・ミズノが新「T22」ウェッジシリーズを発表
・「T22」ウェッジは小ぶりなヘッドが特徴で上級者を対象としている
・「T22」ウェッジのグラインドは4タイプ、仕上げは3つ、ロフト/バウンスオプションは13個ある
・価格は159.95ドルで発売日は10月14日
ミズノが本日(9月13日)、新しいウェッジシリーズの「T22」を発表した。ミズノの“バターナイフ”のような鍛造アイアンのおかげで、ゴルファーの多くはミズノを「アイアンのメーカー」として見てはいるが、同社の他のクラブを同じように拝めてはいない。
ミズノを近視眼的に見ていると、市場にある素晴らしいウェッジを見逃す要因にもなり、それは非常に残念なことだ。
皮肉なことに、ミズノはアイアン部門で成功を収めたことで、「アイアンだけのメーカー」というイメージが定着してしまった。これは「ミュージシャンになりたい人気俳優」の典型例だ。
俳優は俳優のままでいて欲しいというのが人々の願いだし、特に「素晴らしい俳優」が、ミュージシャンとしては“そこそこの実力”だと分かったりしたら、それこそファンはその俳優を「歌手」と見なすことは困難だ。
ミズノは、アイアン以外のクラブを発表する度に、消費者に対して彼らが「リンジー・ローハン」というより「ジェイミー・フォックス」であることを証明しなくてはならないのだ。
実際のところ、ミズノは素晴らしいウェッジも創ることができるメーカーで、『Most Wantedのウェッジ部門』でも素晴らしい成績を出し続けている。
2017年には、ミズノの「T7」ウェッジが総合1位となり、2018年には「S18」ウェッジが、そして2019年には「T20」ウェッジがそれぞれ総合2位となった。
衝撃的なのは(衝撃的というのは皮肉だが)「最高の鍛造アイアン」を生み出すことで知られるメーカーは、「最高の鍛造ウェッジ」も創り出しているということだ。
これまでゴルファーの目に触れることが少なかったとしても、ミズノの最近のウェッジを見れば、「T22」ウェッジもしっかりチェックしなければならないだろう。
ミズノ「T22」ウェッジのスペック
・素材:グレインフロー・フォージド1025ボロンスチール(軟鉄ボロン鋼)
・フェース:クワッドカット・ミルドグルーブ
・仕上げ:デニムカッパー、サテンクローム、ロウ(ノーメッキ)
・グラインド:Sグラインド、Dグラインド、Cグラインド、Xグラインド
・ロフト:46度から60度
・純正シャフト:ダイナミックゴールド・Tour Issue(ツアーイシュー)ウェッジ
・純正グリップ:ゴルフプライドZ-Grip Full Cord 60R
・右打ち/左打ち(左打ちはサテンクロームのみ)
・メーカー希望小売価格:159.95ドル
・発売日:2021年10月14日
ミズノ「T22」主な特徴:ツアー好みの形状
「T22」ウェッジを前作の「T20」の隣に並べてみると、「T22」が小ぶりであることに気がつくだろう。これはデザインによるもの。ミズノはツアープロたちからの要望をしっかりと汲み取り、今回、よりコンパクトな見た目のウェッジを開発した。
今回変更になったのは物理的な部分もあれば見た目の部分もある。改良されたティアドロップ型の形状は、よりコンパクトになり、ホーゼル(ネック)からフェースへの流れはツアープロが好むよう見た目も洗練された。
トップライン後部の斜めになっている部分は、正確には物理的変更だが、その目的は「T22」のトップレイルをより薄く見せることにある。
ミズノ「T22」主な特徴:フィニッシュ(仕上げ)のオプション
最初は「ブルーイオン仕上げ」がないことがかなり嫌だったが、新たな「デニムカッパー」仕上げがそんな想いをすぐに吹き飛ばしてくれた。
「MP20」アイアンと同様、今回のウェッジは「銅PVDコーティング」ではなく、「銅メッキ」による仕上げを採用。新品のようなギラギラ感が出ないように、「ブラックイオンコーティング」を施すことで、「デニム」のような見た目になっている。
また、見た目ではわからないが「クローム仕上げ」のウェッジには、下処理に銅下メッキを施しているため、表面が摩耗してくると、まるでペロペロキャンディを舐めた時のように別の層を見ることができる。
ミズノ「T22」主な特徴:クアッドカット・ハイドロフローグルーブ
1970年代に流行ったファンクミュージック同様、ウェッジにとっても「グルーブ(溝)」は大切だ。“グルーブ(リズムのうねり)”がヘンテコなら、当時流行ったアルバムには採用されない。
私としては、ミズノの溝のデザインが、他の『Most Wanted』のライバルたちと明暗を分けた要因であると考えている。当然、「溝」の話は実際のところ「スピン」の話に通ずる。もちろん、ミズノによるクラブヘッドのウェイト配分によってスピンが向上したということは事実。しかし、結局のところボールにスピンをかけるのは「溝」であり、「溝」は常に注目されるものなのだ。
今回の「T22」ウェッジは、ミズノが特許を取得した『クワッドカット・ハイドロフロー・グルーブ』が特徴だ。2010年に角溝(Uグルーブ)が禁止となったのは周知のことだが、それによりメーカーはスピンを向上させる“新たな方法”を見つけなければならなくなった。
ミズノは、その“新たな方法”として『クワッドカット・ハイドロフロー・グルーブ』で対応している。まず、ウェッジのロフト角が変わると、溝の角度も変わるようにした。これにより、どのロフト角のウェッジで打っても、ボールが同じような感じで溝のエッジに当たることが可能になる。
また、今回のウェッジに「1025ボロンスチール(軟鉄ボロン鋼)」が採用されていることも、この溝の特徴に影響を与えている。この「ボロン」を加えることで、スチールの耐久性が向上。
特にウェッジの場合、摩耗や錆びを防ぐことができ、「ボロン」が使われていないウェッジよりも、シャープさとスピン性能が長持ちすることになる。
「溝」の話をするなら、「ハイドロフロー」についても改めて伝える必要があるだろう。この『ハイドロフローマイクログルーブ』テクノロジーは、フェース面にごく細い溝をつくることにより、ボールとフェースの間に入り込む雨や露などの水分によるスピン性能の低下を防ぐものだ。
もちろん、それを証明するデータもある。2019年の『Most Wantedウェッジテスト』におけるミズノ「T20」ウェッジのパフォーマンスを見てみると、水分を加えることでスピン量は6,844 rpm(乾いた状態)から5,356rpm(濡れた状態)に減少している。
これをテストした他のウェッジと比較すると、他社のウェッジの多くは水に濡れた時にスピン量が50%以上も減っていたのだ。ピンの「ハイドロパール」仕上げだけが、ミズノの溝よりも耐水性があることを示していた。
単なるアイアンだけのメーカーではない
ミズノは素晴らしいアイアンを製造しているが、単なる「アイアンだけのメーカー」ではない。メタルウッド、パター、特にウェッジは、どれもトップクラスのパフォーマンスを実現している。
MyGolfSpyでは「ブランドにとらわれない」という言葉を何年も使い続けている。ミズノは、こうしたゴルフ用品に対する見方が非常に大切であることを教えてくれているのだ。
ブランドイメージだけでクラブをセッティングすると、自分のプレースタイルに最適なクラブを逃す可能性がある。毎年、ウッドは「テーラーメイド」、アイアンは「ミズノ」、ウェッジは「ボーケイ」、パターは「スコッティ・キャメロン」という感じにしないことだ。
少なくともこの6年間、ミズノは素晴らしいウェッジを生み出してきたし、「T22」もその流れを汲むものになるはずだ。
現在は先行予約を受付中。
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