今年の「ゴルフボールテスト」の最終日に、“小さな実験”を試みた。温度変化によってゴルフボールのパフォーマンスはどう変わるのか?好奇心ゆえの試みだ。
まず、温度上昇によるボールの変化を探るため、サンプルボールを熱にさらした。
さらに、極寒の中での影響を観察すべくボールを1日近く冷凍庫に入れた。
テストはロボットを使い、「常温で保管したボール」、「熱にさらしたボール」、「冷やしたボール」をそれぞれ9度のドライバーで、ヘッドスピード44.7m/sに設定し実施。
『Ball Lab』の一環として、コンプレッション(硬度)のデータも収集した。ボールを46.1度の熱ランプの下に1時間置いた後と、冷凍庫に6時間置いた後のコンプレッションの変化を測定。
では、実験結果を見ていこう。
重要なポイント
温めたボール
ゴルフボールを「熱」にさらしても、パフォーマンスに大きな影響はない。
冷たいボール
ゴルフボールを極寒に長時間さらすと、「性能」に大きな影響を与える可能性があることが分かった。
コンプレッション(硬度)
高温/低温にさらすと「コンプレッション」に変化を与える可能性があるが、驚くことに「冷却」よりも「熱」がコンプレッションに与える影響が大きい。
温めたボール
太陽下にさらされ温められたボールが、パフォーマンスにどのような影響があるのか検証した。スロープレーヤーをフェアウェイで待つ間ゴルフボールに何が起こるか想像してみよう。
直射日光によるボールへの影響が皆無とは言わないが、例えその影響が微々たるものであっても「熱」だけが原因だと明確には断言できない。
上のグラフが示すように、温められたボールは「ボール初速」がわずかに遅くなり、平均より少し「スピン量」が増加し、「弾道」もやや低くなった。また、「平均キャリーの差」はわずか1ヤードに留まった。
極端な場合、キャディーバッグを車のトランクに1日中置いておくと、より影響が出やすい。それについては、熱ランプ下に置いた実験から明らかになった。
さらに、どのくらいの「熱」がコンプレッション(硬度)に影響を与えるのか定量化する実験を行なったところ、46.1度に1時間一定にさらすと、コンプレッション値が15ポイント以上減少することが分かった。
熱源を取り除くと、コンプレッションは10分ごとに1〜2ポイント増加し正常に戻る。
このことから、「Pro V1x Left Dash(プロV1xレフトダッシュ)」を「Chrome Soft(クロムソフト)」並みのコンプレッション(硬度)に変えたいわけではなければ、車中での保管はおすすめしない。
冷凍ボール
今度はボールを冷やすために冷凍庫に約6時間保管した。
一番興味があったのがこの実験で、「加熱」の次はもちろん「冷却」しかない。
南カリフォルニアや温暖地域に住む人達には必要のない話だが、氷点下の中ティーオフすることのある私達は、車中にバッグを置いたままにすることがよくある。このテストは温暖地域の人が思うほど突拍子のないテストではない。
私は20代の頃から重ね着をしてでもゴルフシーズン外にラウンドをしていた。
「凍ったボール」を打つとき、パフォーマンスへの影響はより甚大だと言える。
まず、一番の違いは「打音(もしくは打感)」。凍ったボールの打音は、大きく不快な音だった。
観察すると、ボールの表面の質感が変化し、かなり硬くなっているように感じる。考えられるのは、低温によってウレタンカバーの材質が変化し、非常に悪質なサーリンのような性質に様変わりする。
興味深いことに、「コンプレッション(硬度)」への影響は最小限だった。冷凍庫で6時間保管した後でも、コンプレッションは2〜3ポイントしか変化しなかった。
パフォーマンスでは、「冷凍ボール」の「打ち出し角」は低く、「スピン量」が多かった(500rpm近く)。また、「ボール初速」は大幅に低下(平均2.7m/s以上)。「弾道」は低く、少し不安定にも感じた。「飛距離(キャリーとトータルの両方)」に関しては21ヤード以上短くなってしまった。
「コンプレッション」や、「初速」、「飛距離」を考えるなら、ボールを冷たい場所に保管するのは避けよう。
まとめ
初の試み、「ボールの温度差実験」の結果は非常に興味深いものがあり、まだまだ追求する価値がありそうだ。
今のところ、「ボールの温度差」はパフォーマンスに影響を与える可能性があると示唆されたが、これが“問題”になるかどうかは、どのような環境にどれくらいの時間置くかによる。
最も確実なのは、ゴルフボールを車の中に置いたままにしないこと。「室温」がベストだということだ。
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