私は、初代「ビッグバーサ」の愛用者でドライバーと3番ウッドも使ったが、マジで印象に残っているのはアイアンだ。昔、レジェンドであるリー・トレビノが試合中に雷に打たれて、こんな名言を残している。
「神様には1番アイアンは打てない」、現在1番アイアンを使う人はほぼいない。なぜなら打ちこなすのが非常に難しいクラブだからだ。
その1番アイアンは、今ではユーティリティーなどに変わっているが、私が持っていたのは、ユーティリティアイアンの存在を知る前から使われていた、「ビッグバーサ」の1番アイアンだった。
多くの1番アイアンがシャープで薄くバターナイフに間違えそうなものだったのに対して、「ビッグバーサ」の1番アイアンは、トップラインがワイドでフラットだった。
360度アンダーカットキャビティ、サポートのないフェース、キャビティのバッジ、そして常識はずれのオフセットなど不格好だったが、こうしたことは今日ある多くのアイアンの原型だった。
キャロウェイ創始者のエリー・キャロウェイがスタッフたちに求めたのは「明らかに優れていてその違いを楽しむことができる(キャロウェイではこれを「DPSD」と言う)」ということ。そして、キャロウェイのアイアンたちは、多くのゴルファーに対してゴルフをかつてないほど易しいものにしたのだ。
キャロウェイは「ビッグバーサ」の名前を毎回使っているわけではないが、このネーミングはキャロウェイの過去モデルとは違った形で、“楽しさ”と“易しさ”そのものと言える。しかし今回の注目はシリーズだ。
ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、そして一番大切なアイアン。そして他のシリーズにように、各クラブは、名前こそ同じだがそれぞれはかなり違った存在となっている。
キャロウェイ「ビッグバーサ」アイアン
「ビッグバーサ」アイアンは、必ずしもMyGolfSpyのコア層がターゲットではない。「Ventus Purple」を使うスクラッチゴルファー向けでもない。
月1,2回のラウンドし、“19番ホール”もコース同様楽しみたい普通のゴルファーが対象だ。高さや飛距離を求め、スライスも減らしたい、クラブフェース全体を使うようなゴルファー向けと言える。
そして「ビッグバーサ」アイアンは、キャロウェイがここ数年に渡りアイアンデザインのすべてに投入してきた「最高ヒット」の詰め合わせだ。アイアンにはタングステンが詰まっており、2つの別のウエイトがヘッドに搭載されている。
ヘッド外周のウエイトは「寛容性」を実現し、大きなタングステンの塊は、ロングアイアンでは「高打ち出し」を、短いアイアンでは「操作性」をもたらすために重心部分に配置されている。
各番手には、フェース全体のボース初速向上とスピンの最適化を実現するため、個々に「AI設計」が施された『450HSスチール・フェースカップ』を採用。
同社R&Dのバイスプレジデントであるブライアン・ウィリアムズ氏の説明によると、「『450』は、『フェースカップ』に流し込んでも、ボール初速は速いままという高強度素材だ。『寛容性』のためだけにそうしているわけではない。このクラブはミスヒットしても初速が出る飛び系アイアンなのだ。その上、この素材の「AIモデリング」を使い、フェース全体で安定した上下左右のスピンを実現するためのスピンモデリングをチェックしているので、フェース周辺でボールを打っても、一貫した結果が得られる」。
さらに打感も良い。キャロウェイによると、『ウレタン・マイクロスフィア』がフェース上部にまで搭載されており、スイートエリアに当たっていなくても良いフィーリングが得られるようだ。
そして最も重要なことが、「ビッグバーサ」っぽいということ。「上級者向け飛び系アイアン」もどきではない。ゴルファーに魅力的に見えるようにオフセットを減らしてもいない。
ボッテリしているし、ソールだってワイドだ。オフセットのせいで、リーディングエッジがホーゼルと全然違うところにある。しかし、そうしたことが「ビッグバーサ」ユーザーが求めていることなのだから、全く問題ないわけだ。
キャロウェイ「ビッグバーサ」アイアンは、4番からSWまでがラインナップ。
価格はスチールシャフトの6本セットで999.99ドル、カーボンシャフトなら1099.99ドルだ。
キャロウェイ「ビッグバーサ」ドライバー
キャロウェイの「パラダイムX」は、発表時にややドローバイアスになっているとされていたが、2023年の「ビッグバーサ」はお墨付きのスライス撲滅ドライバーで、過度なフックを抑えるためにデザインされている。低・前・ヒールバイアスの重心設計がスライス球を真っ直ぐにするというわけだ。
ウィリアムズ氏による説明はこうだ。「この『ビッグバーサ』ドライバーの秘密は、改良を施して、前作から継承したものであり、スライスをなくす手法として別の方策が講じられている。つまり、ボールを打ち込みに行くタイプのプレーヤーのスピン量を減らすということ。今回のモデルは、重心をやや低く、そして前側に配置することで改良している」。
「ヒールにウエイトを搭載することで、ドローボールが出ると視覚的に見せているのだ。しかし、ボールがフェアウェイに向かって遠く、真っ直ぐ飛ぶようになるのは、スピンの軽減によるもの。回転数が低いとサイドスピンが減り全体のバックスピンも軽減、ボールは低く左サイドに飛ぶようになる」
他の部分は、基本的にキャロウェイらしさが出ている。『Triaxialカーボンクラウン』により、重量をセーブし重心のシフトが可能。AIデザインの『XLフェース』、進化した軽量『Jailbreakシステム』により「寛容性」が向上し、フェース全体のボール初速がキープされる。
また、アドレスでの見た目は、投影面積が大きく易しく感じられる。「ビッグバーサ」に画期的な部分はないが、特定の目的を達成するためにラインナップされており、良い仕事をしてくれるはずだ。
キャロウェイ「ビッグバーサ」ドライバーのロフト角スペックは、9度、10.5度、12度。価格は499.99ドルとなっている。
キャロウェイ「ビッグバーサ」フェアウェイウッド
地面から3番ウッドを打つのは当然難しい。そんな現実に応えるべく、キャロウェイはこれまでで一番易しいフェアウェイウッドを目指した。
まずは大切なところから。超シャローフェースが採用されている。初代のアダムス「Tight Lies」、オリマー「Tri-Metal」、そして最近ではPINGのフェアウェイまで、シャローフェースならボールが上がることは証明されている。ヘッドが前後に長くなっているので、さらに打ち出しは高くなり、アドレスでの自信も増すというわけだ。
『Jailbreak』と『AIデザインフェース』は、ボール初速向上とそれをキープするという点でこれまでと同様。ところが、ボール初速の最大化に貢献しているのは、短いシャフトを加えたこととややロフトをつけたことだろう。
3番ウッドは、ロフト角16度でスタンダードよりも1/4インチ短くなっており、5番ウッドは19度で1/2インチも短くなっているが、ともにロフト&ライ角調整可能。ショットが良くなれば、安定感も増し、さらに飛ぶ確率も高くなる。
番手のラインナップは3番、5番、7番、そして9番。ヘブンウッドもラインナップしている。7番ウッドでシャフトの長さが4番になっているので、地面からしっかり飛ばしたいゴルファーには、天(ヘブン)の恵だろう。
キャロウェイ「ビッグバーサ」フェアウェイウッドは、3番、5番、7番、9番、そしてヘブンウッドという番手だ。
価格は299.99ドル。
キャロウェイ「ビッグバーサ」ハイブリッド
ハイブリッドは、当然ながらアイアンとマッチするようにデザインされており、キャロウェイが近年お気に入りのスクエアトゥデザインを特徴としている。
ウィリアムズ氏によると、「スクエアトゥのアイアン形状をしているので、アイアンに続くセットのようになっている。カーボンクラウンによりMOIが向上し、ブレードも長く良い感じに仕上がっている」ようだ。
また、デザイン的に画期的なことはないが、タングステンウエイトと『Triaxialカーボンクラウン』を採用しており、低重心化と高打ち出しを実現。ボール初速アップを狙い『バットウィングJailbreak』と『AIデザインフェースカップ』も搭載している。
一方、最も大切なことは「ビッグバーサ」ハイブリッドは、9Hまでラインナップしており、どの番手でもアジャスタブル(調整)機能があるということだろう。
キャロウェイ「ビッグバーサ」フェアウェイウッドのラインナップは、3H、4H、5H、6H、7H、8H、そして9H。
価格は259.99ドルだ。
シャフト
お伝えした通り、「Ventus Purple」ではなく、ターゲット層にマッチする軽量シャフトが採用されている。
ドライバーとフェアウェイウッドには、キャロウェイ「RCH」シャフトが装着されており、重さは45g、55g、65g。フェアウェイウッドなら45g、55g、65g、75gだ。ハイブリッドは「RCH 65」カーボンシャフトで、アイアンは「RCH 65」カーボンシャフトと「Elevate 85 MPH」スチールシャフトの選択肢がある。
発売時期
キャロウェイ「ビッグバーサ」シリーズの発売は5月26日。詳細はCallawayGolf.comまで。
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