テーラーメイド「Qi10」ドライバーシリーズの“Q”、“i”、“10”の意味は、“Quest for Inertia(慣性の探究)”で、具体的には10,000ポイントを目指す。

今回のテーラーメイド「Qi10」フェアウェイウッドとハイブリッド(あるいはテーラーメイド的に言うと「レスキュー」)には、この業界トップの「寛容性」を狙う中心的なテクノロジーにはなっていないが、「Qi10」の名前がつけられている。

では、テーラーメイド「Qi10」フェアウェイウッドとレスキューの主要テクノロジーは何か?


テーラーメイド「Qi10」の主要テクノロジー

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程度の差はあるが、テーラーメイドではフェアウェイウッドとレスキューの「Q10」シリーズは、『インフィニティ―カーボンクラウン』、『ツイストフェース』、『貫通型スピードポケット』、非対称『Vスチールソール』、『エアロホーゼル』といったテクノロジーを搭載し、さらに「Qi10」ツアーモデルには『可変式ウエイト』も採用している(これについての詳細は後ほど)。

これらの多くは前作モデルから踏襲されたもので、その目的も変わらない。

様々なライ(ティー、フェアウェイ、短いラフ)でも抜けを良くする『Vスチールソール』や、フェース下部での当りにおけるフェースの柔軟性向上(さらにボール初速キープ)をもたらす『貫通型スピードポケット』は標準装備。

フェース下部は、特にフェアウェイ外やタイトなライにおいて、多くのアマチュアゴルファーがフェアウェイウッドを使った時の打点になっていることは、テーラーメイドだけでなく業界全体でも分かっていることだ。

また、ギア効果で実際に起こることを軽減するテーラーメイドのフェーステクノロジー『ツイストフェース』もこれに含まれる。“フェース角の修正”により、真っ直ぐなショットを実現し、着弾の正確性を向上させることが可能となっている。


カーボン大幅アップ

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通常フェアウェイウッドやハイブリッドだと、主要ドライバーから継承されているテクノロジーは1つ(2つの時もある)だ。現状カーボンフェースは採用されていないし、カーボンフェースになる予定もない。そうする意味がないからだ。

つまり、フェアウェイウッドやハイブリッドには、カーボンフェースが役立つ要素 (フェース面の拡大)がないということ。

ところが、テーラーメイド「Qi10」フェアウェイウッドは、『インフィニティ―カーボンクラウン』を特徴としている。ちなみに「Qi10」レスキューの「カーボンクラウン」も大きいが、「インフィニティ(無限)」には値しない。

この新しいクラウンデザインのメリットは、姿と機能が同居しているということ。また、“インフィニティ”が何を意味しているか?に関しては、クラウンとトップラインの間の境目が事実上“ステルス的”に見えないということ意味ししている。

アドレスでは、テーラーメイド好きの人なら分かるだろうが、スチールとチタンのトップラインがなくなったということで、明らかにテーラーメイドっぽさがない。見た目はスッキリした感じだが、2016年の「M2」を今でも使っている人はアジャストが必要かも知れない。


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パフォーマンスに関して言うと、カーボンクラウンが大きいことでさらなる余剰重量が生まれるため、重心位置(従ってボール初速、弾道、そしてスピン)を変更することが可能になった。

他のメタルウッド同様、重たい素材を取り除き軽量素材を採用することは、エンジニアが設計上、重量を他の部分に配置する基本的な方策になっている。

実際、それぞれのヘッドを横からレントゲンで撮影しウエイトがどこに集中しているかチェックしてみると、各モデルの性能特性とターゲットゴルファーがどんなものか見当がつくはずだ。


テーラーメイド「Qi10」フェアウェイウッド(3モデル)

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テーラーメイドは、モデル名こそやや異なるが、モデル間の差別化を図りつつフェアウェイウッド3種をリリースしている。スタンダードモデルは、今回もスタンダードのまま。「MAX」は事実上「HD」の後継版で「TOUR」は「PLUS」に代わるものだ。

そして3モデルとも、前作で「標準装備」とされている同社の基本的機能を搭載している。

これによってどのモデルが自分に合っているのか、より明確に把握できるようになるはずだ。


テーラーメイド「Qi10 MAX」フェアウェイウッド

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「Qi10 MAX」フェアウェイウッドは、「Qi10」ドライバー同様ラインナップの中では一番大きく、もっとも「寛容性」が高い。

実際、テーラーメイドのフェアウェイウッドの中ではMOI(慣性モーメント)が最大。スタンダードの「Qi10」フェアウェイウッドに比べ、この「Qi10 マックス」はヘッドが前後に5mm(約3/16インチ)長くなっている。

200ccのヘッドはシャローフェースで低・深重心になっており、地面からでもティーアップした状態でも、基本的にフェアウェイウッドが“使いもの”にならないゴルファーをサポートしてくれる。

テーラーメイド「Qi10 MAX」は、3番(16度)、5番(19度)、そして7番(22度)がラインナップ。全ロフトとも左右モデルがある。

小売価格は349ドル。


<日本での価格>

シャフト:Diamana BLUE(ディアマナブルー) TM50 (S,SR,R) ¥60,500 (税込)

グリップ:TM Tour Velvet(TM ツアー ベルベット)360 Black/Blue CP(径60/47.5g)


「Qi10 Max」 ウィメンズ フェアウェイウッド

シャフト:ELDIO(エルディオ)TM40 (L, A) ¥60,500 (税込)

グリップ:TM Tour Velvet 360 LightBlue/Gray CP(径59/33g)

発売:2024年2月2日


テーラーメイド「Qi10」フェアウェイウッド

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「Qi10」フェアウェイウッドは、「Qi10 MAX」のようにホーゼルは固定式でカーボンとスチールの構造になっていることが特徴。ロフト調整を望むなら、「Qi10 TOUR」を選ぶと良いだろう。

ヘッド体積は190ccと「Qi10 MAX」よりもやや(10cc)小さく、パフォーマンスと「寛容性」が両立できるように設計されている。また「ステルス2」と比べ重心がやや低くなっており、打ち出しが少し高い他、「寛容性」も少し高くなっている。

多くのフォルファー層にフィットさせるため、ロフトラインナップは3番(15度)、3HL(16.5度)、5番(18度)、7番(21度)、9番(24度)の5つ。

小売価格は349ドルだ。


<日本での発売価格>

シャフト:

・Diamana BLUE(ディアマナブルー)TM50 (S,SR) ¥60,500 (税込)

・Tour AD(ツアーAD)VF-6 (S) ¥73,700(税込)

・SPEEDER NX BLACK(スピーダーNX ブラック)60 (S) ¥71,500 (税込)

・DiamanaWB(ディアマナWB)63 (S) ¥71,500(税込)

グリップ:

・TM Tour Velvet 360 Black/Blue CP (径60/47.5g)

発売:2024年2月2日


テーラーメイド「Qi10 TOUR」フェアウェイウッド

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「Qi10 TOUR」は付属機能を備えた主力・上級者向けフェアウェイウッド。「Qi10」フェアウェイウッドシリーズの中では一番調整機能を備えたモデルで、正直、現在使用中の「ステルス2 Plus」と比べたくなる、一番気になるクラブと言える。

『インフィニティ―カーボンクラウン』により、元々の重心位置をやや低くするために使われているウエイトを確保しているが、最も注目すべきはソールにある50gの『スラインディングウエイト』だ。

ウエイトを動かすと重心も動く。そして重心がシフトすると、打ち出しとスピンコンディションが劇的に変化する。

「Qi10 TOUR」では、ウエイトを一番後ろにスライドさせたり、テーラーメイドが「HL」と呼ぶ部分にすると、スピンが150rpm増加し、打ち出しもやや高くなるという。逆に、直進性に優れた弾道にしたければ、ウエイトを前方にシフトさせることで、スピン量がニュートラルな設定と比べて150rpm、「HL」の設定と比較した場合だと300rpmも減少する。

さらに「Qi10 TOUR」では同社の「ロフト調整機能」も搭載しており、ロフト角を±2度調整できる他、ライ角とフェースアングルのセッティングも調整される。

結局のところ、「Qi10 TOUR」は弾道、スピン、飛距離の微調整を可能にする豊富なフィッティング機能のメリットを得られるヘッドスピードが速いプレーヤーに最も適していると言える。

テーラーメイド「Qi10 TOUR」フェアウェイウッドは、右打ち用、レフティモデルともに3番(15度)と5番(18度)がラインナップ。


小売価格は449ドルとなっている。

<日本での発売価格>(SELECTFIT STORE 限定)

シャフト:

・Diamana Silver TM50 (S,SR) ¥69,300(税込)

・Tour AD VF-6 (S)  ¥82,500(税込)

・SPEEDER NX BLACK 60 (S) ¥80,300(税込)

・DiamanaWB 63 (S) ¥80,300(税込)

グリップ:

・TM Tour Velvet 360 Black/Blue CP (径60/47.5g)

発売:2024年2月16日


テーラーメイド「Qi10」レスキュー(3モデル)

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想定通り、テーラーメイドは「Qi10」レスキューにおいても前作同様のラインナップ(そしてモデル名)をキープしている。

スタンダードの「Qi10」レスキューは、クラシカルな形状のミッドサイズモデルでバランスの取れたパフォーマンスが特徴。ややどっしりとした「Qi10 MAX」は3モデルの中で一番「寛容性」が高く、投影面積が一番大きい一方、最もシャローフェースになっている。

そしてコンパクトな「Qi10 TOUR」レスキュー。3モデルの中で、唯一「ロフト調整機能(±3度)」を備えており、アイアンのような抜けの良さを求めるゴルファーに向け、ディープフェースでトゥ部分がスクエアになっていることが特徴だ。


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「Qi10」、「Qi10 MAX」、「Qi10 TOUR」レスキューは1本299.99ドルとなっている。


<日本での発売価格>

◆「Qi10 MAX」レスキュー

シャフト:Diamana BLUE TM60 (S, R) ¥50,600 (税込)

グリップ:TM Tour Velvet 360 Black/Blue CP (径60/47.5g)

◆「Qi10」レスキュー

シャフト:

・Diamana BLUE TM60 (S, R) ¥50,600 (税込)

・N.S.PRO® 820GH (S) ¥47,300(税込)

グリップ:TM Tour Velvet 360 Black/Blue CP (径60/47.5g)

◆「Qi10 TOUR」レスキュー(SELECTFIT STORE 限定)

シャフト:

・Diamana SILVER TM70 (S) ¥50,600 (税込)

・N.S.PRO® 910GH (S) ¥47,300 (税込)

グリップ:TM Tour Velvet 360 Black/Blue CP (径60/47.5g)

◆「Qi10 Max」 ウィメンズ レスキュー

シャフト:ELDIO TM40 (L, A) ¥50,600 (税込)

グリップ:TM Tour Velvet 360 LightBlue/Gray CP (径59/33g)

発売:2024年2月2日


※下記はアメリカのスペック

また、「Qi10」レスキューのロフト角は、3番(19度)、4番(22度)、5番(25度)、6番(29度)、7番(33度)でフジクラの「Ventus TR BlueHB(7S,、6R、5A)」を装着。

「Qi10 MAX」と「Qi10」レスキューの純正グリップは、ラムキン「Crossline 360 Black/Blue(47g)」だ。

一方、「Qi10 MAX」のウィメンズモデルのグリップはラムキン「ST Soft Grey/White 0.580(40g)」となっている。「Qi10 MAX」のロフトは、3番(20度<左右モデル>)、4番(23度<左右モデル>)、5番(27度)、6番(31度<右打ちのみ>)、7番(35度<右打ちのみ>)。

シャフトは、フジクラの「Speeder NX TCS 50(R、A)」と「Speeder NX TCS 60(S)」で、ウィメンズモデルはフジクラの「Speeder NX TCS 40」、グリップはラムキン「ST Soft Grey/White」だ。

「Qi10 TOUR」の純正グリップは、ゴルフプライド「Z-Grip Plus2 0.6000(52g)」で、ロフト角のラインナップは、2番(17度<右打ちのみ>)、3番(19.5度<左右モデル>)、4番(22<左右モデル>)となっている。


まとめ

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“テーラーメイド”と“最高レベルのフェアウェイウッド”は、“私の自由時間”と“地元の御気に入りのアイスクリーム屋”のように好相性だ。とはいえ、前作比の変化程度だけでは新規購入*に至らないのも事実だ。

(*前作クラブが最適フィットしていることが前提)

別の言い方をすると、その変化とは0.04m/s程度のボール初速や、打ち出し条件のわずかな変化、そしてトータル飛距離でも一歩か二歩程度ということ。

しかし、私の感覚では、テーラーメイドはゴルファーのニーズにしっかり合わせた個別のモデルを作り出せるデザイン要素を理解しているし、あるいは製品を市場に供給する能力があると思う。

昨年、私は「ステルス2 PLUS(15度)」のロフトを-2度設定にし、「スライディングウエイト」を一番後ろにして使っていた。今年はどうするかなんて分からないけど、「Qi10 TOUR」の方がよければ使うし、そうでなければ、まぁ分かるでしょ。


発売時期

テーラーメイド「Qi10」フェアウェイウッドとレスキューの全モデルは、TaylorMade.comと小売店で先行販売中。正式発売日は2月2日だ。