オリジナルの「Tグラインド」は、もともとボブ・ボーケイがトム・パーニスのためにデザインした。「Mグラインド」をベースとし、ボーケイがウェッジにおける「グラインド」の重要性を示したギアだ。
ボーケイ史における「Tグラインド」の重要性を認識し使い勝手の良さを理解していれば、なぜ毎年のようにボーケイのWEDGEWORKS「Tグラインド」がラインナップに加わっているのかが分かるだろう。
Tグラインド
当たり前のことを言うようだが、「Tグラインド」最大の特徴はそのソールだ。ボーケイ使用者に“プログルーブ”として知られるソールの溝が特徴で、4度というローバウンスのグラインドが施されている。
またこのグラインドは発売年やロフト角によって変動。写真を見る限り、今回の“プログルーブ”は他のものと比べても目立ってはないようだ。
WEDGEWORKSの基礎となるテクノロジーは、細かい点は置いておくとして、基本的に主力商品(今回はSM8)のラインナップが反映されている。だからここでは具体的な話をするつもりはない。もし“プログレッシブCG”や“グルーブの100%検品”について知りたければ、本サイトの「SM8」の記事を見ればわかるだろう。
WEDGEWORKS「Tグラインド」- 全英オープンウェッジ
今年の多くのゴルフ用品と同様、WEDGEWORKSの「Tグラインド」も発売に関して新型コロナウイルスによる影響を受けた。
「Tグラインド」は、プロが直面するリンクススタイルのコンディションに対応するギアとして全英オープン前にローンチされるはずだった。そう考えると、毎週、欧州ツアーで12名以上がこの「Tグラインド」を使っていることも驚きとは言えない。
PGAツアーに目を移すと、「Tグラインド」使用者は通常、3、4名程度だったが、最近は7名にまで増えている。ジャスティン・トーマスやジョーダン・スピースはこのウェッジに変更した選手の一角。
トーマスは「Tグラインド」とローバウンスの「Kグラインド」をコースやコンディションによって変えているようだ。
プロは、考えられる全てのフィッティングを利用可能なのに、我々とあまり変わらないギアを使うことがある。
彼らが新作クラブに注目するのは、ライバルがそのクラブで良い成績を残した時で、他のプロが「Tグラインド」を気にするようになったのも、トーマスとスピースが使っているからという可能性が高いのだ。
3つのローバウンスモデル
WEDGEWORKS「Tグラインド」が発売されたことで、ラインナップのローバウンスは3モデルとなった。では、どのモデルが皆さんに合うのだろうか?
フィッティングの世界において、ローバウンスのウェッジがシャローに振るゴルファーや地面が硬いコンディション向けのクラブであることは常識だ。しかし、ボーケイがごく一般的なゴルファー向けに3つの選択肢を用意しているのは混乱の元となるので、ここで整理したいと思う。
「Tグラインド(WEDGEWORKS)」
極端なローバウンスモデルを使いたいゴルファー向けのウェッジで、リーディングエッジ寄りに幅狭のバウンスがあるため、ボーケイの他のローバウンスモデルよりもターフにフィットし、フェースを開いても座りが良いのが特徴だ。ボーケイウェッジのマーケティングディレクターを務めるジェイミー・ストーン氏によれば「(Tグラインドは)どのウェッジよりも人気となるだろう」とのこと。「Tグラインド」はボーケイのラインナップの中では一番ローバウンスのモデルであることは間違いなく、“速くて硬いフェアウェイ”や“硬いバンカー”でも、このウェッジは完璧にフィットするだろう。
ローバウンス「Kグラインド(WEDGEWORKS)」
ローバウンスモデルの中で、この「Kグラインド」は「Tグラインド」の反対に位置するモデルだ。数値上のバウンスは「Tグラインド」や「Lグラインド」よりも小さいが、かなりのワイドソールであり、ザックリは軽減されるだろう。一方、寛容性がアップしたことで多用性がやや犠牲になっている。フェースを開いたときの座りはイマイチだが、他のローバウンスウェッジ同様、“速くて硬いフェアウェイ”や“ソフトで柔らかいバンカー”での使い勝手がよいだろう。
「Lグラインド(SM8)」
パフォーマンス視点で見ると「Lグラインド」はボーケイのローバウンスシリーズの中で中間に位置する。私が述べたような特定の状況では、「Tグラインド」や「Kグラインド」のような性能を発揮しないが、ローバウンスモデルとして多用な使い方ができるウェッジを求めているゴルファーにとっては申し分ないだろう。
プロとアマチュア両方によるボーケイのテストにおいて、「Lグラインド」は大半で高い評価を受けており、だからこそ「SM8」のラインナップに組み込まれているのだ。
WEDGEWORKS「Tグラインド」のデザイン性
WEDGEWORKS「Tグラインド」は、主力ウェッジの「SM8」、そしてWEDGEWORKSのローバウンス「Kグラインド」とはやや異なるデザインが採用されている。バックフェースで際立っているミーリングパターンが両端まで伸びており、力強い「WEDGEWORKS」の文字とともにボーケイの伝統を損なうことなくモダンな雰囲気を醸し出している。
聞かれたわけではないが、私なら、「SM8」、WEDGEWORKSのローバウンス「Kグラインド」、そして「Tグラインド」の中ならこのデザインをキャディーバッグに入れたい。
そして、細部にもこだわりがあるにも関わらず、刻印できるスペースも確保されている。刻印のオプションはストレートかフリースタイルで10文字、トゥ側に15文字、あるいは斜めなら5文字。これまで同様、刻印の色も変更可能だ。
さらにこだわりたいという方は、75ドルの追加でカスタムグラインドもできる。
スペック・価格・納期
新しいボーケイWEDGEWORKS「Tグラインド」は58度と60度がラインナップ。右利き用のみでフィニッシュは、ツアークロームとノーメッキから選べる。
価格は199ドルで、これには刻印とカスタムフェラル、カスタムシャフトバンドが含まれている。WEDGEWORKS「Tグラインド」の注文はVokey.comか店舗のカスタムオーダーで可能。
ローバウンス「Kグラインド」同様、限定販売ではないので、少なくともシーズン中は手に入るはずだ。また、お届けまでには4週間から6週間かかるという。
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