ピン(PING)「GLIDE FORGED PRO」〜主要ポイント
・「GLIDE FORGED PRO(グライドフォージドプロ)」は3年前に発売された「GLIDE FORGED(グライドフォージド)」ウェッジの後継モデル
・「GLIDE FORGED PRO」ウェッジは、2つのソール形状と数種のロフトから選択可能
・予約および試打は現在受付中、販売開始は9月下旬から(※日本発売は9月9日)
新しいピン「GLIDE FORGED PRO」ウェッジは前作から“ほんの一皮剥けただけ”かもしれない。正しく言うなら剥けたのはソールの皮一枚だが。
ピンが初の鍛造ウェッジ「GLIDE FORGED」を発表してから3年余りが経過した。新しい「GLIDE FORGED PRO」ウェッジは、初代モデルの設計を論理的に進化させたもので、上級者よりのウェッジを提供することが目的だ。
「この設計から生み出せるロフトバリエーションとソール形状は幾通りもあるが」とストッキ氏。「なにより上級者の求めるサイズとバランスに見合うコンパクトなヘッドを作りたかった」。
そして期待通り、ピンは鍛造ならではの「打感」はもちろん、「スピン性能」と「芝との相性」を向上させた。
ピン「GLIDE FORGED PRO(グライドフォージドプロ)」:“ショットメーカー向けウェッジ”
「GLIDE FORGED PRO」は、前作同様「8620カーボンスチール」の鍛造だ。典型的な「8620の鍛造」は通常、鋳造後に鍛造プロセスを経て最終的な形状に仕上げられる。この方法なら材料の無駄がはるかに少なく済むのだが、鍛造オタクの中には「8620」を“鍛造っぽいもの”と表現する者もいる。
だが、「8620」は「1020」や「1025」ほど柔らかくはないものの、耐久性に勝るため、ウェッジの「素材」としては決して悪いものではない。もちろん素材は「打感」に影響を与えるが、ヘッド形状や製造工程も同じぐらい重要である。
初代の「GLIDE FORGED」ウェッジと今作には多くの類似点がある。オフセット具合は近いが(わずかに少ない)、「GLIDE FORGED PRO」はヒールからトウまでの長さが明らかに短く、「ホーゼル-X」の長さも短くなっている。
ちなみに「ホーゼル-X」とは、ピンが独自で使うのゴルフ用語で、「ホーゼルとスコアライン間の長さ」を表す。
「これは『G425』アイアンでおこなったことと同様で、クラブ全体の長さを短く感じさせるための工夫だ」とストッキ氏。「アドレス時に座りの良い見た目と、いわゆる“ショットメーカー”向けウェッジの打感を実現した」。
新たなロフトバリエーションとソール形状
初代「GLIDE FORGED」の難点は、ソール形状がピンの「Sグラインド」一択だったこと。確かにソール形状の選択肢をひとつに絞るなら「Sグラインド」がお勧めだ。トレーリングエッジやヒールを適度に削っていながら十分なバウンスを確保しており、多くのゴルファーにとって使いやすいものだといえる。
しかし、ピンのツアースタッフからもう少し「多用性」が欲しいという要望があり、高ロフトのモデルに新たに「Tグラインド」を採用した。
「ソール幅が狭めで、バウンスが少ない」とストッキ氏。「これで、グリーン周りでより多彩なショットを繰り出せるようになる」。
「Sグラインド」は50度から60度まで、2度刻みのラインナップ。それぞれバウンス角は10度となっている。
「Tグラインド」には58度、60度、62度のモデルがあり、それぞれバウンス角は6度だ。62度のモデルは、特にジョージア州で毎年春に開催される“世界一有名な招待試合”(マスターズのこと)のようなコースセッティング用にと、ピンのツアープロからの要望で作られた。
薄くてローバウンス、高ロフト設定で、グリーン周りでの多様性に富む。ピンはツアープロが試合のコンディションに応じてこのウェッジをバッグに入れることになるだろうと期待している。
中でも異彩を放つのが、ロフト59度/バウンス8度の「Sグラインド」。これは、ハイ・トゥウェッジの元祖である「PING Eye 2」への敬意だ。
「標準的な『Sグラインド』よりも少しバウンスが控えめで、ハイ・トゥ好みのゴルファー向け」とストッキ氏。「より伝統的なネック形状と接合方法、ソール形状を採用している」。
うるさ型のために言っておくと、フェース全体に溝はない。
溝と言えば
「GLIDE FORGED PRO」ウェッジにおいても「i59」アイアンにおいても、ピンが『フリクションフェース』について言及するときは、実際のテクノロジーというよりもむしろその“考え方”について語っている。
「ゴルフボールとフェースの間に、いかにして最高のインタラクション(相互作用)をもたらすかということ」とストッキ氏。
「GLIDE FORGED PRO」ウェッジは、「番手別の削り出し溝」を配した「CNC加工」によるフェースの質感が特徴。非鍛造「GLIDE」ウェッジではクラブフェース最下部に1本の溝が足されている。これは「GLIDE FORGED PRO」にも採用されているものだが、ひねりを効かせている。
「今回はヒールからトウまでの長さが、少し長くなっている」とストッキ氏。「また、溝を少し短くすることで、溝全体をリーディングエッジに近づけることが可能となった」。
ピンの他のウェッジモデルと同様、溝の形状はロフト別になっている。50度と52度のモデルは主にフルショットに使用されるため、「20度の溝」を採用している。高ロフトのモデルは、フルショット以外のショットでより多くのスピンをかけるために「28度の溝」を採用している。
ピン「GLIDE FORGED PRO(グライドフォージドプロ)」のカスタムオーダー、価格および発売時期
標準の2種類のソール形状だけでは満足できないプレーヤーのため、ピンは「GLIDE FORGED PRO」から「タングステン・トゥ・ウエイト」を取り除いた。これにより、「PING WRX」のカスタマイズ部門において8種類のソール形状を選択することが可能となった。
また、クラブヘッドの背面を覆っていた格子状のミーリングもなくなり、ピン「i59」や「Blueprint」アイアンとも相性が良いクリーンでシャープなデザインとなった。もしお望みならばこのウェッジには6種類のレーザー刻印、カスタムスタンプ、最大13色のペイントを施すことができる。
ピンの常として、フィッティングは重要だ。ピンは、ゴルファーが自分のセッティングに適したウェッジの組み合わせとソール形状を決定するのに役立ついくつかの新しいフィッティングツールを開発した。純正シャフトはスチールが「PING Z-Z115」、カーボンはピンの「Alta CB Slate」。カスタム用のオプションも充実している。
純正グリップは少々変わり種。ゴルフプライドの「ARCCOS LITE TOUR VELVET 360(アコース・ライト・ツアーベルベット)」だ。
「この数年のモデルで約15gの軽量化を実現した」とストッキ氏。「我々はヘッド重量をシャフトやグリップに応じて調整している。これにより、ヘッドの打感が向上し、コントロール性が高まり、より多彩なショットを繰り出すことが可能となった」。
ピンはこれらのウェッジを高く評価しており、「GLIDE FORGED PRO」は「i59」アイアンと並んでプレミアムカテゴリーに位置づけられている。販売価格は前作と同じく、スチールが217.50ドル、カーボンが232.50ドルだ。
フィッティングと先行予約は現在受付中。小売店での販売は9月後半以降になる予定。(※日本発売は9月9日)
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