毎年行われるMost Wantedテストでは、データに基づいて客観的に製品のパフォーマンスを比較してきた。
今回は、2018年で最も優れていた製品をさらに主観的な形で紹介したいと思う。MyGolfSpyエディターズ・チョイス・アワードでは、パフォーマンスだけでなく、MyGolfSpyスタッフやゴルファーの意見を考慮しつつ、当面の市場への影響や業界を発展させるような長期的なポテンシャルも考慮している。
つまりこれは、この1年でMyGolfSpyが気に入った製品やストーリーを読者に伝える場なのだ。
今回は業界にある様々な製品を広く検討するために、いくつか新しいカテゴリーを追加した。
エディターズ・チョイスを発表する目的は、2018年に変革をもたらしたと思われる製品やイノベーション、企業を知らせることであり、際立った勝者が存在しない場合は「なし」としている。
振り返ってみると、2018年はゴルフ用品の当たり年ではなかった。それは良い製品がなかったという意味ではなく、際立ったものがなかったという意味だ。これは、イノベーションとテクノロジーが限界に近づいているということか、それとも2019年に素晴らしい製品が世に出る、「嵐の前の静けさ」なのだろうか。
それでは、2018年の各カテゴリーの勝者を発表しよう。
新技術:なし
クラブのテクノロジーに関しては、2018年はポテンシャルを秘めた年だったと言える。面白いテクノロジーはたくさんあったが、まだ検証はできていない。
2019年は、バーニー・アダムスのStabilityシャフトやオデッセイのシャフトといった製品が、パターカテゴリーに大変革をもたらすかどうかがわかるだろう。
さらに、新しいフェーステクノロジーを採用したクラブも発売される。いつものことだが、どのメーカーも「ストーリー」を謳うものの、みんながそれを実現するわけではない。2018年にも多くの「約束」が交わされたが、私たちが革新的だと思えるようなものはなかった。
ドライバー:ピンG400 LST
ドライバーカテゴリーの勝者は、考えるまでもなかった。ピンG400 LSTは、Most Wantedドライバーの勝者であり、どのテスターが使用しても(低スピンモデルであること考えると)驚くほどのパフォーマンスを見せた。
MyGolfSpyのスタッフは、市場に出回っているほぼすべての用品を試すことができるが、スタッフがプライベートで一番よく使うドライバーはG400 LSTだ。どのメーカーにも、期待外れな製品と、期待を上回る製品がある。ピンG400 LSTは、間違いなく後者だ。
フェアウェイウッド:なし
2018年は、MyGolfSpyが気に入ったフェアウェイウッドがいくつかあった。Most Wantedの勝者はツアーエッジExotics CBXだった。
キャロウェイRogue Sub Zeroの飛距離の素晴らしさには反論の余地はないし、コブラF8+の見栄えのいいコンパクトなサイズも魅力的だ。ただし、好きな製品はたくさんあったものの、特に際立ったものは見つからなかった。
ユーティリティー:なし
このカテゴリーでも、気に入った製品はたくさんあったし、いくつかの驚きもあった。Most Wantedの栄誉に輝いたのはブリヂストンTour B XD-Hだった。タイトリスト818は、同社のユーティリティーに対する私たちの愛着を再確認させてくれた。
あらゆる状況に対応できるコブラのワンレングスユーティリティーは思ったほど注目されなかったが、長い目で見れば多くの問題を解決する可能性を秘めている。しかし、フェアウェイウッドと同様に、素晴らしい製品はたくさんあったが、本当に意味で際立ったものはなかった。
初級者向けアイアン:クリーブランドLAUNCHER HB
「Most Wanted初級者向けアイアン」の勝者であるクリーブランドLauncher HBは、他の製品よりも一段優れた最高のアイアンだ。ユーティリティーのような大きなヘッドが気に入らない人もいるかもしれないが、ほぼすべてのテスターが打ちやすさや打感の良さを絶賛している。
「ゴルフはミスのスポーツ」と言われるが、何としてもミスショットを減らしたいなら、Launcher HBは最適だろう。
中級者向けアイアン:スリクソンZ585
このMost Wantedの勝者も、テスターに非常に人気があった。彼らのフィードバックを考えると、どのようなゴルファーにも受けるだろう。
Z585は、中級者向けクラブにはあまり見られない高い品質が特徴だ。コンパクトではないが、古き良きクラブの形状を好むゴルファーに評価されるような美しさを維持している。
市場はまだ気づいていないかもしれないが、スリクソンは粛々とアイアンカテゴリーに喰いこんできており、その製品はゴルファーを感動させ続けている。
上級者向けアイアン:ミズノMP-18(SC)
このカテゴリーでは、MP-18 SC(Split Cavity)にエディターズ・チョイス・アワードを授与する。
MP-18の製品ラインナップは、まばゆい輝きを放っている。よりやさしさを追求したMP-18 MMCは、上級者向けアイアンのテストで2位(SCの次点)だった。純粋なブレードアイアン(もしくは今入手できるモデルの中で純粋なブレードに近いもの)を求めるゴルファーにとって、MP-18は非の打ち所がほとんどない。
MP-18の製品ラインナップを上から下まで使えば、「どうしてこんなに良い結果が出るのだろう?」と思うだろう。その答えは、2019年の秋にわかるかもしれない。
ウェッジ:ピンGLIDE 2.0 STEALTH
ピンGlide 2.0はツアーで使用される機会が増えているにもかかわらず、あまり注目されていないので、その状況を変える必要があるだろう。Glide 2.0 Stealthの勝利はサプライズであり、エディターの主観で選んだわけではないので、厳密には「エディターズ・チョイス」ではない。
しかし、どのテスト項目でも圧倒的なパフォーマンスデータが出たので、ここでそれを讃えたいと思う。
ブレードパター:イーブンロールER3
イーブンロールを説明するのに、「結果を出し続けるパター」以外に相応しい言葉があるだろうか。イーブンロール(今回はER3)は、2年連続でMost Wanted ブレードパターの勝者となっている。フェーステクノロジーと、特にグルーブ(溝)の機能は素晴らしい。
ER3を見ていると、何のテクノロジーもないパターを使うのをやめて、21世紀の新技術を完全に受け入れるべき時が来たのだと実感する。
マレットパター:トミーアーマー IMPACT SERIES NO. 3 ALIGNMENT
これまでのMost Wantedテストにおける最大のサプライズは、Most WantedマレットパターテストでImpact No. 3 が、その何倍もの価格のパターと同点首位になったことだろう。
このハウスブランドのパターは、現在99ドルで販売されているにもかかわらず傑出したパフォーマンスを見せており、ブランド名に囚われずにこれを使ってきたゴルファーたちを喜ばせる結果となった。
「高価なものにはそれに見合うだけの価値がある」という考えにも一理あるが、Impact No.3がどの価格帯のパターにも引けを取らない製品であることが証明されたことは印象的だった。
ゴルフボール:なし
ボールにこだわるゴルファーには残念だが、際立ったモデルはなかった。2018年は、Chrome Softがシェアを伸ばし、ブリヂストンがツアーで復活、タイトリストが(多くのプロに契約料を払うことなく、Pro V1/V1Xの)ツアー使用率を伸ばしつつAVXを発売した。
スリクソンは過小評価されたままだったが、テーラーメイドのTP5は躍進した。Snell、Vice、Cutなどは、引き続きゴルファーの間で話題になっている。2018年は、ボールカテゴリーから素晴らしい製品や「ストーリー」がたくさん生まれたが、特別な功績に値する製品はなかった。
グリップ:ゴルフプライドALIGN
今年からグリップカテゴリーが新設された。MyGolfSpyのスタッフ全員が、ゴルフプライドALIGNシリーズの大ファンであることは紛れもない事実だ。誰もがリマインダーグリップを好むわけではないだろうが、好きな人にとっては間違いなくALIGNが過去10年で最も優れたグリップだろう。
当初、ALIGNテクノロジーが導入されたのはMCCとMCC PLUS 4だけだったが、現在はTour Velvetシリーズ(最も人気のあるグリップ)にも導入されている。
パターメーカーが自社製品のグリップにALIGNを追加しただけでなく、別売グリップにも少しずつ取り入れられているという事実は、そのテクノロジーが消費者に評価され始めていることを表している。
シャフト:三菱テンセイCK PRO ORANGE
テンセイCK Pro Orangeは、218年のツアーに大きな影響を与えた。
ツアープロたちが、それまで使っていたシャフトからテンセイCK Pro Orangeに乗り換えたからだ。独特な曲げ特性を持つ、バランスの取れたテンセイCK Pro Orangeを、いつだったか、他のゴルファーに交じって、タイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ、ジャスティン・ローズが使っていた時があった。
さらに、アベレージゴルファーに優しいノンプロ用モデルが人気を集めていることや、追加料金なしのオプションが用意されていることにも注目したい。
ストーリー・オブ・ザ・イヤー:2018年の4大メジャー大会で優勝したのは全員、クラブメーカーと契約していない選手だったこと
おそらく、これ以上にPGAツアーの用品契約の情勢が変化していることを示す例はないだろう。
ブルックス・ケプカは、なんとミズノのアイアンを使いメジャーで2勝(全米オープンと全米プロゴルフ選手権)した。パトリック・リードはアルチザンのウェッジを使ってマスターズで優勝し、過去にベン・ホーガンやナイキに在籍していたマイク・テーラー氏(アルチザンの創業者)に初のメジャー制覇の栄誉をもたらした。
フランチェスコ・モリナリは13本のテーラーメイドのクラブを駆使して全英オープンで優勝している。
これによってクラブ契約が完全になくなるわけではないだろうが、「1つのメーカーとクラブ契約を交わすことで得られる契約金は、試合で最高のクラブを使ってプレーするメリットよりも旨味が少ない」ことにプロが気づき始めたのは間違いないだろう。
ゴルフカンパニー・オブ・ザ・イヤー:キャロウェイ
「ゴルフカンパニー・オブ・ザ・イヤー」は、おそらくここ数年で最も議論が白熱したカテゴリーだろう。事実、私の同僚のリック・ヤングは、その印象的な製品やPGAツアーでの存在感を理由にツアーエッジを推していたし、ピンもMost Wantedテストの全カテゴリーにわたって14回も入賞したことから有力候補だった。
しかし総合的に考えると、4年連続でキャロウェイを選出することに反対するのは難しかった。キャロウェイも非常に多くの功績を残している。最終的な数字はまだ入ってきていないが、キャロウェイの2018年における小売の実績を見てみよう(ドルベースの売上シェア)。
・2018年で最も売れたドライバーはRogue
・フェアウェイ、ユーティリティー、アイアンカテゴリーで第1位
・ボールカテゴリーで第2位
キャロウェイの2018年の売上は、10億ドルを超える。Travis MathewとOGIOを完全に買収したことで収益が大幅に伸びたことは事実だが、両ブランドはキャロウェイが買収した後も成長している。
同社は最近、アウトドアアパレルブランドであるJack Wolfskinの買収を発表した。それによって、キャロウェイはゴルフ用品市場を超え、勢力をさらに拡大するだろう。
競合他社がステップアップしない限り(キャロウェイの拡大スピードを考えるとそれは実現しそうにないが)、2019年にキャロウェイはさらなるモンスターブランドになるだろう。発売予定のEpic Flashが、2019年で一番売れるドライバーになることは、ほぼ間違いない。
同じことが新しいApexアイアンにも言える。この勢いがボールカテゴリーまで広がるとしたら、タイトリストのボールシェアは初めて50%を割り込むかもしれない。
昨年の今頃、私はキャロウェイが近いうちに「疲労の色」を見せると思っていた。
しかし、私の予想は間違っていたようだ。近々主力商品が発売されることを考えると、キャロウェイは2019年にさらなる成長を見せるかもしれない。
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