まずはタイトルから行ってみよう。

コブラ「LIMIT3D(“リミテッド“と読む)」アイアンは、市販では“初”となる「3Dプリンテッド」アイアンだ。

なぜかと言えば、ネットを見るのは初めてじゃないし、これを読み、コブラがブライソン・デシャンボーに「3Dプリント」アイアンを提供したことで、最近注目を浴びた「Avoda Golf」をパクっていると考えそうな(あるいはコメント欄で叫んでいる)人がいることも理解できるからね。

でも考えみてほしい。「3Dプリント」のゴルフクラブは印刷ボタンを押すみたいにシンプルじゃない。まぁその行為自体は簡単だと思うけど、そのボタンは何年にも渡る研究開発なしには機能しないのだ。


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コブラのケースを言うと、彼らは「3Dプリント」アイアンに過去6年間取り組んできている。手の内は明かしてないが、PGAツアーにおいては数年間、「3Dプリント」のクラブを採用している。

リッキー・ファウラーやゲイリー・ウッドランドは、コブラの「3Dプリント」クラブを使っている。

そしてカイル・バークシャーが使っていたユーティリティアイアンのフェースに亀裂が生じた際、コブラは新しいクラブにこの「3Dプリント」を採用した。

これで、「3Dプリンテッド」アイアンの耐久性に関する皆さんの疑問も解消されるだろう。

ではデシャンボーは?

デシャンボーは、コブラの「3Dプリンテッド」ユーティリティを2017年から使用。また、「KING TOUR(キング・ツアー)」アイアンの3Dプリント版も使っていた。最新のアイアンに関しては、過去のコブラでの経験がデシャンボーを「3Dプリント」へと導いたのではないかと推測できる。


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イケてるけど、コブラがこれに取り組むのはなぜか?

答えは簡単。コブラならできるからだ。

私としては、コブラというブランドがゴルフにおける素晴らしいイノベーターの一つとして相応しい評価を受けたことがないということに関して、トコトン「なぜだ!」叫びたいところ。

コブラの規模だとそれなりの必要性があるとはいえ、他ブランド同様、コブラがその取り組みに満足していることはまずない。

それじゃつまらないからね。


「3Dプリント」のメリット

「3Dプリント」のメリットはどこにあるのだろうか?

一言で言えば、“パフォーマンス”だ。

これは、コブラ「LIMIT3D(リミテッド)」アイアンが、これまでにないパフォーマンスを発揮するという意味じゃない。10ヤード以上の飛距離アップが実現するわけでもないし、残り150ヤードからベタピンに寄せられるというわけでもないが、アイアンデザインの究極とされるものに近づくということだ。

皆さんの中にはソリッドな「中級者(スコア改善型)向け」アイアンの見た目を好む人がいるものの、大多数の人が、「上級者(競技志向者)向け」アイアンの小ぶりなデザインの中に、中級者向けモデルの「寛容性」を持つアイアンの登場を待ちわびていることは理解しているつもり。

そして、コブラ「LIMIT3D(リミテッド)」アイアンならそれらが手に入るというわけだ。


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確かに、ブレードのように見えるアイアンでも「中級者向け」の性能を発揮すると言っているのはコブラが初めてではない。もっともなこともあるが、実際我々が言っているのはデザイン的な錯覚で、サイズを隠したクラブのこと。

このような仕掛けで、実際よりもアイアンを小さく見せることはできるが、とはいえブレードよりは大きくなる。

つまりスッキリした見た目ではあるものの、本来の「上級者向け」の形状ではないということ。そして往々にしてサイズ、打感…時には両方が常に犠牲になっている。

コブラの「LIMIT3D(リミテッド)」アイアンが他モデルと異なるのは、「上級者向け」の形状ながら「寛容性」を約束しているということだ。厳密にはブレードとは言えないが、「LIMIT3D」はコブラの「KING TOUR」アイアンよりも小ぶりにはなっている。

形と機能が切り離されているわけで、その点で、このモデルは素晴らしいボールストライカー(正確無比なショットを放つゴルファー)になるための珍しいブレード(またはブレードのようなもの)なのかも知れない。


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コブラ「LIMIT3D(リミテッド)」アイアンはどのように生まれたのだろうか?

コブラの『3Dプリント技術』は、「316Lステンレススチール」のパウダーをゴルフクラブのヘッドに変えてしまうという工程。通常あり得ないことのようにさえ感じる。

それを思うと、カメラについても同じことが言えるのかも知れない。カメラはボタン一つで、見ていたものが写真や画像に姿を変え永遠に記録される。一体どうやったらそうなるのか?

レーザー光線を使って粉末状の金属を融合させ、ゴルフクラブの形状にすることでも同じように感じるのだ。

現時点で、こんなことは魔術でしか説明できないとしても、私としては問題ない。

単一アイアンヘッドは約2,600の層で構成されており、アイアンを構築するマシーンは、24時間でヘッド20個をプリントすることが可能だ。

余談だが、これはコブラが3Dパターを製造する際の工程とは異なる。どちらかの方が優れているとか、そういう話ではない。単に違うというだけで、コブラでは目的に最も適した手法を選んだということだ。

その結果として生まれたのが、コンパクトではあるものの非常に易しいゴルフクラブというわけだが、それが可能となったワケは、「3Dプリント」であれば、鍛造や鋳造、ミーリング(研磨)加工よりも、はるかに複雑な内部形状を製造できるからだ。


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今回の「LIMIT3D(リミテッド)」アイアンだと、フェースの裏側は12面体の格子模様で構成されており、フェースを支えるために必要な構造的完全性を実現しながらも、相当量のウエイト削減が可能になっている。

ちなみに、バックキャビティの格子模様は構造の一部ではなく、視覚効果としてテクノロジーを伝えるものにすぎない。

よくあるソリッドなヘッド構造だと、フェース部品やクラブコアのウエイトは100gから122gの間だが、コブラの格子状コアは、ロフト角にもよるがわずか9gから12gしかない。

計算すればわかるが、どれだけウエイトを削減しているか分かるだろう。

ではコブラはその質量をどのように再配分しているのか?

答えはお察しの通りだ。ヒールとトゥ部分に大きなタングステンの塊(ロフト角によって合計70gから100g)を採用し、シリーズのどのアイアンよりも低重心、高MOIにしている。

「316Lステンレススチール」のパウダーが固まると、そこで生まれるのは本物の「上級者向け」アイアンの形状と、「中級者向け」アイアンの性能を凌駕する「寛容性」を持つゴルフクラブというわけだ。

別の言い方をするなら、見た目の良いクラブで、さらなる初速アップと高弾道、そして「寛容性」を実現しているということになる。


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コブラ「LIMIT3D(リミテッド)」アイアンのパフォーマンス

「KING TOUR」と比較したロボットテストだと、7番アイアンでボール初速では0.89m/sほどアップし、5ヤードの飛距離アップに成功。

また「LIMIT3D(リミテッド)」は1度ストロングだが、シャフトは若干短くなっている。初速の一部はロフト角のせいだが理由はそれだけではなく、テストをミスまで含めると、「LIMIT3D」の方が飛び、バラつきも少ないのが特徴。つまり、ツアーレベルのヘッドながら「中級者向け」アイアンのパフォーマンスを実現している。

では「打感」はどうだろうか?

皆さんは打感を気にしていないかも知れないが、一方ではこれが、少なからず「上級者向け」アイアンを使う理由になっている。

私としては、「LIMIT3D(リミテッド)」を打つまで判断しないが、コブラのモーダル分析(クラブヘッドが振動するときの周波数を測定し打感を数値化する方法)によると、このモデルは「上級者向け飛び系」や「中級者向け」のアイアンというよりもマッスルバックに近い。

見た目だけでなく、打感も「上級者向け」アイアンのようになっているということが、コブラ「LIMIT3D(リミテッド)」の売りの一部というわけだ。


コブラ「LIMIT3D(リミテッド)」アイアン – 価格と数量

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ここまで読んできたあなたなら“このアイアンは安くはない”と思っていることだろう。

さすがお目が高い。確かにこのモデルは安くはない。

でも本当に欲しいなら、発売直後に「今すぐ購入」ボタンをクリックすべきだ。

ネーミングに(一応)リミテッド(限定)と入っているし、このアイアンは確かにその通り。全世界で「500セット」の限定生産で、アメリカではそのうち300セットしか販売されないのだ。

セッティングは4番からPWまでで右打ち用のみ。純正シャフトはなく各セットはスペックに合わせて作られる。

価格は2,999.99ドル。発売日(多分販売終了日)は6月7日だ。(※日本での発売なるか?は乞うご期待といったところだが…。)


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最後に、「3Dプリント」は他カテゴリーにどのように応用できるのだろうか? 3Dプリントのプロトタイプはあらゆる分野に存在するが、革新の可能性が最も高いのはドライバーだろう。フェースに必要なサイズと強度を考えれば、かなりのウエイトを前方に配置することは譲れない。

USGAの規定以外だと、フェースそのものが革新に対する最大の障壁となりそうだ。

では、コブラが「LIMIT3D(リミテッド)」アイアンで実現した軽量化をドライバーで実現できたとしたら?チタン以降、最も重要な進歩となるのだろうか?

コブラのイノベーション・バイスプレジデントであるマイク・ヤグリー氏に、将来のドライバーデザインに「3Dプリント」をどのように活用できるのか聞いてみると、答えはこうだった。

「無理」。

彼が言いたかったのは「今は無理」ってことだと思う。

コブラ「LIMIT3D(リミテッド)」プリンテッドアイアンの詳細はCobragolf.comまで。