・ミズノの2022年モデル「ST-X 220」フェアウェイウッド&ハイブリッドが発売
・打ち出し条件の向上と若干のドローバイアスを強化
・価格はフェアウェイウッドが229ドル、ハイブリッドは224ドル、発売は2月3日(アメリカ)
※日本では3月11日発売予定
ミズノはこれまで、数多くのアイアンを世に送り出してきた。どのような見方をしても、それは周知の事実であり多くの人が理解していることだろう。
しかし、その成功の代償としてメタルウッドのラインナップは、明らかに精彩を欠いている。少なくとも数世代前まではそうだった。
その分岐点となったのが、2019年の「ST 190」ドライバーだ。当時、ミズノは一番の障壁を「トップクラスではないボール初速」だと考えていた。ドライバーに十分素晴らしい性能や特徴があったとしても、トップクラスのボール初速のなさを克服することができずにいた。
ドライバーの世界で、スピード(初速)は“通貨”であり、ミズノには“可処分所得”が足りなかったということだ。
それ以降、ミズノはフェアウェイウッドとハイブリッドに再び注力したことで、同社の全メタルウッドシリーズがもはや業界後発組ではないという立場を取れるようになった。
それどころか、「ST-X 220」フェアウェイウッドとハイブリッドは、業界トップに匹敵する性能を備えミズノの愛好者をターゲットにすることを真剣に意識する戦略を取った第3世代モデルとなっている。
ミズノ「ST-X 220」フェアウェイウッド
ミズノが2022年に発売するフェアウェイウッドは「ST-X 220」の1モデルのみ。そこで「なんでドライバーのように2モデル発売しないの?」と疑問に思うゴルファーもいるだろう。
それはいい質問だ。
これは一時的なものにすぎない。計画した発売サイクルに対する不運な妨害とでも言っておこう。新型コロナウイルスの影響、サプライチェーンの問題、あるいは口パクで有名なダンス・ユニットのミリ・ヴァニリが言いそうな「雨のせい」かも知れない。理由はどうであれ、今回は1モデルのみ。
というわけで、存在しない「ST-Z 220」については手短にする。あるいは、そういったモデルになりそうなクラブカテゴリーについてと言うべきか。ミズノは、2021年に「Z」モデルのフェアウェイウッド「ST Z」を発売した。
しかし、こちらは廃盤で今年は後継版がない。そのため現状では「ST-X 220」だけとなっており、ミズノが来年リリースするであろうラインナップには、明らかなギャップができることになる。
ミズノ「ST-X 220」テクノロジー
「ST-X220」ドライバーの記事で取り上げたように、「X」モデルはミズノにとってより「寛容性」があり、やや「ドローバイアス」のタイプとなっている。これはフェアウェイウッドとハイブリッドでも同様で、しばらく先もこのアプローチは続くだろう。
テクノロジーについて深掘りする前に、どうやって各社が異なるクラブデザインに応じて特定の素材を選択するのかを説明するために、一例を挙げてみたいと思う。
まず、クラブ設計において規定の限界値があること、そしてそれはUSGAの規定に基づいて計測されているが、計測上および製造上の「公差」があることに留意して欲しい(サイズやCOR:反発係数/CT:スピード、長さなど)。その他はもっと機能的なことだ。
例えば重量でいうと、一般的なフェアウェイウッドのヘッド重量を約210gとしよう。そこで、1gを1ドルと考えてみよう。そして210ドルを手にし、好きなように使えるとする。とはいえ、210ドル全額の使用は必須。もしものために10ドルを残しても仕方ないはずだ。
ミズノ「ST-X 220」3番ウッド
一般的に「複合素材」構造というと、ひとつのモデルに関して言われることが多い。今回の場合だと、ミズノ「ST-X 220」の3番と5番、7番ウッド間の主な違いで、「ST-X 220」の3番は「SAT2041 βチタン」フェースと「Ti811チタン」ボディ構造だが、5番と7番は「MAS1Cマレージング鋼」フェースが採用されている。
チタンはスチールよりも軽量だ。「ST-X 220」の3番ウッドは、軽量チタン構造にで重心をヘッドのより低/深部に配置することが可能。「ST-200X」に比べ、重心は3mm深く、若干低くなっているという。
「ST-X 220」ドライバー同様、「ST-X 220」の3番ウッドは、クローズ(フェースが閉じる)/シャットフェース(右利きの場合、スイングをした時にフェースが左を向いた状態)だったり、またはライ角がアップライトになっているなどアドレスの見た目で分かるようなことが全くなく、重量特性により、ややドローバイアスになっている。
ドローバイアスに見えることなくドローが打てる特性を求めているミズノの契約プロが、いかに多いか驚くはずだ。
ミズノ「ST-X 220」フェーステクノロジー
フェーステクノロジーは、個々の部位としてはあまり考えず装置として考えた方がよい。そういう点で、ミズノの『ウェーブテクノロジー』(フェースに隣接するリブ構造)は、フェース素材とともにボール初速、弾道、そしてスピンの最適化を実現する。
メーカーはしばしば、色々な打点で理想となる弾道特性を実現するための取り組みについて語ることが多い。フェアウェイウッドでは、それは結局のところフェース中央と中央より下でのインパクトを指す。
ミズノのテストによると、「ST-X 220」はスイートエリアとフェース下部の両方のショットにおいて、他社に引けをとらない「COR値(反発係数)」を達成したようだ。だが自社テストは、各社の基準と競合の既存品を比べたものなので正直微妙ではある。
故に、とある新製品が他社の既存品よりも優れているという情報は多くなりがちだ。そのため残念ながら、競合のこれから発売される新作と比較してどうなのか、ということはあまり知ることができない。そしてこれからも、その繰り返しだろう。
ミズノが「ST-X 220」フェアウェイウッドで挑戦した主なことは、打感の良さを確保するという単純なことではない。今回は、全てチタンの3番ウッドから「MAS1Cマレージング鋼」を採用した5番、7番に至るまで、一貫して心地良い打音も確保している。
ミズノは、重量特性と全体のデザインの工夫により、使う素材に関係なく似たような(最終的に打感を作り出す)打音のピーク周波数を維持するノウハウを持っている。
ミズノ「ST-X 220」スペックの留意点
「ST-X 220」のホーゼルは接着/固定されている。その主な理由は、アジャスタブルホーゼル(ロフト角・ライ角を調整する可変スリーブ)は8gから10gあり、ミズノがこのウエイトを低・深重心にするために活用した方が良いと考えているからだ。
さらに今回のロフト角は16度からとなり、シャフト長さも43.25インチとなった。
ミズノ「ST-X 220」ハイブリッド
フェアウェイウッド同様、「ST-X 220」ハイブリッドも1モデルのみ発売。既存の「CLK」ハイブリッドに比べると、「ST-X 220」はややドローバイアスで高弾道が出やすくなっている。これはあくまでも予測に過ぎないが、ミズノは「CLK」の後継モデルとして、「ST-Z」のフェアウェイウッドとともに「Z」モデルのハイブリッドを発売するかもしれない。
「ST-X 220」ハイブリッドの特性については、フェアウェイウッドのところで語ったこととほぼ同じ。「ST-X 220」フェアウェイウッドと同じようなクラブ特性のハイブリッドを求めているのなら、「ST-X 220」ハイブリッドが理にかなった選択肢といえる。
素材と詳細
ミズノ「ST-X 220」ハイブリッドは、極薄ワッフルクラウンと1.8mm厚の「MAS1Cマレージング鋼」フェースを採用。ともかく、毎度ワッフルクラウンを語るときには、ワッフルコーンを考えずにはいられない。
もっと大切なことは、ミズノが、「ST-X 220」フェアウェイウッドの5番と7番、そしてアップデートされた「Mizuno Pro Fli-Hi」に使われているこのフェース素材を、本当に好んでいるということだ。
この「ST-X 220」は、「ST200X」ハイブリッドより深重心でスイートエリアが低めに設定されていることが特徴。そして再設計された『ウェーブソール』と「MAS1Cマレージング鋼」フェースにより、フェース下部と中央のCOR値が向上している。
その結果として、「ST200X」よりもやや打ち出しが高い、若干ドローバイアスのハイブリッドとなっている。
スペック・価格・発売時期
「ST-X」フェアウェイウッドのロフト角は16、18,5、21.5度(右打ち用のみ)。
純正シャフトは三菱「Diamana Red 50 (ディアマナレッド50)」、「Tensei AV Raw Blue 60(テンセイAVローブルー60)」、アルディラ「Ascent Red 50/60(アセントレッド50/60)」、「Ascent UL 40(アセントUL 40)」、そしてUSTの「HeLIUM NanoCore(ヘリウムナノコア)」となっている。
「ST-X」ハイブリッドのロフト角は20、23、26度(右打ち用のみ)。
純正シャフトはアルディラ「Ascent UL Hybrid 50(アセントULハイブリッド 50」とUST「HeLIUM NanoCore Hy 50(ヘリウムナノコアHy 50)」となっている。
ミズノ「ST-X 220」フェアウェイウッドの小売価格は299ドルで「ST-X 220」ハイブリッドは224ドル。発売日は2月3日で現在予約受付中。(アメリカ)
※日本では3月11日発売予定となっている。
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