今年の「ゴルフボールテスト」には、人気のリサイクルボール「Reload(リロード)」を加えた。多くの人が迷うことなく「定価のプレミアムボール」を購入する一方で、「セール品」を狙うゴルファーも一定数存在するだろう。
ボール代を節約しようとすることを恥ずかしいと思わないで欲しい。むしろ、特に「ウレタンカバー」の場合はその「性能」について知りたいはずだ。
そういうことで、私達はリサイクルボール「Reload」も他のボールと同じようにテストした。ロボットでは、ドライバーとアイアンを使い、3つのヘッドスピードで測定。
パフォーマンスは目を見張るものがあった(良い意味ではなく)が、それは今回のストーリーの一部に過ぎないことも明らかになってきた。
それでは、詳細を説明しよう。
重要ポイント
雑なリサイクル仕上げ
ボールにどんなダメージがあったとしても(擦り傷や切り傷)、ペイントするだけで簡単に修復できてしまう。リサイクルプロセスは、研磨されていない壁にペイントするのと似ている。もしくは、壁の穴にペイントするようなものだ。
上塗りがボール設計を変える
リサイクルの過程でペイントを上塗りすると、明らかにディンプルの形状が変わってしまう。下の写真を見ると、「リサイクルボール」では「擦り傷」がほとんど消えていることがはっきりとわかる(他のサンプルでは完全に消えている)。
その結果、ディンプルは浅くなり、エッジ半径が滑らかになる。つまり、カバーに傷がなかったとしても、ボールが“設計どおりに飛ばない”ことを意味する。
左:使用済みのPro V1(同じモデル年のもの)右:リサイクルボール「Reload(リロード)」
まるでチョコレートアソートボックス
箱には「ProV1」と書かれているが、それ以外に変わったところは見当たらない。しかし、私たちが購入した箱には、2015年と2017年の「ProV1」が入り混じっている。たとえ完璧な状態でも、ボールは時間とともに劣化する。
1つの箱に異なるモデルが混在するのは理想的ではなく、他のリサイクルボールに至ってはさらに多くの種類が混在していた。ここで重要なのは、これらが「複数の世代モデルにまたがっている」ことだ。
「Pro V1」とは異なる性能
例えば7年前にボールをリサイクルしたものが、最新モデルの性能と一致するはずがない。つまり、「新しい」ということは、性能的にも飛距離的にも改善されているはずだ。
もちろん常にではないが、初速はコンプレッション(硬度)に関係する。「平均コンプレッション」が100近くあるにもかかわらず(ドライバーの初速はかなり速い)、ドライバーとアイアンの3つのヘッドスピードで「Reload」をテストすると総じて初速が遅かった(最も遅いとも言える)。
ばらつきのある品質
繰り返すが、完璧な比較ではないが、以下から分かるように「再生不良ボール」からは、新しいボールと同じ性能は得られない。
「Reload Pro V1」−性能
新2021年「Pro V1」と、2世代が混在したリサイクル「Pro V1」を比較すると、ある程度「性能」に差があることが容易に想像できる。
まず、「弾道」と「スピン」の変化は必ず起こるだろう。タイトリストは数世代前に「Pro V1」と「Pro V1x」の特性を交換したので、特にこれが当てはまるかもしれないが、すべての速度で「Reload Pro V1」で打ったアイアンショットは、新品のボールよりも打ち出し角や弾道が「低く」、かなりスピン量が「多かった」ことは注目に値する。
ドライバーでも、「Reload」の打ち出し角は「低く」、弾道も「低かった」が、スピン量は「やや少い」という結果となった。大した差ではないが、違いは違いだ。
ここで注意したいのは「ボール初速」だ。先にも述べたが「ボール初速」と「コンプレッション(硬度)」の間には絶対的な相関関係がある。“硬いと速い”というのが通説だが、「Reload ProV1」の場合は必ずしもそうとは言えない。
「平均コンプレッション」は99(2021年「Pro V1」より12ポイント硬い)にも及ぶが、「Reload」は全体的にボール初速が遅かった。
では、「遅い」とは一体どれくらいなのか?
初速と飛距離−ドライバーの場合
51.4m/sの初速では、2021年モデルのボールよりもほぼ1.341m/s遅かった。44.7m/sでは0.894 m/s 遅く、 38.0m/sで 0.670m/s初速が落ちている。
「打ち出し角」と「スピン量」が「飛距離」に寄与することは言うまでもないが、問題は「Reload」が51.4m/sで13ヤード、44.7m/sで7.5ヤード、38.0m/sで6ヤード飛距離が落ちる計算になることだ。
初速と飛距離−アイアンの場合(ドライバーのヘッドスピード51.4m/s、44.7m/s、38.0m/sに相当)
一方アイアンでは、コアの影響が少ないために「硬いボール」でも初速が遅くなる場合があるが、「Reload」は予想以上だった。
「51.4m/s」のアイアン初速で「0.581m/s」遅く、「44.7m/s」で「0.536 m/s」、「38.0m/s」では「0.447 m/s」初速が遅くなった。つまり、7ヤード、5ヤード、1.5ヤードの飛距離ロスに匹敵する。
数ドルのためにどれくらいの「距離」を諦められるか?
『Ball Lab』測定データ
『Ball Lab』は、ゴルフボールの「品質」と「一貫性」をテストする場だ。
テスト結果をまとめると、リサイクル「Reload Pro V1」は、2021年「Pro V1」よりも大きく、重く、硬く、一貫性が大幅に低下していた。
以下で詳しく見てみよう。
「Reload」はサイズが大きい
2021年「Pro V1」のサンプルの平均直径は、1.6807インチだった。「Pro V1」の直径の目標を常に1.68近くに置いているからだろう。これはUSGAの最小許容サイズであり、ほとんどのメーカーはツアーボールをできるだけその数に近づける努力をしている。
一方、「Reload ProV1」の平均直径サイズは1.686インチだった。それはタイトリストの工場から出荷されたものより少し大きい。
数字的には非常に小さいため、さほど重要性を感じないが大事なポイントだ。再生プロセスによりサイズが大きくなることはもちろん、ここで一番重要なのは大きいサイズのボールは「飛距離が短くなる」ことだ。私たちのデータがこれを証明している。
「Reload Pro V1」の直径サイズは、「2ピースボール」や一部の「安価なウレタンボール」と近しい。当然、同様の「性能」しか得られない。
「Reload」は重い
2021年「ProV1」の平均重量は1.6091オンス。これは、USGAの制限である1.62オンスを軽く下回っている。サンプル内のどのボールも制限に引っかかることはなかった。
逆に、「Reload ProV1」の平均重量は1.6301オンス。分かりやすく言うと、「Reload」の平均重量はUSGAの制限を確実に0.01オンス上回っている。繰り返しになるがその差はわずかだ。
ここで重要なのは、テストした24個の「Reload」のうち23個がUSGAの重量制限を超えていたこと。適合していたたった1つのボールは、重量制限を“かなり”下回っていたことも付け加えておこう。
「リサイクルボール」がUSGAの規則に準拠しているとは期待しない方が良い。これらはUSGA準拠リストに載っているわけではないので、当然ペイントを上塗りすれば「重量」が増える。それでも、「24個のうち23個が重量制限を超えている」のは少し驚きだった。
「Reload」は硬い
2021年「Pro V1」の「平均コンプレッション(硬度)」は87だった。一方の「Reload」のコンプレッションは99で、現在の「Pro V1x」より2ポイント硬い。
注目すべきは、2021年「Pro V1」のコンプレッション(硬度)はどれも平均に近いが、「Reload」の場合コンプレッション値はかなりばらつきの幅が広く、その平均が99だった点だ。
サンプルの中で最も柔らかいボールは93(悪くはない)で、最も硬いボールは驚異的な126だった。コンプレッション値135の「Top Flite XL3000」を除き、126はこれまでに測定した中で最も硬いボールだ。
「Reload」は一貫性に欠ける
コンプレッション(硬度)が上下広範囲に及ぶことから、「Reload」が「一貫性」に欠けることが分かる。つまり、「Reload」は非常に「一貫性」がなく、テストした全ての測定値が「異常」と言った方が分かりやすいだろうか。
実際、「不良品」の定義を一新するほどだ。それほど数値が思わしくないため、『Ball Lab』のデータベースに入れると他のすべてのボールブランドが素晴らしく見える。
これが、2021年「Pro V1」と「Reload」ボールの比較だ。「Reload」を入れたデータを作る必要がある。その詳細だけでも、購入しない十分な理由になる。
まとめ
一言助言するとすれば「リサイクル」されたゴルフボールはお勧めしない。
ボール補修業者がそのうち「Reload」よりも優れた商品を生み出すと期待しているが、数ドルの節約が最悪の選択肢になる可能性がある。
年間6ダース購入する場合、リサイクル品による節約はそれほど大きくない。とは言うものの、ゴルファーができるだけ安くボールを買いたいことは理解できる。現在「3箱購入したら1箱無料」といったキャンペーンが少ないことを考えると、「DTC(直販ブランド)」は検討する価値があるかもしれない。
安価なボールだけが目的ならば、カークランドや(lostgolfballs.comなどの)プレミアムグレードのユーズドボールを検討すると良い。
後者の場合、「ロゴオーバーランボール」が時にリサイクルボールより安価な場合もある。「リサイクルボール」は「新品」ほどの「一貫性」は得られないが、(「安価」である一方で)これまで以上にボールを失くすことも事実だろう。
そういったことを考えると、さまざまな選択肢がある。最終的には「ボールから何を得られるのか?」考えることが大事で、正直に言って「リサイクルボール」ほど“最悪な選択”はないかもしれない。
※ロゴオーバーランボール:企業やゴルフ場のロゴがプリントされたボール。オーダー数納品後の予備分で、新品だがプロパー品として販売できないため安価。
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