PXGの新しい「0317 CB」が登場したが、どうやら、これはPXGの最新アイアン発表に止まらないようだ。

それは、「薄いフェース」と「上級者好みの形状」(小さいオフセット、薄いトップライン、小ぶりな見た目)が融合した「0311 T」モデルが終焉を意味すると思われる。しかしPXG「0317 CB」が示唆しているのは、「0311 T」はターゲットゴルファーには理想的なアイアンではなかったってことだ。


pxg,0317cb,アイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

PXG「0317 CB」は、以前から多くのゴルファーがPXGに求めていたアイアンと言える一方で、「0311 T」は(主にヘッドスピードが速い)上級者に対して、彼らが求める飛びと弾道をもたらしていない事実があった。

私の経験だと、スピン量が少なくて打ち出し角が高いアイアンをデザインする場合、そこにはスピン量が少な過ぎてパフォーマンスが安定しないという微妙な境界線が存在する。

それはさておき、PXG「0317 CB」は、「0317米国海軍前哨狙撃兵」から名付けられたもので、“ピンポイントの正確性”というメッセージがしっかり込められている。それ以外のテクノロジー系の話は、上級者やシングルハンデのゴルファーが満足する鍛造アイアンで語られるようなことがほとんどだ。


pxg,0317cb,アイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

PXG「0317 CB」の基本

PXGでは「GEN5」以降、全ての「GEN」シリーズをより大きなくくりの「0311」シリーズに振り分けた。そして、「上級者向け」アイアンの呼称として「0317」に改めて振り分けられたというわけだ。

当初、このクラスのモデルは「0317 STブレード」の一つだけだったが、「0317 CB」アイアンが加わったことで、PXGは上級者に対して選択肢を2つに増やし、さらにコンボセットも提供できるようになった。

従来のキャビティアイアンが存在する一番の理由は、マッスルバックの見た目とキャビティの「寛容性」をゴルファーにもたらすことにあると言っても良い。

そして、PXGの創設者でCEOのボブ・パーソンズ氏によれば、「0317 CB」は、「ブレードの見た目と操作性を好むものの、自分のゴルフには易しさも必要な時があるというゴルファーのためにある」ようだ。


pxg,0317cb,アイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

テクノロジー(以外)

ここまでの話の流れで誤解して欲しくないのは、PXG「0317 CB」アイアンをテクノロジー不足と言っているわけではないし、そんなわけがない。しかし、PXGの通常のアイアンテクノロジーと比べると、今回のモデルはかなり教科書通りの「上級者向けキャビティアイアン」っぽいと思えるのだ。

PXG「0317 CB」は、『8620カーボンスチール』ビレット(鋼片)を3度鍛造し、「CNCミルド加工」で精密さをキープした高級仕上げのアイアンで、タングステンのバックウエイトにより、スイングウエイト(バランス)とクラブの合計重量に応じてパフォーマンスを微調整することが可能になっている。

これは余談だが、フィッティング中に異なるウエイトのヘッドで試すことで、もしかしたら隠れたパフォーマンスが引き出されるかもしれない。これまでのフィッティングでそうしたことが未経験なら、試してみる価値はある。


次はテクノロジーについて

シングルピースの鍛造アイアンでは、「薄型フェース」と「充填材」を注入したキャビティではなく、「合金」と「デザイン形状」に話はシフトする。PXGが「0317 CB」アイアンに採用した『8620カーボンスチール』は、冶金学的に言うと『1020』や『1025カーボンスチール』ほど柔らかくはない。

しかし、これはPINGが鍛造マッスルの「BLUEPRINT(ブループリント)」アイアンで使用しているものと同じ。そのため、なんの合金なのか?は方程式の一部に過ぎない。重要なのはクラブのデザインと重量配分にある。

その上、PXG「0317 CB」アイアンでは、「全ての表面と曲線部、そして角が正確になるように」CNCミルドされている。そして最後には、ロボットによる研磨加工で「完璧な仕上げと、番手間の比類なき一貫性」を実現しているのだ。

「0317 CB」は、「0311 P GEN6」や「0311 XP GEN6」に比べると、より直進性があってスピンもかかるはず。繰り返しになるが、こうした特性は、あなたのゴルフによりマッチしなければ、必ずしも「良い」とは言えないということは覚えておいて損はないはず。


pxg,0317cb,アイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

私見

「0317 CB」は、「0311」と「0317」シリーズを差別化するという点で、PXGにとっては面白いクラブだろう。一方で、小ぶりな形状と「0311P GEN6」のパフォーマンスを求めるゴルファーにとっては選択肢が限られる可能性がある。

確かに、この手のゴルファーは少数派だろうが、私は、それでも「0317」でボール初速と高さを出すために薄い『HT-1770フェース』を採用したロングアイアンを出して欲しいとは、今でも思っている。(PXGさん、聞いているかな…)

パフォーマンスについては、実際に打ってみるまでコメントは控えるが、ターゲット層にマッチしている者としては、ミズノ「JPX 923 Tour」と三浦技研の「CB 302」という私のお気に入り2モデルに対して、どんな実力があるのかは見てみたいところだ。

乞うご期待!


PXG「0317 CB」の価格と発売時期

新しいミルドされたPXG「0317 CB」上級者向けアイアンは、クローム仕上げとエクストリーム・ダーク仕上げがある。

価格は1本169.99ドル(クローム)から。

日本価格は、クローム仕上げが¥26,000+税/エクストリーム・ダーク仕上げが¥30,000+税、発売は2023年4月27日