・テーラーメイドが「ステルス2」フェアウェイウッドとハイブリッド(レスキュー)を発表

・いずれも「ステルス2 プラス」、「ステルス2」、「ステルス2 HD」の各3モデル

・販売価格:フェアウェイウッド「ステルス2 プラス」が449.99ドル(約58,000円)、「ステルス2」、「ステルス2 HD」は各349.99ドル(約45,000円)、またハイブリッド(レスキュー)「ステルス2 プラス」が299.99ドル(約39,000 円)、「ステルス2」、「ステルス2HD」が各279.99ドル(約36,000円)

・1月10日より先行販売開始、2月17日より本格販売開始


「ステルス」ドライバーは、紛れもなく真っ赤なカーボンフェースを軸に展開されている。テーラーメイドはこのカーボン素材でドライバー市場を牽引できると確信しているようだ。

しかし、カーボンウッドの話でいうと、フェアウェイウッドやハイブリッドにカーボンフェースが採用される予定は今のところない。単純に、フェースの表面積が小さすぎて、カーボンを用いることができないのだ。


「ステルス2」フェアウェイウッド

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PGAツアーや小売店で評価がイマイチだったテーラーメイドのフェアウェイウッド思い浮かべるのは難しい。「エアロバーナー」を除けばね。逆のパターンならいくらでも思いつくんだけどね。

「ステルス2」シリーズ全体の中でもっとも印象的なのは、「ステルス2 プラス」フェアウェイウッドだが、これについては後述する。

2022年にMyGolfSpy読者に対して行われた“キャディバッグの中身は?(Wats In The Bag?)”調査によれば、テーラーメイドはフェアウェイウッド部門で2番目、ハイブリッド部門では3番目に多く購入されたメーカーとなっている。

そして「ステルス2」発売における“指針”は、“ボール初速を犠牲にすることなく、多用性と操作性を向上させる”こと。これを叶えたのがそれぞれ異なる3モデルだ。

テーラーメイドはどのようにしてこれを実現させたのだろうか?


「ステルス2 プラス」

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前作の「ステルス プラス」同様、「ステルス2 プラス」もテーラーメイドのチタン製フェアウェイウッドだ。 前作からもっとも進化したモデルであり、個人的に今回の「ステルス2」のラインナップの中で一番興味を掻き立てられるクラブがこれ。

テーラーメイド初の“本物の”チタンフェアウェイウッドである「M5」まで遡って考えると、フェアウェイウッドに関しては、テーラーメイドは素材を最大限に活用する方法を未だ学んでいる最中であることは明らかだ。

テーラーメイドは2011年にホワイトヘッドの「R11 Ti」を市場に投入したわけだが、我々は皆その記憶を抹消したいと思っているはずだ。その点で、「Sim Ti」フェアウェイウッドこそが、テーラーメイドの近代チタンフェアウェイウッドの元祖であると言えるだろう。

このモデルと「ステルス プラス」を含むその後のモデルが目指したのは、低スピンかつ飛距離優先の大砲を作り上げることだった。我々の調査によれば、そのミッションは達成されたと思う。


補足

余談ではあるが、チタン製フェアウェイウッドがスチール製フェアウェイウッドより飛ぶのは何故か?チタンは軽くて強いため、フェースを薄くしてボール初速を上げることができるからだと考えるのが妥当だろう。しかし、これは事実上ドライバーについての話。

フェースが遙かに小さいフェアウェイウッドには必ずしも当てはまらない。チタンの主な利点は、軽量であるため、エンジニアがその節約された重量を再配分することで性能をコントロールできることにある。

各メーカーは、同じ理由で (スチールやアルミニウムの代わりに) カーボンを使用している。そして「ステルス2 プラス」で、テーラーメイドはその余剰重量の大部分を ソールに配置した50グラムの『可変式ウエイト』に割り当てた。


「ステルス2 プラス」のテクノロジー

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2020年の「ステルス プラス」は確かに飛んだ。一部のプレーヤーにとっては飛びすぎたと言えるほど。正直、飛距離に特化しすぎたきらいはある。そこで「ステルス2 プラス」でテーラーメイドは、より使い勝手の良いチタンフェアウェイウッドを作りたいと考えた。

つまり飛距離を維持しつつ操作性を向上させたいというわけだ。そのために3モデル中、チタンヘッド、カーボンクラウン、『可変式ロフトスリーブ』、『スラインディングウエイト』、AI生成の『インバーテッドコーンフェース』を搭載した唯一のモデルとなった。

他の2モデル(「ステルス2」と「ステルス2 HD」)は固定式(接着)のホーゼルで、『スラインディングウエイト』や『可変式ロフトスリーブ』などの調整機能は搭載されていないが、フェースに『インバーテッド・コーン・テクノロジー』は採用された。

ではまず、今回もっともアップデートされた、その重量なんと50gの『スラインディングウエイト』というウエイト調整機能から始めるとしよう。

最終的に、テーラーメイドは望み通りのものを作り上げたが、そこに至るにはいくつか重要な設計上の課題をクリアする必要があった。重量の調整を容易にするため、エンジニアはウエイトを1本の固定ネジに取り付けた。

そしてテーラーメイドが“ガレージ”と呼ぶ覆いの下(見方によっては覆い)で、そのウエイトを前後に自由にスライドさせられるようにした。『可変式ウエイト』は、クラブの性能を瞬時に変えることができるので楽しい。しかし、貴重な重量を奪いかねない構造物を必要とするし、音響面でプラスに働くことはないのが最大の欠点。

「ガレージ」の屋根のせいで重心に関して少々犠牲を払うことになるが(構造物のせいで重心が最適な位置からわずかにズレる)、軽量素材(カーボン、チタン)を使用することで解決している。

このガレージはウエイトを保護するだけでなく、芝との最適なコンタクトを保つのにも役立っている。スロット(溝)やパワーホールのような隙間が多い構造ではないため、土や芝の塊が挟まらないからだ。


セッティング位置

引き続き比喩的な表現をするならば、「ガレージ」に至るに部分で、それぞれ7つの設定と3つの主要な設定位置(フロント、ミドル、バック)がある。

ウエイトを最前方まで押しやると(テーラーメイドによると“ロケット”設定)、スピン量は約200~300rpm 少なくなる。この設定は、打ち出し角とスピン量の点で現行の「ステルス プラス」と同等。ウエイトを最後方まで動かせばスピン量と「寛容性」が向上する。

テーラーメイドによると、ウエイトポジションに関係なく打ち出し角はほぼ同じ。『FCTロフトスリーブ』(+/- 2°)と50グラムの『スライディングウエイト』の組み合わせにより、約550rpmのスピン調整が可能となる。

トミー・フリートウッドのように3番ウッドを低く打ち出し、スピンを多くかけたい場合は、ウエイトを最後方に置き、ロフトスリーブを2度下げる。逆に、高弾道で、ほとんどスピンの入らない5番ウッドにしたいならその逆の設定にすればいい。繰り返しになるが、目的は多用性の向上とフィッティングの選択肢を増やすことなのだ。


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刷新されたフェース設計

残念ながら「カーボン」の話ではない。しかし、これがテーラーメイドにとって初の試みであることは確かだ。

これまでテーラーメイドはフェアウェイウッドとハイブリッドでは均一な厚みのフェースを採用してきた。その理由のひとつは、既存の「ZAチタン」素材がシート形式でしか入手できず、異なる厚みを用いた設計ができなかったということ。

現在、テーラーメイドはAI(人工知能)を活用して、可変厚の『アドバンスドインバーテッド・コーン・テクノロジー』をフェアウェイウッドとハイブリッドに採用している。それぞれのフェースはユニークで、ロフト角やモデルによって異なっている。

2022年の「ステルス プラス」と比較すると、「ステルス2 プラス」は前後の長さがわずかに短く、クラウンもわずかに平らになった。また、5 ㎤小さくなったが、肉眼ではほとんどわからないレベルだ。

我々は日常的にゴルフクラブの漸進的な進歩について話しているが、新しい素材や生産プロセスによってもたらされることが多い。それゆえ「ステルス2 プラス」は、現代のゴルフクラブ業界において対前年比でどのような進化を遂げたかを示す典型的な例となっている。


「ステルス2」フェアウェイウッド

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付加機能が少ないモデルに対して、なにかしら劣っていると決めつけたい衝動に駆られることがあるが、それは間違いだ。実際、僅差ではあるものの、テーラーメイドのフェアウェイウッドはPGAツアーでチタン製よりスチール製のほうが多く使用されている。

また、私の計算が正しければ、テーラーメイドは2022年のツアーでドライバー使用率のトップにはならなかったが、シーズンの約80%でフェアウェイウッドの使用率でトップだった。時代は変わったもんだ。

テーラーメイドはクラブ形状の改良に重点を置いたが、激変というほどではない。ステルス2は、ボール初速に妥協することなく、「寛容性」が高く「操作性」に優れているという点で、3モデルの中でもっともバランスが取れている。

「ステルス 2」スチールフェアウェイウッドは、特にヒール/トゥ部分でわずかに高さが低くなっており、クラウンは少々フラットで、さらにフェースにはAI生成による『インバーテッド・コーン・テクノロジー』を採用している。そのうえ、芝の抜けを改善し、「寛容性」を高く、低重心を維持するのに役立つ『Vスチールソール』を搭載した。


「ステルス2 HD」フェアウェイウッド

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このモデルは万能タイプだ。設計上では、テーラーメイドは寛容性の境界を押し広げ、美学を少し妥協した感がある。しかし、それらを実現したことにより、ターゲットとして意図していないゴルファーのキャディバッグに収まることになる可能性がある。

例えば、世界ランキング2位のスコッティ・シェフラーはその好例だろう。

確かに前作の「HD」はドローバイアスモデルとして作られた。しかし、既存の「ステルス」フェアウェイウッドより27%も寛容性を高めた。トピックスのほとんどが質量特性に関する話なのだが、形状は、なんと言うか、微妙。恐ろしくというほどではないがとにかく微妙。

どうやら、初期バージョンより性能は優れていたようだが、外観はテーラーメイドが自信を持って市場に投入できるものではなかったようだ。

誰だって自分の創り上げたものが不細工だと言われたら嫌なもんだろ?

約200ccの「ステルス2 HD」は、大きめで、フラットな作りになっている。クラウンは現行の「ステルス」フェアウェイウッドよりも2mm低い「ステルス2(スチール)」よりもさらに2 mm低い。また、テーラーメイドは後部エリアを伸ばして、全長を4mm長くした。

構えてみると明らかに他のモデルよりもサイズが大きい。しかし全然嫌な感じはしない。テーラーメイドは、視覚的な工夫を施していくつかの微調整を行い、アドレス時に比較的スクエアにセットアップできるようにした。

カリフォルニアにあるテーラーメイドのツアーレベルのフィッティング施設「キングダム」でいじってみたとき、なんだか隠しコマンドで出てくる裏技のような感じがした。

これがスコッティ・シェフラーの話に繋がるわけだ。CM撮影中に、テーラーメイドはツアープロのために「ステルス2 HD」を組み立てはしたが、実際に使用するとは全く思っていなかった。

しかし、スピン量を少し抑えられれば、シェフラーにとってはあり得ない選択肢ではなかった。そしてそれは接着剤で直ぐにと修正できるものだったというわけ。

結局のところ、非常に「寛容性」が高く、上がりやすく、捕まりがいいのにスクエアに構えられるフェアウェイウッドを欲しがらないゴルファーなんていないはず。

究極的には、「ステルス2 HD」は「初・中級者向け」に作られたがその枠を超えて多くのゴルファーにアピールするフェアウェイウッドなのだ。


「ステルス2 レスキュー」

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テーラーメイドは、フェースの高さが異なるディープ(プラス)、ミッド(スタンダード)、シャロー(HD)の3種の「ステルス2」レスキューも発売する。

特に、「ステルス2 プラス」は「ステルス2」シリーズにおいてカーボンを使用していない唯一のモデルで、ツアープロにインスパイアされた小ぶりな形状が特徴の“上級者”用モデル。

初代「ステルス レスキュー」に比べ、「ステルス 2 レスキュー」はわずかに低重心だがより中心に位置する重心を特徴としており、テーラーメイドによると最適な打ち上げ角とスピン量をもたらすという。

3番目の「ステルス2 HD」は新たに追加されたもので、他の「HD」モデルと同様にドローバイアスがかかり、3モデル中もっとも「寛容性」が高い。

また、テーラーメイドは、フェースのサイズはそのままに、3モデルすべての形状を変更、具体的にはヘッドのヒールからトウまでの長さをわずかに短くした。テーラーメイドによると、これによってラフからのクラブの抜けがよくなるという。

その他の変更点には、より四角くなったトウ側と、よりストレートになったリーディングエッジが含まれる。

別の言い方をすれば、テーラーメイドは既存の「ステルス」シリーズに新しいフェース技術を搭載し、アイアン的な使い勝手の良い機能を復活させた。

また、ゴルファーが番手間の距離ギャップをうまく揃えられるよう、ロフト設定にも変更を加えた。また恐らくおまけとして、テーラーメイドはハイブリッドモデルの価格を引き上げることもなかった。


テーラーメイド「ステルス2」‐ 純正シャフト

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テーラーメイド「ステルス2 フェアウェイウッド」の純正シャフトは以下の通りだ。

・三菱「Kai’li Red FW(カイリレッドFW)」 (65R、75S、75X)

・フジクラ「Ventus Red TR(ベンタスレッドTR)」(5A、5R、6S)

・フジクラ「Speeder NX Red(スピーダーNXレッド)」

テーラーメイド「ステルス2 レスキュー」の純正シャフトは以下の通りだ。

・三菱「Kai’li Red HY(カイリレッドHY)」 (75R、85S、95X)

・フジクラ「Ventus Red TR HB(ベンタスレッドTR HB)」 (5A、6R、7S)

・フジクラ「Speeder NX Red(スピーダーNXレッド)」 (50A、50R、60S)

テーラーメイド「ステルス2」フェアウェイウッドとハイブリッド(レスキュー)は1月10日より先行販売中。本格的な販売開始は2月17日から。