第2四半期財務報告書−重要ポイント
・アクシネット、キャロウェイ両社共に、2021年のこれまでの売上高は10億ドルを超えている
・アクシネットの2021年第2四半期の売上は、前年同期対比で105%を達成、上半期対比で70%の増加
・キャロウェイの2021年純売上高は、第2四半期対比で208%、上半期対比で112%増加を達成している
ゴルフ業界最大手2社の第2四半期の財務報告がリリースされた。両者とも堅調な伸びを見せている。
パンデミックの影響を大きく受けた昨年の第2四半期に反して、2021年はこれまでの記録を塗り替え続けている。アクシネットの第2四半期の売上高を前年比で2倍以上、キャロウェイの場合は3倍以上という驚くべき数字を叩き出した。
最も重要なのは、両社とも順調に黒字を出している点だ。
私達はファイナンシャルアドバイザーでも企業財務の専門家でもないが、純粋にゴルフを愛する者としてゴルフ業界の動向には常に関心を持っている。それでは、詳細に迫ろう。
アクシネット第2四半期財務報告
好調だった第1四半期が過ぎ、アクシネットは第2四半期もその勢いを維持していることがわかる。当期の売上高は6億2,490万ドルに達し、前年比で108%以上に相当する。さらにはコロナの影響がなかった2019年を35%上回っている。
「アクシネット製品全般で引き続き堅調に需要が増えており、当期も好調に推移した。カテゴリー問わず、全体的な伸びが売上に貢献したと言える。」とアクシネット社長兼CEOであるデイビッド・マーハー氏はプレスリリースで述べている。
実際、アクシネットは“すべてのカテゴリー“で売上アップを果たしている。タイトリストのゴルフクラブは、昨年の第2四半期から111%増加し、1億5,200万ドルを超えた。第2四半期のボールの売上高は98%増加し、2億200万ドルを達成。ゴルフ用品(グローブ、バッグ、キャップなど)においては6,500万ドルで、昨年の2倍以上をマークした。
最大の影響はフットジョイによる1億6,500万ドル近くの売上高で、昨年より141%アップしている。
当四半期の純利益(利益)は、8,100万ドルを超えた。これは、昨年の第2四半期の利益である230万ドルを大幅に塗り替え、2019年第2四半期の利益である3,850万ドルから2倍以上増えている。
上半期の業績も同様に素晴らしく、純売上高は12億ドルを超えた。これは2020年上半期を70%、2019年の業績を35%も上回っている。
上半期の利益は昨年の1,100万ドル、2019年の7,340万ドルに対して1億6,600万ドルをマークした。2021年上半期の利益は1億6600万ドルで、2020年は1,100万ドル、2019年は7,340万ドルだった。
順調そのものだ。
地域別の業績
確かに、昨年の第2四半期はロックダウン中だった。とはいえ、すべての用品カテゴリーでこれだけ業界全体を回復させたことに驚き以外の言葉がない。アメリカのアクシネット第2四半期の売上高は117%増加し、ゴルフボールの売上高は6,600万ドルに近い。
アメリカでのフットジョイの売上高は約4,400万ドル、タイトリストのクラブは4,100万ドル、ゴルフ用品(グローブ、バッグ、キャップなど)は1,700万ドル。
規模は小さいものの、アクシネットヨーロッパの売上高は第2四半期にほぼ3倍の9,700万ドルを達成。その他の地域同様に、日本での売上は2倍以上に跳ね上がった。コロナの影響が世界の他の地域とは異なった韓国でも、第2四半期は急増した。当四半期の売上高は合計9,700万ドルで、昨年と比べて47%の増加をみせた。
各地域の上半期をみると、同様の状況が描かれている。上半期の米国全体での売上高は、昨年の3億5,600万ドルに対し、6億2,400万ドルを記録。ヨーロッパの売上高は、昨年の1億800万ドルに対し、1億7,800万ドルだった。
ゴルフが盛んな韓国は単体でヨーロッパにほぼ匹敵し、売上高は1億7,600万ドルを超えた。日本の上半期の売上高は1億200万ドル(71%増)を超え、その他の国の売上高は86%近く増の1億2,600万ドルを記録した。
同社トップの見解では、通年の売上高は20億ドルに手が届くかもしれないと予測している。
キャロウェイ第2四半期レポート
キャロウェイの業績もアクシネットと同じくらい圧倒的だったが、彼らの叩き出した数字は異次元だった。第2四半期だけでも、9億1,400万ドル(ほぼ10億ドル)の売上を達成。確かにゴルフ市場は順調で、人々は前例のないレベルでゴルフ用品を購入している。それでも昨年の売上の3倍以上という結果には驚かされる。
その理由?
答えは、「トップゴルフ」だ。
総売上の9億1,400万ドルのうち5億8,800万ドルは、“旧”キャロウェイ、つまりゴルフ用品とソフトグッズが占める。残りの3億2,500万ドルの収益は、「トップゴルフ」がキャロウェイ傘下になってから最初の四半期に上げた売上で、これが追加されている。
そもそも、なぜキャロウェイがトップゴルフと「合併」したのか、という疑問への回答と言える。
キャロウェイの社長兼最高経営責任者であるチップ・ブリューワー氏は、プレスリリースで「2021年第2四半期の業績に非常に満足しており、ゴルフ用品、アパレル事業、及びトップゴルフ事業は記録的な収益を上げ、引き続き我々の予想を上回っている。」と述べている。
昨年の1億6,800万ドルの損失に対して、第2四半期の利益は9,200万ドル。ただし、同社は2018年の「Jack Wolfskin(ジャックウルフスキン)」の購入による1億7,400万ドルの税引前のれんの減損処理をコロナ時期に行ったため、この“損失”は訳ありだ。
上半期売上高は15億ドルを超え、上半期の利益は3億6,400万ドルを達成した。ただし、トップゴルフの合併により、これら数字には注釈がつく。
キャロウェイの第1四半期の利益は2億7,400万ドルを超えたが、トップゴルフの取引により、キャロウェイの14%の合併前株式の価値が2億5,000万ドル以上押し上げられた。そのため、第1四半期の財務報告では現金以外の利益として計上されている。
内訳
トップゴルフの合併以来、キャロウェイの事業は3つの柱に分けられる。「アパレル」、「ギアとその他の用品」、「トップゴルフ」。
ゴルフ用品の売上高は、昨年の第2四半期から91%増加して4億100万ドルを計上。そのうち、3億2,000万ドル近くがクラブの売上であり、8,100万ドルがボールの売上だった。
アクシネットと比較すると、キャロウェイのクラブの売上はなんと2倍。しかし、ボールに関しては2億200万ドルを売り上げたアクシネットが、2位のキャロウェイと大差をつけた。
キャロウェイのアパレル、ギア、その他の分野は、アパレルブランド「Travis Mathew(トラビスマシュー)」の貢献により、第2四半期は115%増加した。アパレルの売上高だけでも、昨年より152%急増している。ギア(用品)の売上は88%増をみせた。当カテゴリー全体で、売上高は2019年と比較して21%アップした。
キャロウェイがトップゴルフを取得してから、完全な四半期を迎えたのが第2四半期だったが、結果は目を見張るものだった。
トップゴルフからは、四半期に3億2,500万ドルの新規収益と、2,400万ドルの利益を計上した。合併以来、トップゴルフによる売上は4億1,800万ドルを超え、キャロウェイに貢献している。
地域別でみると、この四半期のアメリカでの売上高は約6億4,300万ドル。ヨーロッパでの売上高は約1億3,000万ドル、日本は約6,200万ドル、その他の地域は8800万ドルを達成。
上半期のクラブの売上高は6億3,600万ドルに達し前年から56%増、ボールの売上高は前年から50%増加し、1億4,200万ドル。アパレルの売上高は64%増、ギア(用品)の売上高は47%増加した。
地域的には、キャロウェイの収益は米国だけで10億ドルを超えている。ヨーロッパの売上高は2億2,900万ドルに達し、日本とその他の国々はそれぞれ1億3,400万ドルと1億7,100万ドル。
マージンと見通し
キャロウェイは第2四半期の財務報告に、「マージン率」という新しく非常に興味深い項目を見つけた。
たとえば、同社は2021年上半期クラブカテゴリーの純利益(利益)を、売上高7億7,800万ドルに対して1億8,300万ドルと報告している。利益率でいうと、23.5%。一方、上半期全体の利益率は15.8%と報告されている。
では、クラブとボールの利益率はどうだろうか?同社は、それについても説明している。明らかに古いモデルでは利益率が低く、新モデルのマージンは大きい。また、これらのマージンは、顧客がゴルフショップで支払う金額とは異なり、卸売価格によるものだ。
今年、キャロウェイの売上予測は30億ドルを越える。同社は、トップゴルフ合併後にいずれ達成する数字だと予想していたが、2022年や2023年の話だと考えていた。
いずれにせよ、トップゴルフがキャロウェイビジネスの大きな柱になることは間違いない。第3四半期はさらに伸びると予測しており、10か月で2019年年間売上の90%を達成すると見越す。
さらに、トップゴルフは第2四半期中新たに4店舗オープンし、今年はさらに9店舗がオープンする予定だ。
コロナの行く末
両社とも2021年の残りも強気の予測を立てているが、コロナは常に影に潜んでいる。
「これまで同様多くのゴルファーがゴルフに興味を持つと考えられるが、サプライチェーンではさまざまな混乱に直面すると予想している。」とは、アクシネット社デービッド・マー氏。
「短期的には、パンデミックによって引き起こされたサプライチェーン問題や、その他の課題が長引くだろう。我々が取り組んできた対策や現在の需要レベルを考えても、これらの課題は対応可能だと考えている。」(キャロウェイ チップ・ブリューワー氏)
一方アクシネットの見通しは、サプライチェーンの問題が長引くことを以外は、パンデミックによってさらに悪化することはないと想定している。具体的には、ゴルフボールの原料不足やアパレル分野に影響するタイでの製造圧力の問題が残る。
同社は、第3四半期に発売される新しい「Tシリーズアイアン」がこれらの影響を緩和してくれると期待している。
キャロウェイはまた、特に東南アジアで流行っているデルタ株が心配の種であると認めているが、コロナによる問題は対応可能だと述べている。同社は、一部の生産を影響の少ない地域に移している。
また、今年の残りの期間も小売店の在庫不足は続くだろう。キャロウェイはまもなく生産を2022年のラインナップにシフトし始め、残りの期間もコロナによる在庫不足から5,500万ドルの悪影響が予想される。そのほとんどすべてが第3四半期の販売に影響する。
言い換えれば、「Apex」アイアンセット、「Epic Max LS」、または「TSi 2」や「TSi 3」ドライバーが欲しい場合、すぐに動いた方が良い。これらがすぐに割引対象になるかは分からないが。
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