「ティーの高さ」は飛距離に影響するのか?
ティーの高さが「飛距離への挑戦」の糸口になるか?
この問いは、あるツイッターのフォロワーから投げかけられたものだ(もちろん、私達は全てのメッセージを読んでいる)。非常に興味深い提案だ。
MyGolfSpyのテストは、疑問や好奇心から生まれることがよくある。「飛距離」という観点で議論するならば、何人かのテスターに異なる高さのティーで打ってもらい、データから洞察を得るというやり方が最も理にかなっている。
結果的にデータが示したのは、ツアーでは「ある一定のティーの高さが最大飛距離を導く」ことを証明しただけでなく、「より遠く」「一貫性」のある弾道をもたらすことも発見した。
ティーの高さ-テスト内容
ティーの高さをテストするにあたり、地面から1.5インチ(3.81cm)と0.5インチ(1.27cm)の2種類のティーを使いテストした。
・テストは、バージニア州ヨークタウンにあるMyGolfSpyのテストセンターで実施
・Foresight Sports(フォーサイトスポーツ)の「GCQuad弾道測定器」を使用して弾道のデータを収集
・すべてのショットに、ピン「G410 LST」ドライバーとブリヂストン「Tour B X」ボールを使用
・各ティーに対して120球のドライバーショットを打ってもらった
重要な所見
1.飛距離
データによると、1.5インチのティーの方が0.5インチよりもキャリーが平均14.19ヤード優れていた。大きな差である。さらに、1.5インチのトータル飛距離は、平均して14.66ヤード長かった。
結論として、ティーが1インチ短いだけで、飛距離が大幅に劣ることが分かった。その理由を次で解説しよう。
2.打ち出し角
ティーの高さは、クラブフェースのどこでボールを打つかに影響するため、つまりは打ち出し角に影響する。ティーが高いほどクラブフェースの上部で打つことになり、その逆もまた然りだ。
そう考えると、0.5インチのティーで打ったショットの打ち出し角がかなり低い(平均3.54度)のは特に驚くべきことではない。打ち出し角が小さい最大の要因は、インパクトがフェースの下部にあたっているからだ。0.5インチティーでは、インパクト位置は1.5インチティーよりも4mm以上低い。
3.バックスピン
インパクトがフェース下部だと、スピンが増し、望ましくないバックスピンがかかってしまう。バックスピンがゴルファーにとって“飛距離キラー”になることは今回のテストでも明らかだった。
テストでは、0.5インチティーを使用した時のバックスピンは平均326rpm多いという結果が見られた。また、インパクト位置に加えて、ティーが短いため、クラブフェースが少し開いた状態で下りてくる。これにより、スピンがさらに増し、距離の損失につながる。
4.アタックアングル(入射角)
Foresight Sports社では「アタックアングル(入射角)」を「インパクト時のクラブヘッドの上下運動を角度で示したもの」と定義付けている。ボールに対してクラブがどれだけ上または下に入射しているか?これが、「アタックアングル」の測定だ。プラスのアタックアングルは、通常打ち出し角が高く、スピン量が少ない、そして最終的に飛距離を生み出す。これらすべてが関連していることは、常日頃伝えてきたのでご存知だろう。
バックスピンは飛距離キラーであり、マイナスのアタックアングルは問題を悪化させるだけだ。ボールを下に打ち込めば、不要なスピンが加わり、飛距離がでない。
では、アタックアングルは「ティーの高さ」によってどのように変化するのだろうか?
ティーが高いほど、テスターの平均アタックアングルは1.68度プラスになった。ボール初速が60.1m/sで、打ち出し条件が異なれば、キャリーで約4ヤード、トータル飛距離で5ヤード伸びるという結果になる。
ボール初速、打ち出し角、バックスピン、アタックアングル(入射角)がどのように連携して飛距離に影響を与えるかについてさらに理解を深めたい場合は、ピンのサイトに掲載されている「Unlocking Distance: Launch Conditions and Angle of Attack(飛距離への道:打ち出し条件とアタックアングル)」が役に立つだろう。
5.ストロークス・ゲインドと精度
もちろん、誰もがフェアウェイに打ちたい。他に望むのは?スコアを上げることだ。
1.5インチのティーでは、より優れた「ストロークス・ゲインド値」、「フェアウェイキープ率」、「やさしさ」を生み出すことが分かった。しかし、これが「飛距離」と何の関係があるのか?
これまで述べたように、0.5インチティー使用時の飛距離は全体的に大幅に劣っていた。主な測定項目と同じように、飛距離に関係する測定項目もまたティーの高さが影響していた。0.5インチのティーでは、「ストロークス・ゲインド値」、「フェアウェイキープ率」、「やさしさ」の項目すべて劣っていることが示された。
ティーの高さがもたらす影響
最初の質問に戻そう。間違いなく、「ティーの高さ」は飛距離に影響を与える。今後も、ツアープレーヤーやゴルフメーカーは更なる飛距離への打開策を練ってくるだろう。ミニドライバー、ビッグフェアウェイウッドと呼び方は何であろうと、彼らはあらゆる点を追及し、よりコンパクトな空気力学を応用した形状によって更なる距離を実現するかもしれない。
一方、飛距離不足が唯一の問題である残りの99.99%、すなわちアマチュアの私達の場合、ティーの高さを適切に設定するだけで解決に導いてくれる可能性が十分にある。
今回のテスト結果は、ショートティーを使用しているゴルファーが“15ヤード以上”損をしている可能性があることを示した。ティーが短いと、「一貫性」も劣る。
ティー選びには個人の好み(しっくりくる高さ)も関係すると思うが、「ティーを高くして飛ばせ!」という格言には間違いなく何かがある。
しかし、あらゆる高さのティーを用意して、独自にテストすることはあまりお勧めしない。
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