主力アイアンの「GEN5」の発売から約3ヶ月後、PXGはより手頃な価格帯の新作「0211 XCOR2」アイアンをリリースした。

長年にわたりPXGの動向を追ってきたマニアなら、「0211 XCOR2」アイアンが「GEN5」シリーズと技術面で似通っていることに驚かないはずだ。

初代の「0211」アイアンの時から、まずは「GEN」の商品に最先端のテクノロジーを搭載し、それを「0211」シリーズ(低価格帯モデル)に少しずつ取り入れるという戦略をとってきた。

この戦略は、「Nikon」や「Canon」(その他、多数のメーカー)も同じことをしている。では、以下に詳しく書いていこう。


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「XCOR2」コア素材

「XCOR2」とは、PXG独自のフィラー素材 (別名、ポリマーアイアン充填剤) の最新版。前作に比べてより軽量かつ高初速となっている。

前作と比較しても、ロフト角に応じて5~7gの軽量化を実現。言わずもがなだが、余剰重量はクラブヘッド周辺部に再配分され、「MOI(慣性モーメント)」を2%向上させている。大した数字には見えないが、クラブにどんな名前がついているにせよ、変化というものはその程度であるのが世の常。

PXGの本当の狙いは、似たようなサイズのキャビティアイアンに比べ、より「寛容性」が高いという点にある。同じ環境下での比較ではないが、従来のキャビティアイアンに比べ、「MOI(寛容性)」は10%ほど向上し得るというのがPXGの主張するところなのだ。

初速の向上に関していえば、『XCOR2』素材は「COR (反発係数)」 が高い。つまり、反応が速い。反応の速さがどのように機能するかについてはさておき、結論としては『XCOR2』によってフェースがたわみ、それが「ボール初速」をわずかだが増加させる。


HT1770マレージング・ステンレススチール

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全てのPXGアイアンと同様、「0211 XCOR2」アイアンにも『HT1770』フェースを搭載している。この素材の特徴は、フェースをかなり薄くすることができることだ。薄いフェースはすなわち高初速であり、厚さ約「1.5mm未満」というPXGのアイアンフェースは、未だに業界で最も薄い。


パワーチャンネル

PXG「0311 GEN5」アイアン同様、「0211 XCOR2」フェースには、『パワーチャンネル』テクノロジーを搭載している。

これは、フェースの内面のヒッティングエリアを囲むように作られた逆さまのU字型をした溝のことだ。フェース上部を曲げるために作られたこの溝が、より高い打ち出しを可能にする。これがなければ、低いスピン量を相殺するだけの高さを出すことができないだろう。


431ステンレススチールのボディ

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「0211」シリーズと「GEN」シリーズの最大の違いは、「0211」が「鋳造」であるのに対し、主力ラインは「鍛造」であることだ。製造工程が異なれば、当然素材も異なる。

ヘッドに使われるスチールの種類はゴルファーにとってはどっちでもいい話だとも思うが、その違いと理由を説明するのが私たちの仕事なので、全うするとしよう。


「ウエイト」なし

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PXGのその他モデルとは違い、「0211 XCOR2」のヘッドに調整可能なウエイトは存在しない。それどころか調整不可能なウエイトすらない。

「0211」は、シンプルで、機能さえあればいいと考えるゴルファーのためのモデルだ。

ウエイトがない分製造コストが抑えられ、PXGブランドに興味を持つ人へ購入のハードルを低くすることができている。

どうしてもアイアンには“ネジ”がないとイヤだというゴルファーでなければ、Win-Winと言えるだろう。


「0211 XCOR2」プログレッシブ設計

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PXGの主力製品である3つのモデル (XP、P、T) は、それぞれ単品でキャディーバッグに入れることも、好きに組み合わせてセットにすることもできる。

「0211 XCOR2」アイアンで、PXGは「コンボセット」のアイデアを設計に取り入れた。これを望むか望まないかは別として、 「0211 XCOR2」のロングアイアンの形状は「0311 XP」に近い。

ヒールからトウまでが長いため、オフセットは大きく、バウンス角は小さい。「寛容性」が極めて高く、高打ち出しが望めるモデルとなっている。

ミドルアイアンとショートアイアンに関して言うと、「0211 XCOR2」の形状は「0311 P」により近い。ブレード長は番手に応じて段階的に短くなる設計で、オフセットが小さくなり、バウンス角を大きくことでショートアイアンでのショットで多くみられるスティープ(鋭角)な入射角に対応している。

つまり、「0211 XCOR2」アイアンは短い番手になるにつれ、その性能のバランスを、「寛容性」より「コントロール性」と「スコアメイク」重視にしているのだ。





角度のついたトップレール

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最後に、PXG「0211 XCOR2」アイアンは、角度のついた『トップレール』を備えている。見過ごされがちだが、性能の要となるものだ。

よく見ると、トウ上部にわずかな隆起があることに気付くはずだ。この少しばかりの余剰重量が、重心をフェースの中心に近づけてくれる。ヒール寄りの重心設計が多い中級者向けのカテゴリーでは実は珍しい。

PXGの美的センスが格別に優れているのは、アドレス時にその隆起を隠す点だ。角度をつけることでトップラインが平行に見えるようにしている。おかげでトップラインにもたつきがないように思う。

厚みによって安心感が得られるという意見も確かにあるだろうが、ほとんどのゴルファーは、“やさしいのにやさしそうに見えないクラブ“を求めるように思う。これはPXGが最も得意とする領域のひとつである。


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PXG「0211 XCOR2」数字で見る性能

あくまでもPXGによって提供されたデータではあるが、期待できる数値は次の通り。

ボール初速は文字通り速くなったが、より高い打ち出し角 (0.5度弱) とより低いスピン量 (約400rpm) の組み合わせにより、「0211 XCOR2」はキャリーで6ヤード、ランでさらに1ヤード飛距離を伸ばした。

つまり、PXG「0211 XCOR2」アイアンは、前作よりも7ヤード飛ぶということだ。

しかし、それよりも重要なのは、『Most Wantedテスト』でばらつきを調べるのと同じ測定基準で計測した際、「0211 XCOR2」のばらつきが30%も狭い範囲に収まり、特に左右のばらつきの改善が素晴らしいということだろう。


PXG「0211 XCOR2」アイアンのスペック

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PXGはきっと、性能の向上はスペックではなく技術革新によるものと伝えてほしいはずだ。確かに全長とロフト角は「0211DC」から変わっていない。

とはいえ、「低スピン設計」はそれなりのリスクを伴うため、フィッティングが必須となる。ロフト角 (および全長)は、クラブ選びにおけるただの出発点に過ぎないことを忘れないように。

より多くのスピン量が必要なら、フィッターは適切なシャフトを選択し、必要に応じて「0211」をイジることで望ましい打ち出し角とスピン特性を作り出してくれるだろう。

いつもと同じく、あなたには選択肢がある。それを活用すればいいだけだ。


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2つの仕上げ

PXG「0211 XCOR2」アイアンには2つの仕上げが用意されている。『サテンクローム』に加えて、PXGは「0211」アイアンでは初となる『XTREME Dark(エクストリームダーク)フィニッシュ』を採用している。そして驚くべきことに、少なくともわたし自身は驚いたが、追加料金はそれほど高くないのだ。

『サテンクローム』仕上げの小売価格は1本159ドルから。『XTREME Dark』を選んでも179ドルになるだけだ。もちろん、すべてのシャフトのアップグレードが無料というわけではない。

今すぐ購入したい人向けに、PXGは1本129ドル(XTREME Darkは149ドル)の特別お試し価格を提供している。我々がPXGアイアンに期待する価格よりはまだ少し高いものの、PXGからすれば最高のお手頃価格での提供だ。

とにかく、「0211 XCOR2」の価格はこのカテゴリーの平均を下回っており、PXGのこれまでの傾向を考えると、おそらく年末までには値が下がるだろう。


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PXG「XCOR2」アイアン発売時期

PXG「0211 XCOR2」アイアンは、PXGおよびその他の認定フィッターを通じて現在入手可能。PXGで購入した場合は10日以内に発送される。