私に初めてゴルフをさせた時に父が描いていたゴールは、私が「ゴルフを楽しむ」ことができるようにする、ということだったそうだ。
私がゴルフを楽しめるように、2人でコースや練習場に行くたびに、父は様々なゲームの要素を取り入れた。しかしもっと重要なのは、私たちが絶対にスコアをつけなかったことと、父からの指導がほんのわずかだったことだ。
とはいえ、父の指導はいつも役に立った。クラスAのPGAプロだった父はゴルフの基礎をしっかり理解していたが、私に「完璧なスイング」を教えようとしたことは一度もなかった。父はアーノルド・パーマーの「あなたのスイングで振る(swing your swing)」という言葉をモットーにしていて、私のスイングを受け入れてくれたのだ。
父の指導の結果、私は「ゲーム」が大好きになった。私がゴルフを「ゲーム」と呼ぶのは、父がいつも「ゴルフはただのゲームに過ぎない」と言っていたからだ。
私のゲームが進化していくにつれ、コースでの父との関係も変わっていった。父は私にゴルフの才能があることに気づき、才能を伸ばしたいと考えていた。
父は毎日私に「練習しなさい」と言い、私は毎日父に「練習してきた」と報告するような関係が続いた。
私がティーンエイジャーになると自立心が芽生え、ゲームに関して細かく関与をしないでほしいと感じるようになったが、父にとってこれは難しかったようだ。
父は私を導き、サポートすることを望んでいたが、私はそれを息苦しく感じるようになっていた。コーチでなく親であり続けることは、子どもにゴルフをさせる親の課題だろう。
子どもがゴルフに熱中したままでいられるように、親として押し付けがましくなっていないか省みつつ、他人にコーチを任せるタイミングについても考えておかなければならない。
すでに子どもにコーチがついているのに何か口出ししたくなったら、こう自問してほしい。「もし自分が同じことをされたら、やる気がなくなってしまうだろう?」と。子どもも同じなのだ。
では、どうやってバランスをとればいいのだろうか。
「両親とジュニアゴルファーのためのゴルフガイド:ジュニア、カレッジ、プロツアー、それ以降の成功の秘訣」の著者ジャッキー・ニコレッティ・マクソリーは、子どもと両親との間の仲介役を務めてきた。
クラスAのLPGAインストラクターであり、米国ゴルフ・アカデミーのインストラクターでもあるマクソリーは、長年数え切れないほどの生徒を指導してきた。その教え子の多くは、大学でゴルフの奨学金をもらったという。
「最大の過ちは、親が子どもを追い詰めることだ。私がコーチをしていた子どものショットが良くなかった時、腕立て伏せをさせる鬼軍曹のような父親がいた。その父親は子どもからゴルフの楽しみを完全に奪い取っていたのだ」とマクソリーは語る。
マクソリーは、両親が子どもと接する時、ゴルフがまるで「究極の目標」であるかのように思わせないよう留意しなければならないという。
「ゴルフで奨学金を得ようとする子どもは非常に大きなプレッシャーを感じているので、努力をすれば奨学金をもらえるという誤った希望を持っている。実際に奨学金をもらえるのはごく一部の子どもだけだ。こうして親だけでなく子どもも疲弊してしまうのだ。」
また、保護者側も指導されることを厭わない姿勢が必要だ。
「私は子どもより親を指導することのほうが多い。親には、どうしたら子どもに良いサポートができるかを考えてもらわなければならない」
これは、マクソリーのようなインストラクターに管理役を譲り、信頼することを意味する。
私たち親子の場合、父は最終的に身を引いてくれた。父は、私のゲームの将来について自分自身で決断をすることを許してくれたのだ。
今の私は、それが父にとって簡単ではなかったとわかる。父は誰よりも私のことを信じてくれていたし、父のゴールは私の可能性を最大限に引き出すことだった。
強制するのではなく、私を励ますことに徹してくれた父のおかげで、私は自分自身で道を切り拓き、愛するゲームを続けることができた。父のアドバイスがほしい時は、自ら父にそう伝えた。
ジュニア・トーナメントで父は何度か私のためにキャディーをしてくれ、私がLPGAの資格を取るための学校に通っていた時には、私のクラブを運び、コースでは熱心にサポートをしてくれた。結局私は3回目のチャレンジで、資格を取ることができた。それは私にとって決して忘れられない瞬間だが、父にとっても大切な思い出に違いない。
子どものゴルフのコーチしている保護者の皆さんには、「どうしたらコースでお互いに楽しい時間を過ごすことができるか」ということにフォーカスしてもらいたい。そうすれば、ゲームは子どもとあなたの絆を深めるものになるだろう。
子どもがゴルフで成功することは、その副産物でしかないのだ。
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