テーラーメイドは長年非常に優れたゴルフボールを生産してきたが、いつもマーケティングで成功してきたわけではない。
ゴルフクラブの販売戦略で成功してきた会社だけに、不思議だ。そのテーラーメイドが、ついにタイトリストの成長を支えてきたゴルフボール戦略の一つを手に入れたのだ。
先にお断りしておくが、今回の記事は単にリッキー・ファウラーのボール契約の噂についての議論ではない。
テーラーメイドは2009年より5ピース構造のゴルフボールを開発してきたが、代わり映えしないマーケティング戦略と何度も商品名を変えたことで、ボール市場におけるポジションを確立できずにもがいていた。
「Lethal」というボールがあったが、覚えている人は少ないだろう。
初代TP5は純粋に素晴らしいボールであり、ProV1/V1Xに対して、風が強い状況で非常に高い飛距離性能(特にアイアンで)を見せた。
TP5は、(タイガーを除く)すべてのテーラーメイドのトップ契約プロに使われ、タイトリスト同様のキャストウレタンカバーを特徴とするもう一つのフラッグシップとしての地位を確立した。したがって、テーラーメイドはTP5ボールを変える必要がなかったのだ。
そのため、最も重要な「商品名」を変えなかった。2年毎に新しいボールを発売する必要はないし、ロイヤリティーを高めるにしても、発売のたびに新しい商品にシフトしてもらう必要はない。変えるほうがベターだが、今のままでも十分だろう。
では、何が変わったのか?「HFM」と呼ばれるハイフレックス素材だ。TP5シリーズは、ボールの各層が次第に硬くなる設計になっており、コアは軟らかく、外側に向かって硬くなる。
HFM素材は、これまでのテーラーメイドのボール素材よりもエネルギーを多く蓄えることができるので、ボールスピードが増すという。ジョン・ラームは、前作より平均1.56m/sもボールスピードが上がったという。
11ヤードも飛距離が伸びれば素晴らしい。夢の「プラス10ヤード」に、さらにプラス1ヤードだ。もしかしたら、彼の新ドライバーの「スピードインジェクト・ツイストフェース」のおかげかもしれないが…。
新モデルは、テーラーメイドが「Tri-Fastコア」と呼ぶコアを特徴としており、TP5のインナーコンプレッション※は16、TP5Xは25だ。
各層の硬さは、アウターコアからその外側のマントルに向かって徐々に硬くなる。この構造により、前モデルよりもアイアンの飛距離をさらに伸ばせるという。
※コンプレッション:硬さを表す数値で、少ないほど柔らかい。
デュアルスピンカバーは、インナーカバーより30%硬いソフトウレタン製だ。テーラーメイドによると、この構造によりインナーレイヤーがウレタンをフェースの溝に食い込ませ、グリーン周りでよりスピンがかかるという。また、カバーは耐久性に優れた塗装に一新されている。
あなたに合うボールはどちらか?
(以下上記図の訳)
TP5/TP5X
最も完成度の高いツアーボールがさらに速く ~5層構造の比類なきツアー設計~
<弾道>
Tri-fastコア
XLローコンプレッションコアが高い打ち出しを生み、パワーロスを減らす。
<ボールスピード>
HFM(新レイヤーシステム)
徐々に硬くなる4層がさらなるボールスピードを生み出し、反発力を高める。
<コントロール性能>
デュアルスピンカバー
ソフトウレタンカバーがフェースの溝に食い込み、グリーン周りのショットでスピンがかかる。
<HFMとは?>
新しい高弾性素材であるHFMは、エネルギーの伝達効率を強化し、ボールスピードを高める。
<HFMの機能>
HFMはまるで硬いスプリングのように機能し、圧縮した際にエネルギーを創りだし、ボールスピードに必要な反発力を高める。HFMは、ドライバーのフェースに対しより負荷をかけるため、より高い反発力を生成する。
<その他のテクノロジー>
・322シームレス・ディンプルパターン
・ウレタン化合物とペイントを改良した、耐久性の高い新ソフトカバー。
TP5のトータルコンプレッションは85と柔らかめであり、アイアンでは低い打ち出しで、グリーン周りではスピンがかかりやすい。
TP5Xは97で、アイアンでは高い打ち出しで、グリーン周りでのスピンは300rpmほど少ない。ダスティンやジョン・ラーム、ジェイソン・デイがTP5Xを、ローリーはTP5を使うと思われる。リッキー・ファウラーがどのボールを使うかはまだ分からない。
彼は以前ProV1の「left dot」を使っていた。2017年のProV1の前身であるleft dotは低い打ち出しで、低スピンだったので、特別な調整が必要になるかも知れない。
フィッティングでは、グリーン周り(ウェッジのピッチショット)から始めて、徐々に距離を増やすのがボールフィッターたちの常識だ。
アベレージゴルファーのスピン量は、グリーン周りでもティーショットでも似通っているので、ボール選びは単に打感の好みに行き着くかもしれない。
5層構造設計はすべてを備えているのに、テーラーメイドがタイトリストAVXと同じディスタンス系ウレタンカテゴリーに加えなかったことには驚いた。そのうち彼らの気が変わるか、見ものである。
シャフト同様、ゴルフボールの評価を書くのは難しい。しかし、今回我々は批判しようがないくらい好感を持っている。TP5シリーズは非常に優れた商品であり、仕様の大幅な変更も、商品名の変更も必要ないボールだ。
2019年の TP5/TP5は2月15日に発売される。価格は44.99ドル(1ダース)だ。
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