ゴルフ用品メーカーが、ある一つの部門において独走状態ということはあまりない。

たとえば、信頼に足る複数のブランドがチッパーを出していることを考えると、テーラーメイドがミニドライバー部門を独り占めしているとは考えにくいはずだが、同社が「BRNR(バーナー)ミニドライバー」を発表した今、まさにそのような状況となっている。

母音のない名前が示すように、この最新世代は、テーラーメイドのクラシックな「Burner TI Bubble 2(バーナー チタンバブル2)」シリーズを少しばかり美しく回帰させたものだ。


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私の計算では、テーラーメイドのこの部門への進出は「BRNR(バーナー)」で5回目。PINGの大型フェアウェイウッドとキャロウェイの「Big Bertha(ビッグバーサ)ミニドライバー」を除いて、他に闘いを挑んできたものはいない。

何故なのか。

つまるところ、ミニドライバーはニッチな製品であり、ほとんどのプレーヤーにとって14本の中にうまく収まるものではないということ。ミニドライバーが欲しいか欲しくないかは、それぞれの理由を掘り下げていくと、そもそもの明白な疑問に辿り着く。


ミニドライバーとはなんぞや。

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簡単に言ってしまえば、テーラーメイド「BRNR Mini(バーナーミニ)」のようなミニドライバーは、多かれ少なかれ、その名が示す通りのものなのだ。つまり、“小さなドライバー”。大きな2番ウッドと表現することもできるが、語呂はあまりよろしくない。

実際には、ミニドライバーはドライバーとフェアウェイウッドの間のどこかに位置する少々特異なものだ。

テーラーメイドのプロダクトクリエーションディレクターであるトモ・バイステッド氏曰く、「BRNRミニドライバー」のDNAは、フェアウェイウッド60%、ドライバー40%だという。

近年、フェアウェイウッドの多くがティーショットで用いることを念頭に設計されているという事実に基づいた比率なので、大雑把に見積もったものだろうが。


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また、テーラーメイド「BRNRミニドライバー」を購入するゴルファーの中には、ティーショット以外では使わないという者もいるはずだという但し書きも添えるべきだろう。それができるように設計されているにもかかわらずだ。

またサイズ的には、「BRNRミニドライバー」はフェアウェイウッドに近い。

典型的なドライバーのヘッド体積が460ccであるのに対し、フェアウェイウッドは170cc台。テーラーメイド「BRNRミニドライバー」は300ccだ。

付け足すと、これは先代のテーラーメイド「300 ミニ」とほぼ同じサイズだ。PGAツアーで多く使われたクラブではなかったが、「300ミニ」を好んで使った人々の決め手はサイズ感だったので、テーラーメイドは 「BRNR ミニ」においても同様の体積を維持したというわけだ。


テーラーメイド「BRNR(バーナー)ミニ」の技術面について

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テーラーメイド「BRNRミニドライバー」における最も顕著な技術的特徴は、その「低重心」にある。これにより、特にティーアップしてプレーする際に、さらなる「高弾道」を確保できるはずだ。

「BRNR ミニ」はまた、テーラーメイドがミニドライバーに『可変ウエイト』を搭載した初のモデルとなる。

重いウエイトが「前方」にあると、重心はフェースセンターより下になる。これはフェアウェイウッドではあまり聞かないセッティングだが、「スピン量を抑える」役割を果たす。


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重いウエイトを「後方」に配置することで、スピン量はそれほど低くはならないものの、かなりの「寛容性アップ」が望めるため、標準的なフェアウェイウッドの代替品として説得力のあるものとなっている

ウエイトは13グラムと1.5グラム。これらの数値はウエイト自体に表示されているが、テーラーメイドはこれにさらにヘビーとライトという表示も付けている。細かいことだが、わかりやすいのはいいことだ。


「BRNRミニ」の構造

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テーラーメイド「BRNRミニドライバー」は、チタンフェース (『TwistFace』テクノロジー採用)とカーボンファイバークラウン、『SpeedPocket』を採用している。後者の利点は、フェース下部でのコンタクトで発揮されるはずだ。「ミニ」の(標準的なフェアウェイウッドと比較して)高さのあるフェースを考えると、これは特に魅力的だ。

聞かれると思うので言っておくが、カーボンフェースではない。

「Stealth(ステルス)」と「Stealth 2」ドライバーの発売時に説明したように、カーボンファイバーという素材の利点を生かすためには、大きなフェースが必要なのだ。そして“大きな”とは、460ccのドライバーに使われるようなフェースサイズを意味する。

それよりはるかに小さい場合、カーボンファイバーは機能しない。300ccのボディに装着されたカーボンファイバーのフェースではスタートラインに立つことすらできないってわけだ。

そして、テーラーメイド「BRNR ミニ」は、ホーゼル部分の2度『ロフトスリーブ』で調整が可能だ。

ちなみに「BRNR ミニドライバー」の純正シャフトはフェアウェイウッドと同じ長さだが、高さのあるボディと長めのホーゼル長により、クラブ全体の長さは長くなる。

どうでもいいことかもしれないが、これはつまりテーラーメイドによる優れたフィッティングツールの恩恵を受けるもよし、今使っているテーラーメイドの3番ウッドのシャフトを「Mini」に流用するもよし、ということになる。調整する必要もなくそのままでいける。


「BRNRミニドライバー」を使う理由

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「BRNR Mini」をキャディバッグに入れる理由はいくつかある。

ミニドライバーはフェアウェイウッドよりも「寛容性」が高い。たとえば、テーラーメイド「Stealth 2(ステルス2)」フェアウェイウッドのMOI (トップ/ボトムおよびヒール/トウ) は4,700程度。

かたや「BRNR ミニ」ドライバーのMOI(慣性モーメント)は6,700前後。この違いは大きい。

次に、「BRNR ミニ」はフェアウェイウッドよりも“長い”。

この場合の“長い”とは「クラブ全長」と「飛距離」の両方を指すが、要は、純正の「BRNR ミニ」は純正のフェアウェイウッドよりも約5~7ヤード飛距離が出るはずだということ。純正より長いシャフト (ドライバーの長さに近い) では、フェアウェイウッドに対する「BRNR」の飛距離アドバンテージは2桁になる。

そして、「BRNR ミニ」はドライバーよりティーショットが打ちやすい。それは普遍的な真実ではないが、ドライバーに悩まされている人にとっては、シャフトの短い「ミニ」を打ちやすく感じる可能性は大だ。


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また、「BRNR ミニ」はヘッドが小さいため、重心がシャフト軸に近いことも事実。これは通常、“より操作性が高い”と言われるクラブの根拠となることが多いが、実際にはミニドライバーのフェースが返りやすくなることを意味する。

この性質は確実なドローが求められるホールで効果を発揮する。これがマスターズで「BRNR ミニ」を使用したプレーヤーが数名いた理由だ。必ずしもボールを曲げようとしていない人にとっても、同じ設計特性が「スライスの軽減」に役立つ。

たまにドライバーを2本入れている人とプレーするのだが、彼のバッグには標準的なドライバーと、タイトなホールやコントロールが必要なときに使用する「高ロフト/高スピン」のドライバーが入っている。


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彼にとって「BRNR ミニ」は「高ロフト」のドライバーの代わりになり得るものだ。そして、現在使っているそのドライバーがNIKEの「サスクワッチ」であることを考えると、検討の余地は大いにある。

閑話休題。

さらに「BRNR ミニ」は地面からも打てる。これはフェアウェイウッドの買い替えを考えている人にとっての(ほぼ全員の)必須要件だろうが、それを差し置いても、テーラーメイド「BRNR ミニ」がティーショット専用クラブではないと指摘しておくことは重要だ。

「低重心」のため、アドレス時の見え方から想像する以上にフェアウェイから打つのは易しい。これは、「打ち込むタイプ」のゴルファーに特に当てはまるだろう。


「BRNR ミニドライバー」を使わない理由

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「BRNR ミニ」を選ばないほうがいい理由もいくつかある。

地面から打つのは難しいかもしれない。

はいはい、さっき確かに正反対のことを言ったけど、つまりミニドライバーをティーアップしないで使った場合、いわゆる“縦距離がばらつく可能性大”だということ。

地面から「ミニ」を打つのは実際にはそれほど難しいことではないが、フェアウェイウッドを基本的にどこからでも打てるように設計された小さくてシャローフェースのクラブであると定義している人にとっては「ミニ」は難しく見えるだろう。

そのため、たとえそれが可能であっても、可能であると自分自身を納得させるのに苦労するかもしれない。

あと、入射角がニュートラルあるいはプラスになりがちな人にもちょっと難しいかもしれない。

ロフトが足りないという理由でね。


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これは先ほどの指摘と一致する。テーラーメイド「BRNRミニドライバー」は、ロフト角が11.5度と13.5度のみだが、一部の人にとっては3番ウッドの代わりとして十分なロフトとはいえないだろう。

地面から打つつもりがないなら問題ないだろうが、今現在すでに超ストロングロフトのフェアウェイウッドで球を上げるのに苦労しているなら、「Mini」が状況を改善する可能性は低いだろう。

「BRNR ミニ」は「飛距離」を絶対的に伸ばすことを目的とする場合にはうまく機能するが、「高さ」とソフトな「落下角度」を主な目的とするなら、おそらく従来のフェアウェイウッドの方が適している。

なによりキャディバッグにじゅうぶんなスペースがない。

USGAの厳格な規則により、バッグに入れられるクラブの上限は14本だ。基本的な算数と常識から「BRNR Mini」をバッグに加えるには、他のどれかを外す必要があることは明白だ。

最も外されそうなのは3番ウッドだろう。ミニドライバーを標準ドライバーと入れ替えるケースも当然考えられるとはいえ、多くの人にとって「BRNR ミニ」は本当にクールなアイデアだけど、他のクラブを戦力外通告してまで加えるかどうかはまた別の話というのが本音だろう。


「BRNR ミニ」の外観

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最後に、テーラーメイド「BRNRミニドライバー」の美学について触れないわけにはいかない。多くの人が「BRNR」に「Burner TI Bubble 2(バーナー チタン バブル2)」への愛に満ちたノスタルジーを感じることだろう。

確かに同社が元の設計に忠実でなかった点はいくつかある。たとえば、「バブルシャフト(グリップ側が極太先細りの特殊な形状)」じゃないとか。

がっかりする人もいるだろうが、テーラーメイドは「バブルシャフト」の代わりに「USTマミヤ プロフォース65 (Retro Burner Edition:レトロ バーナー エディション)」を採用した。初代の「Proforce(プロフォース)」は「Bubble 2(バブル2)」が市場に出たときに人気があったことから、ここでは緩い結びつきがあるといえる。とはいえ、実際のところは初代に合わせた形状を備えた新しいシャフトだ。


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「バーナー チタン バブル2」とは異なり、テーラーメイドは銅色にとことん拘りはしなかった。好きな人もいるだろうが、銅色のクラウンは、ツアーでの使用者がゼロであることを考えるとかなりの冒険となるからだ。

その代わり、クラウンは黒だが、銅の色合いがないわけではない。光の当たり具合で、元の色の一部が透けて見えるのだ。

「BRNR ミニ」のソールは少々ハイブリッドなデザインとなった。「バーナー チタン バブル2」の「Kソール」形状を採用しているものの、基礎となるテクノロジーは「Vソール」なのだ。これにより接地面積を減らし、重量を低く配置し、フェアウェイからも打ちやすくなっている。

最後に、ヘッドカバーは「(バーナー チタン バブル2)」を思い起こさせるバレルカバーのようなデザインだ。


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価格と発売日等

テーラーメイド「BRNR Mini(バーナーミニ)」の小売価格は449ドル。これは「Stealth 2 Plus(ステルス2プラス)」フェアウェイウッドと同額だ。つまり、高価なフェアウェイウッドでもあり、お得なドライバーでもある。

どこに視点を置くかというだけ。

テーラーメイド「BRNRミニドライバー」のフレックスはR、SとX、ロフト角は11.5度と13.5度。

純正シャフトは「UST Proforce 65」。純正グリップは黒銅色の「SuperStroke(スーパーストローク)」だ。

発売は4月17日から。