上級者向け軽量タイプ「ゼクシオX」アイアンはショットの抜けを良くする『Vソール』搭載、さらにスピンに着目！

「XXIO X-eks-（ゼクシオエックス）」アイアンの注目ポイント

・「ゼクシオ X」アイアンの2代目

・軽量のメリットを求める上級者向けのデザイン

・スチールシャフトの価格は1本199.99ドル、カーボンシャフトは1本224.99ドル

・2月11日発売（アメリカ）

※日本では既に2021年12月11日に発売されている。

新しい「ゼクシオ X」アイアンは、他の「ゼクシオ」シリーズとは、全く異なる。最近発表された「ゼクシオ 12」は、中ヘッドスピードやシニアゴルファーに向けた超軽量アイアンセットで、「XXIO Prime（ゼクシオプライム）」シリーズは、低〜中ヘッドスピードやシニアゴルファー向けにデザインされた超超軽量アイアンセットだ。

しかし、2代目「ゼクシオ X」は、あくまでもある程度のスキルとヘッドスピードがある、人生の“バックナイン”においてなおゲームに挑み続けるゴルファーのための軽量アイアンセットだ。

そして言うまでもなく価格は高い。そこはお忘れなく。

そういう意味では、「ゼクシオ X」はそれほど変わっていないのかも知れない。しかし、今回は十分に違う。ゼクシオは、人生の頂点に差し掛かったゴルファーやシニアゴルファー向けのラインナップ「X」を一新した。その実力はどんなものなのか？チェックして行こう。

「ゼクシオX」アイアン：シニア向け

老いることは、誰もが直面しなければならないことの一つだ。繰り返しになるが、「ゼクシオ X」は、それなりにヘッドスピードがあるゴルファーに特化したという点で、他の「ゼクシオ」シリーズとは異なる。そして対象ゴルファーは、まだシニアとまではいかないが、その峠に近いことは分かっている層だ。

十分に異なると言っても、「『ゼクシオ X』は、軽量でスイングしやすいという全ゼクシオ製品のDNAを受け継いでいる」と語るのはゼクシオのブライアン・シールケGM。「ただし、今回のモデルはより熟練したゴルファー向けだ」。

「ゼクシオ X」とその軽量同シリーズには、類似点が多いがいくつかの相違点もある。まず、シャフトオプションに「スチール」があるということ。そして、ショットの抜けを良くするスリクソン・クリーブランド名物『Vソール』も搭載していること。さらに今回のモデルでは、「スピン」についてもより着目している。

もし、60歳以上で70台前半で回れるなら、「ゼクシオ X」はあまり効果的とは言えない。しかし、シニアで一桁後半か二桁中盤のハンディキャップのゴルファーなら、この「ゼクシオX」にちょっとした希望を見出すかも知れない。

そして、ご存じの通り、希望の裏にはそうでないこともあるのだが。

「ゼクシオ」アイアンのテクノロジー

『リバウンドフレーム』については、「XXIO 12」アイアンで重要な点はお伝えしたので省略するが、ここでの説明としては、一般的にいう初・中級者向け（スコア改善型）部門において、各メーカーがUSGAのルール内で競っているフェースのたわみを最大化させる、「ゼクシオ」独自の手法ということくらいにしておく。

理論的に「ゼクシオ X」の対象者はヘッドスピードがより速いので、ボール初速を向上させるためにフェースをそこまでたわませる必要がないのだ。

そのため、「ゼクシオ 12」には、フェース下部とボディ後方部を接続している部分に『L字グルーブ』がある一方で、「ゼクシオ X」はフレーム内に『スピードグルーブ』と呼ばれる薄い溝がある。

これは、どちらもフェース下部のたわみを大きくすることが目的。スリクソンでは、「Z85」アイアンシリーズまで同様のテクノロジーを採用していた。

もう一つの違いは、フェース素材そのものだ。「ゼクシオ 12」では『超極薄チタンフェース』が特徴だが、「ゼクシオ X」は高強度の新フェース素材「DHA™１」特殊鋼を採用している。スリクソン・クリーブランド・ゼクシオのようなメーカーは、通常独自のテクノロジーにカッコ良いネーミングをつけるものだが、これはそうでもない。

実際のところ、高強度特殊鋼とは「大同特殊鋼」の「DHA1」と呼ばれる「低炭素高バナジウム」のことだ。

「低炭素鋼」は、強度と展延性（たわむ）を併せ持つことからゴルフクラブの素材としてよく使用されている。この素材に「バナジウム」を混ぜることでより強く、より延性の高い合金鋼（特殊鋼）を作ることができる。これにより「ゼクシオ」は、フェースの厚さを2.1mmまで薄くすることを可能にした。

今回、5番から9番アイアンまでは、『高強度特殊鋼フェース』と「鍛造S25C（日本では1025カーボンスチール）ボディ」を採用。PWとGWには、弾力性があり鍛造できる「SUP10」スチールが使われている。そしてボディには鍛造「S20C」か「1020カーボンスチール」だ。

『マイクロミーリング』、バット部（シャフトの手元側）への追加重量、『Vソール』

念のために言うと、他のゼクシオ製品は『Most Wantedテスト』でのパフォーマンスがマチマチだったが、「ゼクシオ X」にその傾向は当てはまらない。

2020年の『初・中級者向けアイアンテスト』において、「ゼクシオX」は総合4位。「トータル飛距離」ではトップクラスで、ロングアイアンの「ストロークス・ゲインド」ではトップだった。一方、ショートアイアンでは最下位に近い順位となっていた。

そのため、「ゼクシオ X」ではショートアイアンのパフォーマンスを向上するために、スリクソンとクリーブランドのテクノロジーを搭載している。番手毎の「フェース肉厚」とロフトに最適化した「重心設計」に加え、番手別の「溝」を採用。番手が大きくになるほどの溝は深く、その溝の間隔を狭くすることでスピン性能を向上させている。

そしてさらにスピン性能を上げるために、セット全体でクリーブランドのニュー「Launcher XL（ランチャーXL）」アイアンと同じ、『マイクロレザーミーリング』がフェース全面に採用されている。

また、「ゼクシオ X」には、ゼクシオの独自技術である『ウエイトプラス』テクノロジーを搭載。シャフトのバット部（シャフトの手元側）に「カウンターウエイト」の目的で重量を追加することでさらに重量が増し、クラブが振り易くなっている。

そして新しい「ゼクシオ X」アイアンは、抜けの良さを向上させるためにスリクソン・クリーブランドの特徴である『Vソール』も搭載されている。「X」はゼクシオで唯一『Vソール』を採用しているモデルだが、それは「ゼクシオ X」のプレーヤーが必要としているというシンプルな理由から。「ゼクシオ 12」と「ゼクシオプライム」には採用されていない。

お伝えしたように「ゼクシオ X」は、まだボールを打ち込める上級者向けに設計されているが、他のゼクシオモデルは、払い打ちタイプのゴルファー向けの「ワイドソール」が特徴となっている。

独自シャフト

ゼクシオでは定番だが、今回のニュー「ゼクシオ X」アイアンでは、2種類の中から好きな方を選ぶことができる。ゼクシオは、ターゲットとなる特定のゴルファーに合わせてグリップから先端に至るまで一気通貫型のクラブデザインしているため、カスタムフィッティングは基本的に不要と考えているのだ。

だが、これは一方で、フィッティングとは一つのヘッドを幅広いゴルファーに合わせる方法と言えるが、もう一方では、もしゼクシオが合わない場合、スリクソンやクリーブランド、また他全てのメーカーにはカスタムフィッティングできる選択肢があるとも言える。

シャフトはスチールかカーボン、また「S」か「R」を選ぶことが可能。これは良いことだ。

つまり、「ゼクシオ X」は自分に合うのか合わないのかのどちらかということ。第三の選択肢はない。

スチールシャフトは、的確にいうなら日本シャフトの「N.S. Pro 950 GH Neo DST」だ。ゼクシオでは、このシャフトを日本シャフトと共同開発しており、重めのヘッドと『ウエイトプラス』カウンターウエイトを基本としたゼクシオの『デュアルスピード』テクノロジーに対応するようにデザインされている。

日本シャフトには、同社のウェブサイトに「950 GH Neo」という同様のシャフトを掲載しており、これはスリクソンが「ZX4」アイアンの純正シャフトとして採用している。軽量で十分なスピンを実現するストロングロフトのスコア改善型アイアンに合うようにデザインされたシャフトだ。

カーボンシャフトは、「Miyazaki AX-II」が純正となっている。

「Miyazakiは軽量化と安定性を両立させることに長けている」と言うのはゼクシオのバイスプレジデント、チャック・シアリー氏。「他メーカーはこの両立に苦労している。軽くすると、安定性を損なってしまう傾向があるのだ」。

「ゼクシオ X」アイアン：スペック・価格・発売時期

そう、「ゼクシオ X」は飛距離重視の初・中級者向け（スコア改善型）アイアンだ。しかし、我々が初・中級者向けアイアンのロフトに慣れていることを考えれば、「ゼクシオ X」はストロングロフトにし過ぎということはない。もちろん7番アイアンで29度は“ウィークロフト（ロフトが多い・寝ている）”ではないが、今では比較的普通とも言える。

シャフトについては既にお伝えしたが、グリップは『ウエイトプラス』が装着されている。カーボンシャフト用のグリップは、実のところ、スチールシャフト用よりも1g軽い。これはゼクシオのグリップから先端までをデザインするという哲学を反映しているが、「本当にそれって大事なことなの？」とも言えるだろう。

雪が舞い始める前のニューイングランドでの簡易的なコーステストで、いくつか確信ことがある。まず、「ゼクシオ X」は確かに前作から飛距離ロスしていないということ。

飛ばせるし、非常に簡単で、見たところグリーンで止めるのに十分な落下角度とスピン量を実現する高さと初・中級者向けの打ち出し角がある。もしあなたがターゲット層なら、間違いなく試す価値はあるだろう。

「ゼクシオ X」アイアンはスチールシャフトの価格が1本199.99ドル、カーボンシャフトは1本224.99ドル。6本セットだとスチールシャフトが1,199.99ドル、カーボンシャフトは1,349.99ドルとなっている。