・テーラーメイドが新しい「スパイダーGTx」と「スパイダーGT MAX」パターをローンチ
・「スパイダーGTx」は、「スパイダーGT」2022年モデルに新しいウエイト要素を追加
・「スパイダーGT MAX」は、革新的な『可変式ウエイト』テクノロジーを搭載
・「スパイダーGTx」は1月19日から先行発売、店頭発売は2月24日。メーカー希望小売価格は349ドル。「スパイダーGT MAX」は今春発売予定(アメリカ)
※日本での発売は「スパイダーGTx」が23年3月10日、「スパイダーGT MAX」は4月発売予定で(セレクトフィットストア限定)となっている。
テーラーメイドが、人気の「スパイダー」パターの改良や根本的にデザイン変えてくるのは毎年のことだが、2023年はその両方を実施している。
当然、それには「スパイダー」の新モデルが1つでは足りない。ということは、「スパイダー」のラインナップが増えるってことか?それは、悪くないな。では実際、大量の新パターは投入されているのだろうか?
今年(23年)、改良された「スパイダー」パターは、2022年の「スパイダーGT」だ。2023年モデルの「スパイダーGTX」は、前作の構造を継承している。また、ボディの形状はほぼ同じで、「GTX」は新カラーと新たにヘッド後方に重量を配置する「リアウエイトデザイン」を採用している。
もう一方の「スパイダーGT MAX」は、その新鮮さが見え隠れする。アドレスから見ると「スパイダーGT スプリットバック」に似ているが、パターのソール側を見ると全く異なっており、見たことのない『可変式ウエイト』が確認できる。
とはいえ、この『可変式ウエイト』は、良くあるウエイトを“交換する”タイプではない。「スパイダーGT MAX」のウエイトは、“リムーバブル”ではなく“ムーバブル”。
この新しいウエイト方式は、これまでの常識を覆すものなのだ。
テーラーメイド「スパイダーGTx」
2022年のテーラーメイド「スパイダーGT」はそれまでの「スパイダー」とは一線を画していた。
これまでの「スパイダー」は、周辺にスチールのリングがあり後部の両サイドにウエイトを配した箱型マレットになっていたが、「スパイダーGT」はよりウイングを誇張する形状をしていた。確かにアドレスでアルミのボディがソリッドに見えるように上部に蓋があったが、下から見るとウイング形状になっていたのだ。
今回の2023年テーラーメイド「スパイダーGTx」におけるデザイン上の主な変更点は、ウイングの先端が後部の部品で繋がっていること。そして、この後部の部品はかなり重い。
2023年テーラーメイド「スパイダーGTx」:新ウエイト配分
スパイダー「GTx」は154gある“スタビリティバー”のおかげで後部が肥大化している。これによりヘッド重量の45%が後部に配置され、慣性モーメント(MOI)は5,300以上となっている。
するとどうなるのか?「スパイダーGTx」は基本的に、「スパイダーGT」よりも安定感が増し、ウエイトがシフトされたことで異なる打感が得られる。またこれにより、打感は「スパイダーX」や「スパイダーツアー」に近いものになるはずだ。
「スパイダー」のこれら2モデルは、これまでで最も人気がある「スパイダー」だ。新しい「スパイダー」を人気の「スパイダー」と似た打感にすれば、より多くのゴルファーに新モデルにアップグレードしてもらえるだろう。
2023年テーラーメイド「スパイダーGTx」:その他の特徴
スパイダー「GTx」は、ウエイト方式こそ新しいが、他の特徴は「スパイダーGT」の特徴を受け継いでいる。
『Pure Roll 2(ピュアロール2)』インサートもスパイダー「GTx」の特徴の1つ。また、『True Path(トゥルーパス)アライメント』も復活した。こうしたテーラーメイドパターのテクノロジーの後押しをうけ、正しい方向にボールは転がるだろう。
そしてスパイダー「GTx」は、ホワイト、シルバー、レッド、アイスブルー、ピンクの純正カラーバリエーションがある。できればお店に全6色があって、全てを見た上で好きなカラーを選んで欲しい。
またスパイダー「GTx」には、「シングルベント」、「スラントネック」、「センターシャフト」の3種類のホーゼルがラインナップ。そう!センターシャフトがあるんだ。
これでも不十分なら、新しい「MySpider GTx」プログラムで他に多くのカラーやホーゼルオプションの選択が可能。今から「MySpider GTx」を試すのが楽しみだ。
2023年テーラーメイド「スパイダーGT MAX」
「スパイダーGT MAX」は上から見ると、その良さを見逃してしまいそうだ。お伝えした通り、ボールの後ろにセットアップすると「スパイダーGT スプリットバック」に似ている。『True Path(トゥルーパス)アライメント』はターゲットに対して狙いを定めるのに役立つが、それ以外は特段何もない感じが見受けられる。
ではパターは裏返してみよう。
テーラーメイド「スパイダーGT MAX」の「スラインディングウエイト」
パターにおける『可変式ソールウエイト』には今更感がある。今や多くのパターには、パターを重くしたり軽くするために交換できるウエイトが搭載されている。一方、「スパイダーGT MAX」は“スライドするウエイト”を搭載し、別の手法で調整するというわけ。
『スライディングウエイト』付きのパターはいくつくらいあるだろうか?私の頭の中では“ゼロ”。
もちろん今回の「スパイダー」のように『ウエイトトラック』付きのパターを忘れている可能性もあるが、それは考え難い。毎日多くのパターを試しているので、テーラーメイドが「スパイダーGT MAX」で実現したことはかなり独特だと思う。
どうしてウエイトをスライドさせるの?
『スライディングウエイト』の役割とは?まず、パターヘッド内でウエイトが動くわけだが、当然、疑問が浮かぶ。「ヘッド内でウエイトを動かすとどうなるのか?」ってことだ。
一言で言えば“変化”。ウエイトの位置を変えると、パターのパフォーマンスが変わる。ウエイトを前にすると、フェースは早く閉じるし、ウエイトを後方に置くとフェースローテーションが遅くなる。これがどうして大切なのかと言えば、“ミスショット”を考えてみると良いだろう。
「左にミス」するということは、フェースを閉じるのが早いということなので、ローテーションを遅くしたいはずだ。一方、「右にミス」した場合は?フェースを早めに閉じる必要がある(左右にミスする場合は、パターレッスンを受けるべきだ)。
「スパイダー GT MAX」は、ウエイト位置を調整することで自分のストロークにパターを合わせることができる。ヒールとトゥのウエイトは別々に動かせるので、片方を前方に、もう片方はヘッドの後方に配置することも可能。
このレール、“クモのわだち”?“ウエイトの棲家”?“毒のエサ入れ”?呼び方はなんにしろ、それぞれに5つのポジションがあるので、さまざまなウエイト位置に設定することができる。
実を言うと、こうしたネーミングは私が遊び心から名付けてみた。知る限り、このウエイトトラックには「名前」がない。テーラーメイドは「ステルス2」で“Fargiveness”(=Far+Forgiveness、どこまでも遠くへどこまでもやさしく)と大きく打ち出したんだから、何かしら名前を付けないわけにはいかないだろう。
実際、意味があるの?
私も「スパイダー GT MAX」のウエイト位置の移動に大きな効果があるのかには懐疑的だった。テーラーメイドはヒューマンテストを実施したと言っているが、私も自分のためにテストしてみた。
ウチの倉庫には「ツアーリンクス」の10フィート(約3m)の練習グリーンがあり、これまで何千回もパッティングをしてきた。というか多分数万回だろう。10年は持っているからね。
普段の練習では、カップが6個あるのでボールも6つ使っている。試した全てのウエイトの配置がうまくいったわけではないが、ウエイトを変えるとパターに変化が生じた。「スパイダー GT MAX」で、全ての結果がでた。
私の場合、6回のパット全てを決めたケースもあったし、6回のパット全てを外したケースもあった。6回中数回決めたという場合も。結果的には、自分のストロークに合うウエイトセッティングもあれば、合わないセッティングもあったというわけだ。
今年1月の終わりなきカリフォルニアの雨のせいで、なかなかコースで転がせなかったが、全体的な結果は同じ。基本的に、結果の良いウェイト配置もあれば、そうじゃない配置もあった。
ウエイト位置はどのように決めれば良いか?
「スパイダー GT MAX」の調整方法は2通りある。1つはショップでフィッターにお願いすること。おそらくあなたのセッティングを見つける上で、一番時間的に効率が良いのがこの方法だ。
2つ目は自分でパターをイジって見ることだ。自分は調べる工程が好きなので、個人的にはこちらのオプションを選択すると思う。ベストなウエイト構成があることは分かっているので、あとはそれを見つけるだけってわけだ。
またショップでこのパターを試す時は、ウエイト位置を考慮しなければならない。フィーリングやパフォーマンスが気に食わないなら、スタッフに聞いてウエイト位置を調整してもらおう。あるいは、「T15」トルクレンチを持参して、こっそり自分で調整してみると良い。ウエイトを動かせば、パターが変わる。テーラーメイドもこの言葉に偽りなしだ。
テーラーメイド「スパイダー GTx」、「スパイダー GT MAX」の価格と発売時期
今回の新しい「スパイダー」は、ともに過去の「スパイダー」のデザインの拡張版だ。もし「スパイダー GTX」に興味があるなら、2023年1月19日から注文可能。店舗では2月24日からメーカー希望小売価格349ドルで手に入る。
※日本での発売は「スパイダーGTx」が23年3月10日、「スパイダーGT MAX」は4月発売予定で(セレクトフィットストア限定)となっている。
できれば、あなたの近隣店舗に全6色と全てのホーゼルオプションがあって欲しいものだ。また伝えてなかったが、「スパイダー GTx」は40インチ、42インチのアームロックも発売予定。こちらはネットのみで420ドルで発売される見込み。
一方、「スパイダー GT MAX」と40gのタングステンウエイトの発売は、現状“晩春”とされている。カラーは「シルバー」のみで、ホーゼルは「シングルベント」か「スラント」のみ。メーカー希望小売価格は449ドルだ。
※日本での価格は
・「スパイダー GTx」ブラック/レッド:「KBS 120 CHROME STEPPEDスチールシャフト」¥46,200(税込)
・「スパイダーGT MAX」:「KBS 120 BLACK STEPPEDスチールシャフト」¥60,500(税込)
今回の「スパイダー」は気になる存在だろうか?「スパイダーツアー」に近いフィーリングになった「スパイダー GTx」の新しいウエイト配置を気に入ってくれただろうか?
「スパイダー GT MAX」のウエイトポジションはいくつあるか分かるだろうか?ウエイトをアレコレいじるのは楽しいし、魅力的だと思う。少々時間はかかるかも知れないが、私も「スパイダーGT MAX」を自分のストロークに合わせられるはず。
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