MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの品質と一貫性の調査、数値化を行っており、無駄のない最適なボール選びに役立てもらいたい。
今日取り上げるのは『Snell MTB-X』だ。ラボで使用する機器の概要はここに掲載した。また、テストプロセスや、「不良」ボールの定義方法、独自の「True Price」測定方法については、MyGolfSpy Ball Labのページにて確認できる。
増え続ける「直接販売ブランド(DTC)」の中でも、『Snell Golf(スネルゴルフ)』は最高のブランドとして認識されている。会社の創設者であるディーン・スネル氏は、タイトリストとテーラーメイドでの数年間、当時最も人気のあったボールデザインを担当していた。
いずれのDTCブランドも、ディーンの経歴に匹敵する者はいない。それでも、彼を育てたこれらの大企業の後ろ盾なしに、スネルは主流ボールブランドの品質と肩を並べることができるのか?
このレポートでは、ラボで得られた2019年スネルゴルフ「Snell MTB-X」の考察を簡潔に説明し、他のゴルフボールとの比較を行う。
最後に、ボールの『真の価格』=『True Price』、つまり優良のボール1ダースがいくらなら妥当かを公表するつもりだ。
スネル「Snell MTB-X」について
「MTB-X」の打ち出し角は中程度に分類され、スネルのウレタンカテゴリーでも高いスピン性能を誇る。また、360つのディンプル、キャストウレタンカバーを備えた3ピース構造が主な特徴。
スネル「MTB-X」は、韓国のナッソー社が製造している。
この工場はアジアで最も評判の良い工場のひとつで、テーラーメイドのツアーボールを何年にもわたって製造してきたことで有名(現在の「TP5」は製造していない)。
また、元祖カークランド4ピースボールや、他の直接販売ブランドのボールも長年請け負っている工場である。
スネル「MTB-X」-コンプレッション
Ball Labでの計測の結果、スネル「MTB-X」のコンプレッションは96だった。打ち出し角とスピン特性は異なるが、スリクソン「Z-Star XV」と似ている。
2020年「Chrome Soft X」よりも少し硬く、「ProV1x」よりも少し柔らかいといったところだ。ボール市場全体と比較すると、コンプレッションの特性は「FIRM(硬い)」というよりむしろ「X-FIRM(超硬い)」に限りなく近い。
スネル「MTB-X」-重量と直径サイズ
・MTB-Xサンプルボールは100%円形の基準を満たしていた。
・USGAの重量制限(1,620オンス)を超えたサンプルボールはひとつもない。
テーラーメイドのボールサイズは小さめではないが、スネル「MTB-X」はやや小さい。
ただし、USGAボールトラックと重量測定テスト(1.680オンス)に適合しないサンプルボールはひとつも確認されなかった。その点からも、「MTB-X」はツアーボールに理想的なサイズであると言える。
スネル「MTB-X」-検査
中心性と同心性
スネル「MTB-X」は3ピースボールだ。他の3ピースブランドよりもマントルがかなり厚いのがデザイン的な特徴で、これにより短いショットでスピン性能を高めることが可能になる。
懸念に値するほどの同心性/中心性の問題は1個のみだったが、マイナーな同心性の問題は約半数(50%)のボールに確認された。
コアの混合
コアの色は、全体的に優れており一貫性していた。目に見える色のばらつきは見つからなかった。さらに驚くことに、異物や塊、渦巻き、または一貫性の障害となるものは確認されなかった。
カバー
カバーの品質は一般的に優れている。ボール表面全体の厚さは、これまでに見た中で最も一貫して優れていると言ってもいい。小さなペンキの塊が付いたボールを1個記録したが、それは簡単に取り除け、小さな傷として残っただけだった。
総合的な考察
これまでにテストした他のツアーボールと同様に、「MTB-X」キャストウレタンカバーは薄く、柔らかく、厚みが一定している。これに厚いマントルレイヤーが組み合わさると、グリーン周り性能は十分に期待できるはずだ。
一貫性
このセクションでは、スネル「MTB-X」の『一貫性』について詳しく説明する。これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。
重量の一貫性
・サンプル全体の(重量の)一貫性は、平均範囲の中央に位置する。
・USGAの重量制限を超えるボールは確認されなかった。
直径の一貫性
・直径サイズは、他のボールと比較して平均範囲内で一貫している。
・スネル「MTB-X」のサイズはやや小さめのため、ツアーボールカテゴリーに最適なサイズと言える。
コンプレッションの一貫性
・コンプレッションの一貫性は、平均範囲の中間。コンプレッション範囲が9に及んだため完璧ではないが、不良品はなく、すべて妥当な範囲内だった。
・各ボールで測定された3つのポイントの一貫性を見ると、1個だけ明らかに一貫性に欠けていたが、全体的に平均範囲の上の方に位置する。
TRUE PRICE-ボールの真の価格-
『True Price』は、ゴルフボールの品質を独自に数値化した指標だ。これは、優良ボール1ダース(12個)を得るのに必要な金額を表す。
『Ture Price』は常に小売価格以上の金額になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。
スネル「MTB-X」まとめ
詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義方法、「True Price」の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照ください。
コンプレッション、直径サイズ、重量は全体的に平均範囲内であり、これらの測定で不適合と見なされたボールはなかった
不良品と見なしたボールは、1個のみ(サンプルの3%)。品質としては非常に優秀だと見なされるべきだが、決して完璧ではない。その証拠に、サンプルの約50%にマイナーな欠陥が確認されている。
全体的には、今回のテストで明らかになったスネルゴルフ「MTB-X」の品質と一貫性は、数あるボールの中でも価値あるボールブランドという評判に値することを証明したのではないだろうか。
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