政府機関、軍事部隊、準軍事組織、さらには民間企業であっても、「BLACK OPS」とは、そうした機関内でも知られざる実行組織に帰さない「秘密作戦」を指す。

だが最新のドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドを公開しているので、PXGが秘密主義なんてことはない。

アリゾナ州スコッツデールに本社を構える同社は、「BLACK OPS(ブラック・オプス)」における3つのカテゴリー全てにおいて、新レベルの「寛容性」、進歩した素材と複合構造、初速がアップするフェースデザインと正確なウエイト配置をアピールしている。

「どうしてゴルファーが『寛容性』を得るために飛びを諦めているのか不思議に思っていた」と語るのは、PXG創業者で最高経営責任者のボブ・パーソンズ氏。「我々はこの課題にフォーカスした研究開発に膨大な時間を費やしてきたし、今ではその謎を解き明かしたことを誇りに思っている」。

それは素晴らしいことなんだけど、ボブさん、お約束はもう良いよ。本音はこうでしょ。

「『BLACK OPS』は、矢のように真っ直ぐ飛んで、神父よりも寛容で、間違いなく衝撃的!」

では、PXG「BLACK OPS」シリーズを詳しく見ていこう。


2つのヘッド形状

pxg,black_ops,ピーエックスジー,ゴルフ,ゴルフクラブ,ドライバー,フェアウェイウッド,ユーティリティ,ハイブリッド

PXGの第7世代「0311」ドライバーには、かなり形状が異なるヘッドが2種類ある。

大きい方は「BLACK OPS」だ。

前後に奥行きがあり、シャローな形状でヘッド長が最大、クラウンの丸みが小さくなっていることが特徴。高弾道、低重心モデルとなっており、ボール初速、飛距離、寛容性のバランスを求める幅広いゴルファーに適している。

一方、「BLACK OPS TOUR-1」はツアーにインスパイアされたデザインだ。

契約プロのフィードバック受けて開発されたモデルで、小ぶりなヘッド形状、ディープフェース、より丸みがあるクラウンは、PXGが「アドレスでの見た目がアグレッシブ」と呼ぶ要因となっている。

そして「BLACK OPS TOUR-1」は上級者向けになっており、より直進性のある弾道と低スピン性能をキープしていることも特徴。

PXGのチーフ・プロダクト・オフィサー、ブラッド・シュワイガート氏は、「ツアープロがこのドライバーをすぐに受け入れ、使用した結果にみんなが驚くなんて考えてもみなかった。弾道特性のおかげでセンターヒットで飛距離が伸びていたが、ミスヒット時のパフォーマンスもさらに優れていた」。

とはいえ、「BLACK OPS TOUR-1」がPXGツアープロのデフォルトというわけではない。

シュワイガート氏もそれについては以下のように語っていた。

「試打用に(両方の)ヘッドを送って試してもらうように依頼したら、数日後に彼から連絡があり『打ったよ。TOURって付いていなかった方かな?あれは真っ直ぐ飛んで飛距離もすごい。マジで良かった』と言われたんだ」。


『AMFテクノロジー』って一体何?

pxg,black_ops,ピーエックスジー,ゴルフ,ゴルフクラブ,ドライバー,フェアウェイウッド,ユーティリティ,ハイブリッド

PXGは、「BLACK OPS」における独自の最先端素材フェーステクノロジーについて、あまり多くを語っていない。伝えているのは、高強度でより柔軟性があるチタン合金ということだけだ。

しかしテストでは、改良された素材構成がパフォーマンステストで圧倒。

PXGによると、「0311 GEN6」で採用されていた「T-412」と比較して、打ち出し角が高くなった(0.5度)事に加え、スピン量が軽減(200rpm)する一方で、フェースのたわみが向上したという。

「この素材変更によるパフォーマンス差は、私の24年に及ぶ業界でのキャリアでは見たことがないものだ」とシュワイガート氏。「(『BLACK OPS』の)フェース向けに新素材を検討していたことは事実だが、このような結果になるとは予測していなかった。打ち出しの向上とスピン、特に素材変更による低スピン化は、『こんなこと初めて』というものだった」。

またPXGの開発陣は、『バリアブルフェース・シックネス』、不均一なバルジ&ロール設計を取り入れつつ「有限要素解析」とCADを活用。CT値とボール初速のためにフェースの最適化を図った。

シュワイガート氏によると、ロール半径をタイトにすることでフェース上下に当たった際のミスにおける打ち出し角とスピン量を最適化し、バルジはヒール・トゥヒット時のミスを改善するのだとか。

そして、PXGでは不均一なバルジ&ロール設計に一貫性を持たせるため、ロボットフェース研磨によりフェースの水平方向と上下方向の丸みを調整している。

「セットアップにおける新しい『BLACK OPS』ドライバーの見た目は気に入っているし、フェースも飛ぶ感じがする」と言うのはブランドアンバサダーのジョエル・ダーメン。


複合構造

pxg,black_ops,ピーエックスジー,ゴルフ,ゴルフクラブ,ドライバー,フェアウェイウッド,ユーティリティ,ハイブリッド

1万超えのMOI(慣性モーメント)を達成するのは、強靭なヘッド構造が不可欠だ。

そこでPXGでは、重量をヘッド周辺に配置するために高強度の複合構造を採用。

「BLACK OPS」ドライバーのクラウンとソールは、極薄のハイグレード複合素材を使用し圧縮プロセスで成形されている。

PXGは、他の高弾性と硬い複合素材では達成できていなかった耐久性とパフォーマンスの課題を回避するため、チタンの1/4の密度ながら同様の強度特性を持つ素材にたどり着いたということだ。

「BLACK OPS」ドライバーの肉厚は両モデルともに、超極薄の0.03インチ。

シュワイガート氏曰く「これにより、中心部用のウエイトが確保できた」そうだ。


ウエイトテクノロジー

pxg,black_ops,ピーエックスジー,ゴルフ,ゴルフクラブ,ドライバー,フェアウェイウッド,ユーティリティ,ハイブリッド

ウエイトテクノロジーの話をしなくてPXGは語れないよね?

「BLACK OPS」と「BLACK OPS TOUR-1」には、ウエイトポートが3つある。

1つは後部の真ん中に配置した12.5gのウエイトで、高MOIと高打ち出しを実現する上で欠かせない。クラブフェースに近い位置に配置された2つのウエイトは両方とも2.5g。一方はドローバイアスにするためにヒール側にあり、もう一方はフェード気味になるようにトゥ側に設置されている。

そして、オプションに制限をつけないように、PXGではパフォーマンスや全体的なヘッド質量の調整用ウエイトを完備している。

ウエイトは2.5g、5g、7.5g、10g、12.5g、15g、17.5g、そして20gがラインナップしており、ゴルファーが最大の効果を実現するために、簡単に重量を分散させたり追加ウエイトを一箇所に集中させることが可能。

ウエイト調整することで、合計MOIを1万以上にすることができるというわけだ。


向上した打音と打感

前述したCT値とボール初速に最適化させた「BLACK OPS」のフェースにするための有限要素解析とCADには何の意味があるのだろうか?

PXGでは、これらのツールを使って、「『BLACK OPS』の打音と打感性能を向上させるための高い一次周波数モード」を実現した。

「2つのドライバー間には、非常に一貫したインパクト時の打音を求めていた」とシュワイガート氏。「これを実現するためにかなりの時間と労力を費やした。結果として新モデルの打音はソリッドで初速もアップしている」。

PXGの契約プロであるエリック・コールもこれを証明している。

PGAツアーの新人王に輝いたコールは、「BLACK OPS」がUSGAの適合リストに追加された1週間後にこの新ドライバーを投入。そしていきなりRSMクラシックで3位タイに食い込んだ。

コールは「ソリッドに当たった時もオフセンターヒット時でも初速が出ている」とコメント。「『BLACK OPS』はアドレス時の見た目が素晴らしいから、ツアーでも自信を持ってプレーできる」。


フェアウェイウッドとハイブリッド

pxg,black_ops,ピーエックスジー,ゴルフ,ゴルフクラブ,ドライバー,フェアウェイウッド,ユーティリティ,ハイブリッド

多少の減量を目指しているのなら、小ぶりが流行りのPXGがうってつけだろう。

「BLACK OPS」のフェアウェイとハイブリッドには、独自の新高強度ステンレススチールのフェース素材を採用。

これにより、フェアウェイウッドのフェースを12%、ハイブリッドのフェースを10.5%薄肉化することが可能となり、前モデルよりもさらにたわむようになっている。

また、スクエアフェースデザインにより、ペリメーターのスカート部をより垂直にすることでボール初速アップ、高打ち出し、低スピンを実現しつつも寛容性もアップさせた。

そして、フェアウェイとハイブリッドを薄肉にするために、PXGでは「高強度AM355」を採用し、軽量で高品質なカーボンファイバーのクラウンでカバー。これにより生まれた余剰重量は、寛容性を向上させつつ重心位置を最適化するためにクラブヘッドの下部とペリメーターに再配分されている。

PXGの『高精度ウエイティングテクノロジー』により、好みとスピンとバイアスが設定できるように重量をさらに調整することも可能となっている。

またこの『高精度ウエイティングテクノロジー』は、「BLACK OPS」の打音と打感の向上にも貢献している。

「ほとんどのゴルファーは、プレー中にドライバーよりもフェアウェイウッドやハイブリッドを使うので、この部門のクラブを最適にするために多くの時間とエネルギーを費やした」 と語るのは、PXGのR&DディレクターでPGAツアー優勝経験者のマイク・ニコレットだ。

そして、PXGのLPGAツアープロ、セリーヌ・ブティエは今季から「BLACK OPS」に切り替えた。

昨年のエビアン・チャンピオンシップ優勝者は 「以前よりも打感がソフトで寛容性も見事。ヘッドは前作よりもやや大きくなっているので、自信も以前より高まる」。


米軍関係者向けプラン

毎度のことだが、PXGは米軍、退役軍人、救急隊員、緊急救急隊員と協力関係にある。

「BLACK OPS」をはじめとするPXGアパレルとアクセサリーの“スペシャルヒーロー価格”は、米国の陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊、法執行機関、消防隊、救急救命士に対する感謝の気持ちとして用意されている。


ドライバーのスペックと価格

「0311 BLACK OPS」のロフト角は、右打ち用が8度、9度、10.5度、12度、レフティモデルは9度、10.5度、12度がラインナップしている。

「BLACK OPS」ドライバー:599.99ドル

「BLACK OPS TOUR-1」は、右打ち用が8度、9度、10.5度、レフティモデルは9度のみ。

「BLACK OPS TOUR-1」ドライバー:649.99ドル


日本での発売価格・スペックの詳細は、PXGホームページより。