・スコッティキャメロンが2024年モデルの「PHANTOM(ファントム)」10モデルをリリース。

・全モデルとも「ミルド加工」、マルチマテリアル(複合素材)構造を採用。

・価格はスタンダードモデルが449ドルで、「PHANTOM 11」のロングデザインは499ドル。

・「PHANTOM 5」、「PHANTOM 7」、「PHANTOM 9」は現在発売中で「PHANTOM 11」ロングデザインは5月下旬発売。

※日本での発売価格は、各モデル¥66,000(税込)。


2024年モデル新「PHANTOM(ファントム)」のマレットパターは、正式には10モデルとしているが、実際は新しい「PHANTOM」のヘッドが4種類とネックのオプションを合わせたもの。

パターのネックを変えると、基本的にパターの見た目が変わり性質も変わる。ゆえに、4種類のネックにも関わらずオプション込みの数で “10モデル”と言っているキャメロンの主張は正しい。なぜこういうことを言うのか。それは、ヘッド形状が10モデルではないことにがっかりして欲しくないからだ。


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新しい「PHANTOM(ファントム)」は新旧モデルの組み合わせだ。

一方は「PHANTOM 5」と「PHANTOM 7」で、メタルのニューアングルが特徴となっており過去モデルと良く似ている。対照的なのが新しい「PHANTOM 9」と「PHANTOM 11」で、過去モデルとは完全に異なる。並べてみると、これらの2つが以前のモデルのように同じネーミングであることなど想像できないかも知れない。

全体を見渡すと伝えたいことがたくさんある。まず手始めに、新しい「PHANTOM(ファントム)」シリーズについてキャメロンが語ったことを見て行こう。


2024年スコッティキャメロン「PHANTOM(ファントム)」パターテクノロジー:複合素材構造

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これまでの「PHANTOM(ファントム)」パター同様、2024年モデルの「PHANTOM」も「マルチマテリアル(複合素材)構造」を採用している。フェースは全モデルに「303ステンレススチール」を、さらに「6061航空機用アルミニウム製ソールプレート」と様々なサイズのフランジを特徴としている。

また、フェースにスチールを採用したことで、フェースをスペック通りにミーリングできるだけでなく、ジェットネックを「X.5」モデルに搭載することも可能になった。アルミニウムを取り入れることで、マレット全体のサイズがスチールだけの時よりも大きくなっている。スチールだけでは重すぎるからね。

そして、アルミニウムを使用することで、ヘッドの一部を軽くしたり重くしたりすることも可能になっている。このウエイト配分は重心位置と慣性モーメント(MOI)の両方に寄与しており、これらの両特性がパターのフィーリングとボールの転がりに影響を与えている。


デュアルミルドフェース

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新「PHANTOM(ファントム)」シリーズのフェースには、すべてのモデルで『デュアルミルド』フェーステクノロジーが採用されている。1度目の加工では、まずフェース面を深く切削することにより、ボールと接触するメタル部分が少なくなりインパクトでの打感がソフトになる。

2度目の加工ではフェースを滑らかにし、よりフラットで一貫性のあるフェースとなる。2度の工程を踏むことで、インパクト時に望ましい打感が得られ、パッティングに悪影響を及ぼす可能性のある不安定性を排除している。


進化したアライメントデザイン

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新「PHANTOM(ファントム)」パターの注目点はアライメントだ。キャメロン氏は、2024年モデルを「アライメント注入デザイン」と呼んでいる。では、これはどういう意味なのだろうか?

基本的なことだが、パターの形状は目標に対するアライメントをサポートすることが可能だ。これはドットやライン、矢印ではなく、パターそのものの各エッジにあるラインがそれを可能にする。これら全てがアライメントをサポートするための要素となっているのだ。

「PHANTOM 5」と「PHANTOM 7」に採用された変更点を見てみると、「アライメントデザイン」の意味がよく分かるだろう。どちらもアドレス時のアライメントを向上するための幾何学的施策が特徴となっている。


2024年スコッティキャメロン「PHANTOM(ファントム)」パターモデル

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すでにお話した通り、「PHANTOM(ファントム)」の中には過去モデルを再構したものもあれば、生まれ変わったようなモデルもある。「PHANTOM 5」と「PHANTOM 7」は基本的構造を継承しているが、「PHANTOM 9」と「PHANTOM 11」は新形状を追求したものとなっている。

キャメロン氏の意味することは不明だが、同氏はこのデザインを「スピード感のあるヘッド形状」と表現。自分のパターを「スピード感がある」と言われたことがないので、これにはクスッと笑ってしまった。


スコッティキャメロン「PHANTOM 5」、「PHANTOM 5.5」、「PHANTOM 5s」パター

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スコッティキャメロン「PHANTOM 5」は、前作から大きく変わっていないが変更点はあった。この変更点はアドレスで最も顕著。前作の「PHANTOM 5」を見てみる、サイドフランジがパターの正面と直角になっていた。一方2024年版では、その角度が45度以上となっており、フランジは中央に向かって傾斜しているのが特徴だ。

これは、キャメロン氏の言うアライメントをサポートするパター形状の好例と言えるだろう。新たに傾斜したラインにより視線がパターの真ん中を向くことになるが、ボールは中央で打つべきなのでこれはメリットとなる。

この「PHANTOM 5」には3モデルある。「PHANTOM 5」はスパッドネックになっており、ほぼフェースバランスが特徴。「PHANTOM 5.5」はジェットネック (ショートフローネック)を採用しており、トゥハングになっている。

「PHANTOM 5S」はセンターシャフトになので、今回はセンターシャフト好きが悲しむことはないだろう。センターシャフトのパターが少ないことに文句を言っていた人は「PHANTOM 5S」を買った方が良い。じゃないとこちらもガッカリしてしまう。


スコッティキャメロン「PHANTOM 7」、「PHANTOM 7.5」パター

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新しい「PHANTOM 7」のポイントは「PHANTOM 5」と似ている。エッジの形状が変わり、パターの真ん中に向かって傾斜。新しい「PHANTOM 7」でもラインではなく、トップラインにアライメント用のドットがミーリングされている。見た目の美しさとしても、嬉しい改良と言えるだろう。

また「PHANTOM 5.5」同様、「PHANTOM 7.5」はジェットネックが特徴だ。この短いスラントネックにより、トゥハングになっている。今回の新作ではないが、個人的にはこれまでのキャメロンのようにシャフトの曲がり具合でトゥハングになるよりもジェットネックの方が好み。ジェットネックは見た目がよく、ユーザーもヘッドが異なることがはっきりと分かるからだ。


スコッティキャメロン「PHANTOM 9」、「PHANTOM 9.5」パター

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新しい「PHANTOM 9」は、前モデルと一線を画している。ともに関連性はあるかも知れないが、それは遺伝子検査やっとわかる程度。とは言え、どちらかのデザインが良いと言っているわけじゃない。言いたいことは、ソールのネーミングを見ないと、これが「PHANTOM 9」だと分からないということだ。

新しい「PHANTOM 9」は興味深いデザインを採用している。繰り返しになるが、注目はアライメントで、パターの中央部分に2本ある長いサイトラインだけでなく、大きなT字がターゲットを絞ることに役立っている。このパターをカップに向けることは難しくはないだろう。

これ以外に、「スパイダー」のようなメタルの輪といくつかある空間も特徴。これによりウエイトがパター外縁に配分される。MOIを高めるデザイン上のテクニックだ。

「PHANTOM 9.5」は前作同様、ジェットネックを採用しておりある程度トゥハングになっている。


スコッティキャメロン「PHANTOM 11」、「PHANTOM 11.5」、「PHANTOM 11 ロングデザイン」パター

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「PHANTOM 11」も大幅改良されているが、「PHANTOM 9」のレベルではない。自分は以前の「PHANTOM 11.5」を持っているが、チラ見レベルだと新モデルの周りの形状が前作と同じであることが分かる。

とはいえ、「PHANTOM 11」は全く新手と言える。メタルは別の部分に配置され、パターの上部には大きな矢印がいくつかある。

こうした矢印はよかれと思ってあるはずだが、意見が大きく分かれるはずだ。好みの人もいれば、嫌がる人もいるということ。矢印がヘッドの長さに沿ってある平行なラインに繋がっていることは良いが、写真ではフィーリングが分からない。直に見た方が良いのだろう。

混乱しそうだが、「PHANTOM 11.5」にはジェットネックがなく、シャフトの曲がっている箇所が変わっておりトゥハング具合が違う。なぜジェットネックを採用していないのかは不明だが、おそらくジェットネックのウエイトを考慮しなくても、ヘッド重量がすでに重くなっていることと関係があるのだろう。


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そして、「PHANTOM 11」にはロングパターもラインナップしている。長さ38インチのカウンターバランスで、長いグリップと、しっかりとしたシャフト、重めのヘッドが特徴。カウンターバランス版が復活したのは良いと思うし、リッキー・ファウラーは2024年のロングパターの売上の分け前をもらった方が良いだろう。


2024年スコッティキャメロン「PHANTOM(ファントム)」パターのまとめ

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「PHANTOM 11」の矢印には満足していないが、それを除けば、2024年のスコッティキャメロン「PHANTOM(ファントム)」シリーズはイケてるマレットだと思う。キャメロン氏は自身のブランドアイデンティティを失うことなく、巧みに変更を加えてきたと言えるだろう。

そして、変更点があったとは言え、多くの人は今回のパターがスコッティキャメロンのパターだということは分かるはずだ。確かに、「PHANTOM 9」がキャメロンパターであることを確かめるにはソールを覗く必要があるかも知れない。でもそれを除けば、今回のモデルは明らかにキャメロンパターだ。

そして全体的に見ると、今回のモデルも地球上で最高のミルドパターを生み出すというスコッティキャメロンのレガシーを継承したイケてるパターとなっている。


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スコッティキャメロンは、今回の「PHANTOM」マレットを現在の市場で競争力のあるパターにするために十分なことをやってきたのだろうか?新「PHANTOM」パターは、イーブンロール「Neo Classic」やオデッセイ「Ai-Milled」パターで見られる視覚でパッティングをサポートするテクノロジーを備えたパターを上回ることができるのだろうか?


2024年スコッティキャメロン「PHANTOM(ファントム)」シリーズのQ&A

今回のモデルにはミスヒットを修正するテクノロジーがあるのか?

ミスヒットを修正する溝のようなものはない。「PHANTOM(ファントム)」パターのデザインは、的確なエイミング(正しい方向に狙いを定めること)を促し、重量配分によりバランスの良いストロークを可能とするが、フェースのセンターで打たないとパター自身がミスヒットを修正することはない。


なぜブレードがないのか?

スコッティキャメロン「PHANTOM(ファントム)」パターはマレットのシリーズだ。ブレードタイプは「セレクト」シリーズの「スペシャルセレクト」や「スーパーセレクト」などのシリーズにある。


ソールのウエイト調整は可能か?

可能だ。ウエイトは、まずパターの長さに合わせて調整されているが、重くしたり軽くしたりすることが可能。ウエイトを取り外すには専用ツールが必要で、追加ウエイトは別途購入する必要がある。ともにアフターマーケットで入手できるが、品質には注意して欲しい。

また、ウエイトが動かないようなら無理に動かさないように。私が「PHANTOM 11.5(フェースバランス)」でやってしまったように、専用ツールを曲げてしまいパターを傷つけてしまうかも知れないからだ。ウエイトに少し熱を加えて、ウエイトを固定している接着剤を剥がせばウエイトを取り出すことができるだろう。


スコッティキャメロンパターがここまで評価が高い理由は?

その理由は、精密製造、ツアーでの使用率、知名度が掛け合わさっているからだと思う。長い間、スコッティキャメロンのパターは、市場でブッチギリに最も優れたミルドパターだった。

ところが最近では、他との差はそこまでではなくなっている。タイソン・ラム、ローガン・オルソン、コディ・ジェームスなど新興パターブランドが、秀逸なミルドパターを製造しているし、ベティナルディ、オデッセイ、トゥーロン、イーブンロールも忘れてはいけない。

そしてテーラーメイドですら、昨年ミルドパター界に復帰。いまやミルドパター市場は生き馬の目を抜く激しい戦場の場の様相を呈しているのだ。