気の置けない仲間たちと一緒にアウトの1番ホールでティーオフの準備をしている最高の朝。
プライドと自信、スキル、そしてちょっとしたスリル(お金)すら賭けて、幾分心拍数が上がりながらも、その素振りをおくびにも出さずにそれぞれのお気に入りボールの箱を開ける朝。
初心者だろうがベテランだろうが、それぞれにリサーチを重ねて(もしかするとMyGolfSpyの「2023年ベストゴルフボール」も参考にしながら)、自分にベストなボールを選んだはず。
それが我々のように徹底した性能テストのデータを元に選んだのか、あるいはブランドへの信頼度や使い慣れた安心感で選んだのかはともかく、あなたのプレースタイルに最適なボールを見つけたと信じて疑わない朝のティーグラウンド。すると突然、その中の一人がオレンジ色のボールを取り出す。
「おいおい、それ、林で拾ったのかい?」
「ヘイユー、ボールがないなら貸してやろうか?」
「悪いことは言わないから今のうちにプロショップでまともなボールを買ってくれば?」
同組のメンバーは、白以外のボールに批判的で、カラーボールを選択したパートナーのプレー(あるいは人生そのもの)を疑い始める可能性すらあるが、本当に見た目だけで判断できるだろうか?外見だけで判断するのは素人すぎやしないか?
みんなしっかりとリサーチして自分に最適なゴルフボールを選んできたはずだ。オレンジ色が好きという可能性だってあるし、コースで見やすいからかも知れない。白ではないボールには安価だとか珍しいという偏見や誤解は今でもあるが、ゴルフが進化し続ける中で、プレーヤーの趣向も変わってきている。
2023年に約4,500万人のアメリカ人がコースや練習場でプレーしたとされるパンデミック後のゴルフ熱が高まる中、Volvik(ボルビック)は、他のボールブランドやメーカーとは別の道を突き進もうとしている。
Volvikは自社の製品が他のメーカーの製品とは全然違うということをむしろ誇りに思っている。
Volvik USAの社長を務めるPGA会員のピート・キニー氏も「ゴルフの普及と将来を見据えた開発を続ける中で、“新しいカルチャー“を受け入れ、しかもパフォーマンスと楽しさを重視していく」と述べている。
ゴルフをもう一度楽しいものに
これをご覧になっている皆さんは変わりゆくゴルフの環境は十分にご存知のはずだ。
コロナ禍で最高潮に達したゴルフ人気や、練習場、シミュレーションゴルフ、ゴルフエンタメ施設でのプレーの体験機会が増えたことで、ゴルファー層は若返り、より多様化してきている。
「アメリカゴルフ振興財団」によると、アメリカでは若年層(18~34歳)がゴルフの最大の顧客層であり、コースでのプレー人口は630万人、コース外での参加人口は580万人に上る。
ゴルフにおいて若年層が最大の顧客層である中、特にジュニア層の市場成長が目覚ましい。2019年以降、ジュニアゴルファーは他の年齢層を上回る40%の成長を遂げ、2023年には約350万人のジュニアがゴルフコースでプレーした。さらにジュニアゴルファーの約3分の1(37%)が女子であり、2000年の15%から大きく増加している。
このように成長著しい若年層市場は、ゴルフの古い慣習や想定をドラスティックに揺さぶってくれる。服装や使用する用品に対する先入観が少なく、より自由なアプローチが受け入れられる。
最も明確な例は、テクノロジーを基盤としたゲーム体験を提供するゴルフのエンタメ施設や、コース内外で着用されるストリートウェアから着想したファッションなどは、人々がどのようにスポーツと関わっているのかを目の当たりにすることができる。個性が重視されるゴルフの世界において、ゴルフボールは“最後の聖域“だと言われていたが、Volvikが「VIVID(ビビッド)」をリリースしたことでその常識が変わった。(まさに”パラダイム“シフトが起こったのだ!w)
初のマット仕上げのゴルフボールである「VIVID」は、ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、そしてピンクなどの多彩なカラーリングが揃う。322個のディンプル、85というコンプレッション(硬度)の「VIVID」は、白以外のボールに対する固定観念を覆し、新たな可能性をゴルファーに示すボールだ。そして、ゴルファーが自分の個性をさらに表現できるよう、Volvikは、「ウォルト・ディズニー/マーベル」、「Women on Course」、「BCRF(世界最大の乳がん研究基金)」などとの各種ライセンスや提携を通じて、ゴルフ業界で最も成長著しいジュニア層と若年層の2つの層にもアプローチしつつ、次の一歩を踏み出している。
アイアンマン、スパイダーマン、キャプテン・アメリカ、そしてインクレディブル・ハルクといったマーベルの人気スーパーヒーローをテーマにしたボールを発売した後、Volvikとディズニーは2024年2月にさらに関係を強化。
ディズニーの100周年を記念し、ミッキー、ミニー、グーフィー、ドナルドなどディズニーの象徴的キャラクターが描かれたVolvikのゴルフボールとコレクター向けボールマーカーがセットになった限定パッケージの「Disney x Volvikコレクション」を展開している。「マーベル、そしてディズニーとのパートナーシップは、ゴルファーに新しい文化を提供するというブランドの目標を実現する素晴らしいものとなっている」とキニー氏は語る。「我々は、パフォーマンスを犠牲にすることなく、新たな楽しさと自己表現の場を提供している。そして、ゴルフ人口が急増している中で、さらに新たなプレーヤーを生み出してくれるはずだ」。
プロに向けた開発
スーパーヒーローやアニメキャラクター、そして豊富なカラーバリエーションでゴルフをより楽しく表現豊かにすることは、Volvikの優先事項の一つとしている一方で、創業44年の歴史を持つブランドは、白以外のゴルフボールに対する「ノベルティ品」というイメージを払拭し、高品質商品を生み出し続けることにも注力している。
1980年に創業された「Volvik」という社名はイタリア語で「飛ぶ」を意味する「volare」と勝利の「vi」、そしてブランドの本拠地である韓国を示す「k」を組み合わせている。
1982年創業のキャロウェイより古く、1999年からゴルフボールを製造しているテーラーメイドよりも長い歴史があり、タイトリスト、ブリヂストン、スリクソンなど世界に6社しかないボールメーカーの一つで、アメリカと日本以外で創業されたメーカーだ。58個の特許を持つVolvikは、自社のゴルフボールが安価な2ピースの「ノベルティ品」扱いされることは望んでいない。「プロ向けの開発。上達させるために」をスローガンとしている。
Volvikの核となるのは、特許取得済みの『ソフトフィール(SF)マットテクノロジー』で、優れた吸着力があり、弾力性、耐久性、そしてスピンをもたらす摩擦力が向上。
52度のウェッジだと、このテクノロジーを採用したVolvikのボールは、スピン量が9,486 rpmとなり、通常のグロスコーティングボールの8,960 rpmを上回る。そして、同社で一番知名度がある「VIVID(ビビッド)」は、特許取得済みの“Nano Bismuth”を混同させたコア、アイオノマーのミッドレイヤー、特許取得済みの「ソフトフィール(SF)マット」仕上げを採用した3ピース構造が特徴だ。
韓国に最先端の製造工場を2カ所と研究開発センターを構え、4ピース、3ピース、そして2ピースゴルフボールを世界55ヶ国へ輸出している。現在、韓国市場におけるボール販売量は第2位で、第1位のタイトリストといえば2011年に親会社のアクシネットが韓国資本のフィラに買収されたことが記憶に新しい。
「私たちには、世界的な特許を数多く保有しており、ゴルフボールに搭載された研究開発とテクノロジーの深さには驚かされるはずだ」とキニー氏。「多くのメーカーは、簡易的とも言える2ピース構造で目立つカラーバリエーションを展開しているが、私たちは、マルチレーヤーテクノロジーを採用したパフォーマンス向上に注力し続けている。そして、これからもその姿勢は変わらない」。
米国での拡大について
Volvikが、世界中で認知されるようになったのは、米国での流通を目的にドン・シン氏とともにジョイントベンチャーを始めた2012年だろう。当時、シン氏はVolvikが好きで、高品質のカラーボールで米国ゴルフ市場に新風を吹き込み、よりエキサイティングなものにしたいというビジョンがあった。
シン氏は、Volvik USAの代表として、2016年から2018年までミシガン州のトラビス・ポインテ・カントリークラブで開催されたLPGA Volvik選手権の冠スポンサーやプロ契約など、特に女子ゴルフ界でブランドを拡大。また、世界ドラコン選手権でも冠スポンサーとなり公式競技ボールとしてVolvik「VIVID XT」を提供した。
さらに、2017年にはマスターズを2度制覇したバッバ・ワトソンとも複数年契約を締結。ピンク色のドライバーを使うPGAツアーのプロが同じくカラフルなボールを使用することに違和感はなかったが、残念ながらこの契約は1年たらずで終わり両者は関係を解消することになった。
ワトソンとの契約は不調に終わったが、Volvikは米国市場で“スペシャルなカラーパフォーマンスボール”としての地位を切り開いていた。2022年にシン氏がこの世を去ったが、それでもなお成長し続けた。全米ゴルフ財団(NGF)によると、米国ではゴルフ人気がコロナ禍をきっかけに急騰、2020年のコロナ真っただ中でも2,480万人以上がプレーしたという。
そして同社は、2024年に、前年にゴルフをプレー4,500万人の米国人にアプローチするために、米国法人設立に向けそのジョイントベンチャーを買収し、業界で長年従事してきたピート・キニー氏を社長に、そして昨年末にジョン・ホルスト氏をVolvik USAの営業副社長に迎えた。
Volvikのゴルフボールシリーズは、4ピース、3ピース、マット仕上げ、グロス仕上げ、ピンク、キャプテン・アメリカ、またアライメントラインの有無にかかわらず、Volvikのゴルフボールラインナップは、間違いなく他社と一線を画している。
「Volvikには、パフォーマンスの革新において長い歴史を持っており、最近では2つ目の最先端の製造工場も完成、未来に向けた高性能商品の供給体制もこれまで以上に強固になっている」と語るのはキニー氏だ。
あなたの周りでカラーボールを見かける機会が増えても驚かないように。
少なくとも、Volvik(ボルビック)はそれを目論んでいる。
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