スリクソン「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」ゴルフボール - 重要ポイント

・スリクソンからブルックス・ケプカの使用ボールが登場

・「Z-STAR」よりも硬く、「Z-STAR XV」より高スピン

・コンプレッション(硬度)は102

・1ダース44.99ドル、1月21日発売


スリクソンの新作ボール「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」が、ついに数量限定で発売される。少なくとも、サンクスギビングデー(感謝祭)にケプカとデシャンボーの間で繰り広げられた12ホールマッチ(マッチプレーのイベント企画)を見ていたなら「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」の存在にはお気づきだろう。

新たにスリクソンと契約したケプカは、ラフからの素晴らしいアイアンショットをピン側4フィート(1.2m)につけ終止符を打った。

私がもしスリクソンのスタッフなら、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」の全ての広告に、この時のショットと9番パー3のティーショットを入れるだろう。

なぜなら、こういったショットを打つことこそが「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」が設計された目的であり、こういったショットを求めるプレーヤーのために設計されているのだから。


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ケプカはプレスリリースで、「スリクソンに加わる決意をした大きなきっかけはこのボールだった。そして、非常にスムーズな契約だった。」と述べている。


スリクソン「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」- ハイブリッドボール

タイトリストの「ProV1 Left Dash(プロV1レフトダッシュ)」や「Left Dot(レフトドット)」、キャロウェイの「Chrome Soft X LS(クロムソフトX LS)」を既に使っているなら、「Z-STAR♦︎(ダイヤモンド)」を試してみるのも悪くない。

このボールは、柔らかくスピン量の多い「Z-STAR」と硬くスピン量の少ない「Z-STAR XV」の間の特性を持っている。

「つまりは両方のいいとこ取り。現行2モデルのメリットをブレンドしている」と、スリクソンR&D部門副社長のジェフ・ブランスキー氏。

「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は、同じ高コンプレッション(硬度)モデルである4ピースの「Z-STAR XV」と同じコンプレッション102 だという(今年の『MyGolfSpyボールテスト』では、コンプレッション96と測定)。

しかし、「♦︎(ダイヤモンド)」のスピン量はコンプレッション90(MyGolfSpyの測定では81)の「Z-STAR」に近く、3ピース構造となっている。これだけ聞くと、まるで飛距離を最大限に伸ばしたいが、グリーン周りでもう少しスピン量が欲しいプレーヤー向けに特別に設計されたかのようだ。

「ケプカ」のように。





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「このボールは一部のツアープロに非常に優れたパフォーマンスもたらす。決してケプカのためだけに作られたのではない。彼はたまたま『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』の特性を生かせるプレーヤーだっただけだ」と、ブルンスキー氏。

それでも、スリクソンが「サンクスギビングマッチ(先述のケプカとデシャンボーのTVマッチ)」の直前にケプカとの契約を発表したことと、同時にソーシャルメディアでホワイトボックスの「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」プロトタイプが登場したことは偶然ではなく、これは賢いマーケティングだ。


「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」ボールの構造

前述のように「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は、「Z-STAR XV」と標準「Z-STAR」のいわゆる中間のボールに位置する。

より硬い「ファストレイヤー大径コア」を採用したことにより、「Z-STAR」シリーズの中でも高コンプレッション(硬度)を実現。またスピン性能の高い「Z-STAR XV」とも言えるだろう。

「高コンプレッションを実現するために、コアをかなり硬くした」とブルンスキー氏。「それによりボール初速が速くなる。『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』は3ピース構造なので、4ピースの『Z-STAR XV』とは異なるスピン性能で差別化している。」


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また、カバーの厚さもスピンに影響する。「Z-STAR」と「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」のカバーは、共に「高耐久0.6mm極薄スーパーソフトウレタン」で、スピン量が少ない「Z-STAR XV」は、同じウレタンカバーだが厚さは0.5mm。たった0.1mmの差がそこまで重要とは思わないだろうが、実は大きく影響する。

「『Z-STAR』にはグリーン周りの『スピンを最大化』するため、最も柔らかいカバーを採用している」とブルンスキー氏。「一方『Z-STAR XV』では、『ボール初速』と『飛距離』を最大化するために、最も薄くて硬いカバーを採用。そして『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』のカバーは、『Z-STAR』と同じ厚さだが、『飛距離』と『コントロール』の両方を得るため少し硬めの設計にしている。」


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スリクソン「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」の興味深いデータ

余談だが、メーカーによる「自社テスト」は一部ではなく全体でみるべきという考えがある中、スリクソン/クリーブランドの自社テストは常に興味深い。

どのメーカーも行うこのような自社テストでは、「ホームチーム(自社製品)」が常に勝つ。しかし、クリーブランドが当時のニューモデル「ランチャーHB TURBO」3Wのボール初速テスト結果を開示したのは、ちょうど3年前だっただろうか…。

その結果はなんと2位。

当時、彼らの3W(2位になったランチャーHB TURBO)は直進性を高め、キャリーが伸びるように設計したと語っていたが、実際のテスト結果(数字)を開示したという事実は、この業界では拍手喝采に値する。

※当時の記事はこちら

「クリーブランドがランチャーHB TURBOドライバー&フェアウェイウッドを発売 ~フェアウェイウッドはいつも脇役?~」


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それ故、彼らから公開された「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」の「飛距離」と「スピン量」のデータも同様に非常に興味深い。

ロフト角9.5度のドライバーを使用し、ヘッドスピード50.1m/sに設定したロボットテストを行ったところ、中程度のコンプレッション(硬度)の「Z-STAR」と、高コンプレッションの「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」の飛距離は実質的にほぼ同じで、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」の方がわずかに0.8ヤード飛距離が伸びた。

また、高コンプレッション同士の比較では、「Z-STAR XV」の飛距離が勝り、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」より2ヤード以上飛距離が伸びたという結果に。興味深いのは、スリクソン自身がタイトリスト「ProV1x」の方が「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」よりも0.4ヤード飛距離が出ると報告している点だ。

数字としては小さいが興味深い発表だ。では、なぜ「Z-Star ♦︎(ダイヤモンド)」を「ProV1x」や「Z-STAR XV」と比べるのか?

その理由は、「スピン量」にある。

ヘッドスピード17m/sに設定しウェッジでロボットテストを行ったところ、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」のスピン量は3,660 rpm、「Z-STAR XV」では3,390 rpm、「ProV1x」では3,350rpmだった。

「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は中程度のコンプレッションであり、「Z-STAR」ほどスピン量は多くないが、「Pro V1」よりも200rpm近くスピン量が多かった。


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ディンプルとスピン量

スリクソンは、「強弾道338スピードディンプル」にいくつかのパターンを備えている。2021年「Z-STAR」と「Z-STAR XV」のディンプルは、弾道を少し低くするために2019年モデルよりもわずかに深く設計されている。

「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」のディンプルパターンも同じだが、深さはそれよりもさらに深くなっている。

「これは、弾道の高さ(頂点)が高くなり過ぎないように微調整をした結果だ。」とブルンスキー氏。

また、「Spin Skin(スピンスキン)」コーティングと高分子材料SeRM®(セルム)なしに、スリクソンのボールは語れない。「Spin Skin(スピンスキン)」コーティングは、同社がグリーン周りのスピンを強化するために2015年から「Z-STAR」に採用している「極薄のウレタンコーティング」のことだ。

そして2019年から採用している高分子材料「SeRM®(Slide Ring Materialの略)」は、ウレタンコーティングをより強く、より柔軟にする。また、この素材は摩擦を増やしてグリーン周りのスピン量を増やす効果があるという。


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「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」に適するゴルファー

『Ball Labテスト(ボールの製品テスト)』を行うにつれ、ヘッドスピードの遅いプレーヤーは低コンプレッションのボールを使うべきというのは都市伝説であることが分かってきた。

特にヘッドスピードの遅いプレーヤーは、低コンプレッションボールの柔らかい打感を好むかもしれないが、ヘッドスピード38m/sのゴルファーでもコアは圧縮している。また、低コンプレッションボールはスピン量が少ない傾向にあるが、一方でそのスピン量の欠如がグリーン周りで問題になる可能性がある。

そう考えると、クリーブランドの観点は賞賛に値する。なぜなら、前述のように、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」と「Z-STAR XV」のコンプレッション値は共に102で、「Z-STAR」は90。

ただし、ヘッドスピードに関しては「Z-STAR」と「Z-STAR♦︎(ダイヤモンド)」には40.2m/sかそれ以上、また、44.7m/s以上のプレーヤーには「Z-STAR XV」を推奨している。


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「大きな違いは、“スピン性能”だ」とブルンスキー氏。「『♦︎(ダイヤモンド)』は『Z-STAR XV』よりもスピン量が多いため、ヘッドスピード40.2m/s以下のプレーヤーに勧めている。そして『Z-STAR XV』は、ヘッドスピードが速くないと十分なスピン量が得られない可能性がある。」


スリクソン「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」価格と販売予定

ツアーレベルのウレタンボールの価格が、この1年で急上昇したことにはお気づきだと思う。タイトリストは2021年「ProV1」の価格を49.99ドルに設定し、キャロウェイ新「Chrome Soft」もそれに従った。

ブリヂストン「Tour B」が2020年に発売されたとき、既に価格は44.99ドルだったが、47.99ドルでまもなく後継モデルが発売されるだろう。価格的にどこに落ち着くか見ものだ。

「Z-Star」は、価格的に常に控えめだった。2019年モデルは39.99ドルで、昨年モデルでは42.99ドルに跳ね上がった。私たちのテストで性能が認められた後の値上げとなったにも関わらず、ボールシェア4位を獲得するべくブリヂストンを猛追している。


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これは2つのことを示唆している。まず、ツアーウレタンボールを愛用するゴルファーにとって、5ドルから7ドルの価格は大した差ではない。「ProV1」や「Chrome Soft」の売上(および、程度は少ないがテーラーメイド「TP5」)からわかるように、多くのゴルファーは喜んでその対価を払うだろう。

もう1つは、スリクソンの場合わずかな値上げが販売数に悪影響を与えることはないということだ。新作「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は1ダースあたり44.99ドルで販売される。そして、当然のことながら「Z-STAR」と「Z-STAR XV」も44.99ドルの設定で、1年前の発売以来2ドルの値上げになる。

とはいえ、スリクソン/クリーブランド/XXIOは積極的に動いている。マスターズチャンピオンの松山英樹に続き、ケプカとの契約は大きな一歩だ。

そして、同社はボールモデルをどんどん増やしている。ボールの種類が増えれば、小売店でのスペースが増えることはもちろん、消費者には幅広い選択肢を与えることになる。

どちらにしても、悪いことはひとつもない。

スリクソン「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は、1月21日発売。(アメリカ)カラーは、ピュアホワイトのみ。

※日本では21年2月に数量限定で先行発売されている。