「XXIO 12(ゼクシオ12)」アイアンの注目ポイント

・「XXIO 12」は低~中ヘッドスピードに特化した「XXIO(ゼクシオ)」主力モデルの12代目

・『リバウンドフレーム』と新『Super TIX® 51AF』チタンフェーステクノロジを搭載

・アイアンの価格は219.99ドル(一本)、#5-PWのセットで1,539.99ドル

・ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドのレディースパッケージセットは2,999.99ドル

本日「XXIO 12(ゼクシオ12)」ドライバーとアイアンが発表された。(アメリカ)

※日本では既に2021年12月11日に発売されている。


「低~中ヘッドスピードゴルファー」向けに特化したデザインの軽量クラブは、かつてニッチな存在だったが人気が拡大し、今や市場の重要な一角となっている。

2000年に初代「ゼクシオ」が発売されてから、「ゼクシオ」はグリップからクラブの先端に至るまで総合的に設計されており、同社は、他社よりもこの市場の特殊事情を熟知していると考えている。

あなたがこのターゲット層に属すなら、「ゼクシオ 12」アイアンに搭載されたテクノロジーは興味深いはず。

あるいは、逆に邪魔になるか?

「ゼクシオ」とはそういうものだ。

もしあなたがドライバーのヘッドスピードが42.5m/s以上なら、「ゼクシオ」はあなたに恩恵をもたらさないので、今回の記事は読み飛ばしてほしい。

少なくとも現時点では。


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「XXIO 12」:侮れない存在

「低~中ヘッドスピードのゴルファー」という言葉は、シニアの男性ゴルファーや多くの女性ゴルファーを意図したメーカーの単語のようなもの。そして、各社がこの市場に注目しているのには2つの理由がある。

まずは、ゴルファーの年齢中央値が54歳ということ。つまりベビーブーム世代のゴルファーの多くが、かつてよりヘッドスピードが落ちているということだ。

2つ目が、NGF(ナショナル・ゴルフ・ファンデーション)によると、オンコースゴルファーの約25%が女性だということ。

要するに、「ゼクシオ」にはとんでもない市場があり、その市場は拡大する一方なのだ。

「低~中ヘッドスピードのゴルファー向けに特化して製品開発しているメーカーは他にない」とMyGolfSpyに語ってくれたのは「ゼクシオ」のバイスプレジデント、チャック・サーニー氏。「我々はこの分野に徹底的に取り組んでいる」。


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この言葉に不服を言うメーカーもあるだろうが、「ゼクシオ」が長くその道を歩んできたという事実に異論を唱えるメーカーはないだろう。

だが、長くその道を歩んできたからといって、それがベストパフォーマンスに転換されるのかは未知数だが、「ゼクシオ」は、彼らが保有するありったけのテクノロジー一式を同社のアイアンに詰め込んでいる。


2022年モデルで新しいことは?

『リバウンドフレーム』はスリクソン-クリーブランドを代表するテクノロジーだ。スリクソンは、昨年の「ZX」ドライバーに『リバウンドフレーム』を導入し、クリーブランドの「ランチャー XL」ドライバーにも搭載。そして今回「ゼクシオ 12」アイアンに初めて搭載することになった。

ドライバー版の『リバウンドフレーム』については「ゼクシオ 12」ドライバーの記事で深掘りしたが、アイアンの『リバウンドフレーム』はというと、若干の違いがあるだけで基本的な理論は変わらない。

その理論とは、フェースのたわみを最大化するため、クラブヘッドを柔軟性と剛性のエリアに分けた「軟・剛」構造にすること。その主要素となるのが、ボディ下部に配置した小さなグルーブカット。これを「ゼクシオ」では『L字グルーブ』と呼んでいる。


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「アイアンは、柔軟なフェース、剛性の高いフレーム、柔軟な『L字グルーブ』、そして剛性の高いクラブヘッドで構成されている」とサーニー氏。「フェースは極薄のチタンで剛性の高いフレームとつながっている。そしてフレーム内にグルーブカットがあり、またフレームがあるという形だ」。

我々は以前にも『リバウンドフレーム』を以下のように例えたが、間違ってはいないと思う。たわむフェース(柔軟なフェース)と最初の剛性の高いフレームを、マットとバネが剛性の高いフレームに繋がっているトランポリンと考えて欲しい。

そして、この剛性の高いフレームが、別の剛性の高いフレームに繋がっている別のバネのセットに接続している2重のトランポリン。これが、ボール初速を向上させるための構造だ。

効果はあるのか?『リバウンドフレーム』を搭載したスリクソンの「ZX」フェアウェイウッドは、昨年の『Most Wantedテスト』において飛距離でライバルを圧倒。一方、「ZX5」と「ZX7」ドライバーはと言えば、そうでもなかった。


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全メーカーは、初・中級者向けおよび初・中級者向け飛び系クラブで、フェースのたわみを追求しているが、それは、フェースのたわみはボール初速とイコールであり、ボール初速は飛距離とイコールになるというたった一つのシンプルな理由のため。

以前のように速くスイングできなくなったゴルファーにとっては、かつての飛距離を取り戻せるのであれば全て良いものなのだ。





チタンとタングステン

このアイアンカテゴリーのスタンダードでもあるが、「ゼクシオ12」も『チタンフェース』が特徴。今回は「ゼクシオ 12」ドライバーで使用したものと同じ素材「Super TIX® 51AF」が採用されている。

「これは反発を生み出す上で重要な起点となる」とサーニー氏。「存分にエネルギーと初速を伝達できるし、初速は「ゼクシオ」を必要とするゴルファーにとって必要不可欠。他のどんな性能よりも、初速を必要としているからね。」


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「Super-TIX® 51AF」チタンは、“スリクソン・クリーブランド・ゼクシオ”と同じく住友ゴム傘下の企業である、新日本製鐵と住友の鉄鋼部門が共同開発したもの。「ゼクシオ」は、この素材を2008年に初めてドライバーで採用したが、今回のチタンフェースは第2世代となる。

「ゼクシオ 12」は、キャロウェイほどタングステンに拘ってはいないが、5番から7番アイアンに『高比重タングステンニッケルウエイト』を搭載。『ショートホーゼル』と『変厚フェース』を組み合わせたことで、「ゼクシオ12」は、番手毎の重心を最適化するように設計されている。

ロングアイアンは、低重心でキャリーを重視した設計。ショートアイアンは高重心でコントロール性を重視している。

またフェースの溝もロフト角毎に異なる。ロフト角が増えてショートアイアンになると、溝は深く、そしてそれぞれが近くなるようになっている。


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独自技術『ウエイトプラス』テクノロジーと「XXIO 12」

最新のクリーブランドのドライバーには、同社が「シャフトカウンターバランス」と言うスイング中のコントロールに役立つ『アクションマスCB』が特徴だが、「ゼクシオ」ではさらに一歩踏み込み、独自技術の『ウエイトプラス』テクノロジー(シャフトのバット部分に「カウンターウエイト」の目的で重量をかけるもの)を搭載した。

軽量ヘッド、軽量シャフト、そして軽量グリップ(「ゼクシオ」は独自の軽量グリップを設計している)を組み合わせると軽量クラブになる。

軽量クラブは速くスイングできるが、コントロールは重要だ。そこで、シャフトのバット部に真ちゅうまたはゴムの「カウンターウエイト」である『ウエイトプラス』を配置した。

「これによりバランスポイントが高くなる」と言うのはサーニー氏。「軽量化と相まってクラブが振りやすくなり、初速がアップする。“低重心”ではなく、“高いバランスポイント”が秘策なのだ」。


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前述した通り、「ゼクシオ」はグリップからクラブの先端に至るまで、一気通貫型のクラブデザインを採用している。

一本のクラブとして機能するよう専用設計されており、「ゼクシオ 12」アイアンにおいては、同社独自のミヤザキ製「ゼクシオMP 1200」カーボンシャフトなら、どんなシャフトでも良いということだ。「ゼクシオ」では、これをオーダーメイドと呼んでいる。

また「ゼクシオ」が“グラファイト”ではなく“カーボン”としていることにも注目して欲しい。ゴルフ業界が「グラファイト」とするものは、実際にはカーボン繊維とエポキシ樹脂の複数層構成されている。

どちらにしても、「MP 1200」は東レ株式会社が開発した『NANOALLOY(ナノアロイ)®レジンマトリクス』を採用した超高級『TORAYCA(トレカ)®』が素材となっている。

また「ゼクシオ」は、潰れに強い「フープ層(シャフト軸に対して垂直方向に巻いたカーボン層)」と曲げ剛性に効く「ストレート層」を交互に積層するダンロップ独自の設計を施した設計シャフトを製造している。

これにどんな意味があるかというと、曰く、軽量(Rで47g、Sで50g)でありながら柔軟性と弾力性があるシャフトになるという。


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「XXIO 12」レディースモデル

「ゼクシオ」の売り上げの約40%は女性ゴルファーからのもので、「ゼクシオ」が真剣に取り組んでいる市場となっている。

「女性向けの製品は独自設計で生み出されている」と語るのはサーニー氏。「特化した重量配置をしているだけでなく、様々なロフト角とカラーオプションがある」。

具体的に言うと、「MP 1200」の男性用シャフトは47g(R)だが、女性用シャフトは35gだ。グリップも女性用は9g軽量化されており、ヘッド自体も約13g軽くなっている。またバランスも男性用のセットがC8なのに対して、女性用のセットはB8という設定だ。


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またスタンダードの「ゼクシオ 12」アイアンは、ホワイトのシャフトを装着したベーシックのクロームとダークブルーがあり、女性用セットはライトブルー(ブルーシャフト)とマゼンタ調のボルドーの2色で、ボルドーにはマッチしたシャフトが装着されている。

また、「ゼクシオ」では「ゼクシオ 12」の女性向けのパッケージセットも初めて発売する。10本セットでブルーとボルドーの2色展開で、クラブは12.5度のドライバー、3番、5番、7番のウッド、6番のハイブリッド、7番からPW、SWまでのセッティングだ。

そしてブルーのセットはネイビーのカートバック、ボルドーのセットにはホワイトのカートバックがつく。

さらにブルーのみだが11本セットのオプションもラインナップ。ドライバーは11.5度で、ウッドは3番と5番、ハイブリッドは6番、アイアンは6番からPW、さらにGWとSWがセッティングされており、バッグのカラーはブルーとなっている。


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どのセットも、パターは別売だ。

男性用のパッケージセットもいずれ発売するのだろうか?サーニー氏は、女性用のセットでコンセプトを試し、上手くいくことを願っていると語ってくれた。

「お楽しみに」とのことだ。


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「XXIO1 12」のスペック、価格、発売時期

ご想像の通り、「ゼクシオ 12」アイアンは低~中ヘッドスピードゴルファーがもう少し飛ばせるように誕生した。ロフト角は初~中級者向けレベルのストロングロフトになっており7番で28度。

女性向けアイアンはボールが上がりやすいように設計されており、ロフト角はやや寝ている。女性用は7番で30度というセッティングだ。


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「ゼクシオ 12」のスタンダードな仕様は、右利き用が5番アイアンからSWで左利き用は6番アイアンからPW。女性用は右利き用のみとなっている。

またお伝えしたように、独自の「MP 1200」シャフトが「ゼクシオ軽量グリップ」同様に唯一のオプションとなっている。

「ゼクシオ」はゴルファーの最多層に向けてクラブをデザインしており、特定のタイプのゴルファーに合わせた専用設計になっていることから、カスタムフィッティングには対応していない。

「ゼクシオ12」の価格設定は、ターゲット層が同じキャロウェイの「Epic MAX Star」と同程度と思うかも知れないが、そうではない。実際には、「ゼクシオ 12」アイアンの価格は一本219.99ドルで、7本セットだと1,539.93ドルだ。


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女性用パッケージセットは2,999.99。

比較すると、「Epic MAX Star」は一本349.99ドルで本間ゴルフの「Beres(ベレス)」シリーズは2スターで一本350ドルからとなっている。

「ゼクシオ 12」アイアンは2月11日から発売予定(アメリカ)。

※日本では既に2021年12月11日に発売されている。