主な注目点
・テーラーメイドの「HI -TOE RAW(ハイ・トウ ロウ)」ウェッジは、ハイロフトの「フルフェース溝」と「フル・ローフェース」が特徴 ・「ハイ・トウ」シリーズは、50度から62度までのロフトにさらなるロフト角を追加 ・「ビッグフット」に新ロフトが追加 ・価格は180ドルで現在発売中テーラーメイドの「ハイ・トウ ロウ」と「ハイ・トウ・ビッグフット」ウェッジは言葉そのままだが、きっと的を得たネーミングと言われるようになるだろう。
テーラーメイドの「ハイ・トウ」シリーズが、改良されラインナップを追加したことで、ロフトとバウンス角の選択肢が広がった。そして全てのモデルがローフェースで、ハイロフトモデルはヒールからトゥまで溝がある。
では、ウェッジが“的を得る”とはどういう意味なのか?これから紐解いていく。
テーラーメイド「ハイ・トウ ロウ」:合言葉はニッチ
フルフェースウェッジは万人受けしないし、「ハイ・トウ」モデルのウェッジも万人向けではない。超ワイドソールウェッジもそうだろう。つまり、今回は誰にも合わないかも知れないウェッジの話をすることになる。しかし、「多様性」となると、この場合、話は変わる。
「ハイ・トウ」ウェッジが、存在感を増している。そのアイデアは、ピンの「Eye2」にまで遡ることができるが、こうしたウェッジが主力品となったのは、キャロウェイが2015年に発表した「マックダディPMグラインド」だろう。
「マックダディPMグラインド」はフルフェース溝だったが、それ以降、ウェルソン、クリーブランドなどがそれに追従し、独自の「ハイ・トウ」「フルフェース溝」のモデルをリリースしてきた。
そしてテーラーメイドの「ハイ・トウ」が同社ラインナップに加わったのは2019年中盤だが、今年はフルフェースとなる。「ハイ・トウ」ウェッジに「フルフェース溝」を採用することは、実際、理にかなっている。
「ハイ・トウ」ウェッジで肝心なのは、グリーン周りでの多様性。タイトなライや深いラフでソールを開くことができ、フルフェース溝にすることで、ラフからのミスヒットでも溝部分に当たるのでスピンがかかるというわけだ。
また今回の新作は、同社独自のレーザーミーリング加工だけでなく、シャープで細く深くなった溝も特徴だ。フェース自体は、(ヘッド全体とは反対に)加工されておらず時間が経つにつれ錆びてくる。
我々のウェッジテストでも明らかにしたように、ローウェッジは、特に“濡れたコンディション”でスピンが持続するが、これはメッキ加工されていないからであり、“錆び”がスピンの理由だ。
この他、前作の「ハイ・トウ」モデルから変わったことがテーラーメイドの「Thick-Thin」デザインだ。
このデザインは最初に「MG2」ウェッジでお目見えしたが、薄いトップラインと厚めのフェース、そして重心を高くするためにクラブフェースの高い部分に質量を配置していることが特徴。これにより弾道が低くなり、スピンが強調される。
テーラーメイド「ハイ・トウ ロウ」:よりどりみどりか?
「ハイ・トウ」とフルフェースの組み合わせは、ニッチなクラブと言える。こうしたウェッジはバンカーからの脱出をメチャ易しくするし、フロップショット(ロブ ショット)好きにとっては盆と正月が一緒に来たようなもんだろう。
結果としてハイ・トウでフルフェース溝のスペックはハイロフトのみとなっており、テーラーメイドの「ハイ・トウ」シリーズは50度から2度刻みで62度まで幅が広がったが、フルフェース溝は56度から62度のスペックで採用されている。
一方、キャロウェイの「PMグラインド」のラインナップは54度から64度だ。テーラーメイドにおける「ハイ・トウ」ウェッジのフルラインナップは、興味深いところ。バウンス角9度でロフト角50度か52度のウェッジのフェースを開いてフロップショットが打てるのは少数派だからだ。
もし、時々こうしたショットが必要なら、このウェッジがおすすめ。しかし、多くの人にとってはロフトが立っている「ハイ・トウ」&「フルフェースウェッジ」は議論の余地があるだろう。
そして、バウンスに関していうと、テーラーメイドの「ハイ・トウ ロウ」ウェッジは、ロフト角50度と52度でバウンス角が9度。ロフト56度、58度、60度はバウンス角10度で、ロフト62度だとバウンスは9度となる。また、ロフト角58度と60度には、ローバウンス(7度)もある。
なお50度から60度までは右利き用と左利き用がラインナップ。62度のスタンダードバウンスと58度のローバウンスは右利き用のみとなっている。
また、テーラーメイドの「ハイ・トウ ロウ」ウェッジには同社の「ミルドグラインドソール」も採用されている。
CNCミーリングは、人の手による研磨よりもイケてるとは言えないが、より再現性があり一貫性がある。そして相対的にバウンスが少ないものの、「ハイ・トウ ロウ」のソール自体はワイドで、26mmほどあるのも特徴だ。
「ビッグフット」の概要
次は一番言いにくいテーラーメイド「ハイ・トウ ロウ・ビッグフット」。1、2度言ってみよう。
冗談はさておき、「ビッグフット」は「ハイ・トウ」のワイドソール&ハイバウンス版だ。「ビッグフット」というネーミングの通り、ソールは32mmと幅広でバウンスが15度もある。
ミルドソールは「Cグラインド」が見直されたもので、ヒールとトゥ部分がより削られており幅広いゴルファーが使えるようになっている。一番の競合はクリーブランドの「CBX」のフルフェースウェッジと言えそうだ。
また、「ハイ・トウ」同様、「ビッグフット」もローフェースと、同社のアグレッシブなミーリングとレーザー加工の溝パターンが特徴。両モデルとも「エイジド・カッパー」フィニッシュが採用されている。
オリジナルの「ビッグフット」のロフト角は58度と60度で左右両方がラインナップしていたが、今回の新作は右利きのみだが56度が追加されている。
全シリーズとも8620カーボンスチールを採用。
テーラーメイドのニュー「ハイ・トウ ロウ」ウェッジは180ドルで現在発売中。
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