の2g軽量化と初速をキープする『インバーテッド・コーン・テクノロジー』に改良を加えたこと。さらに、後方の25gのウエイトを搭載したことでMOI(慣性モーメント)がアップしている。また、空気抵抗を減少させる『イナーシャ ジェネレーター』との相乗効果で、テーラーメイドのキャッチコピーである、“どこまでも遠くへ”を実現している。
高評価
テーラーメイドは何よりも「初速」を重要視している。今回のテスト結果をみれば「初速」、「飛距離」としっかりと結果を残した。また、「見た目」、「打音」、「打感」、「購入可能性」の 4つの主観的な要素においてもテスターから高評価を受けている。
低評価
テーラーメイドはよりも高い「寛容性」を提供することを目的としており、キャッチコピーに“どこまでもやさしく”と表現している。だが、「寛容性」においては毎度のことだが、テーラーメイドが「高MOI」の最高クラスに入ることはない。「寛容性」17位という結果を見れば明らかで、決して易しいモデルではないということだ。
テーラーメイド「ステルス2」のおすすめ層
「ステルス2」ドライバーは「調整機能」搭載で、幅広いゴルファーに適している。「初速アップ」や「飛距離重視」のゴルファーには魅力的な選択肢となる1本だが、「正確性」と「寛容性」に欠けるためしっかりとフィッティングを受けることをおススメする。
比較のまとめ
データを見ればわかるように、PING「G430 MAX」の精度はお墨付きだ。毎度言うようだが、信頼性の高いメーカーだけに、価格は高いがこの精度の高いショットは、いざという時にこそ手放せない1本となるだろう。故に、中古市場での回転率が良く入れば売れる人気商品だという理由には納得がいく。
「G430 MAX」は高スピン/高打ち出し角で、「寛容性」と「正確性」、さらにフェアウェイキープ率も高い。つまり易しく上げて、ある程度飛ばしフェアウェイをキープする。コースを把握していれば、次のショットに繋がる狙うポイントが明確に判断できる。
たとえ第2打に苦手なフェアウェイウッドを持ってもなくても、PING「G430」ユーティリティは、「正確性」「寛容性」「飛距離」に優れた申し分ないモデルだ。故に、このPING「G430」ドライバーを使用することで着実にスコアメイクでき、スコアアップすること間違いなし!というわけ。より幅広いゴルファーに最適なクラブと言ってよい「G430 MAX」は、やはり見つけたら即買い必死のアイテム。
だが、高スピン/高打ち出し角なモデルだけに、高ヘッドスピードのゴルファーはボールが吹き上がってしまう可能性があるため、ヘッドスピードの47m/s以上あるゴルファーには不向きだろう。
一方、テーラーメイド「ステルス2」ドライバーのメリットは「飛距離」。やや低スピンで、打ち出し角は他のモデルと比較すると高くも低くもない平均的な位置。「寛容性」と「正確性」は平均をやや下回り、「飛距離」に特化したモデルとなっている。
これは「ステルス2」ユーティリティも同様、シリーズ全体の流れは同じ。故に真っ直ぐ遠くへ目的のポイントを狙うには、ある程度の技量が必要だということ。幅広いゴルファーに適しているとはいえ、このモデルは必ずフィッティングを受けることだ。
外資系のゴルフメーカーの人気は高く、中でも「テーラーメイド」は最も高い。「カーボンフェース」で話題を集め、初代「ステルス」に続き「ステルス2」の人気も高く、中古市場でも非常に回転率が良く売れている。
先日2024年モデルがUSGAの適合リストに掲載された。テーラーメイドが、カーボンフェースに注力しているとハッキリ言っている以上、同じテクノロジーを継承していると言うのが我々の見立てだ。
2024年モデルのテーラーメイドは、「プラス」から「LS」という表記に変えた、「Qi10 LS」ドライバーが掲載された。まだリストには載っていないが、リストに掲載される際は最低2つ以上の選択肢があることは間違いないだろう。果たしてどんな仕掛けがあるのか?
しかし同社は、2023年の販売実績と、「ステルス2」ドライバーのフェースの両面で不作の年だった。
PINGのような確実に良いものを作れたと確信しない限り、世に商品を送り出すことはしないという、慎重で信頼を失うリスクを冒さないメーカーに対し、一方とにかく話題性、とにかく売れるドライバーを作り、他社に圧倒的存在感を見せつけたいというようなPINGの信念とは正反対の強い思いを感じるテーラーメイド。
データにしたらこんな差があるのにも関わらず、なぜ売れるのか?もっと中身(データ)を見てほしいと言いたいところだが、これがテーラーメイドのブランド力。
そしてPINGは、「G430 MAX 10K」ドライバーをUSGAの適合リスト掲載。いったいこの「10K」にはどんな意味があるのだろうか?
2024年もこの2つの人気モデルから目が離せない。
参考までに
中古市場での価格はこちらを参考にするとわかりやすい。
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