PING(ピン)が「i2〜」番台のアイアンを発表するのがあまりに久々なので、念のため途中で見落としていないか遡って確認してみた。驚くべきことに、「i210」アイアンは2018年の晩夏からPINGのラインナップに現行モデルとして登場していた。

なんという息の長さだ!!

当然、新型コロナウイルスの影響もあっただろうが、とはいえラインナップの中で間違いなく最も多用途であるアイアンに対し、ゴルファーがアイアンを買い替える頻度とかけ離れた刷新スケジュールをPINGが組むとは考えにくい。

もし「i210」を発売当時に購入していたら、たとえ新しいセットに買い替えるとしても誰にも文句を言われないだけの十分な時が経っている。

「もう4年だよ」と言えば文句も言われないだろう。

それはさておき。


ping,ピン,i230アイアン,アイアン,iクロスオーバー,ユーティリティアイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

「i230」~典型的なPING(ピン)

もし大袈裟な表現をお望みなら、残念ながらそれに答えることはできない。なぜならいつもの通り、PINGはきっちりと性能を改善してきた。そして、これまたいつも通り、美的洗練についても語りたいところだが、他社とは違い典型的なPINGの手法として派手な宣伝はせず、製品そのものに語らせることを選んでいる。

PINGは「i230」を“誰もが使いこなせる上級者(競技志向)向けアイアン”と表現している。「i230」がPINGラインナップの真ん中に位置することを考えると、この表現は適切だ。

「i」はPINGの“上級者向け”シリーズを意味するが、「i230」はこのカテゴリーの端に位置している。私自身は、上級者向け(競技志向)と中級者(スコア改善型)向けの境目に近づく、もしかしたらまたがる製品なんじゃないかと思っている。

思うに、これはハンディキャップ15 の人でも使えるアイアンだが、ローハンデのプレーヤー (ツアープロを含む) が好まない要素が見当たらないほど十分に“上級者向け”の魅力を有している。


ping,ピン,i230アイアン,アイアン,iクロスオーバー,ユーティリティアイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

PING「i230」アイアンの改善点

「i230」改良点の多くは、『エラストマー・インサート』テクノロジーの進歩によるものだ。

『エラストマー・インサート』は、ミスショット時の衝撃を和らげ、打球音と打感を向上させるためにPINGがフェースの裏側全面に搭載しているもの。

新構造の『エラストマー・インサート』はより軽量化されている、ということはもうおわかりだろう。

この『エラストマー』の軽量化により生じた余剰重量を、追加のウエイトとしてヘッドの低い位置に配置することができた。低重心化により飛距離が伸び(PING曰く「i230」は「i210」より3ヤード増)、先端とトウにタングステンウエイトを使用することで、MOI(慣性モーメント)も向上した。

上級者にとって、飛距離が伸びたことで性能に予測不可能な不具合が生じないのは喜ばしいことだ。飛距離アップは大歓迎だが、そのせいで変異が起こるようでは困るからだ。


ping,ピン,i230アイアン,アイアン,iクロスオーバー,ユーティリティアイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

向上した「打音」と「打感」

「打音」と「打感」の向上も「i230」を語るうえでは欠かせない。

最近モード解析についてよく耳にするようなのでここでおさらいしておこう。

PING「i230」アイアンにも適用されたが、PINGのエンジニアは、望ましくないと思われる周波数を分離し、効果的にそれらを除外するためにキャビティバッジを見直した。これにより、より「心地よい打音」と「打感」が得られたわけだ。

バッジ自体は、射出成形された熱可塑性樹脂とステンレススチールのキャップを組み合わせた4ピース設計。『エラストマー』は、バッジの後ろに隠された、PINGが言うところの「トースター型ポケット」に収まっている。

結果として、「i2~」番台シリーズ史上、私が最も打感が良いアイアンだと思うものに仕上がった。


ping,ピン,i230アイアン,アイアン,iクロスオーバー,ユーティリティアイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

PING「i230」アイアンの形状

他はあまり変わっていない。

デザイン上では、全体的な形状に大きな違いはない。3〜5番アイアンは「i210」よりもわずかにコンパクトだが、ブレード長、ソール幅、オフセットなどは、前作モデルとほぼ一致している。


『マイクロマックス・グルーヴ』と『ハイドロパール2.0』

PINGの他のアイアン同様、全体の弾道を最適化するために設計された、ミルド加工の『マイクロマックス・グルーヴ』が搭載されている。

さらに、水分をはじく『ハイドロパール2.0』仕上げと組み合わされることで、濡れたコンディションにおいても安定した(少なくとも可能な限り安定した)スピンを確保する。


ping,ピン,i230アイアン,アイアン,iクロスオーバー,ユーティリティアイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

PING「i230」のスペックおよび価格

PING「i230」アイアンは、3~9番、PW(ピッチングウエッジ)、UW(ユーティリティウェッジ)のラインナップ。PINGの標準となった慣例に従い、「i230」は、「スタンダード」「パワースペック (ストロング)」および「レトロスペック (そこそこウィーク)」 の3タイプのロフト設定から選択可能だ。

※「UW」 はPWとSW(サンドウェッジ)の間。

純正シャフトは、「ダイナミックゴールド105 (R300、S300)」とPINGの「アルタCBブラック (カーボンシャフト)」。オプションの純正シャフトは、「PING AWT 2.0」、「ダイナミックゴールド(S300、X100)」、「ダイナミックゴールド 120」、「KBS Tour」、日本シャフト「モーダス105」、トゥルーテンパー「エレベート」、UST「リコイル 760 ES SMAC (A)」、「790 ES SMAC (R、S) 」から選択できる。

小売価格は1本187.50ドルから。


PING「iクロスオーバー」

ping,ピン,i230アイアン,アイアン,iクロスオーバー,ユーティリティアイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

「i230」アイアンと同時に発表されたのは、「上級者向けクロスオーバー」。

ここでさくっと振り返ってみよう。「クロスオーバー」はPINGによるユーティリティクラブだ (決して飛び系のドライビングアイアンではない)。以前はPINGの「G (中級者向け)」シリーズに分類されていたが、「G」の愛好者はハイブリッドを好む可能性が高いため、少々奇異に感じていた。


「ARCCOS(アコース)」データからの再設計

PINGの「Arccos(アコース)」対応クラブで収集されたコース上のデータを調べた結果、クロスオーバーを使用するゴルファーのほとんどが上級者だったらしい。

「Arccos」のデータがなくてもその事実は伝えたかも知れないが、とにかく、そのちょっとした見解が、同社がクロスオーバーを「G」シリーズから「i」シリーズに移行するきっかけとなった。


「iクロスオーバー」の新形状

そのため、新しい「iクロスオーバー」は「i230」アイアンに似た形状となっており、また平均で約¼インチ短くなっている。買い替えてもいいよとお墨付きを得たばかりの「i230」アイアンセットと「iクロスオーバー」を違和感なく組み合わせるための変更だ。

以前のクロスオーバーと比較して、「iクロスオーバー」はよりコンパクトで、ヒールからトウまでが短い。また、オフセットが少ないため、よりツアー向けに近い見た目となっている。


PING「iクロスオーバー」の構造

「iクロスオーバー」は、薄い「マレージングスチール」のフェースと「17-4ステンレススチール」のボディを組み合わせた中空ボディ設計を継承している。『EVAポリマー』を使用した小さな内部キャビティにより、好ましい「打音」と「打感」が実現した。

「i230」同様、「iクロスオーバー」にも『マイクロマックス・グルーヴ』と『ハイドロパール2.0』仕上げが施されている。


ping,ピン,i230アイアン,アイアン,iクロスオーバー,ユーティリティアイアン,ゴルフ,ゴルフクラブ

アジャスタブルホーゼル

PINGは初めて、クロスオーバーに『アジャスタブルホーゼル』を搭載した。8ポジションアダプターにより、ロフト角/ライ角ともに1.5度の調整が可能となる。これにより、フィッター (また調整好きなユーザー)は、理想とする弾道に応じてより正確に調整することができる。


PING「iクロスオーバー」のスペックおよび価格

「iクロスオーバー」は、2XR (18度)、3XR (20度)、4XR (22.5度)のラインナップ。

純正シャフトは「PING Tour 2.0 Chrome(R、S、X。85グラム)」。オプションのカーボンシャフトは、「PING アルタCB」、三菱「Kai'Li White80 (カイリホワイト80)」と「Project X HZRDUS Smoke Red RDX 70HY(プロジェクトXハザーダス スモークレッドRDX 70HY)」だ。

PING「iクロスオーバー」の小売価格は249ドル。

「i230」アイアン、「iクロスオーバー」ともに近日予約受付開始。