・オデッセイが、「Ai-ONE」と「Ai-ONE MILLED」パターシリーズに新作8モデルを追加
・新モデルにはすべて、AI設計のフェースインサートを搭載。これによりボールを狙い通りにカップへ寄せる精度がさらに高められている
オデッセイが新しい「Ai-ONE」と「Ai-ONE MILLED」パターシリーズを発表したのは約1年前のこと。両シリーズの一番のセールスポイントは、そのインサートがスーパーコンピューターとAIによって設計されたということだった。膨大なデータ解析の末に生み出されたこのインサートの主な目的は、フェース全体のボール初速を均一化し、距離感の精度を向上させることにある。
この距離の均一化が意味するのは、ミスパットがカップの近くに寄りやすくなることであり、それが結果的に3パットを減らすことにつながるということ。
トッププレーヤーですら3パットは避けられない。オデッセイの計算によると、ツアープロたちは2023年だけで、3パットにより総額2,500万ドルの損失を被った。ジョン・ラームひとりだけでも、こうした余計なパットによって250万ドルもの賞金を逃しているのだ。
だが、ラームの懐事情については心配無用だ。彼も他のプロたちも、2024年にオデッセイの「Ai-ONEパター」に切り替えたおかげで大金を稼ぐことができたのだから。
「Ai-ONE」インサート
ここで改めて、「Ai-ONE」インサートの特徴をおさらいしよう。フェースを見てみると、「ホワイトホット」などのインサートと同様のポリマー素材に見えるが、「Ai-ONE」シリーズの透明なウィンドウを覗いてみると、ポリマーの下に変わった輪郭のアルミニウム層があるのがわかる。
アルミニウム層の小さな突起や凹凸は、数千時間に及ぶ計算の結果、特定の位置に少しずつ素材を加えることで、フェース全体で安定した距離感を実現できると導き出されたものだ。イーブンロールの『スイートフェースグルーブ』テクノロジーやPINGの『TR溝』など、他のフェース技術も同様の目標を掲げているが、「Ai-ONE」インサート設計ほど緻密でモデルごとに特化したアプローチは他にない。
「Ai-ONE MILLED」パターでは、凹凸の配置はやはりコンピューターによるものだが、今回は地形のようなインサートがチタンから削り出されている。フェースは一見すると通常の削り出しパターのように見えるが、凹凸は表面の下に隠されている。
しかし残念ながら、「Ai-ONE MILLED」パターに凹凸が見えるクールなのぞき窓は設置されてない。
コンピュータの得意分野
オデッセイが「Ai-ONE」シリーズと「Ai-ONE MILLED」シリーズの両方を拡充しているという事実は、新しいテクノロジーが機能していることを意味する。マーケティング戦略として「機能している」と言えるが、それだけがAi-ONEデザインが継続する理由ではない。
このテクノロジーがカップインの確率を高める。それが全てだ。ゴルフで生計を立てているプロたちが「Ai-ONE」シリーズを選んでいるという事実は、このテクノロジーが機能していることを物語っている。忘れてはいけないのは、パットのミスがプロにとって大きな損失になると、№1パターメーカーのオデッセイ様が明言している点だ。
プロゴルファーは、ダメなパターを使い続けることはない。ツアープロの家には、新しいパターで良い結果を出せなくなった時に備え、多くの古いオデッセイ「WHITE HOT」シリーズパターが、いつでもキャディバッグに戻せるように保管されている。しかし「Ai-ONE」技術が勝利をもたらし続ける限り、それらのパターは埃をかぶったままになるはずだ。
新作「Ai-ONE」パターと「Ai-ONE MILLED」パター各モデル
新たに加わった仲間たちは明らかにマレット型が多い。実際、8つの新しいモデルのうち、ブレードパターはたった一つだ。そのブレードも実際にはワイドブレードモデルなので、全部マレット型だと言われても反論はしない。
とはいえ、今回の新モデルで最も注目すべき点は、その多くが正真正銘新しいモデルであることだ。オデッセイは、単に古いボディに新しいネックを取り付けたのではなく、まったく新しいものを提供している。
では、新しいモデルのラインアップを見ていこう。まずは「Ai-ONE」、次いで「Ai-ONE MILLED」パターについて紹介する。
オデッセイ「Ai-ONE WINGBACK」パター
「Ai-ONE WINGBACK」には、オデッセイ/トゥーロンデザインの「INDIANAPOLIS(インディアナポリス)」モデルと共通するデザインが多く見られる。オープンホイールのインディカーを思わせるようなルックスで、ヘッドの四隅に重量を配分し、慣性モーメント(MOI)を高める設計だ。「WINGBACK(ウィングバック)」の特徴を端的に言えば、MOI。
パターを裏返すと、調整可能なウエイトが中央に配置されているのがわかる。これにより重心が前方に移動し、ストローク時にマレットでありながらブレードっぽい感覚が得られる。同じくウエイトが少し前方に置かれた新しい「Spider Tour X」とこのモデルがどのように比較されるか、非常に興味深いところだ。
オデッセイ「Ai-ONE 24」パター
次に紹介するのは、名前からしてジャック・バウアーのお気に入りモデルであろう、オデッセイ「Ai-ONE 24」だ(笑)。新モデルの中でも特に、「Ai-ONE 24」は最も興味深い構造をしている。いたるところに曲線とキャビティがあり、まるで風洞で設計されたかのようだ。
最も興味を深いのは、パターの後方に配置された大きなウエイトだ。後方にウエイトが配置されるドライバーはよく見かけるが、パターでは稀。おそらくこのウエイト配置により、ドライバーと同様に「寛容性」が向上しているのだろう。
オデッセイ「Ai-ONE 2-BALL JAILBIRD MINI」パター
思うに、オデッセイは人気のパターモデルをすべて「Ai-ONE 2-BALL JAILBIRD MINI (Ai-ONE 2-BALLジェイルバード ミニ)」に統合したかったのではないか。というのも、このモデルはシリーズの“すべてが詰まった製品”だからだ。このパターが「2-BALL」なのは一目瞭然だが、「JAILBIRD」を見つけるのは少し手間取った。なにしろ私はストライプ模様を探していたわけで。
パターの底面を見ると、「JAILBIRD(ジェイルバード)」の形状が現れる。この形状により、一般的な2ボールパターと比較して、周辺部により多くのウエイトを配置でき、「安定性」と「寛容性」を高めていることができる。
アドレス時に「JAILBIRD」構造が目立たないよう巧みに隠している点は、さすがオデッセイだ。モデルの“融合”としては、かつての忌まわしき「2-BALL」のブレードよりも、こちらのほうがはるかに支持できる。オデッセイ「Ai-ONE CRUISER 2-BALL JAILBIRD」パター
厳密に言うと、「Ai-ONE CRUISER」モデルは今年別枠でリリースされたのだが、「CRUISER(クルーザー)」シリーズも「Ai-ONE」シリーズの一般的なデザインコンセプトに合致しているので、ここで紹介することにした。他のすべての「CRUISER」モデル同様、このモデルは標準の長さのパターよりも長くて重い。
「Ai-ONE」パターはすべて「STROKE LAB 90シャフト」が装着されており、カウンターバランスとなっている。カウンターバランスの重量構成は「CRUISER」モデルでさらに極限まで高められている。「CRUISER」では、長いシャフトと大きいグリップ、重たいヘッドが標準だ。
また小さめの兄弟モデル「JAILBIRD MINI」と同様、オデッセイはかさばる「JAILBIRD」のボディを「2-BALL」アライメントの下に巧みに隠している。
「Ai-ONE MILLED 2-BALL T」パター
「Ai-ONE MILLED 2-BALL T」は、イケてる見た目の「2-BALL」パターだ。数年前、金に糸目をつけずに作られた「Milled 2-Ball」の限定版に匹敵するクオリティかもしれない。アライメントボールを囲むリングのデザインがいい感じで、チタンフェースと完璧にマッチしている。かなりのイケメンパターだ。
ちなみに、パターの名前にある「T」は「チタン」のこと。「Ai-ONE MILLED」シリーズのフェースはすべてチタン製なので、わざわざつける必要もないとは思う。名前にこの余分な文字がなくても、ちゃんとチタンだって認識できたはずだし。
「Ai-ONE MILLED 2-BALL T」パター【数量限定】:¥61,380から(税込)
オデッセイ「Ai-ONE MILLED JAILBIRD MINI T」パター
やっと来ましたストライプの登場だ!オデッセイ「Ai-ONE MILLED JAILBIRD MINI T」には、「2-BALL JAILBIRD MINI」で私が探していた「Versa(ヴェルサ)」ストライプがある。対照的なブルーとゴールドのアライメントストライプこそ「JAILBIRD」が2023年の最もホットなパターに選ばれた理由なのだ。
まあ、正確にはそれと同じではないものの「Ai-ONE MILLED」モデルは、スタンダード/ノンクルーザー仕様のみの設定。個人的には、是非「MILLED CRUISER(ミルドクルーザー)」バージョンを出していただきたい。
※「Ai-ONE MILLED JAILBIRD MINI T」パター【数量限定】:¥61,380から(税込)
オデッセイ「Ai-ONE MILLED ROSSIE V Tパター」
デュアルラインの「Ai-ONE ROSSIE S」とは異なり、オデッセイ「Ai-ONE MILLED ROSSIE V T」はマレットの中央に1本の長いラインが入っている。旧モデルのオデッセイ「V-LINE」パターのいずれかを使ったことがあるなら、このアライメントはお馴染みだろう。
「ROSSIE」にはボブ・ロスバーグのオリジナルデザインが今も生き続けているが、彼のマレットが登場して以来、技術は大きく進歩しているのは明らかだ。フェースだけではなく他の「Ai-ONE」モデルと同様に、必要に応じて好みのウエイトに変更できる。
※Ai-ONE MILLED ROSSIE V Tパター【数量限定】:¥61,380から(税込)
オデッセイ「Ai-ONE MILLED ONE WIDE T」パター
オデッセイ「Ai-ONE MILLED ONE WIDE T」は、このグループで唯一のブレードだ。スタンダードの「ONE」モデルと比べて、「ONE WIDE」はヒールからトウまでが少し短く、フロントからバックまでは少し幅広になっている。ワイドブレードの人気は、この10年ほどで爆発的に高まっている。
このモデルは、マレットに完全には踏み切れない人たちのためのパターだ。ポジショニングとしてはブレード王国とマレット郷の中間地点、橋渡し役となるモデルだ。ブレードっぽさを完全に失うことなく、マレットならではの恩恵も受けられる。幅広のブレード(あるいは細いマレット?)を求めているなら、このパターがぴったりだ。
※「Ai-ONE MILLED ONE WIDE T」パター【数量限定】:¥61,380 から(税込)
新しいオデッセイ「Ai-ONE」と「Ai-ONE MILLED」についての総論
数多くの新モデルが発売されている中で、これは単なるラインアップの拡充というよりも、まさに新たなリリースと言えるだろう。文句をつけているわけではない。パターに関して言えば、選択肢が多いほど嬉しいものだ。
「Ai-ONE」と「Ai-ONE MILLED」シリーズを一新するのに、これだけ多くの新しいモデルを加えるとは、かなりのやり手だ。個人的には新しいラインナップを見て他のモデルを想起した。「Ai-ONE MILLED ELEVEN」マレットシリーズを一度も試す機会がなかったということを。
その意味では、この新しい「Ai-ONE」パターは、新鮮さとリフレッシュ感を同時に提供している。
AI設計による8つの新モデルを生み出すことで、オデッセイは高度な技術を駆使したデザインの手法に対する強い信念と自信を示した。もちろんこの費用のかかる技術がうまく機能しなければ、すぐさま別のアプローチに切り替えていたはずだ。オデッセイは、複数のカテゴリーにおいてツアーNo.1のパターメーカーでありながら、常にパターを改良する方法を模索している企業でもある。
これらの新モデルの詳細は、オデッセイホームページで。
FAQ: 新しいオデッセイ「Ai-ONE」と「Ai-ONE MILLED」パター
価格は?
通常の「Ai-ONE」モデルは299.99ドル、「Ai-ONE CRUISERS」は349.99ドル、「Ai-ONE MILLED」は449.99 ドル。
2024-2025年のオデッセイの新しいパターはこれで全部か、それとも今後さらに増えるのか?
2025年にはさらに多くのものが見られるだろうと確信している。何が出てくるか見当もつかないが。1月には何か新作が見られるのではないかと思っている。
「Ai-ONE」のインサートはどのようにしてボールの転がりを標準化できるのか?
通常、パターフェースの異なる部分で打たれたボールは、異なるスピードで進む。その速さや遅さは、インパクトの位置とパターの構造特性によって決まる。オデッセイのスーパーコンピューターは、あらゆる性能データを分析して、インパクト時にフェースのどの部分でも同じ性能を発揮できるよう、それぞれのヘッドを導き出す。一部のエリアは高速化され、別のエリアは低速化されるが、全体的には転がり特性という点ですべてがより均一になる。
どのモデルが自分のストロークに合うかを知る方法は?
フィッターの力を借りよう。フィッターは試行錯誤しながら探り当てる方法を知っているので、個々のニーズに最も合ったモデルを特定できる可能性は大だ。フィッティングには多少の費用がかかるが、月ごとに新しいパターを新調するよりは安く済む。
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