スリクソン「ZX MK II」フェアウェイウッド&ハイブリッドの注目ポイント
・2021年『Most Wanted』フェアウェイウッドのスリクソン「ZX」に目に見えないテクノロジーを搭載
・ハイブリッドは重心と形状がアップデートされ、スキルがあるゴルファーを意識した設計
・フェアウェイウッドは279.99ドル(約36,000円)、ハイブリッドは249.99ドル(約32,000円)
・発売は1月20日から
スリクソンの新しい「ZX Mk II」フェアウェイウッドとハイブリッドは、今のゴルフクラブデザインの基本法則2つに沿っている。最高評価を受けたクラブをアップデートさせるなら、「法則①シンプルで下手に手を加えることはするな」ということ。
では2つめはどうだろうか?パフォーマンスがボチボチなら、高弾道で、望むべくはもっと飛ぶ方法を見つけること。
第一の法則は、スリクソンの高性能フェアウェイウッドに当てはまり、第二の法則は同社の驚くほど期待外れだったハイブリッドに当てはまる。さて、この2つの法則の行方がどうなったか、チェックして行こう。
スリクソン「ZX MK」フェアウェイウッド&ハイブリッド
スリクソンのフェアウェイウッド直近2モデルは文字通り勝者で優秀だった。2019年の「ZF85」は、同年の『Most Wantedテスト』で最も飛んだフェアウェイウッドに君臨。さらにテストしたモデルの中で最も初速があり、「寛容性」では2位という成績だった。
そして2021年にはアップデートされた「ZX」フェアウェイウッドが『Most Wanted』総合トップの栄誉を獲得。「飛距離」トップを継続し、「見た目」もテスターから高評価だった。
ではハイブリッドは?というと、2021年の「ZX」と2019年の「ZH85」は『Most Wanted』で下位。同グループのクリーブランドとゼクシオのハイブリッドが、ともに上位クラスのパフォーマンスを見せただけに、これは驚きの結果だった。
「これらは市場において、眠っている製品です」と言うのは、スリクソンR&Dのバイスプレジデント、ジェフ・ブランスキー氏。「これは間違いなく研究開発における挑戦でした。私たちは、すでにうまくいっているものを台無しにすることなく、少しずつ改良していきたいと思っていました。」。
スリクソン「ZX Mk II」ドライバーの記事でお伝えしたように、スリクソンは企業における“改善論者”だ。“改善(カイゼン)”とは「継続的改良」を目指す日本の経営哲学のこと。それ故、派手な新テクノロジーや機能は期待できない。それはスリクソンのやり方ではないからだ。
「メリットは一貫性にある。消費者はスリクソンのクラブを買う時に何を手にするのかを理解している」とブランスキー氏。「われわれは新参者でもなければ、方向性をコロコロ変えているわけでもないからね」。
余計なことはしない
新製品の発表において、フェアウェイウッドとハイブリッドは、いつだってドライバーの脇役みたいなもの。しかし、2023年はフェアウェイウッドにとって魅力的な年になるかもしれない。スリクソンの“漸進的な改良”がどのように積み上がっているのか興味深いところだ。
ではその改良点とは?一番は、スリクソンの特徴である『REBOUND FRAME(リバウンドフレーム)』のさらなる最適化だ。『リバウンドフレーム』についてはドライバーの記事で述べたが、これはボール初速向上のためフェースのたわみを最適化させるスリクソン独自の方法。
剛性の低いフェースを、剛性の高い部分⇒低い部分⇒そして高い部分と交互に支えダブルのトランポリン効果を実現している。
お伝えしたようにフェアウェイウッドは『Most Wantedテスト』でも高評価を得ている。そしてスリクソンではさらなる進化ができると考えているようだ。
「見た目では分からないが、フェース周辺部の範囲では60%から90%ほど変わっている」とブランスキー氏。「形状的にも(前モデルに比べ)大幅に変わっている。肉眼や素人目には、そこまで進化していないように見えるが、スペック的には大きく変わっているのだ」。
またスリクソンによれば、新たな形状にしたことで以前の「ZX」フェアウェイウッドに比べ、約0.45m/sもボール初速がアップするとのこと。みなさんもこれで大喜びというわけではないだろうが、“漸進的な改良”とは言える。
どうやら、第一の法則が守られているようだ。
カーボンクラウンと「CANNON SOLE(キャノンソール)」
スリクソンは、「ZX Mk II」ドライバーシリーズではカーボンクラウンを放棄したが、少なくともロフト角13.5度と15度の3番ウッドでは採用している。
これに『キャノンソール(ソールの浮いているウエイトパッド)』とスリクソン独自の『STEP CROWN(ステップクラウン)』が融合することで、重心が可能な限り低くなっている。これは、3番ウッドでボールを上げるために必要なツアーレベルのヘッドスピードを持たないゴルファーにはメリットがある。
一方、ロフトが寝ている5番、7番ウッドは、ヘッドが小さくウエイト差はそこまで影響することはないので、『METAL CROWN(メタルクラウン)』が使われている。
また、「ZX Mk II」フェアウェイウッドには、前作同様に調整機能がついていない。
「フェアウェイウッドの場合、フィッティングして使い始めるとあまり調整機能を使うことはない」とブランスキー氏。「だから(調整機能をつけなかった)余剰重量はできるだけ有効利用しようとした」。
とはいえ、フィッターは交換可能なヘッドを持ち合わせているので別のシャフトを試すことは可能だ。
テスターがスリクソンのフェアウェイウッドに関して気に入らなかったことがあるとすれば、それは「音」だろう。
今回のモデルはかなり良くなっているが、それでもまだ改良の余地があると感じる。18度の5番ウッドをテストしたところ、打ち出しも高くパフォーマンスも想定通りだったが、音は、何と言うか…イマイチだった。
これを手応えと言うのは勝手だが、ここはスリクソンが“改善”すべき部分だろう。
スリクソン「ZX MK II」ハイブリッド
前述の通り、スリクソンハイブリッドの直近2モデルは、良く言っても“二流”。ゼクシオとクリーブランドのハイブリッドがまとまっていただけに、非常に残念な結果だった。
そんな中、スリクソンの新しい「ZX Mk II」ハイブリッドは、同シリーズのフェアウェイウッドよりも変身を遂げている。ツアーのフィードバックに基づき、ヘッドはよりコンパクトになった。小ぶりでフェース角もよりスクエアに。スリクソン曰く「新しいヘッド形状は上級者のフィーリングにしっくりくるはず。」
そして、新形状を構成するのが専用設計された『リバウンドフレーム』とフェースの薄肉化だ。
「(フェースは)3%薄肉化している。数字的には小さいが意味はある」とブランスキー氏。「芝に近いリーディングエッジからの丸みは52度大きくなっている。剛性の低い部分と高い部分がある中で、これはかなりのもので、ダブルトランポリン効果を生み出すことができるのだ」。
これまでのスリクソンハイブリッドは、我々のテストにおいては「飛距離」に課題があったが、「正確性」は最も高い部類に入っていた。
スリクソンによると、新しい『リバウンドフレーム』とやや薄肉化したフェースにより、フェースの上に当たっても下でも、しっかり距離が出て安定したスピンを実現するようだ。
そしてこれはボール初速の向上を意味する。スリクソン曰く、同社のテストでは2021年モデルより0.72m/sアップしたらしい。
スリクソン「ZX MK II」フェアウェイウッド&ハイブリッド:スペック・価格・発売時期
スリクソンの新しい「ZX Mk II」フェアウェイウッドは、スタンダードの3番、5番、7番ウッド(ロフト角はそれぞれ15度、18度、21度)の他、13.5度の3+がラインナップ。
純正シャフトはプロジェクトX「HZRDUS Smoke Red RDX(ハザーダス・スモークレッドRDX)」だ。スリクソンでは、このシャフトを中弾道、中スピンとしており、50gのAフレックス、60gのR、S、そしてXフレックスがある。
3番と5番ウッドは左右モデルがラインナップ。3+と7番ウッドは右打ち用のみとなっている。
スリクソン「ZX Mk II」ハイブリッドには5種類のロフト角(17度、19度、22度、25度、28度)があり、19度の3番、22度の4番は右打ち用、左打ち用を用意。残りは右打ちのみだ。
シャフトは同じくプロジェクト X「HZRDUS Smoke Red RDX(ハザーダス・スモークレッドRDX)」で、70g(AとR)、80g(SとX)がある。
純正グリップはフェアウェイウッド、ハイブリッドともにゴルフプライド「Tour Velvet 360(ツアーベルベッド360)」だ。
価格はフェアウェイウッドが279.99ドル(約36,000円)でハイブリッドが249.99ドル(約32,000円)。発売は1月20日となっている。
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