・ミズノが「ST-Z 230」と「ST-X 230」ドライバーを発表
・『コアテックチャンバー』搭載で初速アップ
・軽量モデル「ST-X 230 PLTNM(プラチナム)」も登場
・小売価格は、スタンダードモデルの「Z」と」X」が499ドル、「PLTNM(プラチナム)」モデルが549ドル(アメリカ)
・23年2月23日より販売開始(アメリカ)
※日本での価格および発売日:「ST-Z 230」「ST-X 230」ドライバー各¥92,400(税込)、23年3月発売(予定)
ミズノは今回の新作「ST-Z 230」と「ST-X 230」で、アイアンブランドとしてのイメージからの脱却をはかっている。
とはいえ、そのイメージは“悪い”ものではない。ミズノは今年、過去最高の市場シェアを達成し、現在市場の約15%を占めているという。MyGolfSpy読者に限っていえば、ミズノアイアンの使用率は20%以上と上回っている。
ミズノのドライバー使用率は、市場全体の使用率と比較してMyGolfSpy読者の方が高いものの、その差は2.4%とわずかに上回っているだけだ。
実際、トーナメント会場でもミズノのドライバーを目にする。ミズノの契約選手は全員ミズノのドライバーを使わなければならないのだが、驚くべきことに契約外の選手が使うケースも最近は見受けられる。
どうやら、ミズノのSTドライバーシリーズは少しずつでも正しい方向に進んでいるようだ。
もう少し時間をかけて
ご想像の通り、「ST-230」シリーズの計画というか目標は、その勢いを維持すること。そのために、ミズノはドライバーの開発を2年サイクルにシフトすることにした。そもそも1年で大きな進化が見られることは稀なので、多少ブレーキを踏んででもミズノはフィッティングツール(ヘッド、シャフトなど)などに大きな投資をすることを選択したということだろう。
そうなれば、もしかしたら左利き用のオプションがもっと充実するなんてこともあるかも知れない。
だからといってミズノ「ST-X 230」と「ST-Z 230」がシリーズ唯一のドライバーになると言っているわけではない。今年後半にはシリーズの新展開が予定されているし、その内容もだいたい予想がつく。それも2年周期となるだろう。
そんなミズノの未来予想図を理解した上で、STドライバーシリーズの立ち位置を見てみよう。
ミズノ「ST-230」ドライバー – 技術アップグレード
「ST-Z 230」と「ST-X 230」の2機種のミズノSTドライバーモデルは、「ST-220」の後継モデルだが、全てが変更されているわけではない。
このところのミズノは、ドライバーで2041βチタン『コアテック』フェースと『ウェーブソールデザイン』を組み合わせている。『ウェーブソール』はフェース下部でのたわみを増大させるためのもので、ミズノが『COR領域(CT値が0.80以上であるフェースの領域)』と呼んでいるものを拡大するのにも役立った。
結局、これがUSGAのルールを逸脱することなくボール初速を上げるためにミズノが選んだ方法だった。
「ST-Z 230」と「ST-X 230」ドライバーではこの『コアテック』が大幅に進化している。これが、ミズノが『コアテックチャンバー』と呼ぶものだ。
ミズノは4年前からこの『コアテックチャンバー』に取り組んできた。同社によれば、ドライバーの初速はすでに十分あったが、更に速いボール初速を生み出すために欠けていたピースが『コアテックチャンバー』だったという。
物理的に言うと、『コアテックチャンバー』は青いテトリスのブロックのような形をしたものと、その中にある小さな“鉄芯”ステンレスとの一体成型物だ。この青いものとは、実際には「TPU (応答性材料)」 で、チタンに直接溶接できないため必要なものとなっている。
ミズノ「コアテックチャンバー」の仕組み
『コアテックチャンバー』はスルースロット設計だ。これにより、ソールがたわみ、剛性の低い新TPU構造のおかげでフェースにかかる力が軽減されることにより肉薄化が可能となり、フェース下部に当たった時でも初速アップを実現している。
TPU素材には減音性もあるため、ミズノ「ST-230」ドライバーは以前のモデルに比べて、より静かでモダンな打音が期待できる。
『コアテックチャンバー』設計の最も興味深い部分はインパクト時に何が起こるかだ。『コアテックチャンバー』はフェース下部のたわみをよりも早く復元させる効果がある。これにより反発を高める効果が得られる。
これは、だれもミズノから生まれるとは思ってもみなかった“5つ星の革新技術”と言ってもよいだろう。しかしこれで同社が既存の性能の限界を打ち破ったと主張しているわけではない。
初速は鉄のインサートを使用しない場合よりも平均して0.22m/sほど速くなる。また、スチールが前方に配置されていることでスピン量も約200~250rpm低下する。
ご存知のように、初速が速くスピン量が少ないほど飛距離は伸びるのだ。
βチタンフェース
「ST-Z 230」と「ST-Z 230」ドライバーで、ミズノは引き続き『SAT 2041鍛造βチタンフェース』を採用した。ちなみに、『SAT 2041』は低弾性かつ高張力の合金。基本的に、広く使われている『6-4チタン』よりも柔軟でありながら非常に強く耐久性がある。
ミズノ「ST-230」ドライバー2モデル
「ST-230」でミズノは、「ST-X 230」と「ST-Z 230」の2モデルを投入。その構造は驚くほど似ており、どちらも12gの『コンポジットクラウン』と6グラムの『コンポジットソール』を備えている。『コアテックチャンバー』も同様で、いずれも重量は14gだ。
この両者の違いは、ヘッド形状と14gのウエイト配置にある。
ミズノ「ST-Z 230」ドライバー
最近のミズノドライバーに精通していれば、「ST-Z 230」の「Z」がクラブヘッドの「Z軸」を指すことは知っているだろう。この名前は「ST-Z 230」の設計において、「Z軸」とはフェース面からヘッド後方に向けて重量を集中させていることを示している。
いつもならここで慣性モーメント向上のために重量を可能な限り後方に動かすことについて説明するところだが、ミズノのクリス・ボーシャル氏は「ST-Z 230は慣性モーメントありきではない」と明言する。
つまりこれは“最大限の寛容性”を追求するものではないということだ。
「ST-Z 230」は、ミズノが重量を後方に集中させているという点でバランスの取れた設計だが (14gのウエイトは「ST-230 Z」のヘッド後部中央に配置)、前方に配置された『コアテックチャンバー』にもかなりの重量が配分されている。
“回転半径の理論”?と思った方、正解だ!!
実はこの「Z」、重心をできるだけニュートラル軸に近づけるように設計されているのだ。簡単に言えば、重心位置をフェース中央に近づけるということだが(ちなみにそれが叶った試しはない)、これが最終的にボール初速の最大化に繋がるわけだ。
ミズノ「ST-Z 230」は、ボールの飛びに関してはニュートラル (ドローバイアスでもフェードバイアスでもない) になるように設計されている。ミズノ史上最も低スピンのモデルではないだろうが、重心位置がニュートラル軸に近いということは、慣性モーメントをある程度確保しながら、スピン量も低めのモデルであると言って差し支えないだろう。
ミズノによると、「ST-Z 230」ドライバーはクラシックな洋ナシ型で、(標準設定での)アドレス時にはスクエアかオープン気味に見えるという。
ミズノ「ST-Z 230」のロフト角は、9.5度(7.5から11.5まで調整可能)か10.5度(8.5から12.5まで調整可能)のいずれか。10.5度は右利き用のみ。純正シャフトの長さは45インチとなっている。
ミズノ「ST-X 230」ドライバー
ミズノ「ST-X 230」ドライバーについて知っておくべき最重要項目は、“アンチスライス設計”ではないということ。確かに名前の「X」は、重量が「X軸」に沿ってヒールへとシフトしていることを意味しているが、ボーシャル氏は「X」はドローバイアス製品の中で「最もドローが少ない」と言う。
「ST-X 230」ドライバーの目的は、PINGの「G430 SFT」に対抗することではなく、重心位置をシャフト軸に近づけて“つかまりやすいクラブ”を作ることだ。“大きなスライスの修正”ではなく、“わずかにドローを促進する”ものと考えてほしい。
PGAツアーにおいて「ST-Z」と「ST-X」がほぼ同じ割合で使用されていることからもそれがわかる。
形状に関しては、「ST-X」は「ST-Z」よりも少々フェース面が高く、重量はヒール寄りに配されているため、少し丸みを帯びた形状となっている。
標準設定ではほとんどの人がスクエアに構えられるはずだ。
ミズノ「ST-X 230」のロフト角は、9.5度、10.5度、および12度のいずれか。左利き用は10.5度のみ対応。純正シャフトの長さは45インチだ。
純正シャフト
ミズノ「ST-Z 230」および「ST-X 230」ドライバー用の純正シャフトは以下の通り:
・USTマミヤ「LINQ Red(リンクレッド)」(高打ち出し)
・三菱「Kai’Li Blue(カイリブルー)」(中打ち出し)
・プロジェクトX「HZRDUS RDX Smoke Green(ハザーダスRDXスモークグリーン)」(低打ち出し)
ミズノ「ST-X PLTNM(プラチナム)230」ドライバー
また、同社の「J-Spec」に代わる軽量モデルとして、「ST-X PLTNM(プラチナム)230」が「ST-230」ラインナップに加えられた。「ST-X PLTNM 230」は、スタンダードモデルの「ST-X 230」よりも30g軽量。「PLTNM」で注目すべきは、USTの「ヘリウムプラチナ」シャフトと軽量グリップだ。
ミズノ「ST-X PLTNM」は右利き用のみ、ロフト角は10.5度と12度のいずれか。純正シャフトの長さは45.5インチとなっている。
なお、44インチの女性用もある。
価格と発売日
ミズノ「ST-Z 230」と「ST-X 230」ドライバーの小売価格は、499.95ドル。「ST-X PLTNM(プラチナム)230」は、549.95ドル。販売開始は23年2月23日(アメリカ)。
※日本での価格および発売日
<ミズノ「ST-Z 230」 ドライバーの価格>
・TOUR(ツアー) AD GM D カーボンシャフト:¥92,400(税込)
・Diamana(ディアマナ) MM D カーボンシャフト:¥92,400(税込)
<ST-X 230 ドライバーの価格>
・TOUR AD GM D カーボンシャフト:¥92,400(税込)
・Diamana MM D カーボンシャフト:¥92,400(税込)
・Air Speeder(エアスピーダー) FM D カーボンシャフト:¥92,400(税込)
・22 MFUSION(エムフュージョン) D カーボンシャフト:¥92,400(税込)
※発売は、2023年3月予定。
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