・テーラーメイドから「ハイ・トウ 3」ウェッジが登場
・「ハイ・トウ 3」は、テーラーメイドウェッジの中で最も重心をセンターに配置したモデル
・ロフト角とバウンス角のオプションが豊富
・小売価格は「My Hi-Toe 3」プログラムを通じて179ドルから229ドル
トウが高いウェッジの最大のメリットは、(形を毛嫌いせず)“使えばわかる”という点だが、これはまさにテーラーメイド「ハイ・トウ 3」ウェッジに当てはまること。「形は機能に従う」とはテーラーメイドのビル・プライス氏の好きな言葉だが、まさにその“形”悩みの種にもなり得る。
トウが高いウェッジを販売するメーカーとこの種のウェッジを使うゴルファーは、トウ高ウェッジの汎用性の高さはズバ抜けていると思っていて、これは長所でもある。しかし残念ながら、これには犠牲も伴う。
多くのゴルファーにとって、トウが高いウェッジの、「型破りな今っぽい」見た目は、ゴルファーが手にするまでのハードルの高さにもなるからだ。
分かってるよ。トウが高いウェッジの見た目は微妙だし、その点について異論はない。このウェッジの「見た目」は万人受けしないけど、汎用性を高めたいばっかりに、ちょっとだけ不細工になっているだけさ。
テーラーメイド「ハイ・トウ 3」と「MG3」
そう考えると、まずはテーラーメイド「ハイ・トウ 3」と一般的な形状の「MG3」シリーズを比べるとわかりやすい。誤解のないように言っておくが、「ハイ・トウ 3」は、単にトゥ部分をデッカくした「MG3」というわけじゃない。
そもそもデザインが異なる。「ハイ・トウ 3」は独自のソール形状で、グラインドも独特だ。そしてハイ・トウと「フルスコアライン」は、「MG3」で実現する以上のさらなる汎用性をもたらしてくれる。
また、重心の配置(「ハイ・トウ 3」は、テーラーメイドの他のどのウェッジよりも重心がセンター寄りにある)も異なり、弾道も違う。
いずれもプレーヤー次第で良くも悪くもなり得るが、大切なのは、テーラーメイドが「ハイ・トウ 3」と「MG3」シリーズにおいて2つの異なる性能を実現しているということ。
組み合わせても良いし、その逆でも構わないけど、選べることは良いことだ。
必要な機能とメリットに限って言えば、テーラーメイド「ハイ・トウ 3」ウェッジでは、特段“テーラー独自の”というものはない。テーラーメイドでは、競合全社がやろうとしていることを盛り込んだに過ぎない(すべきことをしている)。
ウェッジだけに、パフォーマンスを「スピン」、「汎用性」、「飛距離のコントロール」の3つに集約しているのだ。
しかし、まずもってテーラーメイド「ハイ・トウ 3」には「8620スチール」の鋳造が採用されていることをお伝えしておきたい。
ウェッジにおける「鋳造vs鍛造」に関して言うと、(ミズノがウェッジに「ボロン」を採用しているように)軟鉄に何かを配合しない限り、柔らかい鍛造素材によって「溝の耐久性」は低くなる。
少しだけソフトな打感が良いのか、溝に耐久性がある方が良いのか、使う人次第ということだ。
テーラーメイド「ハイ・トウ 3」のスピン性能
スピンに関して言うと、テーラーメイドの「MG3」とそこまで変わっていない。主力ウェッジと同様、この「ハイ・トウ」ウェッジも「ロウ(ノンメッキ)フェース」テクノロジーを搭載している。
つまりこれは、ボールが当たる部分はノンメッキで、時間が経つと錆びるが、他の部分はメッキ加工が施されておりかなり長持ちするようになっている。
単純ではあるが、溝に余計な仕上げが施されていないノンメッキのような未加工のウェッジは、よりスピンを向上させる。テーラーメイドは、ウェッジの溝の錆によりスピン量が増えると考えているようだが、スピン量をアップさせているのは、“未完成(ノンメッキ)”のフェースなのだ。
「ハイ・トウ 3」ウェッジも、「MG3」でも採用された『レイズドマイクロリブ』を搭載している。メインの溝の間にあるバー状の突起『マイクログルーブ』により、グリーン周りの短いアプローチでもスピン量が増し、濡れたコンディションでもスピンをキープすることが可能だ。
さらなる「フルスコアライン」
「ハイ・トウ 3」ウェッジシリーズでは、ロフト角54度も「フルスコアライン」になった。これは市場の変化を反映したもの。
アイアンのストロングロフト化が進むにつれ、52度、56度、60度のウェッジセッティングは50度、54度、58度というセッティングに変わっている。この54度はSWのことであり、テーラーメイドではSWに「フルスコアライン」を採用したということになる。
汎用性
トウが高いウェッジをセッティングに入れる最たる理由は、結局のところ汎用性の高さだろう。特にフェースを開く必要がある時に、トウが高いことにより打点が広がるということ。
バンカーだろうがキクユ芝の太くて深いラフだろうが、あるいはベアグラウンドであろうが、どんな場面でも適したショットができるのだ。
しかしトウが高いということは、汎用性が生み出される要因の一部分に過ぎない。おそらく大部分はソールデザインによってもたらされている。
「4ウェイ」デザインのキャンバーソール形状、これがソールデザインのポイントだ。ソールが全方向にカーブしており、スクエア(真っ直ぐ)に構えた時にトレーディングエッジの抜けが良く、リーディングエッジは低め(テーラーメイドでは史上にあるウェッジで一番低い設定としている)になっている。
つまり、ソールのグラインドが汎用性を高める一方で、リーディングエッジを地面に近くにキープすることができるのだ。
簡単に言うと、突っかかることなく、素早くスムーズに抜けることができるってわけだ。
また、テーラーメイドではバウンスの種類を増やすことで、「ハイ・トウ 3」の多様性をアップさせている。前作の「ハイ・トウ」では、ロブウェッジ(58度と60度)にミッドバウンス(10度)があるだけだった。
しかし今回は、ローバウンス(7度)とハイバウンス(13度)を加えたことで、「ハイ・トウ 3」ウェッジの汎用性をかなり幅広いゴルファーに届けることが可能になった。
ローバウンスのロブウェッジ派の私としては、ロフト角60度、バウンス角7度に興味しかない。
飛距離コントロール
テーラーメイド「ハイ・トウ 3」でお話ししたい最後のネタは「飛距離コントロール」だ。言うまでもなくウェッジなら距離感がピッタリ合って、しかも反復できることは大切だ。
というわけで、テーラーメイドは『プログレッシブCG』デザインを採用している。他社のウェッジのようにロフト角が増えると重心が高くなるように設定。こうすることで、低くスピンが効いた弾道になり、グリーンでボールを止めることも可能になる。
ショートゲームではかなり理想的だ。
またバックキャビティにある「ウエイトパッド」により、重心位置をさらにコントロールしている。細かく見てみると、例えばハイロフトになっているものほど、ヒールの重量をトゥ側にシフトさせているのだ。
これは、平均的なゴルファーがウェッジショットのかなりの割合をトゥ側に当てているから。これで飛距離ロスせずに済む。
テーラーメイド「ハイ・トウ 3」ウェッジは何本必要か?
「ハイ・トウ 3」ウェッジを買うなら、何本必要だろうか?今使っている3本全部を入れ替えるべきか?2本か?それとも60度の1本だけか?
この答えは、ロフト角ごとにフェアウェイからフルショットする割合による。アプローチショットでPWのロフト角のウェッジはいらないだろう?ってこと。
PGAツアーにおいて、トウ高のウェッジを使うプロのほとんどは、1本だけをキャディーバッグに入れており、通常それはロブウェッジになっている。
コリン・モリカワみたく、トーナメントやコースに応じて「ハイ・トウ」 ウェッジをバッグから出したり入れたりする選手もいるようだ。
トミー・フリートウッドはいわば変わり者で、「ハイ・トウ」ウェッジを1本使用しているものの、そのロフト角は52度のギャップウェッジ。これは「MG3」と「ハイ・トウ」の性能差を表した見事な例と言えるだろう。
何はともあれ、フリートウッドは「MG3」よりも「ハイ・トウ」の「打感」と抜けの良さを気に入っており、また、オフセット時の見え方や、イメージ通りにボールが飛んでいく感覚も好きなようだ。
「ハイ・トウ 3」ウェッジを何本使えば良いかという質問は愚問だな。そこには正解も不正解もない。
「ハイ・トウ 3」ウェッジのフィッティング
テーラーメイドのフィッティングの考え方は、業界全体で囁かれているものと大差ない。ウェッジフィッティングの認知が拡大している一方で、ほとんどのフィッティングは、未だにアイアンフィッティングのついでのようなものだ。
それはフィッティング時に「まだ時間に余裕があるからついでにやろうかな?」と「ウェッジフィッティングをする時間を2時間くらいかけてちゃんとやりたい」くらいの意識の差がある。
とはいえフィッティング施設へのアクセスのしやすさも重要だよね。ゴルファーなら誰でもテーラーメイドの施設に行って、フルでウェッジフィッティングができるわけではないからだ。
テーラーメイドもそれを理解しているからこそ、フィッティングするために必要な機材を、提携ゴルフ場やフィッティングのプロたちに提供できるように動いている。
どのくらい提供できたのかって??・・・知らないな。
テーラーメイドが目指しているのは、「お、これ見た目が良いな」という選び方でウェッジを購入することから、適正なフィッティング体験へとゴルファーの購入マインドをシフトさせることにある。
どんなことでもそうだけど、時間がかかるよね。
スペック・価格・発売時期
テーラーメイド「ハイ・トウ 3」ウェッジはスタンダードバウンス(ロフト角50度、52度、54度、56度、58度、60度)、ローバウンス(ロフト角58度、60度)、ハイバウンス(ロフト角58度、60度)をラインナップ。
純正シャフトはKBSの「Hi-Rev 2.0(115グラム)」だ。グリップはラムキンの「Crossline 360 Round」が装着されている。
店頭で発売されるのはエイジドカッパー仕上げ。
価格は179ドルだ。
発売日は8月9日。
「MYHIGH-TOE 3」ウェッジ
「ハイ・トウ 3」ウェッジは、テーラーメイドの『My(商品名)』プログラムでも購入できる。
仕上げはエイジドカッパー、クローム、ブラック、ロウ(ノンメッキ)の4つから選択可能。
カスタムテキスト、ロゴ、ペイントも選ぶことができる。
カスタマイズ可能なオプションの一覧は以下の通り。
・仕上げ
・グリップ
・シャフト
・長さ
・カスタムテキスト
・カスタムペイント:ロゴ、アイコン、カーボンスチール、ホーゼルリング、文字
「MYHIGH-TOE 3」はTaylorMadeGolf.comで注文可能で価格は229ドル。
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