ゴルフ用品の世界には、必ずしも『Most Wanted』や『バイヤーズ・ガイド』にランクインしないまでもイケてるギアはたくさんある。みなさんも、その性能を知りたいところだろう。この「やってみた」シリーズでは、そうしたギアをテストし、それが謳い文句通りかをお届けする。
「やってみた」もの
今回の「やってみた」シリーズは「フライトライン」だ。というかより具体的に言えばボーケイ「SM9」ウェッジのホーゼルに「フライトライン」が入ったものだ。
「フライトライン」体験者
MyGolfSpyでおなじみのトニー・コヴィー。グラインド大好きの、時にとんでもないショートゲーム(それ以外は大したことない)を繰り広げるウェッジおたく。
「フライトライン」ウェッジとは?
「フライトライン」ウェッジをより具体的に言うなら、「フライトライン」は名前の通り、ボーケイウェッジのホーゼルにミルドされた3本線を指す。説得力のある写真じゃないのは申し訳ないが、ホーゼルに3本線があることが分かるだろう。
「フライトライン」は初耳(ほとんどの人がそうだと思うけど)という方のために伝えておくと、「フライトライン」は、「Vokey Wedge Works(ボーケイウェッジワークス)」のカスタマイズオプション項目の“トゥ・エングレービング”と“ハンドグラインド”の間にある。
先に言っておくが「フライトライン」入りが欲しいなら追加で25ドルかかる。3本線はタダじゃ入れないよってことさ。
「フライトライン」ウェッジについて
この3本線は、ボーケイのスタッフでPGAインストラクターのパーカー・マクラクリンによって開発された。
彼は、世界のトッププレーヤーたちがショートゲームでボールに対して同じようなセットアップをしていることに気が付いた。3本線があれば、あらゆるグリーン周りのショットに直面した際、我々でも理想的なセットアップができるようになるという。
実際には、「フライトライン」はその名の通りシンプルだ。
一番後方の線は、バンプアンドラン・ショットが打てるようにハンドファーストを促し、真ん中の線はニュートラルでピッチショット用。
一番手前にある線は、フロップショット(ロブショット)やバンカーショット用だ。どのケースでも、それぞれのラインによりクラブフェースの向きを合わせることができ、ボールを構えた時のシャフトのポジションを決めることが可能。
バンプアンドラン:グリーン手前にボールを落としてボールを転がし上げるように打つアプローチ・ショット
どのラインでも、アドレス時に“あなたの鼻”を指すように構えれば良いのだ。
フロップショット(ロブショット)のポジションなら、フェースとスタンスがオープンになる。ピッチショットのラインならニュートラルなセットアップで構えられる。確かにバンプアンドラン・ショットでちょっと苦戦した(詳細は後述)が、ボールをスタンスのやや後ろ側に置きハンドファーストになるようにすれば良いだろう。
なお、先ほど「フライトライン」はシンプルだとお伝えたが、もし理解できないならこちらの動画をチェックすると良いだろう。
“俺の”「フライトライン」ウェッジ
ぶっちゃけて言うと、元々ボーケイ「フライトライン」ウェッジを試すつもりはなかった。プレスリリースで見たかも知れないけど、目に留まるようなものじゃなかったからね。それに、ラインがあろうがなかろうが、バッグに入っている自分のウェッジで満足だったし(と思っていた)。
実を言うと、ボーケイウェッジのフィッティングアプリを試したら、サンドウェッジで「Sグラインド」を勧めてきたんだ(自分は普段だと「Dグラインド」を使っている)。だから、「フライトライン」でもそうでなくても、「Sグラインド」が気になったというわけ。
それから数週間後、ボーケイウェッジが数本、我が家に送られてきた。でも、グリップもシャフトもロフト角も間違っていたし、細かいことを言うと仕上げも違っていたんだ。普通の状況なら左打ち用のチッパーより少しだけ使いものになるウェッジだったが、この56度は「Sグラインド」だった。
私はロブウェッジにおいては筋金入りの「Tグラインド」派だけど、、一緒に届いた60度の「フライトライン Mグラインド」も悪くはなかった。
数日後、3本線があることに気が付き、チームのためになると思って、このほぼすべての設計が間違っていたウェッジをコースに持っていき、「フライトライン」が役立つのか試そうと思った。
コースでのボーケイ「フライトライン」ウェッジ
ショートゲームやコースのグリーン周りで試してみて、このボーケイ「フロントライン」ウェッジを“リマインド(確認用)”ウェッジと考えるようになった。
既に“リマインド”グリップ(ゴルフプライドの「MCCアイアン」)はあるし、「SeeMore」は、“リマインド”パターと表現できるだろう。それに、そう考えている中、キャロウェイではゴルフボールに3本線を入れているのだから、3本線の“リマインド”ウェッジがあっても良いはずだ。
蓋を開けてみると、この「フライトライン」は実際のところ(大抵の場面で)意味がある。
誤解のないようにして欲しい。マクラクリン氏が考える適正なセットアップが皆さんのセットアップと全然違うと、おかしく感じて慣れるまで時間がかかるが、それでも問題はない。もしウェッジが示す通りにアライメントできていなければ、あなたのやり方が間違っていると言うことだ。
私の場合、フロップショット(ロブショット)では概ね問題ないことが分かった。とはいえ、練習場で試してみるとラインのおかげで一貫性が増した。ラインがあることで再現性のある基準のポジションが分かるということ。これを通常のフロップショットの設定と思えば良いのだ。
ここからロフト角を微調整する必要があるなら、それでも問題ないが、その時は弾道と飛距離を合わせる上でより正確な“はじめの一歩”とすべきだろう。
ピッチショットは私にはちょっと違和感があったが、それは私がコースで物事を複雑に考え過ぎているからかも知れない。
私のグリーン周りのショットは高めになるか、低く抑えようとするかのいずれか。真ん中のラインがあることで、全てをシンプルにそしてスクエアにすることが可能になり、私のプレーにシンプルさはなかったが、結果的にはとてもうまくいった。
私はニュートラルなピッチショットを試す方ではないが、今回は何度もトライしてみた。すると一日中、キレのあるピッチショットが可能になった。グリーンを何度も外したことが良い方向に働いたということか。
これは「フライトライン」のせいかも知れないし、今や私が「Sグラインド」派だからなのかも知れない。
おかしかったのが、バンプアンドラン・ショットで苦戦したことだろう。(他のクラブより50度のクラブを使うことが多いものの)普段はまあまあ良いのに。
ただウェッジのラインを鼻に向けるだけで良いのに、どういうわけか、私はウェッジを操作しようとしていたため、バンプアンドラン・ラインがシャフトの真上に来るようにしてしまっていたのだ。こうするためには、フェースを閉じてクローズスタンスにして、相当なハンドファーストにする必要がある。
つまり、そんなことしちゃダメってこと。
適度なハンドファーストにして、ボールをスタンスの少し後にするだけで、全てがうまく行くのだ。
ボーケイ「フライトライン」ウェッジ – 結論
「フライトライン」は画期的なウェッジテクノロジーが詰まっているかと言えば、そうではない。重量配分が考えられているわけではないし、「フライトライン」でスイングすればOKというわけでもない。
とはいえ、ショートゲームのレッスンを受けたことがなかったり、直前のレッスンのほとんどを忘れてしまったり、グリーン周りが基本的に苦手なら(チッピングでイップスの人はいる?)、「フライトライン」は主たる基本的なセットアップを簡単で効果的に確認することができるのだ。
そして、25ドルの追加料金以外、本当にネガティブな点がない。使用頻度が少なかったり、ほとんど使わないにしても、(シャフト、グリップ、ロフト、そして仕上げが間違っていない限り)完璧に素晴らしいウェッジを手にしたということになる。
「フライトライン」は、「Vokey Wedge Works」を通じてあらゆるロフト角とバウンスの設定のカスタマイズが可能だ。
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