・PXGが「0311 GEN5」ドライバーの2モデルを発表
・「0311 GEN5」は多数いる幅広いゴルファー向けで「0311 XF GEN5」は卓越した「寛容性」を実現
・価格は499ドル
PXG「0311 GEN5」ドライバーシリーズを含む「GEN5」ラインナップのローンチにより、PXGと新型コロナウイルス感染拡大の2年間でそのビジネスがどう進化したのかについて、語るべきことはたくさんある。
PXGは、参入当時から劇的に変化してパンデミックから抜け出したメーカーと言っても過言ではない。これは必然性とチャンスが混ざり合ったものとも考えられる。
いくつかのクラブには見たこともないほど安いものがあるためそうは感じない人もいるだろうが、PXG終焉の噂は非常に行きすぎたものとなっている。
この点については追って詳しく説明したいと思うが、現在のところ、「0311 GEN5」シリーズ(そして数店舗の直営店のオープン)の発表は、同社がすぐに潰れることはない証拠としてとらえることができる。
それはさておき、PXGの「0311 GEN5」ドライバーシリーズについて詳しく見ていこう。
PXG「0311 GEN5」ドライバーシリーズ – 新しいネーミングの法則 -
細かいことだが、PXGは「GEN5」シリーズにおいて商品のネーミングの法則を変えている。これまでドライバーは「0811」でフェアウェイウッドは「0341」、ハイブリッドは「0317」、そして主力アイアンは「0311」だった。
このネーミングは「MOS(米軍の職務専門分野)コード」を元にしたもので、PXGのCEOで創設者のボブ・パーソンズ氏の海兵隊に対する想いが込められている。
しかし、私も含めて多くの人にとっては非常にわかりにくい。PXGのことは初のクラブリリース前から抑えてきたが、フェアウェイウッドとハイブリッドのモデルナンバーを覚えることはできなかった。
しかし、ここからのPXGはシンプルになっている。主力商品は全て「0311」に集約される。ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、そしてアイアン。砲撃手たちには悪いが、全てが歩兵隊のコードナンバーになった。
そして簡略化はさらに進み、PXGの「0211」シリーズは普及モデルを表し、「0311」はクラブのタイプに関わらず高級/主力商品となった。
というわけで、新しいPXG「0311」ドライバーシリーズをチェックしていこう。
PXG「0311 GEN5」ドライバー2モデル
詳細は以下で紹介するが、PXGは、今回の「0311 GEN5」ドライバーシリーズからモデルを3つから2つに削減しており、(少なくともネーミングでは現状)「X」と「XT」の両方がなくなった。
これらはシンプルに「0311」となり、「寛容性」が非常に高い「XF」は、「0311 GEN5」ドライバーシリーズにおいて同じ役割を果たしている。
PXG「0311 GEN5」ドライバーの構造
PXGの「0311」と「0311 XF」ドライバーは『Ti811』ボディと『Ti412』フェースが特徴だ。特にものすごいタングステンが含まれていない場合、こうした話はエキサイティングでないことは分かるが、このフェース素材については取り上げておいた方が良い。
『Ti412』は低弾性でありながら高強度を誇る。これは専門的な言い方だが、強いけど柔軟性があるということだ。PXGでは、この素材によりドライバーのフェースを経年による変形(および高反発ルールへの抵触)を気にせずに薄肉化することが可能になった。
もちろん、私も「ドライバーはこれ以上スピードアップしないと考えている層」が、ほぼ無駄だろうが口を挟みたくなるのは良く理解している。
ここで大切なのは、他メーカーがそうであるように、PXGも「COR値(ボール初速の限界を決める古い測定基準)」と「CT値(現在の標準)」の狭間で初速アップをしようとしているということだ。
※COR値(反発係数)、CT値(反発性能)
誰だって10ヤードも飛距離アップするなんて確約できない。実際はちょっと飛距離が伸びるだけ。現実を知るべきだろう。
弾性のある素材を使用し、バルジ&ロールをロボットで研磨することで、PXGは製造公差を厳しく設定することが可能になった。これは初速アップの話でしばし見失いがちな重要ポイント。
公差が厳密でなければ、それを補うために「CT」の目標値は低く設定する必要がある。最も均一な製造工程を誇るメーカーが、最も初速があるドライバーを生み出すことができるのだ。
「フルAVカーボンクラウン」
PXGの「GEN4」ドライバーで最も目立ち邪魔だった要素は、シルバーの『アルミニウムベイパー・クラウン』のインサートだった。
『アルミニウムベイパー』はその名の通りアルミニウムを蒸発させたもの。その素材がカーボンクラウンに採用されると、重量を増やすことなく剛性を高めることができる(インパクトでのエネルギーロスが軽減される)。
PXG「0311 GEN5」ドライバーにおいて、同社はインサートではなく『フルAVカーボン』構造を採用。これにより、ドライバーの上部中央からさらにウエイトを削減し、周辺に配分することが可能になった。
再デザインの一環としては、カーボンファイバーが数段階で暗くなった。クラウンそのものはツートンの見た目を踏襲しているが、極めて変な感じはしない。個人的にはもう少し暗くても良いと思うが、2、3回スイングしたらあまり気にならなくなった。
ウエイトベースの高度なフィッティング能力
PXGは「GEN4」で『スリーウエイトシステム』を採用した。これは「GEN5」でも同様。しかし、ウエイトの配置は大きく異なる。
後方のウエイトが現在のテクノロジーで可能な限り後ろにリア部分に配置されている一方、「GEN4」ドライバーの前方中央のウエイトは極端にトゥ寄りに配置された。またヒール側のウエイトも前よりになり、さらに周辺部分に移っている。
コブラの「Radius of gyration(RAD)」の話を覚えているだろうか?それと同じコンセプトだ。
こうした変更には目的が2つある。まず、トゥ側とヒール側のウエイトをできる限り外側にすることで、(一般的に「寛容性」を表す指標である)MOI(慣性モーメント)を維持しながら、ショット弾道の補正が可能となる。
これについては以前も触れた。一般的に、ヒール(およびトゥ)のウエイトは後方のウェイト配置よりもかなりMOIは低くなる。これは厳密に言うと正しいが、どのポジションでも重心からの距離は似たようなものなので、これらのポジションにおけるMOI値も同様に似たようなもの(そして十分に高い)となるのだ。
ウエイト配置が変わることで、PXGが認めている「GEM4」ドライバーでの限界もなくすことができる。ホーゼル(ネック形状)にはいくつかのオプションもあったが、PXGでは、ややフェードバイアスを求めるゴルファーに対するウエイト配備をベースとした答えを持ち合わせていなかった。
センターのウエイトをトゥ側にシフトすることで、同社は幅広いプレーヤー層にフィッティングすることが可能になったのだ。
純正では7.5gのウエイトが2つと2.5gのウエイトが1つ搭載されている。7.5gのウエイトを(純正のセットアップと同様に)後方とヒールに配置することで、「0311」ドライバーはややドローバイアスになる。
これは、ウエイトを二箇所に分散させるか、他のウエイト3つを採用したシステムのように重めのウエイト1つを活用するのかという選択肢拡充のため。DIY派はPXGから(単品かキットの一部として)追加でウエイトを購入してバランスと弾道を正確に調整することもできるが、この3つのウエイトでフィッティングすることができるだろう。
アジャスタブル・ホーゼル(ロフト角・ライ角を調整する可変スリーブ)
売れるドライバーを創り出す他メーカー同様、PXGもアジャスタブル・ホーゼル(可変スリーブ)を活用している。PXGのシステムは、ロフト角の増減が簡単。スタンダードな設定は、いずれかに1度、1.5度の調整が可能になっている。
ここでゴルファーが気付いてないと思われるのが、ホーゼルのPXGロゴ側にある追加の設定でライ角がフラットになること。「PXG」セッティングにおいて、ライ角は3度フラットになり、両側のアダプターロゴのセッティングはロフト角が±1度、ライ角は2度フラットになる、
ほとんどのゴルファーがスライスすることを考えると、この設定は一番使用されるセッティングではないが、フックに悩んでいたり、ややフェードバイアスを求めているゴルファーにとっては、明らかに魅力的だ。
格段に改善された「打音」と「打感」
「この製品の『打音』と『打感』は大きな進歩を遂げたと思う」と語るのはPXGのCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)のブラッド・シウェラート氏。
話を内部に移すと、過去のPXGメタルウッドを決定づける特徴は、『ハニカムTPEインサート』だった。ソールに接着されたインサートにより、重量が低部に設定できるが、主となる機能は重量配分に起因する不要な振動を低減させることにある。
「0311 GEN5」ドライバーシリーズでは、内部のウエイトを再配置することで、不快な周波を解消した。インサートは不要で、結果としてより「打感」の良いドライバーとなった。
確かに「打感」はかなり主観的な部分だが、個人的に、このドライバーはこれまでのPXGが送り出してきたどのドライバーよりも、大幅に改善した心地よい「打音」と「打感」を実現している。
ではこうした共通点を網羅した上で、PXG「0311」ドライバーの2モデルの違いを見ていこう。
PXG「0311 GEN5」ドライバー
まず初めに伝えなければならないのは、「0311 GEN5」がPXGのラインナップにおける「X」と「XT」の代わりとなるものではあるが、上級者向けドライバーではないということ。シウェラート氏によれば「このクラブはありとあらゆるゴルファーに向けてデザインされた」ようで「非常に『寛容性』が高い」という。
PXG「0311 P」アイアンと同系のドライバーと考えたら良いだろう。大き過ぎず、小さ過ぎず、十分な易しさがある。
「0311」は、ウエイトを前方に配置していることで高速ロースピンドライバーとして設定することができるが、ポイントはそうではないということ。一般的にこうした設計はMOIを犠牲にしてボール初速を向上させるが、「0311」は「0811 X GEN4」と比べて25%程度のMOIアップを果たしている。
この寛容性の向上が最も顕著となるケースとしては、「0311 GEN5」が新たに取り入れたハイトゥ・ウエイト設計の恩恵を最も享受するトゥ上部でヒットした時だ。
これだけのMOIアップでも、ピン「G425 MAX」(あるいは「0811 XF」)の領域には及ばないが、PXGが言うことが本当なら、この「0311」のMOIは平均をはるかに上回るとのこと。
「0311」ドライバーが上級者専用ではないという考えを改めて感じさせるのは、ヘッドが小さくもなくコンパクトでもないということ。シウェラート氏は投影面積を「ちょうど良い感じ」と表現しており、私はそのような表現をこれまで聞いたことはないが、概ね理解できる。
今回のフェースは、ヒール・トゥが伸びているが、「XF」よりも少し厚みがある。クラウンも、例えヘッドスピードが速いプレーヤーだけがメリットを受けられるとしても、最終的により空気力学設計を考慮し丸みがついている。
「0311 GEN5」ドライバーのパフォーマンス
ヘッドスピードが「約45m/sでのロボットテスト」と「個人差」と、言っておかなければならない前提はあるが、PXGによれば、「0311 GEN5」ドライバーは「0811 X GEN4」を約0.22m/s上回るという。打ち出しがやや低くなり(0.4度)とスピン量も300rpmほど少なくなっているが、6ヤード弱のトータル飛距離のメリットがある。
細かいことはどうでも良い。シウェラート氏は「0311 GEN5」がどのクラブよりも初速があると信じている。
PXG「0311 GEN5」ドライバーのロフト角は7.5度、9度、そして10.5度となっている。
PXG「0311 XF GEN5」ドライバー
PXGの直近数世代のドライバーと同様に、「0311 XF」は、同社の「寛容性」が非常に高く超高MOIのエントリー向けモデルとなっている。
「GEN4 XF」は既に5,900というUSGAのMOI規制にほぼ近かったが、これはヒール・トゥの数値。上下(クラウンからソール)のMOIを考慮すると、PXGは「0311 XF GEN5」のMOIは、「0811 XF GEN4」よりも23%アップしたとしている。
これでこのモデルもエリート集団入り、あるいは、より正確に言うとそこから外れていないということになる。PXGの測定によると、「0311 XF GEN5」は、現在の市場において最も「寛容性」が高く、少なくとも最もMOIが高いドライバーだそうだ。
このクラブは、「究極の寛容性」を求めるゴルファーのためにデザインされたことは言うまでもない。
ヘッド形状は、超高MOIドライバーとして想像した通りのもの。クラウンは「0311 GEN5」よりも明らかにフラットで相対的に空気抵抗があるが、対象ゴルファーにとっては特に気にするほどのことではない。
またフェースはシャローだがヒール・トゥが大きくなっており、これもデザインの意図(「寛容性」)を物語っている。
「0311 XF GEN5」ドライバーのパフォーマンス
上記の前提と変わらないが、PXGによれば「0311 XF GEN5」ドライバーは前作よりも初速が約0.22m/s速い。これは、それほどに聞こえないが、高打ち出しとスピン軽減により、トータル飛距離は約5ヤードアップしている。
心得て欲しいのは、これはロボットでの結果。飛距離アップが嫌がられるなんてことはほぼないが、「XF」が市場にある中で一番飛ぶドライバーではないことは忘れないで欲しい。ここで重要なのは「寛容性」なのだ。
PXG「0311 XF GEN5」ドライバーのロフト角は9度、10.5度、そして12度となっている。
価格と発売時期
PXGの「0311」と「0311 XF」の小売価格は499ドル。単品でも購入できるし、フルセットのパッケージ(クロームアイアンとのセットで4,999ドル、ブラックレーベル・エリートアイアンとのセットで5,899ドル)でも注文できる。
現在発売中。
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